エニアグラムの健全度とは?健全-通常-不健全を9つに分けて紹介
エニアグラム上級者向けの記事です。ドンリチャードリソとラスハドソンのエニアグラム本では、9つの性格タイプに続いて各タイプの発達のレベルがあります。
コレですね
本記事では、エニアグラムの健全度についてお伝えしていきます。
エニアグラムの健全度とは?
参考著書はこちらになります。

性格のタイプ
正直、価格を見たときに鼻血が飛び出ましたが、エニアグラムファンにとって価格に見合うものです。各タイプの心の状態の変化を詳しく説明をしてくれているからです。
健全:レベル1~3
レベル1:解放の段階
根源的恐れを克服して、自らの囚われから解放されている状態です。
本書では、このように説明されています。
段階1:そのタイプのまさに最も健全な状態であって、心理面で調和がとれた状態にあり、自由で、特別な霊的能力や長所が現れる。そのタイプにとって理想的な状態であり、タイプの本質的な性質を映し出す。
参照:性格のタイプ-自己発見のためのエニアグラム
本書では、これの開放的な段階を「霊的(スピリチュアル)」な状態と称しているのですが、これは自分の恐れや欲求を克服して、身も心も自由になっている状態だといえます。
- マズローの自己実現の先にある自己超越のレベル
- 仏教における煩悩を断ち切った状態
例えば、タイプ3は、地位や名声を獲得するために自分を駆り立てますが、裏を返せば今の自分がそれは今の自分が満足できるレベルまでレベル1の状態になると、自分に価値を感じられます。よって、見栄や欺瞞に走ることがなく、他者に対してオープンになり、もっと自分の力を使って個人や組織に対して貢献したいと心の底から思えるようになります。
レベル2:心理的受容力の段階
健全な状態だけれど、根源的恐れを感じていて、その恐れを埋め合わせようとしている状態です。例えば、タイプ8は、「他者から自由を奪われてコントロールされること」を恐れていますが、その恐れに対して「もっと強くなりたい、自分の意思をはっきりと示したい」と心の底から思える状態です。
心理学では、自我と自我の防衛が明確に表れる状態です。
レベル2では、自分の課題が何かを理解できており、その課題を克服するために的確な判断ができて、適切な行動がとれます。周囲に振り回されて迷ったり、悩んだりせずに、自分のゴールに向かって前向きに進むことができます。
この状態にいると、非常に魅力的になれますし、人からの尊敬も獲得できます。マズローの文脈でいうと、他者承認の欲求を克服して自己実現に向かって進んでいる状態です。
参考までにマズローさんです。
対して、次のレベル3が社会的価値の段階になります。この状態は、まさに各タイプ毎の社会的欲求が現れます。
レベル3:社会的価値の段階
公私混同で周囲の人とうまくやりながら、それなりに充実した日々を過ごせる状態です。恐れや欲求こそ感じていますが、何の問題もない普通の状態と言ってもよいでしょう。この状態は健全であり、心のバランスを上手に保っています。また、自分でも健全な状態を保とうとしています。
そのため、各タイプの特徴や傾向が表れるだけはなく、外界に自分を適応させるためにペルソナを生み出します。
ユングの心理学用語で、表向きの性格のこと。状況や環境の必要を満たすために仮面をかぶる状態で、個人の内面を表すものでもなく、その目的は個人の内面を隠すものにもなる。
カンタンに言うと、社会に適応させようとしている状態です。会社では、メンバーと適切にコミュニケーションをとり仕事を進めれている状態ですね。ちょっとストレスはたまりますが、プライベートでしっかりと発散できる状態です。
通常:レベル4~6
レベル4:不均衡の段階
いわゆる、心のバランスが崩れ始めた状態です。各タイプの恐れや欲求が内面から表出してきます。
- どこかで人生の行き詰まりを感じる
- 人間関係の問題を感じて、内向きになる
など、私たちが課題や悩みを感じ始める状態です。レベル3との決定的な違いは、「何とかしないといけない」という衝動に駆り立てられているときですね。この「何とかしないと・・・」がタイプ毎によってだいぶ異なります。
ただ、この状態であれば、しっかりと休んで、おいしいものを食べて、気を許せる人と話ができて、お風呂に入って、睡眠をしっかりととれば、スグに回復できます。
身の回りの環境を充実させたいと思うのも、この状態あるあるです。それが各タイプの「買い物」や「生得本能レベル」の充足に大きく関わってきます。
例えば、タイプ5ソーシャルは、趣味のイベントに参加をして、知人たちとの意見交換を楽しみます。タイプ4セクシャルであれば、会いたい人に会って鬱憤を晴らしたりしますね。
この段階では、9つの性格タイプ、ウィング、生得本能の傾向が思いっきり出るため、自分がどのタイプかわかっていると次のレベルに落ちずに済みますね。
レベル5:対人関係支配の段階
言葉の通りですが、レベル5の段階では誰かをコントロールしようとします。悪い意味で意識が外に向き、自分の存在を承認してもらうために、他者にプレッシャーをかけます。このやり方が各タイプ毎に異なります。
例えば、タイプ4のレベル5の状態は、
- 気分屋になり、よそよそしい、駆け引きをする
- 何事にも過敏になり、傷つきやすい自分を誇示する
- 相手から距離を置くことで、手を差し伸べてもらうことを期待する
など本来の欲求を隠しながらも、誰かに自分の欲求に気づいてもらおうとして、間接的に相手に対して働きかけを行います。
また、タイプ7がレベル7になると以下の行動が顕著になります。
- 注意散漫、衝動的、行動過多で堂々巡りになる
- 人の忠告を聞かず、自分のやりたいことを押し通す
- 話がいつも本題から脱線する(自分中心じゃないと気が済まない)
なお、タイプ7の場合、この状態は退行状態のタイプ1にも近いと言われていますね。「この状態から抜け出したい、もっとワクワクしたい、自由を奪われなくない」という衝動を抑えられないのかもしれません。
- タイプ4:周囲から身を引き、他者から関心を獲得する
- タイプ7:衝動に身をゆだねて自我を前面に出す
なお、この状態は怒りを発散したり、誰か悩みを聴いてくれる人がいれば、レベル4の状態に戻れます。心身ともにスッキリすれば、レベル3にも行けるでしょう。
レベル6:過補償の段階
レベル6の過補償とは、葛藤と不安が膨らみすぎて、自分だけしか見えないない状態です。悪い意味で、内向的になります。良い内向性とは自分自身と仲良くできている状態ですが、この状態では自分自身と仲良くなれていません。また、9つ性格タイプの悪いところが前面に出ます。
- いわゆるメンヘラ!
- 自己中心になり、態度に現れる
- 自分はだけかわいそうだと思い込む
この状態になるとメンタルはズタズタになります。一方的な擁護や保証を求めてばかりで、他人のアドバイスや助言には耳を傾けられません。それでいて、自分のすべてを受け止めてほしいと他人には要求をします。まるで、「お財布には1000円しかないけれど、10000円のサービスをしろ!」と言わんばかりに・・・。
メンヘラかどうかは別として、この状態は、最も人から支援を受けることを求めているのにも関わらず、人が逃げていき、誰かも相手にされなくなります。
ちなみに、私の過去の経験をいうと、カウンセラー全員から逃げられて、色々なところをたらい回しにされました。(笑)
この状態から抜け出す方法は、今の状態に気づき、少しずつ状況を改善できるように心がけることです。幸いにも、まだ自分で考えて判断する力はあります。次の不健全のレベルに落ちると、身体が言うことを効きません。
不健全:レベル7~9
この状態になると、ストレスや恐怖に身体が支配されて、メンタルが病み、最悪のケースとして自分で自分をコントロールできなくなるケースもあります。
レベル7:侵略の段階
言葉の通りですが、自我の防衛ができません。その結果、過剰なまでの恐怖を感じて、現実的でない欲求に支配されます。
- 不安や恐怖に囚われ続ける
- ひどく神経節になり過敏になる
- 認知がゆがむ、強迫観念にとらわれる
仕事などで激しいストレスを受けて、その影響が身体にきている状態に近いですかね。エニアグラム的にはメンタルが原因なのですが、ストレスが身体に影響している状態です。
医学の専門家ではないので、この点については差し控えさせていただきます。
たったひとつ確かなことがあるとするのならば、
とりあえず寝ろ!休め!
です。何も考えずに、ぐっすり寝て、おいしいものを食べてれば、身体は回復します。メンタルとブレインは、その後にゆっくりと回復させましょう。
レベル8:妄想的思考と衝動脅迫的行為の段階
その名の通り、妄想と衝動と脅迫に支配されている段階です。レベル7でストレスに打ち勝つ体力と精神力がなくなることはお伝えしました。レベル8になると、精神の葛藤や不安を屈服する前に、自分の都合よく現実を作り変えようとします。
思考、知覚、感情はゆがんでしまい、自由を感じられず、誰かに支配されているかのように感じます。その傾向はタイプによってだいぶ異なります。
- 追従型(1、2、6):世の中は狂っている
- 遊離型(4、5、9):別の世界に転生したい
- 主張型(3、7、8):世の中、全員が敵だ
と、妄想と脅迫観念だけがひとりでに膨らんでいき、現実との接触を失っていきます。レベル7は、寝て休めば身体の体調は整えることができますが、この状態になると不安や恐怖のあまり身体が機能しないかもしれません。この状態で社会に適応するのは厳しい・・・じゃなくて無理かと思います。
※医者じゃないので詳しいことは言えませんが、この状態になったら精神科に通うのもありかもしれません。
レベル9:病理的崩壊の段階
完全にメンタルがやられている状態です。レベル8の妄想と衝動が限界まで達して、もはや理性が効かなくなる状態です。
そんな状態で自我を守るためにできることは、自身・他者・周りにあるものを、自ら進んで破壊すること。
何を破壊するかはタイプによってだいぶ異なります。タイプ毎に自我崩壊の内容や要因は異なりますが、行きつくところは一緒だと覚えておいてください。
エニアグラム9つのレベルの考察とまとめ
いかがだってでしょうか?
文字量の都合で割愛しましたが、この9つのレベルは、9つの性格タイプ毎の健全度の最大公約数(?)であり、タイプによって表に出る症状はだいぶ異なります。タイプ1とタイプ7でも、態度や行動には違いがあります。本当は、9つごとにその傾向を示したいのですが、時間の都合でまだ出来そうもありません。今しばらくお待ちください。
このモデルを作ったのは、ドン・リチャード・リソです。自身がカウンセリングを学んでいたことからカウンセリングにエニアグラムをカウンセリングの文脈でとらえたのでしょう。非常によくできたモデルだと思います。
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この記事を書いた人

- エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
- 16の性格:ENTP(討論者)&ILE(発明家)