内向論理(Ti)とは

ユングの心理学において、内向的論理(Ti)は、物事の論理的な一貫性や構造を理解し、それに基づいて判断を下す能力を指します。Tiは、物事の関係性や法則を内面的に整理し、分類する力を持っています。

ソシオニクスの内向論理

ソシオニクスでは、Tiは論理的な一貫性と正しさを認識し、体系的な理解を生成する能力とされています。

Tiを重視するタイプは、情報の矛盾を見抜き、論理的に正しい結論を導くことを得意とします。内向倫理は、物事の本質を解明して、一貫した見解を持つことに価値を置きます。

MBTIとの違い

MBTIにおける内向思考(Introverted Thinking, Ti)は、外界から得た情報を掘り下げて評価し、自分の内部で整合性を持たせるプロセスを重視します。MBTIのTiは、情報を個別に評価し、それを基に判断を下す機能です。

一方、ソシオニクスの内向論理(Ti)は、問題を検証を通して問題解決をすることに重点を置いています。情報を論理的に構造化して、矛盾や不整合を排除することで、物事の本質を明らかにします。内向論理を適切に活用することで、特定の命題に対しての検証を通して物事の構造を再構築することができます。

何が正しいか?では終わらず、なぜそうなるか?を掘り下げて、そこから新しい見解を示すことが内向論理の本質になります。

外向論理との違い

外向論理(Te)は、物事の効率性や実用性を重視し、外部の客観的な情報に基づいて判断を下します。一方、内向論理(Ti)は、情報を鵜呑みにせず、物事の本質や内面的な一貫性を追求します。Tiは、物事を疑い、調べ、検証する力として機能し、情報の正確さや論理的整合性を重視します。

他者への影響

Tiを強く持つ人は、他人の論理的な矛盾を指摘し、物事を深く理解する力を持っています。彼らは、内面的な一貫性を大切にし、他者との議論においても論理的な正しさを追求します。このため、他人との対話においても、情報の正確さや論理的整合性を重視する姿勢を見せます。

ソシオタイプ別のTi

先導(第1)機能(LIIとLSI)

LIIとLSIはTiを積極的に活用し、自分が得意だと感じています。
LIIとLSIは物事の論理的な一貫性と正しさを見極めて、自分独自の考えを作り出します。

LIIの人は、新しい情報を受け取ると、その情報の論理的な整合性を即座に見極めて、矛盾があれば指摘します。生まれながらの学者と言えるでしょう。

LSIの人は、仕事の手順や方法を最適化し、効率的に進めるための論理的な道筋を作り出します。生まれながらのコンサルタントと言えるでしょう。

内向論理は物事の本質を体系的に理解して、新しい論理体系を再構築する資質を提供してくれます。

創造(第2)機能(ILEとSLE)

ILEとSLEはTiを人生を切り開くための手段として活用しています。

ILEとSLEは、新しい概念に触れたときに、内向思考のスイッチが入り、自問自答を繰り返します。この過程で、新しい価値を生産していきます。

ILEの人は、アイディアが思い浮かんだら、熟考しているでしょう。その計画を詳細に分析して、どのように達成するかを考えます。SLEの人は、スタートダッシュしたら、走りながら考えます。脊髄反射的に情報を受け取り、絶え間なく考え続けます。

ILEやSLEは、論理的な思考を育むことで、その発想や衝動に対して具体的な説明を帯びさせることができるのです。

役割(第3の)機能(ESIとEII)

ESIとEIIは社会規範上、内向論理の必要性を認識していますが、苦手だと感じています。

客観的に考える事で、自分の価値観や気持ちを反映させることができないからです。自分独自の考えや意見は反映させてはいけないと感じてしまうのです。

ESIの人は、感情的な問題を解決する際に、論理的な分析を試みますが、最終的には感情に基づいた決定を下すことが多いです。

EIIの人は、論理的な問題に直面したときに、努力はしますが、自分の信念や正義に基づいた判断を下したい衝動に駆り立てられます。

誰が見ても正しい決断を下した後に、ESIとEIIは独りで悩んでいるかもしれません。

脆弱(第4の)機能(SEEとIEE)

SEEとIEEにとって内向論理は、避けられるなら避けたい機能です。

理論的な知識や分析に対しては、ストレスと不安を感じることが多く、特に論理をベースとした議論を避けたいと考えます。

SEEの人は、理論的な議論に巻き込まれると、その場から逃げ出したくなります。ケロッとした態度でその場を去るでしょう。

IEEの人は、新しい理論や概念を学ぶときに、どうしても自分の私見と感情が混ざってしまい、論理に徹するのに時間がかかるかもしれません。途中で空想にふけることもあります。

なお、これは頭の良しあしとは関係ありません。興味があるか、ないかです。

暗示(第5の)機能(ESEとEIE)

ESEとEIEは、内向論理を他者から満たしてもらうと喜びます。特に、自分の感情や気持ちに対して論理的な説明を頂けると、ESEとEIEは安心感を得られて、自身が得意としている感情的なサポートに徹することができます。

ESEの人は、論理的なアドバイスを受けることで、自分の行動に自信を持ちます。EIEの人は、信頼できる友人からの論理的な助言を受けることで、問題解決の道筋を見つけます。オバマ大統領がYes We Can!と叫んだら、その後には必ずBecauseと言いましょう。ESEとEIEにとって、Becauseは魔法の言葉です。

他者の論理的なサポートを受けながら、安心して行動します。

動員(第6の)機能(SEIとIEI)

SEIとIEIは、Tiを他人に頼りながら、一緒に使いたいと考えます。

彼らは論理的な分析や判断に自信がないため、他人のサポートを必要とするからです。

SEIの田中さんは、新しいプロジェクトの計画を立てる際、友人の佐藤さんに助けを求めます。佐藤さんは論理的な視点からアドバイスを提供し、田中さんはその助言を基にプロジェクトの詳細を整理します。信頼できる友人と一緒にいることで、田中さんは自信を持って論理的な問題に取り組むことができます。

具体例: IEIの山本さんは、仕事でのストレスが増えたとき、家庭で家族の温かい支えを感じることでリラックスします。家族との夕食や談笑の時間が彼にとっての癒しとなり、その後、仕事に戻るときには集中力が増し、効率的に業務を進めることができます。感情的な支えが彼のパフォーマンスを向上させる鍵となっています。

無視(第7の)機能(LIEとLSE)

LIEとLSEはTiを無意識に無視しますが、ピンチになると使用します。

LIEとLSEは外向論理を重視します。早く決めた意思、考えるのは時間の無駄だと思うからです。

LIEは、普段はプロジェクトの進行を迅速に進めるために外向的論理(Te)を重視し、詳細な検討にはあまり時間を割きません。しかし、プロジェクトが重大な障害に直面した際には、内向的論理(Ti)を使って問題の本質を徹底的に分析し、解決策を見つけます。

同様に、LSEも、通常は外向論理(Te)を重視しますが、複雑な問題に直面したときには、論理的な構造を考え直すことで解決策を見出します。

LSEは、普段は効率的に業務を進めるために外向的論理(Te)を重視しています。しかし、予期せぬシステムトラブルが発生したとき、深い論理的な分析を求め、専門家と協力して問題の根本原因を徹底的に検証します。

但し、LIEとLSEの性分は、即決即断です。スグに答えが出ない問題は歓迎していません。

デモンストレーション(第8の)機能(ILIとSLI)

ILIは、複雑な問題を論理的に解決する能力を持っていますが、それを当たり前のことと感じています。

例えば、新しい技術を導入する際、ILIは無意識に最適な手順を導き出します。SLIも、日常生活での問題解決において、自然に論理的なアプローチを取りますが、それを特別な能力とは認識していません。

ILIやSLIにとって、論理的思考は自然な一部であり、特別な価値を見出していません。

この機能を育てる方法

答えがない問題について考え続ける

内向論理(Ti)を育てるためには、まず答えがない問題について考え続けることが重要です。

簡単に答えが見つからない問題に対しても、粘り強く考えを巡らせる習慣を身につけましょう。調べることは当然のことですが、その先にある未知の領域に踏み込む勇気を持ち、自分の論理的思考を鍛えることが大切です。

既存のシステムに疑問を抱く

既存のシステムやルールに対して疑問を持つことも、Tiを育てるために必要です。

なぜそのシステムが存在するのか、その理由を深く掘り下げて考えることで、論理的な洞察力が磨かれます。

また、複数の専門分野に触れることで、異なる知識や概念を統合し、新たな視点を持つことができます。異なる分野の知識を組み合わせることで、独自の論理体系を構築する力を養いましょう。

独自の見解を示す

他人の考えを批判することは、論理的な思考を深める上で有効ですが、それだけでは不十分です。批判を超えて、自分自身の独自の見解や洞察を示すことが重要です。他人のアイデアをただ批判するのではなく、その先にある新しい知見や解決策を提供することで、より高次の論理的思考を発展させることができます。

実践例

  1. 答えがない問題について考え続ける 例えば、哲学的な問題や未来の技術についての予測など、簡単には答えが出ないテーマに取り組むことです。新しいビジネスモデルの構築や、社会問題の解決策を探ることも有効です。
  2. 既存のシステムに疑問を抱く 現在の職場の業務フローや、日常生活で使っているシステムに疑問を持ち、その効率や目的を再評価することです。複数の業界や分野の知識を学び、それらを統合して新しい視点を見つけることも試みてください。
  3. 独自の見解を示す 例えば、チームでのディスカッションやプレゼンテーションの場で、自分の意見をしっかりと述べ、その理由や根拠を論理的に説明することです。批判だけでなく、自分のアイデアや提案を具体的に示すことで、他者に新たな視点を提供します。

これらの方法を実践することで、内向論理(Ti)の能力を高め、問題解決能力を向上させることができます。物事の本質を理解し、新しい価値を創造するための力を養いましょう。

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木村なおき

2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。

筆者紹介

木村なおき

ソシオニクスを研究し始めて5年。本業はフリーランスのウェブデザイナーとして、IT・デザイン業界の現場でソシオニクスを実践的に活用 しながら活動。MBTI®にも関心を持つが、権利的な制約を踏まえ、より体系的で実践的なソシオニクスの探究へとシフト。2021年には、国内のソシオニクスの第一人者から直接学び、理論と実践の両面を深める。

現在は エニアグラム×ソシオニクスのハイブリッド診断 を強みに、タイプ論を統合的に扱う専門家として活動。これまでに 200名以上のソシオニクスのタイプ診断を実施。

現在、日本で最も体系的にソシオニクス診断の専門家として、現場での実践を重視した診断・教育・研究 に取り組んでいる。(もし同じ分野で活動されている方がいれば、ぜひ情報交換しましょう!)

ソシオニクス記事一覧

ソシオタイプ
ILE(≒ENTP)SEI(≒ISFJ)
ESE(≒ESFJ)LII(≒INTP)
SLE(≒ESTP)IEI(≒INFJ)
EIE(≒ESFJ)LSI(≒INTP)
SEE(≒ESFP)ILI(≒INTJ)
LIE(≒ENTJ)ESI(≒ISFP)
IEE(≒ENFP)SLI(≒ISTJ)
LSE(≒ESTJ)EII(≒INFP)
モデルA/心理機能

メンタルブロック

1.先導機能2.創造機能
4.脆弱機能3.役割機能

バイタルブロック

6.動員機能5.暗示機能
7.無視機能8.実証機能
情報要素

合理機能

外向論理(Te)外向倫理(Fe)
内向論理(Ti)内向倫理(Fi)

非合理機能

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外向感覚(Se)内向感覚(Si)

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