内向感覚(Si)とは
ユングは、内向感覚(Si)を非常に個人的で内的な感覚体験に基づくものとして捉えました。彼の理論では、Siは外部からの刺激を内面的に処理し、個人の過去の経験や記憶に結びつける能力を持っています。ユングは、Siタイプの人々が過去の体験を詳細に記憶し、その感覚や印象を現在の状況に適用することで、現実を理解し対応する力を持つと考えました。
ソシオニクスのSiとは
Siは、物体や環境の内部状態や出来事の関係を感覚的に捉える情報要素です。自分自身の感覚や体験をもとに、いまの環境や状態の良しあしを判断する手助けをしてくれます。
- 身体の内部状態を感じ取る:Siを持つ人は、自分の身体や内的な状態を詳細に感じ取り、その変化を敏感に察知します。例えば、体調の微妙な変化や環境の快適さを鋭く感じ取ります。
- 美的感覚の再現:過去に経験した美的感覚や快適さを再現する能力があります。これは、美しい風景を見た時の感覚や、快適な空間での経験を再現する力です。
- 他人の感覚に配慮:自分の感覚だけでなく、他人の感覚にも敏感であり、周囲の人々の快適さを重視します。
- リラックスした環境作り:Siを持つ人は、自分や他人がリラックスできる環境を作り出すのが得意です。例えば、家の中を快適で美しい空間に整えることに長けています。
- 体調管理:Siを持つ人は、自分の体調や健康状態に敏感です。日常生活の中で、体調の変化を感じ取り、適切に対処することができます。
MBTIとの違い
MBTIのSiとソシオニクスのSiには微妙な違いがあります。MBTIのSiは、過去の経験や記憶を基に情報を処理し、現在の状況に当てはめる知覚機能です。
一方、ソシオニクスのSiは、具体的な体験や感覚を重視し、現在の環境や内部状態に深く焦点を当てます。ソシオニクスのSiは、身体の感覚や快適さを強く認識し、それを再現する能力を持つ情報要素です。
自身の過去の記憶や経験を重視するよりも、他者を心地よくできるか?快適にできるか?のほうが重視されています。
Siと他の機能の比較
- SiとNiの比較:
- Si:具体的な体験や感覚を重視し、現在の状態や環境との直接的な相互作用を大事にします。
- Ni:抽象的なプロセスや因果関係を重視し、未来の可能性や展望に焦点を当てます。
- SiとSeの比較:
- Si:内向的な感覚であり、自分の内的な感覚や体験に基づいて行動します。自分の快適さや幸福を重視します。
- Se:外向的な感覚であり、外部の力や影響力を重視し、即座に行動を起こして目標を達成することを重視します。
ソシオタイプ別のSi
先導(第1)機能としてのSi(SEIとSLI)
Siをベース機能として持つ人は、自分や他人の体調や内的な感覚を鋭く感じ取り、その状態を理解し再現することが得意です。例えば、あなたが家族と一緒にいるとき、誰かが疲れていると感じたら、すぐにそのことに気づき、その人がリラックスできる環境を作り出します。また、自分自身の体調や感覚にも敏感で、快適さを保つための工夫を欠かしません。
Siを先導機能で使うタイプは他者を快適にすることができます。実際に、Siユーザーといると落ち着き、どのタイプも生産性が上がることがよくあります。例えば、職場でSEIがリーダーとしてチームをまとめると、メンバーの体調やストレスレベルに気を配り、働きやすい環境を整えます。その結果、チーム全体のパフォーマンスが向上することが多いです。
Siユーザーは静かで控えめな印象を持つことが多いですが、その実、身体的な快適を求め、それを他者に提供する力があります。例えば、SLIが友人とのキャンプを企画する際、最も快適な場所を選び、食事や寝具の準備にも細心の注意を払います。その結果、全員がリラックスし、楽しむことができるのです。
このように、Siをベース機能として持つ人は、縁の下の力持ちとして他者の快適さをサポートし、周囲の人々が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を提供することができます。
創造的(第2)機能としてのSi(ESEとLSE)
Siを創造的機能として持つ人は、他人をリラックスさせたり、楽しませたりすることが得意です。友人や家族との食事会を企画するとき、快適で居心地の良い環境を整えるために、細部にまで気を配ります。例えば、美味しい料理を準備し、楽しい雰囲気を作り出すことで、皆がリラックスして楽しめるようにします。
一見、自我が強いLSEやESEですが、自分先導で物事を進めながら、見えないところで他者の気を配っています。例えば、LSEはプロジェクトのリーダーとして厳しく見えることがありますが、実際にはチームメンバーの体調やストレスに敏感で、適度な休憩を提案したり、快適な作業環境を整えるなど、細やかな配慮をしています。彼らは自分の気配りを表に出すことは少ないものの、その結果、チーム全体が効率よく働ける環境を提供しています。
ESEも同様に、明るく社交的な表面の下で、友人や家族がリラックスできるよう細かい気配りを欠かしません。例えば、家族の集まりでは、誰が何を好むかを覚えていて、その好みに合わせた料理や飲み物を用意します。また、会話の雰囲気を和ませるために、適切な話題を選び、場を盛り上げることに努めます。
このように、LSEやESEは一見すると自己主導で動いているように見えますが、実はその行動の背後には他者への深い配慮が存在しています。彼らは他人を快適にし、楽しませるために、Siの創造的な力を巧みに活用しているのです。
役割(第3の)機能としてのSi(IEIとILI)
Siが役割機能の人は、他人がリラックスや楽しみを強調することに違和感を覚えることがあります。例えば、同僚が仕事の合間にリラックスするよう勧めてくると、具体的な理由がなければその提案に乗り気になれないかもしれません。そのため、明確な目標や要求があるときにのみ、リラックスすることを重要視します。
これは主にNiユーザーに当てはまります。彼らは遠い未来を見据えながら、今の幸せを享受することが難しいと感じることがあります。未来の自分に向かって進むNiユーザーにとって、現在の状態に意識を向けることは不快に感じることが多いのです。しかし、理想的な未来だけを追い求めることは現実的ではありません。
そのため、IEIやILIは、現在の心地良さやリラックスを意識するのに抵抗を感じながらも、周囲の人々と足並みを合わせようと努力します。例えば、家族や友人と過ごす時間を大切にしようとすることや、仕事の合間に少しでもリラックスすることで、今この瞬間の価値を見出そうとします。心地悪さを感じながらも、現実と理想のバランスを取り、より充実した生活を送るために努力する姿が見られます。
脆弱(第4の)機能としてのSi(EIEとLIE)
Siが脆弱な人は、物理的な細部や感覚に対する関心が低いです。例えば、プロジェクトの進行中に細かい調整や美的な要素に気を配ることが難しいかもしれません。これにより、身近なものに対する意識が欠け、物の配置や自身の身体感覚に気づかないことがよくあります。
LIEやEIEは目標達成に全力を注ぐため、身体を壊しやすく、途中で疲れ果てることがよくあります。大型の船を独りで動かすような感覚で、常に無理をしているのです。彼らは自分がそれほど強くないことを知っていながらも、他者を動かすために無理をする必要があると感じています。実際に無理を続け、そのツケがいつか回ってくることを覚悟しているのです。
本当は頑張っている自分を誰かに慰めてほしいと思っているのですが、強者であることを維持するために、自身の弱さを隠す傾向があります。これが、彼らの持つ内向的感覚(Si)への弱さをさらに際立たせる要因となっています。
暗示(第5の)機能としてのSi(ILEとIEE)
Siが暗示的な人は、自分の体調や感覚に気づかないことが多いです。例えば、忙しい仕事の合間に、自分の体が疲れていることに気づかず、無理をしてしまうことがあります。また、自分の好みや嗜好を理解し満たすのが難しく、他人からのアドバイスやサポートを必要とします。
このタイプは落ち着きがないため、落ち着きや平静さ、快適さを提供してくれる人にはいくらでも払う傾向があります。甘えたい欲求が強く、無自覚ながらも忠実な一面を持っています。他人のサポートを受け入れることで、自分の不安を和らげ、日常生活を円滑に進めることができるのです。
動員(第6の)機能としてのSi(LIIとEII)
Siが動員機能の人は、リラックスや楽しみを生み出すことが苦手です。例えば、友人との集まりでリラックスする方法がわからず、緊張してしまうことがあります。そのため、リラックスするためのサポートやアドバイスを他人に求めることが多いです。
LIIは思考を重視し、EIIは感情を重視するため、どちらも現実に足をつけるのが難しいと感じることがあります。現実に引き戻してくれる人たちの支援は大切にしますが、自分の世界観を壊してまで頼りたくはありません。しかし、Siを活用することで現実に向き合う力が養われます。少しだけ他人を頼ることで、バランスの取れた生活を送ることができるでしょう。
無視(第7の)機能としてのSi(SLEとSEE)
Siを無視するタイプは、自分の身体の状態や感覚を評価する能力は高いものの、外部での行動を優先します。
例えば、仕事のプロジェクトで成功するためには、身体の感覚よりも行動や結果を重視します。そのため、感覚の探求はプライベートな時間に行い、公の場では即座に行動を起こすことを優先します。ですが、身体が悲鳴を上げていれば、自然と警告を発して、スグに休みモードに入ることができます。
SLEやSEEは猪突猛進タイプのように見えて、実はペースメイキングも得意なのです。逆に、この機能がぶっ壊れているのが、LIE、ILE、EIE、IEEです。
証明(第8の)機能としてのSi(LSIとESI)
自分や他人の体調や健康状態、美的感覚、おいしい食べ物やリラックスできる環境など、さまざまな感覚刺激を感じ取り、評価する能力に自信があります。誰かに頼まれれば、これらについて納得のいく意見を提供できます。しかし、リラックスや快適さについて考えることは、彼らにとっては重要なことではなく、むしろ娯楽として捉えています。
この分野に関しては自信がありますが、深く取り組んだり、頻繁に関心を持ったりすることはあまりありません。体調や健康に気を使う際には、外向的感覚(Se)のアプローチを好み、厳格な食事療法や運動プランを自分や他人に課すことがあります。
LSI(論理-感覚型)は、全体の快適さを論理的に作り出すことに長けています。一方、ESI(倫理-感覚型)は、全体の快適さを倫理的に作り出すことが得意です。意外にも、LSIとESIはお互いに何が快適かを体感レベルで理解しています。
しかし、彼らはこの感覚的な機能を先導機能として使わず、無意識に押し込めてしまいがちです。代わりに、LSIは思考を、ESIは感情を使って日常を過ごします。両者とも「もっと、もっと」と外向感覚(Se)を好んで使い、目標達成や刺激を追い求める傾向があります。
Siを強化する方法
1. 自分のベストコンディションを知る
この機能は鍛えたくても、鍛えられない機能です。
あえて言うなら…自分の体調や気分が最も良い時を思い出すことが大切です。(これ自体もSiだったりする)
ベストな状態を把握できれば、どのような状況や環境で最もリラックスでき、従来のパフォーマンスを取り戻ることができます。
たとえば、十分な睡眠をとること、栄養バランスの良い食事を摂ること、適度な運動をすることなど、自分にとって最適なコンディションを知ることがSiの強化につながります。
2. 現在のコンフォートゾーンを意識する
いまはSNSの誘惑により、思考や感情がコントロールされがちですが、Siがしっかりしている人は、自分にとって何が最高の状態かを理解しています。自分が安心して過ごせる環境や状況を意識し、その中での活動を積極的に取り入れることが重要です。
例えば、静かなカフェでリラックスする時間を作ったり、自分の好きな音楽を聴きながらリラックスしたりするなど、自分にとって快適な場所や時間を見つけて積極的に利用しましょう。
3. ゾーンとフローを経験する(一人の時間を大切にする)
一人の時間を大切にし、深い集中状態(フロー)やリラックス状態(ゾーン)を経験することがSiの強化につながります。一人で過ごす時間を確保し、その時間を自分の趣味やリラックスできる活動に費やしましょう。例えば、読書や瞑想、散歩など、自分が心地よいと感じる活動を取り入れることで、内向的感覚(Si)を強化することができます。
実践例
- 朝のルーティンを整える:朝のルーティンを決めて実行することで、一日の始まりを快適に過ごせるようにします。例えば、起きたらストレッチをする、好きな音楽を聴く、健康的な朝食を摂るなど。
- リラックスできる場所を見つける:自分がリラックスできる場所を見つけ、定期的に訪れるようにします。自然の中や静かなカフェなど、自分にとって心地よい環境を探しましょう。
- 定期的な自己チェック:自分の体調や気分を定期的にチェックし、ベストコンディションを維持するための工夫をします。例えば、睡眠時間を確保する、食生活を見直す、適度な運動を続けるなど。
これらの方法を実践することで、Siの強化を図り、日常生活をより快適に過ごすことができるようになります。
16personalities/MBTIから
ソシオニクスに移りたい方へ
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2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。
筆者紹介

木村なおき
ソシオニクスを研究し始めて5年。本業はフリーランスのウェブデザイナーとして、IT・デザイン業界の現場でソシオニクスを実践的に活用 しながら活動。MBTI®にも関心を持つが、権利的な制約を踏まえ、より体系的で実践的なソシオニクスの探究へとシフト。2021年には、国内のソシオニクスの第一人者から直接学び、理論と実践の両面を深める。
現在は エニアグラム×ソシオニクスのハイブリッド診断 を強みに、タイプ論を統合的に扱う専門家として活動。これまでに 200名以上のソシオニクスのタイプ診断を実施。
現在、日本で最も体系的にソシオニクス診断の専門家として、現場での実践を重視した診断・教育・研究 に取り組んでいる。(もし同じ分野で活動されている方がいれば、ぜひ情報交換しましょう!)