【エニアグラム】タイプ1・2・6の違いをホーナイで解き明かす

あなたはエニアグラムのタイプ1、タイプ2、タイプ6のどれが自分か分からず、迷っていませんか?
| タイプ | 核心的な動機 (行動の裏にある願い) | 行動の例 | 
| タイプ1 | 正しくありたい(完璧さへの欲求) | ルールや原則を厳守し、常に改善しようとする | 
| タイプ2 | 愛されたい・必要とされたい(承認への欲求) | 他人の役に立ち、親切で献身的に振る舞う | 
| タイプ6 | 安全でいたい・支えがほしい(安定への欲求) | 権威や集団に忠実で、リスクを避ける | 
これら3つのタイプは、行動だけ見ると「他者に合わせる」「従う」「協力的」という共通点があり、迷いが生じやすいのです。
実は、精神分析学者のカレン・ホーナイは、対人関係のパターンを3つに分類しました。
このうち、タイプ1、タイプ2、タイプ6は、「人に近づき、従うことで安全を得ようとする」追従型(Moving Toward People)の特徴を示すことがあります。
しかし、その「従う」行動の本当の理由(深層心理)は、タイプによってまったく異なります。
カレンホーナイの法則について興味がある方はこちらの記事を参照ください。
本記事では、あなたの迷いを解消するために、エニアグラムの知識を深めつつ、心理学の視点を少し加えながら、3タイプを徹底比較します。
あなたの「従う」行動の背後に隠された、本当の恐怖と願いは何でしょうか?
1. ホーナイの追従型: なぜ人は「従う」のか
「追従」の背後にある「基本的不安」の正体
ホーナイは、神経症的な傾向を持つ人々の根底には、基本的不安(Basic Anxiety)があると考えました。
簡単に言えば「世界は危険だ。私は無力で、ひとりぼっちだ」という、誰もが無意識化に秘めた根源的不安です。
この不安から身を守るために、私たちは3つの戦略のいずれかを強く使います。
- 追従型(人に近づく): 献身や従順さで、愛と安全を確保しようとする。
- 攻撃型(人に対立する): 支配や競争で、強さを示し、安全を確保しようとする。
- 遊離型(人から離れる): 孤立や自立で、他者に頼らず、安全を確保しようとする。
エニアグラムのタイプ1、2、6は、このうち追従型の傾向が強く出やすいのです。
2. タイプ別比較:
誰に対して、何のためを守るために追従するのかを見て見ましょう。
| 特徴 | タイプ1の追従 | タイプ2の追従 | タイプ6の追従 | 
| 追従の対象 | 「正しさ」「原則」「理想」 | 「他者のニーズ」「期待」 | 「権威者」「集団」「ルール」 | 
| 守りたいもの | 自己の正しさ、道徳性 | 他者からの愛情、必要とされること | 安全、安定、拠り所 | 
| 根源的な恐怖 | 自分が間違っている・悪い | 愛されない・必要とされない | 世界は危険・信頼できない | 
タイプ1の追従: 「正しさ」という盾
タイプ1は、原則やルール、倫理的な理想に従います。彼らの「従う」は、人への服従ではなく、「正しさ」という抽象的な基準への服従です。
上司の指示に従うのも、その指示が「正しい」「合理的だ」と判断したからです。もしその指示が不当だと感じれば、彼らは反対の声を上げます。
心理学のアクセント
フロイトの精神分析では、タイプ1は超自我(Superego)が非常に厳しい状態にあると見なせます。超自我は「〜すべき」「〜してはいけない」という内なる批評家です。タイプ1は、この内なる声を静めるため、「正しい行い」に絶えず従い、自分を批判から守ろうとするのです。
タイプ2の追従: 「愛」という命綱
タイプ2は、他者のニーズや感情的な期待に従います。彼らの追従は、愛情と承認を得るための行動です。
「あなたのために尽くします」「あなたの望むことをします」という献身を通して、「私にはあなたが必要だ」というメッセージを引き出し、愛されることを願います。
心理学のアクセント
精神分析家ウィニコットの対象関係論では、タイプ2は「偽りの自己(False Self)」を発達させていると理解できます。これは、本当の自分を隠し、他者が求める理想の自分を演じることです。相手の望みに従うことで、「愛される自分」という仮面を守り、自分の存在価値を確保しようとします。
タイプ6の追従: 「安全」という拠り所
タイプ6は、信頼できる権威や集団、確立されたルールに従います。彼らの追従は、危険な世界で安定と安全を確保するためのものです。
タイプ6の追従には両価性(ambivalence)が伴います。つまり、「従いたい」と願いながらも、同時に「本当にこの人を信じて大丈夫か?」という疑念も常に抱き続けます。彼らにとって追従は、絶えず「安全性のチェック」を伴う行動なのです。
心理学的考察
エリクソンの心理社会的発達理論を参照すると、私たちは人生の最初の課題である「基本的信頼 vs 不信」の課題を抱えていると考えられます。幼少期に「世界は安全で信頼できる」という感覚が十分に育たなかったため、大人になっても確実な拠り所を求め続けます。追従は、不確実な世界を生き抜くためのリスクヘッジ戦略なのです。
この部分が未発達なのが、タイプ1、タイプ2、タイプ6のいずれかになります。
3. 具体的な場面で見る3タイプの行動の違い
「上司から曖昧な指示を受けた」という状況で、3タイプがどのように追従するかを比較します。
状況: 上司から「これ、よろしく頼むよ」という曖昧な指示を受けた
- タイプ1の反応
- 動機: 正しい方法で実行し、完璧に遂行したい。
- 行動: 「品質の基準は何ですか?」「具体的な手順はありますか?」と、ルールや方法論に関する質問をして、正解を追求してから従います。
 
- タイプ2の反応
- 動機: 上司の期待を超え、感謝と承認を得たい。
- 行動: 「お忙しいでしょうから、すぐに私がやりますね!」「何か他に手伝えることはありますか?」と、期待以上の献身を示し、上司が喜ぶことに焦点を当てて従います。
 
- タイプ6の反応
- 動機: 責任の所在を明確にし、リスクを回避したい。
- 行動: 「詳細を確認させてください。もし失敗した場合の責任はどうなりますか?」「指示内容をメールで残してもよろしいですか?」と、安全性の確認と保証を求めてから従います。
 
4. 追従行動の防衛メカニズム
精神分析では、私たちが無意識のうちに自分を守るために使う「心の仕組み」を防衛メカニズム(Defense Mechanisms)と呼びます。3タイプの追従は、それぞれ異なる防衛メカニズムで支えられています。
タイプ1: 「反動形成」と「隔離」
- 反動形成(Reaction Formation): 受け入れがたい衝動(例えば「怒り」や「いい加減にしたい」という気持ち)を、その正反対の行動(完璧さや冷静さ)に変えて表現します。
- 隔離(Isolation): 感情と思考を切り離し、論理的に判断します。感情的な痛みから逃れるために、思考に基づいて従います。
タイプ2: 「抑圧」と「投影同一化」
- 抑圧(Repression): 自分の本当のニーズや怒りを無意識に押し込めます。「私は何も必要としていない」と信じ込むことで、相手のニーズにだけ焦点を当てて追従します。
- 投影同一化(Projective Identification): 自分のニーズを他者に投影し、「あの人が私を必要としている」と強く感じます。この投影されたニーズに応える形で献身的な追従が現れます。
タイプ6: 「投影」と「知性化」
- 投影(Projection): 自分の疑念や敵意を他者に押しつけます。「私は世界を疑っている」という不安を、「あの人が私を陥れようとしている」と感じることで、外部の危険として認識します。
- 知性化(Intellectualization): 感情的な脅威を、論理的な分析によって中和しようとします。「もし失敗したらどうなるか?」という思考の無限ループに入り、徹底的なリスク分析に基づいて従います。
まとめ: あなたの「追従」の目的は何か?
タイプ1、タイプ2、タイプ6——どのタイプも「追従」という行動を取りますが、その行動の目的と心の防衛は異なります。
| あなたのタイプは? | 追従の目的 | 問いかけてみるべきこと | 
| タイプ1 | 正しさの維持 | 「本当に正しいことは何だろう?」「このルールは今、私自身を守っているか?」 | 
| タイプ2 | 愛情の確保 | 「この行動は、愛されたいから?それとも純粋に助けたいから?」「私の本当の気持ちは何?」 | 
| タイプ6 | 安全の確保 | 「この人は本当に信頼できるか?」「最悪の事態に備える必要はあるか?」 | 
あなたが誰かに従っているとき、その行動はあなたの最も深い欲求と恐怖を教えてくれています。
次に誰かに従う時、この問いを自分に投げかけてみてください。
「私は、何を守るために従っているのだろうか?」
この自己理解こそが、エニアグラムの目指す「統合への成長」であり、あなたが自分の本当のタイプを見つけ、より自由に生きるための第一歩となるでしょう。
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木村真基
Kimura Naoki
ウェブデザイナー/エニアグラム講師
プロフィール
「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。本業はホームページ制作。ホームページの効果を実証するために、ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム講座を開始。気づけば、エニアグラム、16性格診断、ソシオニクスのタイプ判定を生業にしている。
・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(ENTp)(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我
などの性格類型を活用して、自分らしく生きる方法を提唱中。


















