エニアグラムの健全度とは?健全-通常-不健全を9つに分けて紹介
こんにちは。今回は、エニアグラムの中でも少し上級者向けの内容、「9つのレベル(健全度)」について、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
この「9つのレベル」は、ドン・リチャード・リソとラス・ハドソンが開発したもので、私たちの心の状態がどのように変化していくのかを、とても丁寧に説明してくれています。
健全度の図解はこちらを参照ください。

難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は自分の心の状態を理解するための、とても優しい地図のようなものです。一緒にゆっくり見ていきましょう。
参考著書はこちらになります。

性格のタイプ
正直、価格を見たときに鼻血が飛び出ましたが、エニアグラムファンにとって価格に見合うものです。各タイプの心の状態の変化を詳しく説明をしてくれているからです。
本記事では、エニアグラムの健全度についてお伝えしていきます。
健全度(レベル)とは?心の状態を示す9段階
エニアグラムでは、9つのタイプそれぞれに「レベル1〜9」という段階があります。
これは「良い人・悪い人」を決めるものではありません。
「今、自分がどんな心の状態にあるか」を知るための目安です。
レベル1〜3:健全な状態(自分らしく、自由に生きている)
レベル4〜6:通常の状態(葛藤や不安を感じ始めて崩れていく)
レベル7〜9:不健全な状態(恐れに支配されて、人格崩壊)
人は一生のうちで、このレベルを行ったり来たりします。
大切なのは、「今の自分がどこにいるか」に気づくこと。
そして、無理に「上げよう」とせず、やさしく自分を観察することです。
健全:レベル1~3
レベル1:解放の段階

各タイプの根源的な恐れを克服し、内側の囚われから自由になっている状態です。
本書では、このように説明されています。
段階1:そのタイプのまさに最も健全な状態であって、心理面で調和がとれた状態にあり、自由で、特別な霊的能力や長所が現れる。そのタイプにとって理想的な状態であり、タイプの本質的な性質を映し出す。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
このレベルにいるとき、あなたはそのタイプの「本質」そのものを生きています。
例えば、タイプ1(改革する人)なら、「正しくあらねば」という強迫観念から解放され、物事をあるがままに受け止められるようになります。落ち着いた心で賢明な判断ができ、異なる意見にも耳を傾けられます。
これは、タイプ1が本当に求めていた「知恵」そのものです。
レベル1は、性格の枠を超えて、その人の本質が自然ににじみ出ている状態。
リソとハドソンは、この状態を「霊的(スピリチュアル)」と表現しています。
レベル2:心理的受容力の段階
自分の課題を理解し、それに向き合いながら、最も自分らしく生きている状態です。

そのタイプはまだ健全ではあるが、自我と自我の防衛が幼少期の根源的な不安に反応して表れ始める。最も強烈な不安と欲求が、両親との関係の結果として現れる。自己感覚とタイプとしての総体的な認識形式が姿を現す。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
レベル1が「恐れを克服している」のに対し、レベル2は「恐れに気づき、それを受け止めている」状態と言えます。
例えば、タイプ8(挑戦する人)の場合:
- 根源的恐れ:他者から自由を奪われてコントロールされること
- 根源的欲求:もっと強くなりたい、自分を守りたい、意思をはっきり示したい
レベル2のタイプ8は、この恐れと欲求を明確に理解しており、力強く、周りの人々を勇気づけ、脅威に立ち向かうことができます。
レベル2は、私たちが最も「私たちらしく」いられる状態です。
自分の課題が何かを理解し、その課題を克服するために的確な判断が取れています。そして、自分のタイプの資質を活かして、誰かに貢献する意思があります。
この状態は、マズローの欲求段階説でいう「自己実現」に向かっている状態とも言えるでしょう。
社会的欲求(承認欲求)が強く表れるのは、健全度3の状態ですね。では、次の段階についてみていきましょう。
レベル3:社会的価値の段階
社会と調和しながら、自分の役割を果たしている状態です。

まだ健全ではあるが、健全さの度合いは低い。自我はさらに能動的になり、特有のペルソナを生み出す。そのタイプが、人々や社会にもたらす健全で社会的な特徴が見えてくる。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
レベル3では、各タイプが好む「社会的役割(ペルソナ)」が強く出ます。
- タイプ1:教育する人
- タイプ2:特別な友
- タイプ3:ザ・ベスト
- タイプ4:特別な人
- タイプ5:専門家
- タイプ6:頼もしい人
- タイプ7:元気にさせる人
- タイプ8:岩(ロック)
- タイプ9:特別でない人
参照:エニアグラム【実践編】
例えば、タイプ3の場合、「その場でNo.1を目指して努力する」のがレベル3の状態です。ただ、心の底からやりたいことに全力集中できているわけではなく、「周りからどう見られるか」を意識しながら行動しています。
レベル3は社会的には健全な状態です。
自分の強みや資質を発揮することで社会との調和を図っています。ただ、レベル2と比べると、他者の目を気にして、自分にブレーキをかけている部分があります。
通常:レベル4~6
ここから、心の中に小さな不協和音が鳴り始めます。
レベル4:不均衡の段階
根源的な恐れを強く意識し始め、心の中に葛藤が生まれます。

精神的活力の源はそれぞれのタイプによって異なるが、その特有の源に近づいていくことによって、そのタイプは微妙に不均等になり始める。それぞれのタイプは、まだ気づかないままに、精神的な行き詰まりが現れ、もしそれが続けば、精神内部の葛藤や人間関係の葛藤をますます生み出していく
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
レベル4のキーワードは「葛藤」です。
各タイプは、どこかで今の社会的役割に行き詰まりを感じます。そして、根源的恐れがより強く顔を出し始めます。
例えば、ハートセンター(タイプ2、3、4)の場合:
- タイプ2:求められたい、他の人たちのそばにいたい
- タイプ3:周りの人たちの注目を引きたい
- タイプ4:自分「だけ」の気持ちに長く浸っていたい
ハートセンターのタイプは、自意識過剰が目立ち始めます。自分の理想の状態を強く意識することで、他者や社会から少し退いてしまいます。
この状態が続くと、「他者から見た自分」と「自分が思い描く理想」の間にギャップが生じ、どんどんとこじれていきます。
これが、健全度3→4に下がる瞬間です。
健全度が下がる瞬間はこちらの記事をご覧ください。
レベル5:対人関係支配の段階

タイプがそれぞれ特有のやり方で環境を支配しようとするのにつれて、自我が膨張する。防衛機能はますます深刻になる。そのタイプにとって堕落への明確な転回点である。特性は、目に見えて健全さを失い、より否定的になる。他者との葛藤が増える。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
環境をコントロールしようとし、他者にプレッシャーをかけ始めます。
レベル5では、各タイプが自分の存在を承認してもらうために、他者を操作しようとします。このやり方は、タイプによって異なります。
| タイプ1 | 人の誤りを指摘し、自分と同じ基準を共有するべきだと主張することによって。 |
| タイプ2 | 人のニーズや欲求を見つけ出して、依存関係を作り出すことによって。 |
| タイプ3 | 人を魅了し、「効果のある」イメージであれば何でも取り入れることによって。 |
| タイプ4 | 気分が変わりやすくなり、人に「顔色を窺わせること」によって。 |
| タイプ5 | 何かに没頭し、人から気持ちが離れることによって。 |
| タイプ6 | 文句をいい、人がどれだけ自分に真剣に関わってくれるかを試すことによって。 |
| タイプ7 | 人の注意をそらし、自分の要求に応えるように主張することによって。 |
| タイプ8 | 人を支配して、自分の言うとおりにするように要求することによって。 |
| タイプ9 | 「気持ちが離れ」、暗黙の抵抗をすることによって |
レベル5は、レベル3の社会的役割が上手に機能しないときに起こります。
例えば、タイプ4は「特別な人」として見られたいのに、誰からも関心が得られないと感じたとき、気分屋になり、よそよそしい態度を取り始めます。相手を振り回したり、駆け引きをすることで、何としてでも関心を得ようとします。
ただし、この状態でも、怒りを発散したり、誰かに悩みを聴いてもらえれば、レベル4や3に戻ることができます。
レベル6:過補償の段階
葛藤と不安が膨らみすぎて、自分しか見えなくなります。

レベル6では、9つの性格タイプの「悪いところ」が前面に出てきます。
この状態の特徴:
- 自己中心的になり、態度に現れる
- 「自分だけがかわいそう」と思い込む
- 他人のアドバイスや助言に耳を傾けられない
- それでいて、自分のすべてを受け止めてほしいと要求する
メンタルはかなり疲弊しています。一方的な擁護や保証を求めてばかりで、周囲の声が届かなくなります。
この状態が続くと、最も支援を必要としているのに、人が離れていき、誰からも相手にされなくなるという悪循環に陥ります。
この状態から抜け出す方法は、今の自分の状態に気づき、少しずつ改善していくことです。
幸いにも、まだ自分で考えて判断する力は残っています。
不健全:レベル7~9
この状態になると、ストレスや恐怖に身体が支配されて、メンタルが病み、最悪のケースとして自分で自分をコントロールできなくなるケースもあります。
レベル7:侵略の段階

ここから先は、ストレスや恐怖に身体が支配され、メンタルが深刻なダメージを受けている状態です。
自我の防衛ができず、過剰な恐怖と現実的でない欲求に支配されます。
この状態の特徴:
- 不安や恐怖に囚われ続ける
- ひどく神経質になり、過敏になる
- 認知がゆがみ、強迫観念にとらわれる
仕事などで激しいストレスを受け、その影響が身体に出ている状態に近いです。ストレスが身体に影響し、心と体が悲鳴を上げています。
この状態になったら、とにかく休むことが最優先です。
何も考えずに、ぐっすり寝て、おいしいものを食べる。身体の回復が第一です。メンタルは、その後にゆっくりと回復させましょう。
レベル8:妄想的思考と衝動脅迫的行為の段階

妄想と衝動と強迫観念に支配されている状態です。
レベル7でストレスに打ち勝つ体力と精神力がなくなると、レベル8では、精神の葛藤や不安を受け止める前に、自分の都合よく現実を作り変えようとします。
思考、知覚、感情がゆがみ、自由を感じられず、誰かに支配されているかのように感じます。
- 追従型(1、2、6):世の中は狂っている
- 遊離型(4、5、9):別の世界に転生したい
- 主張型(3、7、8):世の中、全員が敵だ
妄想と強迫観念だけがひとりでに膨らんでいき、現実との接触を失っていきます。
レベル7は、休めば身体の体調を整えることができますが、この状態になると、不安や恐怖のあまり身体が機能しなくなるかもしれません。この状態で社会に適応するのは非常に難しいでしょう。
専門家の助けが必要な段階です。
心療内科や精神科など、専門家のサポートを受けることを検討してください。
※医者じゃないので詳しいことは言えませんが、この状態になったら精神科に通うのもありかもしれません。
レベル9:病理的崩壊の段階

メンタルが完全に崩壊している状態です。
レベル8の妄想と衝動が限界まで達し、もはや理性が効かなくなります。
この状態で自我を守るためにできることは、自分自身・他者・周りにあるものを、自ら進んで破壊することだけになります。
何を破壊するかはタイプによって異なりますが、行きつくところは同じです。
この状態になる前に、必ず専門家の助けを求めてください。
健全度こそが、エニアグラムの根幹である
この9つのレベルは、9つの性格タイプそれぞれの「心の状態の変化」を示す地図です。タイプによって表に出る症状は異なりますが、基本的な流れは同じです。
このモデルを作ったドン・リチャード・リソは、カウンセリングを学んでいた経験から、エニアグラムをカウンセリングの文脈で捉え、この理論を開発しました。
なぜ、健全度を理解することが最も重要なのか?
最近、エニアグラムを学ぶ多くの方が「自分のサブタイプは何か?」に興味を持っています。実際、私たちのセッションでも、サブタイプについての質問が非常に多いのが現状です。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてほしいのです。
エニアグラムを理解するということは、健全度を理解することに尽きます。
サブタイプを知ることは確かに興味深いですし、自分のタイプ決めの助けになります。けれど、それは「病気の名前を知っているけれど、症状を知らない」のと同じ状態です。
健全度を通して、心の状態を可視化する
エニアグラムの本当の価値は、自分の心の状態を可視化できることにあります。
「最近、人を批判することが増えたな」(タイプ1、レベル4)
「こんなに尽くしているのに、誰もわかってくれない」(タイプ2、レベル4)
「成果よりも、見栄えばかり気にしている」(タイプ3、レベル4)
こうしたサインに気づくことができれば、自分が今、健全度3から4へ下がり始めていることが分かります。
そして、気づくことができれば、対処できます。
- 休む
- 誰かに話を聞いてもらう
- 自分を責めるのをやめる
- 「今のままでも大丈夫」と受け入れる
健全度を理解することは、自分の心の羅針盤を手に入れることです。
これがあるから、私たちは迷わずに済む。
これがあるから、自分をやさしく扱える。
これがあるから、「下げない」ことに集中できる。
📖 参考文献
この記事は、以下の書籍を参考にしています:
『性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム』
ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソン著
この本は絶版となっており、現在は非常に高額で取引されていますが、エニアグラムを深く学びたい方にとっては、価格に見合う価値のある一冊です。
各タイプの心の状態の変化を、これほど詳しく説明している本は他にありません。
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4時間で、自分のすべてがわかる!
行動のクセ、人間関係のパターン、なぜ動けないのか。その答えは、エニアグラムのタイプでわかります。
このセッションでは、エニアグラムの5つの視点
──「9の性格タイプ・ウイング・生得本能・フロイトモデル・健全度」をひとつに統合。
海外のエニアグラムの理論を通じて根源から紐解いていきます。
無料講座
お客様限定|タイプ論の月例会
タイポロジースクール
エニアグラム生得本能の会
2025.11.19
水
21:00
23:00
リソ×ラスのエニアグラム実践編を通じて、健全度が通常になったとき、どの生得本能が現れるかを見ていきます。 健全なときは、3つの生得本能をバランスよく使えますが、健全度が落ちると優位と盲点がハッキリとでます。 その状態を可視化していきましょう!
対象
エニアグラムオンライン【コミット】参加者様
上記のお客様の紹介者様
形式
グループ講座
日時
2025年11月19日(水)21~23時
場所
Zoom
料金
無料
定員
5〜8名
備考
開始60分前にご参加いただければ、個別でフォローアップを致します。
当日の流れ
20:00 受付
フォローアップセッション。エニアグラム×16性格診断のご質問にお答えします。
21:00 1部の開始
自己紹介や本日のテーマや理論の紹介を行います。
21:30 グループワーク
数人のグループに分けて学んだ内容の共有や意見交換を行います(人数によってはやらない場合もございます)
22:00 2部の開始
1部の内容を反映して、二部の内容について共有します。
22:20 グループワーク
30分ほどグループワークを行います。23:00にいったん終了します
23:00 Q&Aの会
ご希望のお客様に限り残り、エニアグラムオンラインの質問についてお答えします。
講座案内
9つの性格タイプ一覧
サブタイプ一覧
木村真基
Kimura Naoki
ウェブデザイナー/エニアグラム講師
プロフィール
「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。本業はホームページ制作。ホームページの効果を実証するために、ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム講座を開始。気づけば、エニアグラム、16性格診断、ソシオニクスのタイプ判定を生業にしている。
・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(ENTp)(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我
などの性格類型を活用して、自分らしく生きる方法を提唱中。
















