米国MBTI🄬調査|ADHDやASDとタイプ傾向をめぐる“偶然の発見”

最近、発達障害支援コーチングを学ぶ中で、「ADHDやASDの特性と性格傾向って、どこか重なる部分があるのでは?」と感じることが増えてきました。

ふと気になって、Google Scholar(学術論文検索)で「ADHD MBTI」と入力してみたところ、なんと海外の研究者たちが、すでに同じような関心を持って調査していたのです。

私は専門研究者ではありませんし、MBTI協会や医療機関と関係があるわけでもありません。ただ、個人的に「特性と支援の接点」を探していたら、思いがけず学術の世界と出会った。

――そんな“偶然の発見”の記録として、今回はその内容をまとめてみます。

2つの実験

2つほど興味深い実験があったので共有します。

実験1|米国Myers-Briggs Companyによる調査(2022)

個人的に驚いたのが、米国本社のThe Myers-Briggs Companyが、「発達障害(神経発達多様性)とMBTIタイプの関連」をテーマにしたレポートを発表していたことです。

The Myers-Briggs Company (2022).
Research into MBTI Type and Neurodivergence.
https://www.themyersbriggs.com/en-US/Resources/Research-into-type-and-neurodivergence

このレポートでは、ADHD・ASD・LD(学習障害)などの診断を受けた成人1,136名を対象に、MBTIのタイプ分布を分析しています。

結果の要点

  • ADHD群では、Perceiving(柔軟)とIntuition(直観)の傾向が高かった。特に ENFP、INFP、ENTP といったNP型に多く見られた。
  • ASD群では、Introversion(内向)とThinking(思考)の傾向が強く、INTJ、ISTJ、INTP が比較的多かった。
  • 学習障害(LD)群では、Feeling(感情)の分布がやや高く、ISFPやESFPなど体験的・感覚的な学びを重視する傾向が見られた。

ただし、レポートの中でははっきりとこう述べられています。

“Personality type does not determine neurodivergence, nor vice versa;
we found associations, not causes.”
(性格タイプが発達特性を決定するわけではない。あくまで相関である。)

つまり、診断ではなく傾向

支援や教育の文脈で、本人理解を深める「補助的データ」として活用できるという立場をとっています。

実験2|子どもを対象にした米国の実証研究(Amos et al., 2017)

次に見つけたのが、2017年に米国で発表された「ADHD診断を受けた子どもたちと性格傾向の関係」を扱った研究です。

Amos, S.P. et al. (2017).
The Relationship of Personality Style and Attention Deficit Hyperactivity Disorder in Children.
Behavioral Sciences, 7(4), 82.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5733411/

この論文は、ADHDの診断を受けた117名の児童を対象に、子ども版MBTI(MMTIC)を使って性格傾向を測定したものです。

結果のポイント

  • ADHDの児童のうち72%がSensing(感覚)と判定され、一般児(57%)より有意に高い(p = 0.001)。
  • Perceiving(柔軟型)は一般児とほぼ同率(44% vs 46%)。
  • Introversion(内向)とFeeling(感情)傾向もやや高かった。
  • 最も多かったタイプは ISFJ(20.5%)、次いで ISFP(13.7%)ESFJ(14.5%)

研究者は次のように述べています。

“Children with ADHD were more likely to exhibit Sensing preferences.”
— Amos et al., 2017 (Behavioral Sciences)

つまり、ADHDを持つ子どもたちは「今ここにある現実」に強く集中するタイプが多く、抽象的・未来的な内容には興味を持ちにくい傾向がある、ということです。

MBTIタイプ別に見た傾向のまとめ(米国調査ベース)

スクロールできます
発達特性MBTI傾向(研究で多かったタイプ)傾向の特徴支援・教育のヒント
ADHD(成人)ENFP・INFP・ENTP柔軟・直観・多動・創造的興味を中心に設計し、刺激を整理する支援。
ADHD(児童)ISFJ・ISFP・ESFJ感覚・協調・今に集中体験型・視覚教材での学びが有効。
ASDINTJ・ISTJ・INTP構造・論理・内省型ルール明示・変化予告・安心設計。
LDISFP・ESFP感情・実感重視感情サポートと具体的教材の組み合わせ。

参考文献

The Myers-Briggs Company (2022). Research into MBTI Type and Neurodivergence.
https://www.themyersbriggs.com/en-US/Resources/Research-into-type-and-neurodivergence
Amos, S.P., Homan, G.J., Sollo, N., Ahlers-Schmidt, C.R., Engel, M., & Rawlins, P. (2017).
The Relationship of Personality Style and Attention Deficit Hyperactivity Disorder in Children.
Behavioral Sciences, 7(4), 82. PMCID: PMC5733411

私自身、コーチングの現場で発達特性を持つ方と向き合う中で、
「その人がどんなリズムで世界を捉えているか」を知ることの大切さを感じています。

“Knowing who the patient is can be as important as knowing what the patient has.”
— Amos et al., 2017

今回の調査で感じたのは、“何の診断を持っているか”より、“どういう理解で支援できるか”のほうが大事だということ。

性格傾向を理解するための補助的ツールであり、発達障害の有無や医学的診断を決めるものではありません。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

本記事で紹介している内容は、米国のMBTI®運営会社である「The Myers-Briggs Company(米国カリフォルニア州)」による公開レポートおよび米国の学術論文に基づく情報です。

日本のMBTI協会や医療機関とは一切関係がありません。

本記事で示された情報の利用による結果や影響について、筆者は一切の責任を負いません。SNS等での過度な一般化や「診断的な扱い」は避けることをお勧めします。

もし自説を発信したい場合は、本サイトで紹介しているソースを解読して、ご自身の責任で行ってください。

参考文献

  1. The Myers-Briggs Company (2022).
    Research into MBTI Type and Neurodivergence.
    https://www.themyersbriggs.com/en-US/Resources/Research-into-type-and-neurodivergence
  2. Amos, S.P., Homan, G.J., Sollo, N., Ahlers-Schmidt, C.R., Engel, M., & Rawlins, P. (2017).
    The Relationship of Personality Style and Attention Deficit Hyperactivity Disorder in Children.
    Behavioral Sciences, 7(4), 82. PMCID: PMC5733411.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5733411/

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プロフィール

「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。本業はホームページ制作。ホームページの効果を実証するために、ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム講座を開始。気づけば、エニアグラム、16性格診断、ソシオニクスのタイプ判定を生業にしている。

・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(ENTp)(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我

などの性格類型を活用して、自分らしく生きる方法を提唱中。

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