ソシオニクス:モデルAの役割機能とは?
ソシオニクスの役割機能(第3の機能)は、先導機能と対立する性質を持ち、特定の状況下でストレスを感じる要因となります。
この機能は、個人が自分の先導機能を自由に使えない状況で表れます。
役割機能の特徴
1. 役割機能の基本的な役割
役割機能は、先導機能がオフになっているときにオンになります。これは、先導機能と対立するアプローチを取るため、両方が同時にオンになることはありません。役割機能は、個人が自分の先導機能を自由に使えない状況で発動します。
対立するアプローチ:役割機能は、先導機能と反対の性質を持ちます。例えば、先導機能がNe(外向的直感)の場合、役割機能はSe(外向的感覚)になります。
オフとオンの切り替え:先導機能が活発に働いているときは、役割機能は基本的にオフになります。そのため、個人は自分の先導機能に集中しやすくなります。
状況に応じた発動:役割機能は、先導機能が制限される状況で発動し、個人にとってストレスとなる場合があります。
2. 役割機能の使用とその影響
役割機能を使う際、個人はストレスを感じることが多く、これを無理に使おうとすると疲労や苛立ちが生じます。しかし、人生のバランスを取るために役割機能に取り組むこともあります。
ストレスと疲労:役割機能を使うことは、個人にとって自然ではなく、ストレスを感じやすいです。例えば、先導機能がNeの人がSeを使うとき、直感的な発想が抑えられ、物理的な行動を強いられるため、疲労を感じます。
バランスを取る試み:役割機能に取り組むことは、人生のバランスを取るために重要です。例えば、職場で求められるスキルを習得するために、普段使わない役割機能を鍛えることがあります。
散発的な取り組み:役割機能に取り組む試みは一般的に散発的であり、問題が解決すると再び先導機能に戻ることが多いです。
3. 役割機能と対人関係
役割機能の使用は、対人関係にも影響を与えます。この機能に対する批判は、個人にとって敏感な問題であり、他人からの期待に応えるためのプレッシャーを感じることがあります。
批判と苛立ち:役割機能に対する批判は、個人にとって敏感な問題です。この機能の使用に対する批判は理論的には正しいと感じられるため、個人はそれに対して反応しやすくなります。
対人関係のストレス:他人から役割機能に関する期待を受けると、個人はストレスを感じることが多いです。例えば、職場でリーダーシップを発揮することが求められると、自然な先導機能の発揮が抑えられ、プレッシャーを感じます。
努力と集中:役割機能を使うには努力と集中が必要です。これは、個人が自己啓発や自己改善に取り組む際の中心的な要素となります。
各タイプの役割機能の活かし方
Te(外向的思考)
EIE
EIEは、人々の心を動かす力を持つ指揮者のような存在です。彼らは、集団の感情の波を巧みに操り、全員が一体感を感じられる空間を作るのが得意です。外向倫理(Fe)は、EIEにとって呼吸するのと同じくらい自然なもの。彼らは、場の空気を敏感に感じ取り、必要ならばそれを調整して周囲を活気づけることに何の努力も要しません。
しかし、ある日、大規模なプロジェクトのリーダーに任命されたEIEは、これまでとは異なる挑戦に直面します。数字や効率、明確なスケジュールを求められる状況――外向論理(Te)を駆使しなければならない場面が訪れたのです。いつもなら、チームの感情を鼓舞して自然に前進させるのに、今回は具体的な計画を立て、タスクを分解し、目に見える結果を追求しなければなりません。感情の波に乗ることを封じられたEIEは、まるで心の中に足かせをつけられたように感じます。彼らはぎこちなくTeを使おうと努力しますが、自然ではないこの行動はエネルギーを消耗させ、ストレスを引き起こします。
「感情を感じることも、表現することもできないなんて。これが効率の名の下に求められることなの?」EIEは内心でそうつぶやきます。彼らは、外向倫理を封じ込めた状態で外向論理を使うことに不自然さを感じつつも、なんとか役割を果たそうと奮闘します。
ESE
ESEは、日常の中で人々の心に寄り添い、温かいつながりを育む才能に恵まれています。彼らは、感情の流れを感じ取るだけでなく、それをよりポジティブに変えていく力を持っています。友人との和やかな会話や、家族との楽しいひととき――これがESEの生きるエネルギーの源泉です。彼らにとって、外向倫理(Fe)は共感のための魔法の杖のような存在です。
しかし、ある日、ESEもまた困難な状況に直面します。会社の新しいプロジェクトで、効率的な進行管理が必要となり、Teの力を借りなければならない場面が訪れたのです。普段なら、みんなの気持ちを汲み取り、対話を通じて自然に解決していくのですが、今回はそうはいきません。「もっと具体的に行動を指示して」「進捗状況を数値化して」といった要求が次々と飛んできます。
「どうしてこんなに冷たい数字に縛られる必要があるの?」ESEは心の中でそう感じます。Teを使う場面では、Feによる柔軟な感情交流が制限され、まるで親しい友人との会話を奪われたかのような違和感を覚えます。疲労感がじわじわと心に広がり、ESEはいつもの笑顔を維持するのが難しくなります。
Ti(内向的思考)
EII(INFj)
EIIにとって、内向倫理(Fi)は、まるで心の羅針盤のようなものです。彼らは、他者の価値観や内面的な調和を敏感に察知し、それを基にした関係性の維持や成長を自然に追求します。しかし、その繊細な感情のバランスを保つ彼らにも、時折、不自然な要求が突きつけられることがあります。それが、役割機能である内向論理(Ti)の使用を必要とする場面です。
たとえば、議論の場で「その価値観が正しいかどうか、論理的に説明してください」と言われたとき、EIIは戸惑いを隠せません。彼らにとって、価値観とは分析されるものではなく、感じ取り、尊重するものだからです。Tiの冷徹な論理的判断を強いられると、EIIの自然な感情の流れは停滞し、心の中に違和感が生まれます。
「どうしてこんなに冷たい論理に自分の感情を押し込めなければならないの?」EIIは心の中でそうつぶやきます。彼らは、内向倫理の羅針盤が狂わされるような感覚に陥り、心理的なストレスを感じることが多くなります。Tiを使わなければならない場面では、EIIはまるで無理に別の人格を装うかのように感じ、不自然さに疲れてしまいます。
ESI(ISFj)
ESIは、感情的な共感や人間関係における正義感を持つ「倫理の守護者」のような存在です。内向倫理(Fi)は彼らにとって、何が正しく、何が間違っているのかを直感的に導き出す指針であり、周囲との調和を保つための力強い武器でもあります。
しかし、法律や規則に基づいた厳格な判断を求められる場面では、状況は一変します。たとえば、職場で「これはルールだからこうすべきです」とTiの観点で説明しなければならないとき、ESIは不安を感じます。感情的な共感を大切にする彼らにとって、規則に基づく冷静な論理的判断を強いられる状況は、Fiの柔軟性が封じ込められる感覚を生じさせます。
「このルールを守ることが正しいのはわかるけど、この人の気持ちを無視していいの?」ESIは内心で葛藤を抱えます。彼らはTiの枠組みに従おうと努力しますが、その過程で感じる倫理的な違和感は消えません。結果として、心理的な疲労感が蓄積し、自然体でいられなくなります。
Fe(外向的感情)
EII(INFj)
EIIは、内向倫理(Fi)を通じて、他者の価値観や感情を深く理解し、それを基にした繊細な人間関係の調整を得意とします。彼らにとって、Fiは自然体であり、人生の中で道しるべのように機能します。価値観を大切にし、感情のバランスを取ることが、EIIの安心感を支える柱なのです。
しかし、ある時、EIIは困難な状況に直面します。たとえば、職場の会議で、ある計画の有用性を客観的なデータや論理的な説明で証明するよう求められる場面です。ここでTi(内向論理)の使用が避けられない状況に陥ります。EIIは一瞬ためらいます。価値観や感情に基づいて「なぜこれが重要か」を伝えたいのに、それでは通用しないのです。
「どうしてこんなに冷たい言葉で自分の考えを説明しなくちゃいけないんだろう……」EIIは内心でそう感じます。彼らにとって、論理的な分析は感情を切り離すような作業であり、自然な感覚から外れる行為です。Fiの柔らかな流れが遮られ、無理やりTiを使用しようとすると、心理的なストレスが押し寄せます。結果として、EIIは自分の意図を論理的に説明できたとしても、どこか満たされない感覚や違和感を抱えることになるのです。
ESI(ISFj)
ESIは、Fi(内向倫理)を通じて人間関係の調整や感情的な共感を得意とするタイプです。彼らにとって、倫理的な基準に従いながら他者を守ることは非常に重要であり、正義感や道徳的な直感を持って行動します。彼らは「何が正しいか」を知り、その正しさを感情的なつながりの中で表現する力を持っています。
しかし、ESIが法律や規則に基づいて冷静かつ厳格な判断を下す必要がある場面では、事情は変わります。たとえば、職場で同僚のミスを指摘する際、感情的な共感を優先したい気持ちが湧き上がる一方で、上司からは「規則に基づいて説明するように」と要求されることがあります。ここで、ESIはFiを抑え、Tiを使用しなければならなくなります。
「規則は守らなければいけない……でも、この人の気持ちを無視してしまうのは間違っている気がする」ESIは葛藤を抱えます。共感的な対応を諦めることに対する負担と、Tiを使って冷静な判断を下すことへの不慣れさが重なり、心理的な疲労感を覚えるのです。このような状況では、ESIは自分の本来の倫理的な価値観を生かしきれない感覚に陥り、感情表現が制限されることで違和感を覚えやすくなります。
Fi(内向的感情)
LII(INTj)
LIIは、内向論理(Ti)を通じて、物事を明確に理解し、秩序立てて説明する能力に優れています。彼らは、複雑なアイデアを分解し、体系的な理論を構築することを得意とします。主機能であるTiは、LIIにとって思考の核であり、周囲の出来事を整理し、問題を論理的に解決するための武器です。
しかし、LIIはときどき、理論や構造では割り切れない状況に直面します。たとえば、同僚間の不和が発生し、その解決に「感情を考慮した配慮」が必要な場合、LIIは戸惑いを隠せません。ここで役割機能である内向倫理(Fi)の使用が求められるからです。
「感情なんて曖昧で不安定だ。それに基づいて解決策を考えろと言われても……」LIIは内心でそう感じます。彼らにとって、個々の価値観や感情の配慮は、主機能であるTiの流れるような論理的思考を乱すものです。特に、人間関係における倫理的な判断が優先される場面では、Fiの使用が彼らのエネルギーを奪い、心理的なストレスを引き起こします。
結果として、LIIは理論的には正しいが人間関係の調和を損なうような判断を下してしまうことがあり、その後に不満や後悔を感じることも少なくありません。
LSI(ISTj)
LSIは、主機能である内向論理(Ti)を通じて、規則や秩序を基にした厳密な判断を得意とします。彼らは、論理的な構造を作り上げ、それに基づいて物事を進める能力を持っています。LSIにとって、Tiは安定したフレームワークを提供し、その枠組みの中で効率的に行動するための指針となります。
しかし、LSIがFi(内向倫理)を使用せざるを得ない状況では、彼らの安定性は崩れがちです。たとえば、チーム内で感情的な共感や倫理的な配慮が求められる場面では、Tiによる合理的な判断が通用せず、感情的な要素に対応する必要が出てきます。
「規則を守れば全員に平等だ。なぜそれ以上のことを考えないといけないんだ?」LSIは内心でこう考えます。しかし、対人関係において感情的な共感が重要視される場面では、Fiを使うことを求められ、彼らの論理的な判断が抑えられます。この過程でLSIは心理的な疲労感を感じ、しばしば自分の自然なスタイルから外れる不快感を抱きます。
結果として、LSIは人間関係における倫理的配慮が求められる状況では、論理的なフレームワークが崩れ、効率性を失うことがあります。これにより、心理的な負担が増大するだけでなく、調和の取れた対応が難しくなるのです。
Ne(外向的直感)
SLE(ESTp)
SLEはその場の現実を掴み、迅速に行動する能力に長けています。会議で議題が決まったら、迷いなく具体的な計画を立て、メンバーを率先して行動に移させるリーダーシップが彼らの強みです。ところが、ある日のこと。新しいプロジェクトの進行中に、突然「もっと良い方法があるのではないか?」という思考が頭をよぎります。この直感的なひらめきは彼らの役割機能であるNeの仕業です。
普段ならば、行動に迷いなく突き進むSLE。しかし、このNeが発動すると、一瞬だけ足が止まり、頭の中に「別の可能性」がちらつきます。「本当にこの方法で良いのか?他にもっと効果的なアイデアがあるのでは?」と自問してしまうのです。しかし、この迷いは、現実を重視するSLEにとってストレスを生みます。彼らは「今やるべきこと」に集中したいのに、可能性に目を向けるNeが、行動のスピードを鈍らせてしまうからです。
結果として、SLEは「余計な考えをしてしまった」と感じ、自分を叱咤します。そして再びSeに立ち返り、現実的な計画に集中し直しますが、このようなNeの介入は、時に彼らにとって小さな疲労感をもたらします。
SEE(ESFp)
SEEは行動の人です。新しいお店がオープンしたと聞けば、すぐに友人を誘って出かけたり、面白そうなイベントを見つければ即座に参加を決める、その具体的な行動力が彼らの魅力です。しかし、ある日のミーティングで、企画について意見を求められたときのこと。普段ならば「こうすれば成功する!」と行動に直結する意見を述べるところ、今回は少し違いました。
「この企画、もっと可能性を広げられるんじゃないか?」という新しいアイデアを出すことを求められたのです。SEEにとってこれは少し苦手な場面です。普段は「今できること」「具体的にすべきこと」に集中している彼らにとって、未来の可能性やアイデアを広げるNe的な思考は自然ではありません。そのため、ふと手が止まり、「どうしたらいいんだろう」と悩みが生じます。
行動が滞ると、SEEはどこかで「自分らしくない」と感じ始めます。「なんでこんなに考え込んでいるんだろう?早く行動に移りたいのに!」と、アイデアを出す役割に疲労感を覚えるのです。それでも、周囲の期待に応えるために、ぎこちなくNeを使おうとしますが、結局その後に現実的な行動に戻ることで自分をリフレッシュします。
Ni(内向的直感)
SLE(ESTp)
SLEにおいて、役割機能のNe(外向直感)は、主機能であるSe(外向感覚)と対立する傾向があります。SLEは、現実的で直接的な行動や即時の影響力を発揮することを得意とします。しかし、未来の可能性や抽象的なアイディアを探ることを求められるNeの使用は、Seの自然な感覚を妨げ、心理的なストレスを引き起こす要因となります。特に、具体的な行動が求められる状況でNeの使用を余儀なくされると、SLEにとって不慣れで負担が大きい場面となります。
SEE(ESFp)
SEEにおいて、Ne(外向直感)は役割機能として位置づけられており、自然な使用が難しい要素です。SEEは、具体的な行動や現実の状況への適応を重視しますが、新しい可能性や抽象的なアイディアを検討することが必要な場面では、Se(外向感覚)が抑制され、Neの使用を余儀なくされます。このような状況では、SEEにとって心理的な疲労感や違和感を感じやすくなります。
Se(外向的感覚)
ILE(ENTp)
ILEにおいて、役割機能のSe(外向感覚)は、主機能であるNe(外向直感)と対立する性質を持っています。ILEは、新しい可能性や斬新なアイディアを探求するNeを活用することが得意ですが、具体的な行動力や現実的な影響力を求められる場面では、Neの自然な流れが阻害され、Seを使用せざるを得ない状況に陥ります。このような場面では、ILEにとって心理的な負担となり、ストレスを感じることがよくあります。
IEE(ENFp)
IEEにおいて、Se(外向感覚)は役割機能として配置されており、自然に使いこなすものではありません。IEEは創造的で未来志向のNeを主機能とし、直感的な発想を重視します。しかし、現実的な行動や具体的な影響力が求められる場面では、Neが抑制され、Seの使用を余儀なくされます。このような状況では、心理的な疲労感や違和感が生じ、IEEにとって負担の大きい場面となります。
Si(内向的感覚)
IEI(INFp)
IEIにおいて、役割機能のSi(内向感覚)は、主機能であるNi(内向直感)と対立する性質を持っています。IEIは、未来の可能性や深い洞察を探るNiを自然に活用しますが、現在の快適さや身体的な感覚を重視するSiの使用が求められる場面では、Niの自然な働きが阻害されます。こうした状況下でSiを使用すると、IEIにとって心理的なストレスを感じやすく、負担となることがあります。
ILI(INTp)
ILIにおいて、Si(内向感覚)は役割機能として配置されており、主機能であるTi(内向論理)や創造機能であるNi(内向直感)とは方向性が異なります。ILIは抽象的な分析や未来の可能性を探ることを得意としますが、具体的な感覚や身体的な快適さを重視するSiを求められる場面では、これらの得意な機能が抑制されるため、心理的な疲労感や不快感を覚えやすくなります。このような場面では、ILIは違和感を抱きつつも対応を余儀なくされます。
役割機能を理解し、適切に活用することで、個々の弱点を補い、よりバランスの取れた自己実現や対人関係の向上を図ることができます。
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2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。
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筆者紹介

木村なおき
ソシオニクス歴4年。本業エニアグラムでMBTI®に興味を持つが、権利的な事情で断念。2020年にソシオニクスに出会い独学で勉強。2021年にソシオニクス専門のブロガーさんからソシオニクスの理論を教わり、その後すぐにエニアグラム×ソシオニクスの二刀流でタイプ診断に臨む。
診断実績は200を超える(エニアグラムとセット)
2024年4月に16タイプ相性論の講座を開講したときに、「これ…ソシオニクスでやったほうがよくね!」と気づき、本格的にソシオニクスを取り入れる。
クアドラ診断、タイプ診断、タイプ関係論をセットにすると、日本でいちばんソシオニクスを診断をしてきたい人(他に誰かいたら教えてください)