エニアグラムタイプ4+自己保存=「不屈」とは?

本記事は、ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン『エニアグラム【実践編】』と、ベアトリス・チェスナット『The Complete Enneagram: 27 Paths to Greater Self-Knowledge』の2冊を下敷きにしています。

エニアグラムの9つのタイプの下には、3つの生得本能があります。自己保存(Sp)、セクシャル(Sx)、ソーシャル(So)。誰もが3つとも持っていますが、優位・サブ・盲点という順番があります。

ここで、ひとつ前提を共有させてください。

タイプ4自己保存の欲求と、その裏にある恐れ

タイプ4自己保存が求めているものを、一行で言います。

自分が他の誰とも違うという感覚を、生活の中に確保すること。

タイプ4全般は「自分には何かが欠けている」という感覚を抱えています。その欠落を埋める方法が、本能によって変わります。

タイプ4自己保存の場合、埋める場所は日々の暮らしそのものです。

住む場所、置くもの、着るもの、使う道具、働き方、時間の使い方。そのすべてに「これは自分にしか選べない」という感覚を求めます。

その裏にある恐れは、こうです。

その他大勢と同じ生活に、埋もれてしまうこと。

タイプ4自己保存にとって、平凡さは怠慢ではありません。消滅です。

2つの解釈|消費するタイプ4自己保存と、生産するタイプ4自己保存

この型については、参照する文献によって描かれ方が違います。ここが面白いところです。

リソ=ハドソンの描き方は、「物」に向かうタイプ4自己保存です。

9タイプの中でも意外なほど実際的で、美しいものに囲まれて暮らしたいという欲求を持ちます。部屋の設え。照明。器。服。デスクまわり。妥協しません。既製品をそのまま受け入れることを嫌い、自分の感覚で組み替えます。

そのために生活を犠牲にすることも、珍しくありません。家賃が高すぎる部屋を選ぶ。分不相応な買い物をする。それでも、その空間にいると自分でいられるからです。

チェスナットの描き方は、「不屈」のタイプ4自己保存です。

こちらは、一般的なタイプ4像とかなり違います。弱さを見せません。感情を垂れ流しません。むしろ黙って耐えます。

なぜかというと、自分らしい生き方を貫くために、あえて苦しい道を選ぶからです。安全な選択肢があっても取りません。いばらの道を進み、その業をすべて引き受ける。そうしている瞬間、自分がみんなとは違う生き方をしていると、内側で確認できます。

優れた作家、画家、漫画家、演奏家。狂気に近い道を、何年も歩き続ける人たちが、この型には多くいます。

一方は消費志向、もう一方は生産志向です。

正反対に見えますが、守っているものは同じです。自分は他の誰とも違う、という感覚。

それを、片方は所有物で、もう片方は生き方そのもので確保しています。

それともうひとつ…以下の書籍ではこのように書かれていました。

  • その意味が表す通り、自己保存型のタイプ4は、特定のことに対する「こだわり」が強いです。
  • 生きてることを実感し、俗っぽい存在のつまらなさと無意味さを避けるために、私は強烈さと刺激を切望する
  • 誕生、死、破滅、重病が身近にあることに引き付けられる
  • 身体的危機を体験する、法律や規則をや宇bる。お金で運試しをする、乱●する、不倫関係をもつなど、危険な状況に飛び込んできた
  • 自分自身と他人を危機から救うために決断し、根気良くなることができる
  • 人が私の理想を攻撃し、何をなすべきかを言ったり、私を変えようとしたりすると、激しく反逆する。皮肉を浴びせたり、激怒することもある
  • 自分の創造的仕事や大義に情熱的に集中する

エニアグラムでパートナー探し (日本語) 単行本 – 1997/9/1

結構書き手によって解釈が割れるタイプですが、共通項はあります。今回は、他の生得本能27記事と足並みを合わせて、ドンリチャードリソとラスハドソン式に書いていきます。

調子がいいときのタイプ4自己保存

審美眼があります。

安いものでも、あなたが選ぶと違って見えます。組み合わせ方が違うからです。人の家に行っても、この人は考えて選んでいるかどうかが、一目でわかります。

そして、タフです。ここは意外に思われるところですが、タイプ4自己保存は打たれ強い。自分が選んだ道の苦しさを、他人のせいにしません。苦しいことを、自分らしさの証明として引き受けられます。

だから続けられます。誰にも評価されない時期を、何年も越えていけます。

問題は、ここから先です。

健全度4を過ぎたとき

余裕がなくなると、順番に起きます。

兆し|こだわりが増える

妥協できる範囲が狭くなります。前は許せた既製品が、急に耐えられなくなります。細部が気になります。「これじゃない」という感覚が、日に何度も来ます。

加速|生活を独自性で埋めはじめる

買います。作ります。整えます。取り替えます。あるいは、より険しい選択をします。安定した仕事を断る。誰もやっていない方法を選ぶ。

このとき、あなたは自分を表現しているつもりです。実際には、**確認しています。**自分がまだ、その他大勢ではないということを。

軋み|安定してくると、落ち着かなくなる

ここが、この型の分かれ目です。

生活が回りはじめます。収入が安定します。関係が落ち着きます。日常が繰り返しになります。

普通なら安心する場面です。ところがタイプ4自己保存は、ここで妙な焦りを感じます。

平穏であることが、平凡であることに見えるからです。

そしてこう解釈します。自分は、こんな当たり前の暮らしをするために生まれたのではない。

固執|安定を自分で壊しにいく

やり方は変えません。もっと自分らしくあろうとします。

リソ=ハドソンは、この段階のタイプ4自己保存について、生活の安定を揺るがすような危険な状況に、自ら引き寄せられていくと書いています。

不適切な相手との関係に踏み込む。破滅的な浪費をする。飲み食いのコントロールを失う。何の準備もなく仕事を辞める。

本人の実感としては、決断です。停滞から抜け出すための、勇気ある選択。

崩落|自己保存する対象を失う

そして、生活が壊れます。

住む場所が不安定になります。お金がなくなります。関係が切れます。体を壊します。

このとき、皮肉なことが起きています。自己保存本能が守るはずだった対象を、自己保存本能が破壊しています。

自分らしさを守るために、自分の生活を壊す

さて、ここからが本題です。

エニアグラムの怖いところは、その人を守るための戦略が、その人を壊すという一点にあります。タイプ4自己保存では、それが構造として完成しています。

自己保存本能の目的は、生活と身体を守ることです。

ところがタイプ4がその生活に求めているのは、安全ではありません。独自性の証明です。

そして、独自性は安定と両立しません。安定した生活は、どこかで誰かの生活と似てきます。似てきた瞬間、証明が崩れます。

つまり、こうなります。

生活が守られるほど、守るべき理由が消えていく。

だからタイプ4自己保存は、生活が安定すると壊しにかかります。無意識にです。壊れた生活のほうが、自分らしいと感じられるからです。

そして壊したあと、こう思います。やはり自分は、普通に生きられない人間だ。

その実感は苦しいものですが、同時に、独自性の証明として機能してしまいます。

これが、この型のいちばん残酷なところです。**破滅すら、自分らしさの材料になる。**だから止まりません。

最後に残るのは、誰とも違う人生を証明しきって、住む場所も金も関係も残っていない自分です。

ここまで落ちると、ひとりで戻るのはかなり難しくなります。あなたが持っている道具は「もっと自分らしくある」しかないからです。そして、その道具こそが原因なのです。

あなたが失っているもの

タイプ4自己保存が優位ということは、残る2つのどちらかが盲点です。

どちらが盲点になるかは、人によります。同じタイプ4自己保存でも、まったく別の欠け方をします。

セクシャルが盲点の場合

自分の世界は完璧に作り込めるのに、誰かと深く関わることがありません。他人が自分の領域に入ってくることに耐えられません。恋愛も友情も、途中で自分から距離を取ります。ひとりでいるほうが自分でいられる、と感じています。

ソーシャルが盲点の場合

作品も生活も自分らしさで満たされているのに、それを見せる場所がありません。集団に属していません。評価される仕組みの外にいます。「群れるのは自分らしくない」と思っています。

どちらであっても、共通して言えることがあります。

盲点は、あなたに向いていない領域ではありません。使わないまま置いてある領域です。

そして、タイプ4自己保存が生活を壊しにかかったとき、それを止められるのは自分ではありません。壊すことに意味を感じてしまっているからです。

止められるのは、外側にあるものだけです。あなたの破滅を惜しむ誰かか、あなたを必要とする場所か。どちらも、いまのあなたには「自分らしさを削るもの」に見えているはずです。

盲点を使えるようになることは、余裕ではありません。生き延びる手段です。

自認チェック

3つ挙げます。正直に。

その1。 生活が安定してきたときに、なぜか焦りや退屈を感じたことがありますか。

その2。 楽な道と険しい道があったとき、険しいほうを選んで、その選択を誇りに思ったことがありますか。

その3。 自分の持ち物や住まいについて、他人と同じになることを強く嫌いますか。

3つとも「はい」でしたか。

では、残念なお知らせです。

この3つは、他のタイプでも「はい」になります。

安定を嫌う。険しい道を選ぶ。同じであることを拒む。表に出る行動は、驚くほど似ます。分かれるのは、その選択をした瞬間に何を守っていたか、その一点だけです。

そしてそれは、自分の内側からは見えません。

順番まで、決めます

そもそもタイプ4なのか。自己保存が本当に優位なのか、実はサブなのか。盲点はセクシャルなのか、ソーシャルなのか。

行動を並べても決まりません。同じ行動が、3つの本能のどれからでも出るからです。

しかもタイプ4自己保存は、文献によって描かれ方が正反対です。片方だけを読んで自認すると、必ずずれます。

セッションでは、9タイプ、ウィング、そして本能スタックを、矛盾のない一つの並びにします。優位・サブ・盲点の3つを、順番まで確定させます。そして「なぜ他のタイプではないのか」を、理由をつけて切ります。

盲点を使う練習は、そのあとの話です。まず、自分のどこが空いているのかを、正確に知るところからです。

10月のエニアイベント

無料
まずは自分で確かめたい方へ

タイプの見当をつけるところから始められます。登録も費用もかかりません。

有料
エニアグラムセッション/カウンセリングの2つをご用意しております

担当者も目的も異なる、別々のサービスです。

エニアグラムの性格タイプ判定にコミットします
エニアグラムセッション
担当:木村なおき

タイプ判定と、サブタイプの掘り下げ。目的によって2つに分かれます。

言葉にできない不安の正体を一緒に見つけませんか
エニアグラムカウンセリング
担当:三束理沙

不安を言葉にすることが軸。作業療法士によるカウンセリングです。

このサイトの運営者

最後まで(?)読んでくださりありがとうございます。

木村なおき
木村 なおき
3w4sp/sx△386
エニアグラム講師 本サイトの運営者 ブロガー
サブタイプに強いエニアグラム診断士。気づけば、1944通りの診断をしています。
記事は全部書きましたが、未だに改修中。エニアグラム以外のタイプ論に手を出して忙しい日々です。
好きだから続けられる。居酒屋ではビール一筋。自宅ではハイボール。
🔱 タイプ判定にコミットします
1000人越え 判定実績
5時間 平均時間
8年 タイプ歴
31歳の頃にウェブデザイナーを志望。実績を出すためにWordPressでブログサイトを量産したら、ひよこ君のエニアグラムサイトがヒットし、そのままお仕事になる。

いまは生成AIを使い、診断テスト量産 × テキスト修整を進めています。昔は記事を書いていたはずなのに、気づいたら記事を増やす装置まで作り始めていました。
性格と制作を生業にしております
エニアグラム法人研修を承ります。ついでにウェブサイトも作ります。個人から法人までOKです。診断企画があったらご連絡ください。

できれば、有料セッションに参加してください。結構オマケします。 先に話してからの方が、たぶんお互い早いです。
タイプ判定に即決してくれる気骨のある経営者募集
自分の代わりにエニアグラム診断できる人を育てています。勿論、それ以外でもOKです。

あなたの性格タイプに合わせて、教材、サイト、診断テストを丸っと作ります。自分らしいタイプ診断士になってください。

タイプ論はエンタメです。
いっぱい調べて、いっぱい比べて、SNSで盛り上がりましょう。
「このタイプっぽい」「いや、やっぱ違うかも」くらいが、いちばん楽しい時間です。
自認が3回くらい変わっても大丈夫です。それも含めて楽しんでください。

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