エニアグラムの健全度とは?健全-通常-不健全を9つに分けて紹介
エニアグラム上級者向けの記事です。ドンリチャードリソとラスハドソンのエニアグラム本では、9つの性格タイプに続いて各タイプの発達のレベルがあります。
コレですね
本記事では、エニアグラムの健全度についてお伝えしていきます。
エニアグラムの健全度とは?
参考著書はこちらになります。
正直、価格を見たときに鼻血が飛び出ましたが、エニアグラムファンにとって価格に見合うものです。各タイプの心の状態の変化を詳しく説明をしてくれているからです。
健全:レベル1~3
レベル1:解放の段階
各タイプ毎の根源的恐れを克服して、内側の囚われから解放されている状態です。
本書では、このように説明されています。
段階1:そのタイプのまさに最も健全な状態であって、心理面で調和がとれた状態にあり、自由で、特別な霊的能力や長所が現れる。そのタイプにとって理想的な状態であり、タイプの本質的な性質を映し出す。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
本書では、健全度1の状態を「霊的(スピリチュアル)」な状態と呼んでいます。この状態は、自分の恐れを克服して、そのタイプの本質が目覚めている状態です。
エニアグラム【基礎編】の第三章の「本質と性格」によると、エニアグラムの「性格」は、私たちの可能性を限定する部分として説明されています。
例えば、タイプ1:改善する人は、間違いを過度に恐れて、正しさを欲して、あらゆるものを自分の正しさに当てはめてジャッジします。しかし、その状態は、自分の正義を他者に押し付けているだけにすぎません。この状態を続けている限り、視野は狭くなります。
健全度1のタイプ1は、物事をあるがままに受け止める器が育まれます。落ち着いた心の状態で賢明な判断ができるようになり、異なる立場から人の意見に耳を傾けられるようになります。
それこそが、タイプ1の本質であり、タイプ1が求めている「知恵」です。
レベル2:心理的受容力の段階
そのタイプはまだ健全ではあるが、自我と自我の防衛が幼少期の根源的な不安に反応して表れ始める。最も強烈な不安と欲求が、両親との関係の結果として現れる。自己感覚とタイプとしての総体的な認識形式が姿を現す。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
健全度2は至って健全です。むしろ、健全です。健全度1が根源的恐れを克服しているのに対して、健全度2は根源的恐れに接触をして、根源的欲求に忠実になっている状態と考えてください。
よって、私たちが最も私たちらしくいられる状態です。例えば、タイプ8は健全度2の状態を見てみましょう。
- 根源的恐れ:他者から自由を奪われてコントロールされることを認識している
- 根源的欲求:もっと強くなりたい、自分を守りたい、意思をはっきりと示したい
心理学の文脈を含めると、自我(=恐れ)と自我の防衛(欲求)が明確に表れている状態です。
自分の課題が何かを明確に理解できており、その課題を克服するために的確な判断が取れる状態です。この時のタイプ8は力強く、周りの人々を勇気づけて、脅威に向かって挑戦できます。
健全度2の状態は、自己実現に向かっている状態と言えます。 各タイプの社会的欲求(承認・愛・帰属)を克服して、自分の人生を生きています。
この状態をは、マズローさんの五段階欲求で考えるとわかりやすいかもしれません。
社会的欲求(承認欲求)が強く表れるのは、健全度3の状態ですね。では、次の段階についてみていきましょう。
レベル3:社会的価値の段階
まだ健全ではあるが、健全さの度合いは低い。自我はさらに能動的になり、特有のペルソナを生み出す。そのタイプが、人々や社会にもたらす健全で社会的な特徴が見えてくる。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
健全度3は、どのタイプも最も社会と接しています。各タイプが好むペルソナ(社会的役割)が強く出ます。言い換えるなら、自分のタイプを通してグループやコミュニティに対して調和を試みようとしている状態です。
1:教育する人/2:特別な友/3:ザ:ベスト/4:特別な人/5:専門家/6:頼もしい人/7:元気にさせる人/8:岩(ロック)/9:特別でない人
参照:エニアグラム【実践編】
健全度3は健全ではありませんが、他者の目を気にして、自分にブレーキをかけている状態です。例えば、タイプ3の社会的役割は「ザ・ベスト」です。この状態のタイプ3は、その場でNo1を目指して努力をしますが、自分が心の底からやりたいことには全力集中できていません。
繰り返しになりますが、この状態は社会的には健全な状態です。健全度3の人たちは、自分の強みや資質を発揮することで社会との調和を図っているからです。ただ、健全度2と比べると、心の底から自分が望む人生を歩んではいません。
通常:レベル4~6
レベル4:不均衡の段階
精神的活力の源はそれぞれのタイプによって異なるが、その特有の源に近づいていくことによって、そのタイプは微妙に不均等になり始める。それぞれのタイプは、まだ気づかないままに、精神的な行き詰まりが現れ、もしそれが続けば、精神内部の葛藤や人間関係の葛藤をますます生み出していく
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
健全度4のキーワードは「葛藤」です。各タイプは、どこかで今の社会的役割に行き詰まりを感じます。健全な状態よりも根源的恐れを強く意識します。エニアグラムのハートセンター(タイプ2、タイプ3、タイプ4)が健全度4の状態でどのような欲求を持つのかを見てみましょう
- タイプ2:求められたい-他の人たちのそばにいたい
- タイプ3:周りの人たちの人目を引きたい-注目されたい
- タイプ4:自分「だけ」の気持ちに長く浸っていたい
ハートセンターの健全度4は、全体的に自意識過剰が目立ちます。自分の理想の状態を強く意識することで、他者や社会から退きます。この状態が続くと、他者から見た自分と好ましいイメージの間にギャップが生じて、どんどんとこじれていきます。
レベル5:対人関係支配の段階
タイプがそれぞれ特有のやり方で環境を支配しようとするのにつれて、自我が膨張する。防衛機能はますます深刻になる。そのタイプにとって堕落への明確な転回点である。特性は、目に見えて健全さを失い、より否定的になる。他者との葛藤が増える。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
言葉の通りですが、レベル5の段階では誰かをコントロールしようとします。悪い意味で意識が外に向き、自分の存在を承認してもらうために、他者にプレッシャーをかけます。このやり方が各タイプ毎に異なります。
各タイプが他者をどう操作するか?
タイプ1 | 人の誤りを指摘し、自分と同じ基準を共有するべきだと主張することによって。 |
タイプ2 | 人のニーズや欲求を見つけ出して、依存関係を作り出すことによって。 |
タイプ3 | 人を魅了し、「効果のある」イメージであれば何でも取り入れることによって。 |
タイプ4 | 気分が変わりやすくなり、人に「顔色を窺わせること」によって。 |
タイプ5 | 何かに没頭し、人から気持ちが離れることによって。 |
タイプ6 | 文句をいい、人がどれだけ自分に真剣に関わってくれるかを試すことによって。 |
タイプ7 | 人の注意をそらし、自分の要求に応えるように主張することによって。 |
タイプ8 | 人を支配して、自分の言うとおりにするように要求することによって。 |
タイプ9 | 「気持ちが離れ」、暗黙の抵抗をすることによって |
健全度5の状態は、健全度3の社会的役割が上手に機能しないときに引き起ります。例えば、タイプ4は「特別な人」としての社会的役割を好みます。この健全度3のタイプ4は「自分は他の人とは違う」とPRして、特別な人として見られるように働きかけます。
しかし、誰からも関心が得られなければ、タイプ4は、気分屋になり、よそよそしい人を演じます。相手を振り回したり、駆け引きをすることで、何としてでも関心を得ようとします。
なお、タイプ7の場合、この状態は退行状態のタイプ1にも近いと言われていますね。「この状態から抜け出したい、もっとワクワクしたい、自由を奪われなくない」という衝動を抑えられないのかもしれません。
- タイプ4:周囲から身を引き、他者から関心を獲得する
- タイプ7:衝動に身をゆだねて自我を前面に出す
なお、この状態は怒りを発散したり、誰か悩みを聴いてくれる人がいれば、レベル4の状態に戻れます。心身ともにスッキリすれば、レベル3にも行けるでしょう。
レベル6:過補償の段階
レベル6の過補償とは、葛藤と不安が膨らみすぎて、自分だけしか見えないない状態です。悪い意味で、内向的になります。良い内向性とは自分自身と仲良くできている状態ですが、この状態では自分自身と仲良くなれていません。また、9つ性格タイプの悪いところが前面に出ます。
- いわゆるメンヘラ!
- 自己中心になり、態度に現れる
- 自分はだけかわいそうだと思い込む
この状態になるとメンタルはズタズタになります。一方的な擁護や保証を求めてばかりで、他人のアドバイスや助言には耳を傾けられません。それでいて、自分のすべてを受け止めてほしいと他人には要求をします。まるで、「お財布には1000円しかないけれど、10000円のサービスをしろ!」と言わんばかりに・・・。
メンヘラかどうかは別として、この状態は、最も人から支援を受けることを求めているのにも関わらず、人が逃げていき、誰かも相手にされなくなります。
ちなみに、私の過去の経験をいうと、カウンセラー全員から逃げられて、色々なところをたらい回しにされました。(笑)
この状態から抜け出す方法は、今の状態に気づき、少しずつ状況を改善できるように心がけることです。幸いにも、まだ自分で考えて判断する力はあります。次の不健全のレベルに落ちると、身体が言うことを効きません。
不健全:レベル7~9
この状態になると、ストレスや恐怖に身体が支配されて、メンタルが病み、最悪のケースとして自分で自分をコントロールできなくなるケースもあります。
レベル7:侵略の段階
言葉の通りですが、自我の防衛ができません。その結果、過剰なまでの恐怖を感じて、現実的でない欲求に支配されます。
- 不安や恐怖に囚われ続ける
- ひどく神経節になり過敏になる
- 認知がゆがむ、強迫観念にとらわれる
仕事などで激しいストレスを受けて、その影響が身体にきている状態に近いですかね。エニアグラム的にはメンタルが原因なのですが、ストレスが身体に影響している状態です。
医学の専門家ではないので、この点については差し控えさせていただきます。
たったひとつ確かなことがあるとするのならば、
とりあえず寝ろ!休め!
です。何も考えずに、ぐっすり寝て、おいしいものを食べてれば、身体は回復します。メンタルとブレインは、その後にゆっくりと回復させましょう。
レベル8:妄想的思考と衝動脅迫的行為の段階
その名の通り、妄想と衝動と脅迫に支配されている段階です。レベル7でストレスに打ち勝つ体力と精神力がなくなることはお伝えしました。レベル8になると、精神の葛藤や不安を屈服する前に、自分の都合よく現実を作り変えようとします。
思考、知覚、感情はゆがんでしまい、自由を感じられず、誰かに支配されているかのように感じます。その傾向はタイプによってだいぶ異なります。
- 追従型(1、2、6):世の中は狂っている
- 遊離型(4、5、9):別の世界に転生したい
- 主張型(3、7、8):世の中、全員が敵だ
と、妄想と脅迫観念だけがひとりでに膨らんでいき、現実との接触を失っていきます。レベル7は、寝て休めば身体の体調は整えることができますが、この状態になると不安や恐怖のあまり身体が機能しないかもしれません。この状態で社会に適応するのは厳しい・・・じゃなくて無理かと思います。
※医者じゃないので詳しいことは言えませんが、この状態になったら精神科に通うのもありかもしれません。
レベル9:病理的崩壊の段階
完全にメンタルがやられている状態です。レベル8の妄想と衝動が限界まで達して、もはや理性が効かなくなる状態です。
そんな状態で自我を守るためにできることは、自身・他者・周りにあるものを、自ら進んで破壊すること。
何を破壊するかはタイプによってだいぶ異なります。タイプ毎に自我崩壊の内容や要因は異なりますが、行きつくところは一緒だと覚えておいてください。
エニアグラム9つのレベルの考察とまとめ
いかがだってでしょうか?
文字量の都合で割愛しましたが、この9つのレベルは、9つの性格タイプ毎の健全度の最大公約数(?)であり、タイプによって表に出る症状はだいぶ異なります。タイプ1とタイプ7でも、態度や行動には違いがあります。本当は、9つごとにその傾向を示したいのですが、時間の都合でまだ出来そうもありません。今しばらくお待ちください。
このモデルを作ったのは、ドン・リチャード・リソです。自身がカウンセリングを学んでいたことからカウンセリングにエニアグラムをカウンセリングの文脈でとらえたのでしょう。非常によくできたモデルだと思います。
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有料タイプ診断
LINE公式アカウント
木村真基
ウェブデザイナー/エニアグラム講師
プロフィール
「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。性格タイプ判定専門のエニアグラム×16タイプ講師。自身も講師として働きながら、お客様のセミナー集客特化型のホームページを作ることが得意。
本業:ウェブデザイナー(フリーランス)/副業:性格タイプ講師×デザイン講師
エニアグラム/16タイプ/ストレングスファインダーを武器に自分のタイプで生きている人。
・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我
ウェブデザインだけではなく性格もデザインします♪