エニアグラム-タイプ4:個性的な人とは?
エニアグラムの性格診断(54問版)、お疲れさまでした。
自分のタイプについてより深く理解できるとエニアグラムは凄く楽しくなってきます。
ここではタイプ4「個性的な人(リソ式)/独自性を求めて表現する者」について様々な観点から解説をしていきます。
こんな流れでタイプ4についてみていきます。
2023年からタイプ4の健全度に力を入れています。
1.タイプ4の特徴
<タイプ4の性格>
- 他人と自分を比べたとき、いつも違う。私は特別で、誰とも同じではないと感じる。
- 他者や社会が求める基準に自分を合わせることは、魂を押しつぶすような苦しみを感じる。その瞬間、自分がここに存在する意味が消えてしまう。
- 私が本当に輝ける場所は、芸術、創作、音楽、演劇——私自身の個性や感性を活かせる世界だけだ。
- 時々、現実から離れ、空想の世界に没頭する。その瞬間だけが、私の心に安らぎをもたらしてくれる。現実のことなんて、どうでもいい。
- 儚さや、満たされない感情に囚われることがある。それでも、その感覚こそが私を唯一、この世界とつなぎ止めている。
あなたは、どこか他人とは違う感覚を持っている——そんな思いに心が揺れることが多くありませんか?
自分の独自性、そして「本当の自分」を見つけたいと強く願い、そのアイデンティティを何よりも大切にしている。
感情は豊かで、時に深く沈み込むような感覚を常に持っていれば、エニアグラムのタイプ4かもしれません。
芸術や創造的な分野でこそ、自分の本当の輝きが発揮される。
そして、その欠けているように感じる部分——それは決して克服するものではなく、あなたの個性そのもの。
タイプ4は、その欠片すらも、「自分らしさ」の一部だと感じている人たちです。
エニアグラムに夢中になる人々の中でも、特にタイプ4が多い理由があります。エニアグラムが他の診断テストとは違い、人の深層にある感情や心の奥深い部分にまで迫るからです。
タイプ4は、誰が作った型にはまることを嫌い、自分らしさを追い求めるのに、エニアグラムに夢中になるのは、一見矛盾しているように感じるかもしれません。
しかし、そこには2つの明確な理由があります。ひとつ目の理由は、エニアグラムを通じて「自分が独自性を求める人間である」と再確認することで、さらにその独自性を深めるための道が明確になるからです。そして二つ目の理由は、このエニアグラムの開発者であるドン・リチャード・リソ自身がタイプ4だからです。
その視点がエニアグラムの構造に反映されているため、特にタイプ4にとって共鳴しやすいものとなっているのです。
本記事では、エニアグラムのタイプ4について解説をしております。あなたがご自身をタイプ4かどうかを判断するための手助けになれば、これ以上に嬉しいことはないです。
では改めて、タイプ4の解説に踏み込んでいきます。
タイプ4:芸術家・表現する人
タイプ4は、「個性・独自性を求める人」です。
「芸術家タイプ」とも呼ばれていますね。
タイプ4は、幼い頃から自分を「普通の人とは違う」と感じてきた人たちです。常に「自分らしさ」を追い求め、その問いに対する答えを探し続けています。
「自分は何者なのか?」「私の独自性とは何か?」と、自問自答を繰り返しながら、自分探しの旅を終えることはありません。
エニアグラムや16タイプなどの性格タイプ論に出会うと、多くの人が一度は「自分らしさとは何だろう?」と考えるでしょう。特に、私生活や仕事が思うように進まないとき、心が沈みがちなときには、この問いが一層強く心を支配します。
しかし、タイプ4の人々にとっては、これが一時的なものではなく、幼少期からずっと続いている「自分探し」の一環です。
タイプ4は幼い頃からこう問い続けてきました。
「私は普通じゃない」
「私は特別な存在なんだ」と。
その内なる声に導かれながら、自分の「独自性」を探し求めて、今日まで歩んできたのです。
この果てしない探求こそが、タイプ4の根幹にある独自性への飽くなき欲求を象徴しています。
タイプ4が16personalitiesよりも、エニアグラムに傾倒する理由は、その独自性への強いこだわりにあります。
本質的に、タイプ4は他者と「同じ」タイプだとラベルを貼られることを嫌がります。
たとえ結果がINFJやINFPといったタイプだと解っても、本質的に知りたいのはラベルではなく、心の深層にある動機や葛藤の正体です。
もし、16personalitiesが性格の「外観」を描写するなら、エニアグラムは「感情の中身」に踏み込み、タイプ4が持つ感情の奥深さや複雑さに対してグラデーションを与えてくれます。
自分がなぜこう感じ、なぜこう行動しているのか、その根底にあるものを問い続けるのがタイプ4の本質であり、エニアグラムはその問いに寄り添ってくれるツールなのです。
つまり、タイプ4はエニアグラムを通じて、「私は何者なのか?」という問いを深く掘り下げ、自分の独自性を再確認する旅を続けられるのです。ラベルに縛られることなく、感情の奥底に潜む真実を追求することが、エニアグラムに引き寄せている大きな理由です。
幼少期の親の関係が大きく影響している
タイプ4が個性的な人として育った背景には、4~5歳の幼少期の特別な経験があります。
幼い頃から他者とは異なる感覚を持ち、家族や社会の中で「自分はどこか違う」と感じることが多かったのです。特に、両親とのつながりや共感がうまく築けず、孤独や疎外感を感じるこ経験をしました。その結果、タイプ4は、自分の内面を深く探求し、独自のアイデンティティを見つけようとしたのです。
タイプ4のインナーチャイルド現象は、幼少期に経験した「つながりの喪失」に深く根ざしています。
タイプ4は、幼い頃から両親との間に十分な一体感や共感を感じられなかったと認識し、自分自身が「家族の中で孤立している」と感じることが多いです。特に、両親のいずれかと一体化することができず、「私は母のようではない」「私は父のようではない」と感じる瞬間がありました。このような感覚が、タイプ4の心の中に孤独感や自己探求への強い欲求を植え付けます。
タイプ4は「お父さんも、お母さんも、私のことはわかってくれない。自分は変わっている人間なんだ」と父親と母親から自分を切り離しました。
タイプ4は両親とのつながりを断たれている。彼らは幼児期に、母親か父親のどちらかと一体化することができなかった(「私は母のようではない。父のようではない」)。両親の夫婦間の問題、離婚、病気、あるいは、単に家族内での性格のぶつかり合いなので、不幸な幼児期や孤独な幼児期を過ごしたのだろう。
タイプ4のインナーチャイルドは、常に「私は理解されていない」「私は特別だが孤独だ」という感覚とともに生きており、その結果、大人になっても感情の中に深い傷を持ち続けることが多いです。この傷こそが、彼らの独自性の探求や、他者からの共感を求める行動の背景にあるのです。
勿論、親の愛情を十分に受け取れて、普通の家庭で育ったケースもあります。
しかし、タイプ4にとって、その状態は、ありのままの自分を受け入れてもらえない…という感覚を生み出し、家族の中で自分の存在や居場所を見いだせない経験となるのです。
幼児の時からタイプ4は本質的に人生は孤独であると感じた。自分では理解できない理由のために、両親は自分を拒絶したように、あるいは、少なくとも自分にあまり関心を持っていないかのように思えた。そこでタイプ4は、自分には何か非常におかしいところがあるにちがいない、子供にとって必要な教育上の配慮を両親がしてくれないのであるから、自分には何か欠陥がある、と感じた。
その結果、彼らは自分自身に目を向けて、自分は何者なのかを見つけようとした。
幼少期に感じた孤独や愛情の欠如は、タイプ4の根本的な心理的形成に大きく影響を与えています。この孤独感は、両親からの十分な愛情や共感を得られないという認識から生じます。
周囲の子供たちが親からの愛情を十分に受けているように見えることで、タイプ4は無意識のうちに「自分はそれを得られていない」と感じ、強い劣等感が内面に刻まれます。
心理学的に言えば、この劣等感はアルフレッド・アドラーの「劣等感コンプレックス」に関連します。
人は自分の劣等感を補償しようとする一方で、その感情が未解決のままでは自己評価を低くしてしまうことがあります。タイプ4は、この劣等感を克服するために「自分は他の人とは違う、特別な存在だ」という独自性を強調する戦略を無意識に取ります。
これにより、外界との違いを意識的に作り出し、その「特別さ」を通じて自己価値を認識しようとするのです。
この過程は単なる自己防衛であると同時に、本人の生き様にもなりました。深い感情的な洞察を得ることが人生の目的となり、その手段として自分の「特別さ」を追い求めるのです。その手段として、「自分は他者と違う存在だ」という考えのもと、自分の気持ちに奥深いところに入り込み、自分独自の世界を構築していきます。
心理学的には、この行動は「補償」として理解され、私たちが自己の本質的な価値を見つけるための重要なプロセスです。
実際に、タイプ4の「他者とは違う」という認識は単なる本人の自己満足ではなく、幼少期に感じた愛情の欠如や孤独感を埋め合わせ、自己実現への道を歩むための手段として機能しています。
タイプ4が最高の状態に達したとき、自分の内面の深い感情や複雑さを完全に表現できる人となります。自分の「独自性」を他者との違いとして妬むのではなく、堂々とそれを示し、周囲を魅了する存在となります。
健全度が高い状態では、他者に認められたいという焦りや劣等感から完全に解放され、誰にも頼らず自分の価値を確信しています。その創造的な表現は単なる自己満足ではなく、周囲の人々に深い感動を与え、心に響く影響を残します。
人生そのものが彼らのキャンバスとなり、日常の中でさえその独自性と美しさを輝かせているのです。
未だその境地に達していないタイプ4は、「どうすれば自分もこんな風に生きられるのだろう?」と強く感じずにはいられません。
その原因は、タイプ4が内側に抱える「妬み」です。
妬みと劣等感
タイプ4の囚われ「妬み」です。
他の人は満たされているのに、自分だけ何かが欠けている!と思い込んでいます。
「いいなぁ、みんな幸せそうで…それに比べて私なんか…」
といつも他の人たちと自分を比べてしまい、内側に劣等感を秘めているのです。
タイプ4の悩みを解決することは、タイプ4から独自性・アイデンティティ・自分らしさを奪うことに等しいのです。
もちろん、すべてのタイプ4がアドバイスや助言を嫌うわけではありませんが、世間一般の価値観や社会通念を強いるのはNGです。
タイプ4は、どこまでも自分を特別な存在として認識してもらいたいのです。
2.時間、人間関係、恋愛、仕事、お金で見る
時間の使い方
- 自分だけの「時間」を大切にする。
- 芸術や創作活動に多くの費やす
- 空想や想像の世界に浸っている時間が長い。現実逃避をする
タイプ4にとっての時間は2つです。自分の時間か、自分以外の時間か、です。(ロー●ンド調)
タイプ4は、自分の内界にいる時間を欲しています。
エニアグラムでは、最も内向的なタイプでしょう(4w5は特に)。
誰かと時間を共有しているときも、その時間は自分のものだと思いっています。
タイプ2が誰かの欠乏を満たすために時間を使うとしたら、タイプ4は自分の内面を満たすために時間を使います。
タイプ4の時間感覚は、ユングの内向直感が参考になります。
-内向直感は内面の対象物に目を向けられる。内面の対象物という用語は、正しくは、無意識の内容に当たられたものとしてよい。直感は外的事物によって刺激されるかもしれないが、それは外的可能性に関わるのではなく、その外的事物がその人の内面で解き放ったものに関わる。
このようにして、内向直感は、外向型感覚が外的事物を記録するのをほとんど同じくらいはっきりと、意識の背景にある過程をすべて読み取る。このように直感にとって、無意識の印象物が事物として重みを獲得する(C・G・ユング「心理学的類型」)
ユング心理学とエニアグラムの親和性については諸説ありますが、タイプ4はユング類型の「内向直感」に相当するタイプと言われています。
外の世界の出来事よりも、自身の内側から湧き上がる閃きを信頼しています。
健全度なタイプ4は、この内向直感を自由に使うことができ、世界を創造的に映し出すことができます。
日々の何気ない出来事に対してのなんらかの意味づけや関連づけができるようになります。
普通の木を見ても、タイプ4が内側の直感に感化されたときに、目の前にある木が特別なものに映るのです。その瞬間のタイプ4は、きわめて創造的で、閃きと芸術性に満ちています。
健全度が下がるにつれて、自分の個性だけに集中をしてしまい、視野が狭くなり、本来秘めている内向直感は失われていきます。
現実に生きている手応えを強く感じられず、自分の想像や空想の世界の枠から抜け出せなくなります。
人間関係
- 健全:みんな違っていい!が理想
- 通常:結構なかまってちゃん
- 不健全:人との交流を閉ざす
健全なタイプ4は、ひとりひとりを掛け替えのない存在と認識することができます。自分よりも、他人の個性やその人らしさを尊重して、相手の中に眠る資質を引き出してくれます。
人々に生きる喜びと気づき、その人らしさを与えてくれる存在になります。健全なタイプ4は、積極的に他者や社会と関わり、深い洞察を積み重ねて、唯一無二の自分らしさを育んでいけるのです。
タイプ4が健全度を失うと、意識の焦点は自分自身にますます集中していきます。
心理学的には、これは「自己中心的な意識の拡大」と呼ばれる現象で、タイプ4は自分の感情や独自性に過剰に注意を向けるようになります。この状態において、タイプ4は「自分だけが特別であり、他者とは違う」という認識を内側で強化して、周囲からの承認や共感を求めることで再確認しようとするのです。
この時は、内外に矛盾を抱えます。
例えば、マイケル・ジャクソンのようなアーティストは、自己意識が非常に強く、常に自分の「特別さ」を感じたいという欲求に突き動かされていました。彼の音楽やパフォーマンスは、自分の内面世界を表現し、独自のスタイルを確立することで世間に大きな影響を与えました。
彼の作品は、圧倒的な個性と感情の深さが反映され、多くの人々を魅了しました。
しかし、マイケル・ジャクソンもまた、時に自己陶酔や孤立感に苛まれていたと言われています。彼は常に自分のイメージや完璧さに拘ればこだわるほど、内面の不安や葛藤が強くなり、時にコントロールが難しくなり、外界とのバランスを取ることができなくなっていました。
例えば、彼が自分の外見に対して繰り返し整形手術を行ったことや、社会からの評価に対する敏感な反応は、自己意識の高まりと独自性の探求が過剰に働いた結果とも言えます。
彼は、自分が特別な存在であり続けるために、絶えず自分を変え、創造し続けましたが、その裏には孤独や自己陶酔の影響があったのかもしれません。
このように、マイケル・ジャクソンは、タイプ4のように自分の感情に深く入り込み、その感情が時に暴走し、現実とのバランスを取ることが難しくなる一例とも言えます。
この状態において、タイプ4はますます感覚が過敏になり、自分の感情をコントロールできなくなります。これはフロイトの防衛機制とも関連しており、内面的な不安や葛藤に対処するために、現実からの回避や過剰な自己陶酔に逃げ込む傾向が強まります。
彼らは外の世界から離れたい一方で、心のどこかで他者とのつながりを求め続けており、この葛藤が彼らを孤独に追い込んでいくのです。
このように、タイプ4は自己理解と他者理解の間で揺れ動きながら、しばしば人間関係の難しさに直面します。
人間関係においては健全度が下がるにつれ、タイプ2:助ける人のように身近な人たちに対して関心を獲得するようになります。
例えば、友人や家族に「私ってどんな人?」と尋ねるのは、タイプ4が自分の独自性を確認したいという欲求の表れです。しかし、その答えが「普通だよ」というようなものだと、タイプ4にとっては自分の存在が否定されたように感じてしまいます。この反応は、ナルシシズムの脆弱性とも関係しており、彼らが他者からの肯定的な認知を得られないと、内面的に大きな打撃を受け、さらに自分の殻に閉じこもることになります。
結果、人付き合いが苦しくなり、どんどんと自分の殻に閉じこもるようになります。
不健全な状態になると、集団から孤立する道を選びます。どこかで自分に関心を与えてくれない他者を憎み蔑みます。
マイケル・ジャクソンのが不健全な状態に陥った場合、実社会とのつながりを維持することができず、孤立の道を選んでしまいました。公の場から次第に遠ざかり、身近な人々からも距離を置いていったのは、この不健全な状態に特徴的だと言えます。
このような反応は、不健全なタイプ4が周囲との絆を断ち切り、外部の世界を蔑みながらも、同時に自分自身への嫌悪感が高まるプロセスに非常に似ています。
自己嫌悪が進むと、彼は「自分は愛されていない」「誰も自分を理解してくれない」という感覚に苛まれ、自分自身をどんどんと追い込んでいきます。この闇落ちのプロセスは、内面の葛藤が強くなり、自己破壊的な行動へとつながります。
マイケル・ジャクソンは孤立の中で他者との断絶を選び、自分の闇に囚われていったと解釈できます。彼の最後の姿は、愛と承認を求めながらも、それを手にすることができず、内側の苦しみに囚われ続けた、深い孤独と絶望の象徴でもあったのかもしれません。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、タイプ4が「自分らしさ」を一生懸命に探しているときは、実はまだその「自分らしさ」を十分に感じられていないからなんです。だからこそ、その探求が重要であり、あなただけがその旅路を大切にしているのです。
他のタイプは、「自分には個性がある」と自然に感じていることが多いかもしれません。でも、タイプ4のあなたは、幼い頃から自分らしさを見つけることが難しく、その探求自体があなたの「個性」になってきたのです。それは決して弱さではなく、むしろ他の誰にもない深い感受性と洞察力を持っている証です。
コミュニケーションや日常の体験だけでは、あなたの豊かな内面を十分に表現しきれないと感じることがあるかもしれません。
それが、音楽や芸術などの表現に自然と惹かれる理由でしょう。自分の内面を形にすることで、はじめて全身で「これが私だ」と感じられる瞬間が訪れるのです。
この探求の過程こそが、あなたの真の強さであり、周りにインスピレーションを与えるものなのです。
人生経験を重ねると、「自分がわからないー、どうしよう」って状態から、「もっと自分を知りたい」とポジティブな気持ちになれている人は多いですね。タイプ4にとっての幸福度のカギは、自分らしさを表現する手段と場所です。
タイプ4が自分らしさを失うときは、誰よりも自分らしさをこだわっているのにも関わらず、その自分らしさを見いだせずに表現ができないことです。このときのタイプ4は、頭の中が?????の状態になります。そして、他のタイプからは決して理解されないでしょうが、タイプ4にとってこの状態はとてつもなく苦しいのです。
タイプ4は、演技タイプと完全に籠りタイプに分かれます。
<演技タイプ>
外の世界に対して常識人のキャラを創り上げる。周囲に溶け込みながら、他人と自分の違いを比較して、その違いを密に楽しむ。
<籠りタイプ>
自分の内面と外の世界との間に距離を置く。興味の関心が自分だけに向かう。外の世界には関心がなく自分が自分だけでいられる空間を好む。
前者の演技タイプは、比較的誰に対しても普通に接して、タイプ4らしさを表に出しません。どちらかというと順応で人たりが良く、気心許せる人たちは普通に接して、いつもニコニコしています。そしてひとりひとりの行動や性格を観察しています。
ですが、時々、実は、私は他の人とは違うんだよ!というのを態度に出します。
対して、後者は完全に他者と距離を置いて、自分の世界にだけひきこもります。そして、自分らしさを表現するために、芸術や創作活動に時間を費やす傾向にあります。タイプ4がアーティスト・クリエーターになれるかは、また別の機会にお話をします。
恋愛
- ロマンチックな関係で、自分のことを特別に扱ってくれる存在祖臨む
- 感情のムラや浮き沈みを理解してくれて相手がベスト。
- 相手に対する期待が高すぎる、また複雑すぎる
タイプ4が恋愛において求めるものは、深いロマンチックな関係と、自分を特別に扱ってくれる相手の存在です。密かに、自分の感情のムラや浮き沈みを理解し、一貫して支えてくれるパートナーを理想としています。
そんな相手が、タイプ4にとって安心感を与え、より深い絆を築くことができます。
タイプ4の恋愛観は、相手に対する期待が非常に高く、時に複雑です。パートナーに対して父性と母性の両方を求め、献身的に愛情を注いでくれるだけでなく、感情的に包み込んでくれるような存在を理想としています。
感情の波が激しい時でも、揺るがない相手を望み、その存在によって自分の不安や孤独感が和らぐことを期待しているのです。
このような恋愛観は、タイプ4が自分の内面と深く向き合う中で生まれたものです。
パートナーとの関係は自己理解を深めるための大切な要素であり、自分らしさをより強く感じられる場所でもあります。
タイプ4は、深い価値観や奥底の気持ちを相手と共有することを求めます。ドラマチックな出来事や普通ではない関係をどこかで楽しんでいます。
タイプ2のようにダイレクトな関係を求めるずに、内側で気持ちをため込んでいる瞬間ですら、タイプ4にとっては恋愛なのです。これは男女に限らずです。
私の気持ちを汲み取って
でも、あなたには、私の気持ちは理解できない
ただ、タイプ4自身、恋愛中はタイプ2のように過度に親密さを求めるようにもなります。
タイプ3のように必要以上に自分をよく見せようとして、ツンとした態度をとるかもしれません。本人は気づいていませんが、相手から愛を求めているけれど、普通の恋愛はしたくない!他にはないワクワク感やドキドキ感で内側の想像力を満たしたい気持ちがあります。
健全な状態
恋愛において深いロマンチックな関係を求めながらも、相手の独自性や感情を尊重し、バランスの取れたパートナーシップを築きます。自分の感情の波をしっかりと理解し、適切にコントロールできるため、相手にも無理な期待を押し付けることはありません。自分自身が特別であると感じながらも、相手も特別な存在として大切にし、互いの成長をサポートできる健全な関係を目指します。
- 相手の独自性を尊重する。感情の浮き沈みを自己管理できる
- 無理な期待をせず、相手と一緒に成長する姿勢を持つ
通常の状態
タイプ4は、恋愛において自分を特別に扱ってくれるパートナーを強く求めますが、時に相手に対する期待が高くなりすぎることがあります。感情のムラが激しい時でも、相手が一貫して支えてくれることを望み、相手に対して父性と母性の両方を求める傾向があります。
愛するよりも愛されたい、ワンチャン自分の事を唯一絶対的な存在と認識してほしいと願っていますが、片想いの状態だと大きく異なります。自分が愛されるに相応しくない存在と落胆をするか、積極的に愛情を獲得しようと自ら動き出す可能性もあります。
前者は自分の満たされない気持ちを歌や創作で表現するかもしれませんし、後者はタイプ2のように対象の相手と親密になるべく努力をします。
それがたとえ儚い恋であってもです。
話を戻すと、相手が自分に対してどれだけ献身的かを試すような行動を取ることがあり、その結果として相手にプレッシャーを感じさせることもあります。
- 相手に高い期待を抱き、気まぐれを装う
- 感情のムラに支えてくれるパートナーを求める
- 時に相手を試す行動を取ることがある
不健全な状態
不健全な状態に陥ったタイプ4は、感情が完全に制御不能となり、カオスそのものです。恋愛において自分が特別扱いされていないと感じるや否や、感情の爆発は避けられません。
相手に対して激しい怒りと失望を感情のままにぶつけ、時に罵倒し、愛情が憎しみに変わる瞬間さえ訪れます。感情の波は荒れ狂い、コントロールは不可能。相手が自分を見ていない、理解していないと感じるたびに、その不満を相手に叩きつけることで、相手を自分の感情の渦に無理やり巻き込もうとします。
関係は次第に崩壊し、相手との距離が広がるほどに孤独感は深まり、タイプ4はますます暗い内面へと沈んでいきます。理想の相手など存在しない、自分を理解してくれる人は誰もいない——そんな絶望的な思いが頭を支配し、恋愛関係そのものが破綻するまでこの自己破壊的なサイクルは続きます。
過剰な期待は、相手にとって圧倒的な負担となり、期待に応えられない瞬間に深い失望と裏切りを感じます。
感情の振り幅が激しく、自己陶酔と被害者意識が交互に押し寄せ、すべてが混乱に包まれていく。関係は不安定さを極め、心の安定を求めるどころか、破壊と再生の無限ループに巻き込まれます。
このように、タイプ4の恋愛観はその健全度によって大きく変化します。健全な状態では、豊かな感情を持ちながらも安定した関係を築くことができる一方、不健全な状態では感情の浮き沈みによって関係が悪化する可能性があります。
ここら辺は生得本能が強く影響します。
タイプ4にとっての理想は自分に対して一途に愛情や関心を注いでほしいのですが、同時に相手から自分の内面を見透かされることを極端に恐れています。恋愛経験を重ねて、人として成熟してくると、相手の気持ちや感情の細かいところを理解でき、相手をひとりの人間として見て本気で関わることができるでしょう。
一方で、「恋人になる」、「結婚する」などの一緒になる関係よりも、自分の内面の感情を大切にしたいため、あえて片想いや微妙な関係のポジションを選ぶ人もいます。エニアグラムを学ぶ前に、こんなびっくり発言をしたタイプ4の方がいました。
「彼氏はいないけれど、いつも気持ちを共有しているソウルメイトはいるよ」
当時は何を言いたいのかが全く分かりませんでしたが、いまはちょっとわかります。
そんな特別な関係を大切にしたいんだな、と。
花より男子に登場する花沢類ですね。
是非ご一読ください。
仕事・働き方
- 自分だけの個性や感性を活かせる仕事に興味をもつ
- どこかで人の「心」と強く関わりたい気持ちがある
- 創造性を発揮したい気持ちが強い
タイプ4にとって、仕事は自己表現の場であり、心の満足を追求するものです。他者と違う道を歩み、自分の感性や個性を最大限に活かせる環境を求めています。仕事を通じて自分自身を深く感じることができれば、それが一番の幸福です。
タイプ4は、自分だけの個性や感性を表現できる仕事に強い興味を抱きます。心の深い部分に触れるような仕事、そして創造性を発揮できる職業に惹かれます。芸術家や作家など、内面の世界を外に表現できる職業が天職とも言えるでしょう。
型にはまったルールや決まり事の多い環境では、創造性が抑制されてしまい、ストレスを感じることが多いです。
組織の中では、どうしても報告・連絡・相談やオペレーション業務に時間を割かざるを得ないため、タイプ4は組織の枠を超え、自営業やフリーランスに挑戦することがよくあります。アーティストとしての道を歩むことで、自然と独立する流れになる場合も多いです。
たとえ行く先が不安定でも、その中で自分らしさを感じられれば、タイプ4は心が満たされるのです。タイプ4にとって最も大切なのは、外的な安定や条件ではなく、内面の満足度や心の充足感です。
若い頃のタイプ4は、よく「自分らしさ」を求めて転職を繰り返すことがあります。組織の一員として働いていると、「これは私らしくない…」と感じてしまい、何度も新しい環境を探す青い鳥症候群に陥ることもあります。それでも、彼らはどこかに自分らしい働き方があると信じ、理想の仕事を探し続けます。
一方で、あえて茨の道を選ぶタイプ4もいます。厳しい職場環境やハードワークの中で、他人には見えない深い意味を見つけ出し、そこに自分らしさを感じることがあります。彼らは、外見的な条件よりも、内面的な価値観や感覚を何よりも大切にするのです。
創造性を活かせる職業、または他者の感情や心に深く関わる職業が、タイプ4に最も適しています。芸術家、デザイナー、ライター、カウンセラーなど、感性や共感力を求められる分野で特に力を発揮します。
タイプ4のお仕事選びは、徹底とした「自分軸」です。
他人から感謝される、賞賛を受けるよりも、自分は特別な存在である!という手ごたえを得たいのです。
健全度が高いタイプ4は、仕事に対して外見やカタチから入る必要がありません。
どんな状況にあっても、心の中から湧き上がるインスピレーションを得ることができ、日常の何気ない瞬間や変わり映えのない世界を特別なものへと変える力を持っています。これは、タイプ4の本質的な資質であり、彼らが内面的に充実しているときに最も輝く能力です。
健全なタイプ4は、外部の条件や職業の型に囚われることなく、自分の感性を通じて世界を新たに捉え、創造的に表現することができます。どんな仕事であっても、自分らしい視点を加え、それを特別なものに変えることができるのです。
物事に深い意味を見出し、そこからインスピレーションを得て、他者に新しい視点を提供する力を持っています。心が満たされていれば、彼らにとって世界全体がキャンバスとなり、日常が芸術へと昇華していくのです。
つまり、健全なタイプ4は、外的な条件や形式にとらわれず、内面的な満足感とインスピレーションを大切にしながら、どんな環境でも独自の創造力を発揮できるのです。それが、彼らの持つ特別な才能なのです。
お金の使い方
- 社会的な評価よりも自分の感性を大事にする
- 独自性を演出してくれるアイテムにお金を使う
- 自信を失うと浪費に走る
タイプ4は、社会的な評価や流行よりも、自分の感性を最優先にします。お金を使うときも、他人の評価やランキングにはあまり関心がありません。
たとえば、2021年に『鬼滅の刃:無限列車編』が大ヒットしましたが、タイプ4の人にとっては、「みんなが見てるからって、それで何?」という反応になりがちです。彼らにとって重要なのは、自分がその商品や体験にどれだけ共鳴できるか、心の中の何かを満たしてくれるかどうかです。
タイプ4にとって、お金はただの経済的な手段ではなく、心の満足を得るためのツールです。彼らが買い求めるのは、物そのものというよりも、その物や体験を通じて得られる感情や独自性の確認です。
たとえば、旅行やアートの鑑賞など、心を動かす体験には多くのお金を使うこともありますが、それは単に「楽しみ」のためではなく、内面的な充実感を追求しているからです。
しかし、不健全な状態に陥ると、タイプ4は浪費に走ることがあります。
自信を失い、自分が特別な存在だと感じられなくなると、外部から補完しようとします。この場合、自己満足を得るために、他人が作り上げたものに依存し、過剰に買い物をすることで一時的な安心感を得ようとします。皮肉にも、彼らが独自性を追求しながらも、他者の作品や商品に頼ってしまうのです。
エリク・エリクソンの発達理論では、青年期から成人期にかけて「アイデンティティの確立」が重要な課題として強調されています。タイプ4が自信を失うと、自分のアイデンティティに対する不確かさが生まれ、内面的な不安や混乱に直面します。彼らが外部から補完しようとする行動は、自己同一性(アイデンティティ)の危機を乗り越えるための試みです。
エリクソンは、この危機に対処できない場合、自己同一性の不確立が強まり、外部からの補完行動に依存しやすくなると考えました。
タイプ4は、自己同一性の一部として「自分が特別である」という感覚を持ち続けたいと願っています。しかし、自信を失い、この特別さが揺らいだ時、外部の物や体験を通じて「自分らしさ」を取り戻そうとします。自分の内的感情に満足できず、それを他者の作った商品や装飾品に投影することで、一時的な安定感を得ようとするのです。
健全なタイプ4は、内側の直観や感情を豊かに循環させる「心のエコシステム」が発達しています。
このエコシステムでは、自分自身の感情や直観を頼りに内面的な充足を生み出すため、外部の物や他者に依存する必要がありません。心の豊かさが自然に湧き上がり、感情を育み、創造的なエネルギーを絶え間なく供給することができるため、外的な補完に頼らずとも満たされた状態を保てます。
このように、健全なタイプ4は、物質的なものに対する欲求が減少し、自分の内面から必要な感情的資源を得ることができるため、余分な浪費はなくなり、心のエコシステムが円滑に機能します。感情の循環がスムーズで、他者に頼らずとも豊かさを感じることができ、生活全体が自然と調和の取れたものになるのです。
3.なぜタイプ4は「個性的な人」なのか?
では、なぜ「タイプ4が個性的な人」なのか?なぜ特別な存在でありたいと願うのか?タイプ4の深層心理について、エニアグラム的な見地から掘り下げていきましょう。
センター:3x3の法則-本能、感情、思考センター
エニアグラムの理論では、ガッツセンター、ハートセンター、ヘッドセンターというものがあります。各タイプには、好む感覚があります。
表を作りました。
センター | テーマ |
---|---|
■ガッツ(本能) タイプ8,9、1 |
現在の状態を維持するため、外部の圧力に抵抗をする【怒りの感覚】 |
■ハート(感情) タイプ2、3、4 |
他者からの関心を求めて、自分のイメージを操作する【恥の感覚】 |
■ヘッド(思考) タイプ5、6、7 |
未来に対して恐怖を感じ、先見することで対処する【不安の感覚】 |
タイプ4は、ハートセンタに属していますね。隣にヘッドセンターを活用してハートセンターを動かしていますが、ガッツセンターからは離れています。
そのため、心と頭を動かしているのですが、身体は動いていません。
タイプ4:感情:メイン、思考:サブ、本能:盲点
タイプ4は、感情センターの下側にいます。隣がタイプ5の思考センターです。よって、感情センターを動かしながら、隣のヘッドセンターの影響を受けています。一方で、本能センターからは離れているため、この瞬間の感覚を身体で体感することができません。
ガッツセンターに接触していると、「いま、この瞬間嬉しい」「今は悲しい」「今は怒っている」という感覚を身体で体感することができます。タイプ1,2、7、8はそんな感じです。
例えばパーティーに参加をして、みんなで楽しんでいるとします。その場の雰囲気を感じ取って一緒に笑ってしまいますよね。これが普通です。
「このパーティーは、楽しいとだろうか?今、私は充実しているだろうか?」とは考えたりはしないはずです。それは身体が楽しいと感じ取っているからです。
対して、タイプ4は、目の前の世界をいちど自分の心で認識をして、どのような気持ちなのかを確かめてしまうのです。
私は、今この瞬間どう感じているんだろう?
私は、この場に何を求めているのだろう?
なぜ、みんなは一緒になって楽しんでいるのだろう?
この時間は、そんなに楽しいのかな?あれ、私だけ違う・・・?
といった具合に「自分の感情(と思考)」を通して、外の世界を感じ取るため、自然な反応ができません。一方で、感情レベルで誰か(何か)と強いつながりを得ると、インスピレーションを感じることもあります。
参考までに同じ遊離型でもタイプ4とタイプ5はだいぶ違います。
4.ストレス時と成長の方向
ストレス時-タイプ2に向かう
タイプ4がストレスを感じると、心理的にタイプ2の特性を取り入れる傾向があります。
通常、タイプ4は他者との間に明確な境界線を引き、自分の独自性を保つことに強いこだわりを持っています。しかし、ストレスがかかると、この境界が曖昧になり、タイプ4は急に他者とのつながりを求めるようになります。外向的で自己犠牲的な行動を取りますが、自分の世界にいざなおうとしています。
健全度4~6の状態
- 健全度4: 自分の理想の世界を維持できなくなり、孤独感が増す。想像力だけでは心の満足が得られなくなり、他者に頼りたい気持ちが強まる。「誰か、自分の話を聞いてくれないかな」「自分のことをもっと理解してほしい」という焦りやもどかしさが生まれ、他人との接触を求める一方で、自分が望むほどの理解が得られないことで、さらに寂しさを感じる。
- 健全度5: 自分を理解してくれない相手に対して、依存心と敵意が交錯する。「どうして私のことを分かってくれないの?」と感じつつも、依存したい気持ちが残るため、コミュニケーションがぎくしゃくし、感情がコントロールできなくなる。相手の無関心に苛立ち、孤独感が増す一方で、「頼りたいけど、もう頼りたくない」という葛藤が常に頭の中を占めている。
- 健全度6: 他者からの支援が不可欠になり、心の中で「誰か助けてほしい」と強く思う。自分の才能や価値を認めてほしいという欲求が募り、「自分はこんなにやってるのに」と心の中で訴えつつ、実際には行動に移せない。無意識のうちに他人に対して「私のこと、ちゃんと見て!」という感情が高まり、周囲の反応が思うように得られないと、「どうせ誰も自分のことを分かってくれない」という絶望感に苛まれる。
健全度7~9の状態
- 健全度7: 他者に対して辛辣で冷たい態度が目立つ。「あなたなんて普通の人、それ以上でもそれ以下でもない」と相手の個性を否定し、自分が持つ独自性への執着から他者を見下す傾向が強まる。自分の価値を守るために、相手を傷つけたり、無価値だと感じさせようとする。心の中では「自分は特別だ」と思いたいが、それを保つために周囲との距離が広がり、孤立が深まる。
- 健全度8: 衝動的な言動が目立ち、躁鬱状態のように感情が激しく浮き沈みする。不自然に吹っ切れたように見えるが、実際には内面の不安が爆発寸前。「もう何も気にしない」と自暴自棄になる一方で、心の奥底では「誰か助けて」と叫んでいる。気にかけてくれる人たちを無意識に攻撃し、関係を壊してしまうが、その行動を止められない。放置すると、感情のコントロールが完全に失われ、周囲からの支援が必要になる。
- 健全度9: 心身ともに衰弱し、完全に廃人状態。誰かの助けを必要としているが、感謝や愛情を感じることができず、精神的に麻痺している。「誰も自分を救ってくれない」と感じながらも、自分からは何も行動を起こせず、外界とのつながりが絶たれ、深い無力感と虚無感に支配される。心の奥底では助けを求めているが、どんな援助も無意味に思え、絶望的な状態に陥る。
タイプ4が健全度を失い、タイプ2に移行する過程は、まるで精神的な「崩壊」への道をたどるかのようです。
現代的な言葉で表せば、まさに「メンヘラ」状態に近づいていきます。健全度が低下するにつれて、自分自身の価値が揺らぎ、他者の承認に無意識にしがみつくようになります。自分の存在意義を確認するために、他者の視線や評価が必要不可欠になるのです。
しかし、他者に依存すればするほど、自分の「本当の自分」が奪われていく恐怖に襲われます。深い絶望感と空虚感が心を支配し、どんどんと自己崩壊の深みに落ちていく。そして、皮肉なことに、最も自分を気にかけてくれる人たちが「敵」に見え始めます。自分を愛してくれる存在に対して攻撃的になり、「裏切られる前に攻撃しろ」とばかりに、彼らを傷つけてしまいます。愛してほしいのに、信じられない――その背後には、「誰にも自分の真の姿を理解してもらえない」という深い孤独と絶望があります。
安定・統合時:タイプ1へ移行する
健全度が高まり、タイプ4がタイプ1に統合すると、彼らは心身ともに安定し、現実にしっかりと目を向けるようになります。空想やスピリチュアルな世界に没頭することから距離を置き、地に足をつけて現実に意味のある貢献をしようとする姿勢が生まれます。
- 内面だけにこもらず、外の世界と積極的に関わる: 以前は感情の世界に閉じこもりがちだったタイプ4が、外部との交流に前向きになり、他者と健全なコミュニケーションを図るようになります。
- 個人の感情よりも、周囲の期待や利益を優先できる: 自分の感情に敏感なタイプ4が、健全な状態では、自己の感情だけに囚われず、周囲の期待や社会的な要請にも応えようとする責任感を持ちます。
- 現実を「敵」ではなく「流れ」として捉える: 自己防衛的だった感覚が緩み、現実を敵視するのではなく、人生の流れの一部として柔軟に受け入れ、適応できるようになります。
この状態では、タイプ4は「社会の基準に合わせても自分の個性は失われない」という確信を持ち、自己の独自性に対する誇りや自信が芽生えます。
例えるなら、芸術家肌のタイプ4がクライアントの要望に従って忠実に作品を作っても、それを自分の創作物として胸を張れる状態です。社会の期待や他者の意見に応える中でも、自己の表現を守り、自分らしさを感じながら周囲に貢献できるようになります。
5.成長のレベル-健全、通常、不健全
エニアグラムには各タイプに応じて健全、通常、不健全と9つの成長レベルというものがあります。
- 健全:レベル1~3-自然体で心身ともに安定した状態
- 通常:レベル4~5-各タイプのそのままの状態
- 不健全:レベル7~9-社会生活が困難なレベル
レベルについては、数字が高ければ高いほどよい状態です。レベル1の状態は、そのタイプの囚われ、根源的恐れ、根源的欲求から解放された最高の状態であり、レベル9の状態は末期の状態です。
あなたがレベル9でないことを祈りします。
健全-レベル1~3
レベル1.インスピレーションを受けた創造者
健全度が1に達したタイプ4は、もはや「自分は他人より劣っている」「何かが欠けている」といった思い込みを完全に手放しています。彼らは、自分が今ここに存在していることに深い安心感と喜びを感じ、内外の世界に対してポジティブな感覚を持っています。
この状態のタイプ4は、自己存在を強く認識し、目の前に起こるすべての出来事に対して深い幸福感を覚えます。日常的な瞬間すらも芸術的で感動的に感じることができるのです。例えば、毎日見る夕焼けさえ、ルーブル美術館の名作のように美しく感じ、世界のあらゆるものにインスピレーションを受けることができます。
このタイプ4は、感情的な豊かさを内面だけに留めず、外部とのつながりを通じて、創造性を発揮します。彼らは他者に影響を与え、周囲に感動や新しい視点を提供する存在となります。このインスピレーションの源泉は、もはや「欠けている自分」ではなく、「充足している自分」から湧き上がるものです。
その時の感覚はルイ・アームストロングのこの素晴らしき世界でしょう。
タイプ4の最高の状態は、ルイス・アームストロングの名曲「この素晴らしい世界(What a Wonderful World)」のテーマとよく重なります。この曲は、日常の中で見逃しがちな美しさや喜びを称賛し、目の前の世界に感動しながら生きる姿を描いています。健全度が1に達したタイプ4もまさにこのような感覚を持っています。
健全なタイプ4は、内面的な葛藤や劣等感を手放し、今ここにある自分の存在と世界を受け入れることができています。彼らは、自分の目に映る世界のすべてにインスピレーションを受け、どんな日常的な瞬間でも特別で美しいものとして捉えることができるのです。例えば、アームストロングの歌詞に出てくる青空、咲く花、赤ちゃんの泣き声、人々が挨拶を交わす光景——これらは健全なタイプ4にとって、すべてがアートであり、感動的な瞬間です。
この状態のタイプ4は、他者とのつながりにも敏感で、深く感謝しながら生きています。「木々の緑やバラの赤、空の青や白い雲」のように、自然や日常の景色が彼らにとってはルーブル美術館の名作にも匹敵する美しさに感じられるのです。つまり、世界は彼らのインスピレーションの源であり、どんな小さな瞬間も心を満たす宝石のようなものに映るのです。
最高の状態のタイプ4は、「何も欠けていない自分」であり、今この瞬間に満たされている感覚を持っています。この世界の美しさを讃え、深く感謝し、愛する人々や風景と共に生きる姿勢は、まさに「この素晴らしい世界」が伝えるメッセージそのものです。
様々なものに感化されて、内側の創造性が自然と高まり、全てを芸術のようにとらえることができます。芸術家であれば創作意欲にあふれ、技能が伴えば素晴らしい作品を生み出すことができるでしょう。芸術家でなくても、高い創造性や感性が内側からあふれ出るようになり、生き様そのものがアーティストになることでしょう。
健全度1のときは、自分らしさに対するこだわりはありません。内側で確かな独自性とアイデンティティを感じ取ることができます。特別な自己像に執着しなくなり、むしろひとりひとりの違いを愛しく思えて育みたいと考えます。
その瞬間に、他の人から特別な人だ!と認識されることでしょう。
健全度1のタイプ4は、まさに内側から溢れる創造性が自然と高まり、日常のあらゆるものが芸術のように感じられる状態にあります。彼らは様々な物事に深く感化され、その結果、創作意欲が満ち溢れ、もし技能が伴えば素晴らしい作品を次々に生み出すことができるでしょう。芸術家でない場合でも、その高い感性や創造力が生き様そのものに表れ、彼らの存在がアートとなります。彼らの生き方そのものが、他者にインスピレーションを与える「アーティスト」なのです。
この状態のタイプ4は、もはや自分らしさに対する過剰なこだわりはなく、内側に確固たる独自性とアイデンティティを感じています。彼らは特別であろうとする執着から解放され、代わりに一人ひとりの違いを尊重し、愛おしさを持ってその個性を育てようと考えます。これにより、自分自身だけでなく、他者の独自性も自然と認め、受け入れる姿勢が生まれます。
この瞬間、タイプ4は他者から見ても特別な存在だと感じられるようになります。なぜなら、彼らの独自性や創造性は自然体で表現され、その姿勢や態度が周囲の人々に強い影響を与えるからです。彼らは、特別であることに対する意識的な努力をすることなく、自然とその特別さが周りに伝わり、他者から「この人は本当に特別だ」と認識されるようになるのです。
レベル2.自己認識と直感な人
- (もっと)自分らしくありたい
- (もっと)創造的でありたい
- (もっと)特別な存在になりたい
健全度2にあるタイプ4は、自分らしさや創造性を求める気持ちを素直に表現できる状態です。この状態では、「もっと自分らしくありたい」「もっと創造的でありたい」「もっと特別な存在でありたい」という願いが自然に湧き上がり、それに従って行動しています。自分の独自性に確信を持ち、内面的な充足感を得ながら、創造的な活動に取り組み、自分自身をさらに高次元へと導こうとしています。
この瞬間のタイプ4は非常に健全で、内省的な性質が強く現れます。自分の内側の直感と深くつながり、自分の気持ちを素直に認め、それを表現しながら他者と良好な関係を築くことができます。内面的に静かで温かく、周囲に対してオープンであり、誰にでも笑顔で接することができるのです。
健全度2のタイプ4は、他者の影響を受けにくく、穏やかな態度を保ちながら、非常に高い共感力を発揮します。他人の意見に耳を傾け、不都合な意見にも寛容に対応し、感情の揺れに左右されることなく、人々と平和な関係を築きます。この状態では、外部の評価や他者との比較に依存せず、内面的な直感に基づいて、自分の心で感じたことを自然に言葉にし、表現できるのです。
また、この直感の力に対する信頼がある限り、タイプ4は自分の個性や独自性をしっかりと感じ取り、他の誰にもない「自分らしさ」を確信できます。しかし、もしこの直感の力を信じられなくなったとき、タイプ4は健全度3に落ち込み、再び自分の感情に振り回される状態に陥る可能性があります。
レベル3.自分の気持ちに素直な人
- 自分らしさを表現「したい」
- みんなが自分らしく生きてほしい
- 世界に一つだけの花を歌いたい
健全度3にあるタイプ4は、自分の感情や気持ちを積極的に外界に表現します。多くの場合、その表現は肯定的な感情に満ちており、周囲の人々とのコミュニケーションも活発になります。このレベルのタイプ4は、自分だけでなく他者の個性や「あるがままの姿」を引き出したいという強い社会的な意識を持つようになります。彼らは、他者に対しても個性を尊重し、自然な状態でいられるようサポートしようとするのです。
タイプ4はこの状態で、自分の感情を率直に表現しながら、ウィットに富んだ会話を楽しみます。非常に外向的で、他者との交流を積極的に楽しむことができるため、周囲の人々にとっても付き合いやすい存在です。彼らは感情的な洞察力を持ちながらも、現実にしっかりと根を下ろし、他者との関係性の中でその洞察を活かすことができます。
この瞬間のタイプ4は、自分の感情を大切にしながらも、社会的な役割を意識して行動し、周囲との関係を通じて自分自身を表現することを楽しんでいます。他者から見ても、非常に魅力的で親しみやすく、会話を楽しみながらも深い感情的なつながりを提供する存在です。
健全度2が直感や閃きに従っているのに対して、健全度3は自分の感情に動かされています。
通常-レベル4~6
健全度4の状態になると、タイプ4は「今の自分の気持ちや創造性、自分らしさを保てないのではないか?」という恐れを感じ始めます。その結果、自分の気持ちや感情をわざと強調して表現しようとします。
簡単に言えば、これは「自己演出」です。
しかし、この過度な自己演出や表現に走れば走るほど、タイプ4は自分の中にある本当の個性や「らしさ」から自分を遠ざけていくことになります。その状態は、タイプ4にとってはとても苦しいのです。
レベル4.個人主義者
健全度4にあるタイプ4は、他者との距離を感じ始め、自分の内側に空想の世界を作り出すようになります。この状態では、タイプ4は芸術家や表現者としての一面が強調され、まるで自分の人生を演出するように振る舞います。しかし、これは自分自身に対する自信の喪失が原因となっており、結果的に他者に対してよそよそしい態度が目立つようになります。
感情表現が過剰になったり、演技的な振る舞いが増えることもあります。個性的なファッションや内装を通じて、自分の「特別さ」を強調しようとします。タイプ4はこの段階で、自分の独自性を認めてくれる存在に対して強い憧れを抱き、特別なつながりを求めるようになります。
また、この状態では、自分を理解してくれる人たちとのみ関わりたいと感じ、他者との交流を選り好みする傾向が出てきます。日々の生活は充実しているように感じられ、他者との交流から創造的なエネルギーを得ていることは確かです。
しかし、演技じみた行動や過剰な自意識が強まるにつれ、皮肉にも他者との関係が微妙なものになり、距離を感じやすくなります。
特に、誰も自分を認めてくれないという恐怖が襲うと、健全度に大きな影響を与えます。タイプ4は特定の誰かに自分の独自性を認めてもらおうと必死になり、心の安定を得ようとします。近しい人々に対しては、「自分を特別に見ているかどうか」を厳しくチェックし、特別視してくれる人に対しては肯定的な感情を抱きます。そのため、社交的でありながらも、関わる友人や人間関係を慎重に選ぶ傾向があります。
誰も自分のことを認めてくれないという恐怖に囚われた途端に健全度が差があります。
レベル5.自己酔狂的・気まぐれ
- 自分が世の中に飲まれてしまうのではと恐れ始める
- 人を試す(自分に興味・関心を示してくれるか)
- 人間関係に対してフィルタリングが働く
健全度5になると、タイプ4は承認欲求が強くなり、それが攻撃性にも転嫁します。他者から指摘や批判、ぞんざいに扱われるのを恐れて、一定の境界線を張るようになります。意識が完全に内側に向かって、自分の話ばかりをするようになります。それは、まるで、自分だけを見てほしい状態なのかもしれません。
そういった動機から、気まぐれ、よそよそしい、気分のムラが激しい、気取った、謎めいた、など不思議ちゃん行動が増えます。その多くは、周りの誰かの気を引くことであり、自分に対する他の人からの興味や関心を再確認したい気持ちです。
レベル6.私だけ「特別」
- 例外的に私だけ「特別」扱いしなさい
- 世の中のルールとは合わない
- 仲間より専属の救世主が欲しい
悪い意味で、自分は人とは違うと感じるようになります。そして、意図的に自分の価値を下げるような行動をとります。
- 学生:学業や部活に力を注がない
- 社会人:社会技能向上や職業技能向上を発達させようとしない
- 自宅警備員:外に遊びに行く(自宅警備しない)
- クリエーター:気分が乗らないといって仕事をさぼる
このタイミングで自分を堕落させます。そして、困っている風を装い、誰かが自分のもとに駆け付けてくれるのでは?と密かに期待します。
幼少期に親から満たされなかったと認識した感情を誰かに満たしてほしいと願うのです。救世主的存在を求めて、インナーチャイルドになるのです。どこかで自分は他の人とは違うから何でも許されると考えて、社会生活を放棄して、自由を主張します。
非現実的な意見や主張を言い放ち、人の意見には耳を貸せなくなります。他者に求めることは、ただひたすら自分にだけ特別な関心を寄せてくれることであり、一方的に自分の話に耳を傾けてもらう事です。そして、当の本人は、他人には興味がありません。
タイプ4の方であれば、思春期に健全度6までは経験して、それを乗り越えた経験があるかと思います。一時的に健全度6に陥っても、リフレッシュして心身ともにスッキリすることで、元通りの生活に戻れます。また、誰か1人でも助けてくれる人がいれば、我に返って自分を取り戻せます。
この状態に気づかないと人が離れていきます。
すると…不健全な世界に入ります。
不健全-レベル7~9
レベル7.疎外・断絶された人
- 妬みと憎しみ
- 後悔と恥の日々
- 努力できない人
先ほどの健全度6に戻ってください。健全度6の状態だと、自己満足の世界で自由に生きれるとどこかで喜んでいます。
しかし、この状態が新しい不安を作り出します。それは、希望や夢、自分らしく生きる機会を逃した絶望感です。
貴重な時間をすべて食いつぶして、何も生み出せなかったことに落胆して、内側から怒りがこみ上げてきます。それは、自分自身に対してもですが、そんな自分自身を救ってくれなかった他者に対してもです。
言ってみれば「社会の歯車になりたくない!自分らしく生きたい」と自由を主張してニートを続けた結果、社会的リソースを獲得できずに、30代になってお先真っ暗と気づく絶望に近いかもしれません。かつての同級生が、幸せそうな生活を送っているところを見て、内側の妬みの感情が怒りに代わっている、そんな経験でしょう。
これまでタイプ4は自身に劣等感を抱えながら、ある種の「心地よさ」も感じていました。本当の自己に出会えれば、自分らしく生きれて、人生はハッピーに好転する!とどこかで期待をしていました。その希望が木っ端みじんに打ち砕かれた現実を知り、パンドラの箱に入っていたのは絶望だったと気づいたのです。
長い期間、これまで期待とともに抑圧した劣等感が、自分を救ってくれなかった一般ピーポーに対しての怒りを転嫁をして、世の中を憎むようになります。自分に対しても他人に対しても怒りがたまり、正常でいられなくなります。
不健全なタイプ4のように自分自身は何かに夢中に自分自身に腹を立てていると、事態を一層悪くするといけないので、怒りを面に出すことを恐れる。自分の期待を裏切ったことに対して誰か-たとえば恋愛相手-に腹を立てていれば不健全なタイプ4は、あまりにも激しい怒りのために、かつての最愛の人と同じ部屋にいることにも堪えられないで、何の反応も見せられないように、自分にできる最大限度まで自分を抑える。
この段階に陥ったタイプ4は、周囲の誰もが自分を見捨てたと感じることが多くなります。家族や友人、社会、そして自分自身に対して深い怒りを抱き、自分の問題が他の誰の問題よりも深刻で、克服できないものだと思い込んでしまいます。タイプ4は常に自分が独特でありたいと願っていましたが、不健全な状態に陥ると、その独特さを痛感するのは自分の苦しみの深さによるものです。
健全度7の状態に陥ると、自分は他の誰よりも深く苦しんでいると感じ、その苦しみが他者にとっても屈辱的な衝撃となります。時間を取り戻すことができない悲しみに包まれ、失われた瞬間や機会への後悔が心を重く押しつぶします。
この状態が長く続くことで、過去の過ちや失敗が鮮明に蘇り、ますます孤独感と絶望感が深まっていくのです。
レベル8.自己否定とうつ病
エニアグラムのタイプ4が健全度8に陥ると、その内面はまるで底なしの闇に飲み込まれたような絶望に支配されます。
精神的エネルギーは完全に枯渇し、自分を形作っていたものすら崩壊し始めます。
この段階では、「何をしても意味がない」という感覚に襲われ、全てが無力で、全てが無価値だと感じます。自分の中で静かにくすぶっていた不安や孤独感は、今や燃え盛る炎となり、その熱さで自分自身を焼き尽くしてしまいます。
- エネルギーの枯渇と自己破壊:怒りや不満がもはや外界に向かうことすらできず、全てのエネルギーが自分に向けられる。怒りは毒となり、心をゆっくりと侵食します。自己嫌悪と自己破壊のループに落ち込み、自分の存在が一切の意味を持たないという感覚に引きずり込まれて、まるで体の中にあった全ての力が一滴残らず吸い取られ、ただの抜け殻になったかのよう
- 他者から軽蔑される恐怖:欠落に対する劣等感が恐怖へと転じて骨の髄まで染み込む。他者から軽蔑され、見捨てられることを強く確信し、その恐怖がまるで影のようにまとわりつく。どれだけ逃げても、その影から逃れることはできず、いつも自分を追い詰める。他人からの冷たい視線や、見えない批判に怯え、心はすでに荒廃し、何の希望も感じられない
- 精神崩壊と自己破壊:心はすでに完全に崩壊し、現実世界から逃避するしかないという感覚に襲われる。内側の心の牢獄に閉じこもり、世界と自分との繋がりを断ち切る。物理的にも感情的にも引きこもり、誰かが助けてくれることをどこかで期待しながらも、その希望が叶わないと悟る。この絶望は、あたかも全ての光を飲み込むブラックホール…最後の希望までも吸い込み、残るのは暗闇と虚無だけ
- 絶望のブラックホール:その虚無感と外側からの軽蔑の恐怖に苛まれながら、次第に誰からも見捨てられる運命を確信する。周りは沈黙、全てが止まり、何の動きも感じられない。ただ、ただ自分自身の無力さと無価値さが、まるで押しつぶすようにのしかかる。もはや現実は夢のように遠く、ただ孤独と自己否定の世界だけが永遠に広がる
- 希望の喪失と完全な孤立:最も恐ろしいのは誰も自分を救いに来ないという冷酷な現実。もう…誰も救いの手を差し伸べてくれる人はいない、助けは決してやってこないと確信した瞬間、絶望は膨張して、心はさらに壊れ、完全に孤立
この状態から脱却するには、心と体の両方に時間をかけた療養が必要不可欠です。
健全度8のタイプ4にとって、焦りは敵であり、急いで立ち直ろうとすることでかえってさらなる自己崩壊を招いてしまう恐れがあります。誰かがその暗闇の中に手を差し伸べ、光を見失った心に寄り添い続けること。そして、その手を取るには、タイプ4自身が「過去を完全に断ち切り、今の自分をありのまま受け入れる」勇気を持つことが求められます。
タイプ4が健全度8の暗闇から這い上がるためには、心を癒す時間と、もう一度自分を取り戻すための静かな空間が必要です。これは一朝一夕で解決するものではなく、長い時間をかけて少しずつ自分のペースで回復を目指さなければなりません。
かつての自分がどれほど自分を追い詰め、他者からの評価や自己嫌悪に苦しんできたか、そのすべてを振り返り、丁寧に解きほぐしていく作業が必要です。
レベル9.絶望と自滅の人
健全度9に陥ったエニアグラムタイプ4は、完全な絶望の淵に立たされています。
これまでの人生を振り返り、数えきれないほどの空想や理想に執着してきたことに気づきますが、自分の人生は独自性や個性の確立には寄与しておらず、全てが無駄だったという現実に打ちのめされます。どれほど特別な自己像を追い求めても、そのどれもが幻のように手の届かないものであり、普通の人生すら送ることができなかったという冷酷な事実を突きつけられます。
- 全てが無駄だったと悟る:これまでの人生で何度も自分を「特別な存在」になれる希望こそ心の拠り所だったが、その幻想が全くの空虚であると悟る。自分の苦しみや葛藤が何一つ形にならず、特別にも、普通すらなれなかった認識は、まさに全ての希望を奪い取る。自分の人生が無駄だったと感じ、本当の絶望を知る。
- 最後の行動への衝動:これ以上、いまの苦しみには耐えられない…とタイプ4は感じる。同時に、全てが無意味だったと結論付ける。物理的な意味での「逃避」かもしれない内面での苦痛が限界に達し、これ以上その痛みを抱えて生きていくことができない。
- 誰も助けられない:もはや誰にも助けを求めず、自分自身をも救い出す希望が見いだせない。最後に残った手段として自らの存在を否定することが、唯一の「解決策」になる
健全度9のタイプ4は、自己の存在そのものに対する根源的な否定感と、逃れようのない絶望の中にいます。特別でありたいと望みながらも、何者にもなれなかったという痛烈な現実に直面し、自らのアイデンティティが完全に崩壊します。最後の行動に出る前に、その絶望に向き合い、手を差し伸べてくれる存在を見つけることができなければ、彼らは完全に自らを見捨ててしまうことになるでしょう。この段階から抜け出すことは非常に困難ですが、それでも光を見つけることができれば、まだ希望が残されているかもしれません。
6.サブタイプ(ウィング・生得本能)
ウィング
タイプ4のウィングは、右と左で極端に違いますね。周囲を意識するか、完全に自分の世界に入り込むか?
タイプ4ウィング3:貴族
タイプ3の影響でタイプ3のように競争意識が芽生えます。自分が特別な存在であることを人々に認識してもらいたいと願うようになります。但し、タイプ3のように競争心をむき出すのではなく、自己演出をして高い位置に自分を置き、多くの人から注目を浴びようとするのです。
その姿は、まさにヨーロッパの貴族です。
タイプ3のウィングが強ければ、周囲から注目を集めるため、洗練された自分を作り上げるために努力をします。それは、仕事から勉強、ダイエットから筋トレ、芸術活動まで、人が見えていないところで自分を磨いています。タイプ3との決定的な違いは、自分の実績や活動をアピールしていないことですね。それでいて人から注目を浴びれるようなポジションを獲得します。
何ともうらやましい。。
タイプ4ウィング5:ボヘミアン
貴族に比べると、ボヘミアンはのほほんとしています。タイプ5のウィングが強くなればなるほど、人から注目されることをさほど気にしなくなります。
ヒッピーぽい感じで自分の世界を作って自分の好きなことに取り組んでいます。それが芸術なのか、音楽なのか、文学なのかはわかりません。ただ、傾向としては身体を動かす事よりも、ひとりで籠っていることを好みますね。おそらく、ガッツセンターから離れているからでしょう。
承認欲求が弱いのか、自分のペースで生きれて、幸福度は貴族と比べて高い説がありますが、ひとりの時間を楽しめないとヒッピーのような引きこもり生活になるかもしれません。
貴族/ボヘミアンの見極め方ですが、自分が何のためにお金を使っているかを振り返ると、わかります。貴族は、自分をよく魅せるため、ボヘミアンは、自分の世界を追求するため、ですかね。
さて、ここまで読んでみて、あなたは自分のことをタイプ4だと思ったでしょうか?うーん?わからない!と思ったら、意外とタイプ4かもしれませんね。
冒頭でも述べた通り、タイプ4は、「自分のことがわからないのです。」だから、自分探しをしたり、独自性を求めるのです。では、どういうふうに独自性を求めるのか?どのように自己を表現するのか?それは次の生得本能で見ていきましょう。
生得本能
タイプ4は、独自性を表現することを求めています。その表現の仕方が、自己保存、セクシャル、ソーシャルでだいぶ異なってきます。
自己保存型タイプ4-強引な自己操作
- 芸術や創作にエネルギーを注ぐ
- わざと悩んだりする、問題を作り出したりする
- 感性を満たしてくれる「モノ」で周りを囲む
自己保存型のタイプ4は、自分が個性的な人間であるという感覚を求めます。「私は、他の人とは違うユニークな人なんだ」という気持ちを自己保存しようとして、意図的に自己放縦な状態になります。タイプ4は潜在意識(根源的欲求・恐れ)の中で、「特別な人間であれば、人々は私に関心を寄せてくれるはずだ」という思い込みがあります。
だからこそ、意図的に特別な自分を作り出そうとします。そのモチベーションが創作や芸術に進むかもしれませんし、自分らしさを感じられる活動を行う動機になっているので、これ自体は良いことです。
ただ、素の自分に個性が感じられず、強引に「個性的な人」を作り出そうとするのなら、決して健全とは言えません。
セクシャルタイプ4-嫉妬と強烈さ
- 感受性が強く、自己表現が強烈
- 喜怒哀楽を全力でぶつけてくる
- 魅惑的な雰囲気で相手を誘う
魅力的な人に引き付けられるセクシャルとタイプ4の独自性&表現力が組み合わされると、タイプ4の内向性とセクシャルのエネルギーの強さが混ざり合って、奥手だけれど激しい人になります。タイプ2のような所有欲を持ちつつも、タイプ4本来の常に自分だけを見てほしいという願望がより強く出ます。
椎名林檎ちゃんですね。
行かないでね。
どんな時もあたしの思想を見抜いてよ。
あなたの長い睫毛もその華奢で大きな手も全部大好きなの。
何処にだってあなた程の人なんていないよ。
あなたしか見てないのよ。
今すぐに此処でキスして椎名林檎 ここでキスをして
といった気持ちになるのですが、ここでひとつ罠があります。セクシャルタイプ4は、自分に足りないものを埋めるために、自分に足りないものを持っている人に強く惹かれます。
例えば、タイプ4のアーティスト同士が恋人になったとします。2人はお互いに異なった感性やスキルを持ちながら、お互いの違いを尊重しあえるかもしれません。ところが、ある日、片方が売れてしまい、みんなから注目を浴びてしまいます。
すると、タイプ4の中で嫉妬や劣等感のような感情が芽生えて、それがキッカケで拒絶してまいます。心の底から相手の成功を喜べないのです。相手の幸せを自分の幸せのように感じられない弱さは、健全度が低いときに顕著に表れます。
それはまるで父・母が、弟/妹をかわいがり、自分のコトを見てくれないときのさみしさと似ているかもしれません。頭ではわかっているけれど、心が追い付かず、身体が相手と強いつながりを求めてしまう複雑さにあります。
ソーシャルタイプ4-コンプレックスと笑顔
- 社交的で愛想がよく、人付き合いが好き
- 謙虚な態度の裏にコンプレックスを抱えている
- ファッションや雰囲気で特別感を演出する
ソーシャルタイプ4のテーマは劣等感です。タイプ3のように人と自分を比べるのですが、どこかで自分は劣っていると思いたくなります。それを隠すかのように愛想をよくしながら、相手の内面をよく観察して、自分の感情の動きにも敏感になっています。
時々、いてもたってもいられない感覚になり苦しくすらなります。そんな自分の足りなさを補うために、ファッションや雰囲気を変えることで、自分を意図的に操作します。
ソーシャルタイプ4は、周りに合わせようとするため、タイプ1に似ているかもしれませんが、周囲を観察しながら内面の感情に接触したいのが本音です。
余談ですが、ソーシャルタイプ4は、劣等感やコンプレックスが強いと説明していますが、実際に優れているかどうかは別です。自分が足りていないところに意識が行きやすいのです。
例えば、エンターテイメント界のレジェンド・マイケルジャクソンです。マイケルジャクソンは、歌手としてトップに君臨しながらも、謙虚で愛想よく、そして繊細で、整形手術を繰り返していました。そして・・・あんなことに・・・
タイプ4の幸せ
タイプ4の方々から「私は幸せなのか?」という問いを受けることがよくあります。これは、「私は満たされているのか?」という問いでもあります。そして、その問いが心に浮かぶ時点で、何かが「ぽっかり」と抜け落ちていると感じているのでしょう。
その「何か」とは、おそらく「自分らしさ」を強く認識できる瞬間です。
- 過去から現在までの軌跡:過去の経験や歩んできた道が、あなたを形作る大切な要素であり、それこそがあなたにとっての財産です。
- 今の体験が全て10年後を作る:現在の瞬間、今あなたが経験していることが、将来の「あなたらしさ」を生み出します。良い経験も苦い経験も含めて、すべてがあなたのアイデンティティに貢献していきます。
タイプ4は、未来に向けて進むよりも、過去に目を向け、そこから現在の自分を理解する傾向があります。
タイプ4は過去に目を向けて、「今の自分は、過去の自分からどのように形成されてきたのか?」という視点で自分を見つめます。
アドラーの「過去は関係ない!」という言葉は、ヘッドセンター(タイプ5、タイプ6、タイプ7)に向けられたメッセージであり、タイプ4にとってはむしろ、過去こそが自分のすべてを形作る重要な要素なのです。タイプ4にとって、幸せとは「過去の中にある自分らしかった瞬間」を見つけ、それを現在の自分に繋げることです。
それは、必ずしも良いことばかりではないかもしれません。苦い経験や失敗もあるでしょう。しかし、それらの経験の一つひとつが、あなたの個性や「あなたらしさ」を形作っているのです。
一方で、「自分らしさって何だろう?」と過剰に求めるあまり、何も行動せずに殻に閉じこもってしまうことには危険があります。何も創らずに自称「芸術家」として時を過ごせば、10年後に待っているのは虚無感と絶望感だけです。
そして、創作活動に励んできた人々を羨むだけの人生に陥ってしまいます。
だからこそ、今この瞬間に行動を起こすことが大切です。「自分らしさ」を探しながらも、今手と足を動かし、何かを創り出すことで、それは未来の「あなたらしさ」へと繋がっていきます。
今の一歩一歩が、数年後にかけがえのない財産となるのです。その財産こそ、未来の「あなたらしさ」そのものです。
あなたが「自分らしさ」を見失いそうになったとき、まずは自分がこれまで歩んできた道を振り返ってみてください。過去のすべてが今のあなたを形作っており、その中には必ず自分らしい瞬間が隠れています。そして、未来を恐れる必要はありません。今この瞬間に手を動かし、心を注ぎ、何かを創り出すことができれば、それがやがて大切な「あなたらしさ」として積み重なっていくのです。
過去の経験を財産とし、今の行動が未来の「あなたらしさ」を築くと信じて、恐れずに前に進んでください。それが、タイプ4にとっての真の幸福への道なのです。
僕たちは幸せになるため、この旅路をゆくんだ
ほら笑顔がとても似合う浜崎あゆみ:Voyage
本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
タイプ4として「自分らしさ」を手に入れたいと思ったら、是非とも個人レッスン&カウンセリングにお申し込みください。
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木村真基
ウェブデザイナー/エニアグラム講師
プロフィール
「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。性格タイプ判定専門のエニアグラム×16タイプ講師。自身も講師として働きながら、お客様のセミナー集客特化型のホームページを作ることが得意。
本業:ウェブデザイナー(フリーランス)/副業:性格タイプ講師×デザイン講師
エニアグラム/16タイプ/ストレングスファインダーを武器に自分のタイプで生きている人。
・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我
ウェブデザインだけではなく性格もデザインします♪