エニアグラム|健全度3→4に落ちる瞬間とは?

こんにちは。

今日は、エニアグラムの中でもとても大切な「健全度」のお話をしたいと思います。

このテーマは、実は多くの人が誤解しがちです。

エニアグラムの健全度というのは、「上げる」ものではなく、「保つ」もの。

むしろ、上げようと意識しすぎること自体が、健全度を下げるきっかけになることすらあります。

この記事は、「エニアグラムのタイプ診断を超えて、自分の心の状態を丁寧に観察したい」という方に向けた内容です。

ゆっくりとご自身を振り返る時間にしていただければ嬉しいです。

健全度とは?

エニアグラムでは、9つのタイプそれぞれに「健全度(レベル1〜9)」という段階があります。

これは性格を評価するためのものではなく、エニアグラムの根源的恐れや欲求の状態を評価する者です。

  • レベル3|自分の良さを活かしながら健全に行動できている状態。
  • レベル4|その性格が”自分を守るための防衛”として働き始めます。

では、タイプごとにどんな瞬間に健全度が下がりやすいのでしょうか。

ここからは、各タイプが健全度3から4へ下がる「その瞬間」を、丁寧に見ていきます。

タイプ1(改革する人)

理想と現実の差に強いストレスを感じたとき

タイプ1は、物事を「正しく、より良く」したいという強い願いを持っています。健全な状態では、この理想主義が建設的に働き、周囲を励まし、改善を促す力になっています。

しかし、理想と現実のギャップがあまりに大きく感じられるとき、心の中で何かが切り替わります。

「なぜ誰も気づかないんだろう」
「自分だけが頑張っている」
「どうしてこんな当たり前のことができないの?」

こうした思いが募り始めると、タイプ1の健全度は3から4へと下がり始めます。このとき、他人への批判が強まり、正義感が過剰になっていきます。本来は「改善のため」だった行動が、「正しくないものを許せない」という防衛に変わるのです。

自分の中の怒りや苛立ちが抑えきれなくなり、「誰かが間違っている」と外に原因を探し始めたら、それが健全度4へのサインです。

タイプ2(助ける人)

「こんなに尽くしているのに報われない」と感じたとき

タイプ2は、人を助け、支えることに喜びを感じます。健全な状態では、見返りを求めず、心から相手の幸せを願って行動できています。

けれど、どれだけ尽くしても感謝されない、認められない、あるいは「当たり前」と思われていると感じたとき、心の奥で小さな声が囁き始めます。

「私がこんなにしてあげているのに」
「誰も私の気持ちをわかってくれない」
「もう疲れた…」

このとき、愛は義務へと変わり、「誰もわかってくれない」という寂しさが募ります。健全度が4に下がると、タイプ2は無意識のうちに「してあげた恩」を数え始め、相手に対して所有欲や依存を強めていきます。

「こんなに尽くしているのだから、私を大切にしてくれるはず」という期待が、いつの間にか重荷になっているなら、それが境界線です。

タイプ3(達成する人)

思うように成果が出ない、もしくは評価されなかったとき

タイプ3は、目標に向かって効率よく動き、結果を出すことに長けています。健全な状態では、自分の能力を活かして周囲にも良い影響を与えています。

しかし、思うように成果が出なかったり、努力が評価されなかったりすると、不安が頭をもたげます。

「このままでは価値がない」
「できない自分を見せるわけにはいかない」
「もっと成功しているように見せなければ」

焦りから、”できる自分”を演じようとし、外側のイメージばかりを整え始めます。健全度が4に下がると、タイプ3は「本当の自分」と「見せている自分」の間に大きな溝を感じ始めます。SNSの投稿が増えたり、忙しさをアピールしたり、小さな成功を大げさに語るようになるかもしれません。

成果そのものよりも、「成功している自分」をどう見せるかに意識が向き始めたら、それが健全度4のサインです。

タイプ4(個性的な人)

「私だけが違う」「誰も理解してくれない」と感じたとき

タイプ4は、自分の内面の深さや独自性を大切にしています。

健全な状態では、その感性を創造性として表現し、他者とも深いつながりを持つことができています。しかし、「自分は他の人とは違う」という感覚が孤立感に変わったとき、健全度は下がり始めます。

「誰も私のことを本当には理解してくれない」
「私だけが取り残されている」
「この痛みは、私にしかわからない」

感情への没入が深まり、孤独や悲しみに自ら沈んでいく傾向が強まります。健全度が4になると、タイプ4は「特別な自分」を守るために、意識的に他者との距離を取り始めます。普通でいることへの恐れが、かえって自分を孤立させてしまうのです。

悲しみや憂鬱さが、いつの間にか「自分らしさの証明」になっていたら、それが境界線です。

タイプ5(調べる人)

人が踏み込みすぎる、または自分のペースが乱されるとき

タイプ5は、知識を蓄え、物事を深く理解することに喜びを感じます。健全な状態では、その洞察力を周囲と共有し、冷静な視点で貢献できています。

しかし、人が自分の領域に踏み込みすぎたり、自分のペースが乱されたりすると、防衛本能が働き始めます。

「エネルギーを奪われている」
「一人になりたい」
「もう関わりたくない」

現実から距離を置き、知識や情報の中に引きこもりがちになります。健全度が4に下がると、タイプ5は物理的にも心理的にも自分の殻に閉じこもり、人との交流を最小限にしようとします。観察者としての役割に徹し、「参加しない」ことで安全を確保しようとするのです。

人と会うことが面倒になり、メッセージの返信を後回しにし、「一人でいる方が楽」と感じ始めたら、それが健全度4のサインです。

タイプ6(忠実な人)

信頼していた人や環境に不安を感じたとき

タイプ6は、信頼できる関係や安定した環境を大切にしています。健全な状態では、責任感が強く、周囲を支え、誠実に行動できています。

しかし、信頼していた人や環境に対して疑いや不安を感じたとき、心の中で警戒信号が鳴り始めます。

「本当に大丈夫だろうか」
「裏切られるかもしれない」
「何か隠しているのでは?」

疑いや皮肉で自分を守ろうとし、周囲との関係に緊張が生まれます。健全度が4に下がると、タイプ6は最悪のシナリオを想定し、先回りして防衛態勢を取り始めます。質問が増え、確認が多くなり、相手の言葉の裏を読もうとするようになります。

「信じたい」という気持ちと「信じられない」という不安の間で揺れ動き、疑心暗鬼になっていたら、それが境界線です。

タイプ7(熱中する人)

退屈や制限を感じたとき

タイプ7は、人生を楽しみ、可能性を追求することに喜びを感じます。健全な状態では、その楽観性とエネルギーで周囲を明るくし、新しいアイデアを生み出しています。

しかし、退屈や制限を感じたとき、落ち着きがなくなり始めます。

「このままでは息が詰まる」
「もっと面白いことがあるはず」
「ここにいても意味がない」

不安を避けるために、新しい刺激を次々と追い求め、落ち着きがなくなります。健全度が4に下がると、タイプ7は痛みや不快感から逃れるために、絶えず気を紛らわせる何かを探し続けます。予定を詰め込み、計画を次々と立て、今この瞬間に集中できなくなります。

「楽しいこと」を追いかけているのに、なぜか満たされない感覚があったら、それが健全度4のサインです。

タイプ8(挑戦する人)

無力さや支配を失った瞬間

タイプ8は、強さと自立を大切にし、自分の人生を自分でコントロールしたいと願っています。健全な状態では、その力強さで周囲を守り、リーダーシップを発揮しています。

しかし、無力さを感じたり、状況をコントロールできないと感じたりすると、反応は即座です。

「負けるわけにはいかない」
「誰にも支配されない」
「弱さを見せてはいけない」

反射的に攻撃的になり、コントロールを取り戻そうと動き始めます。健全度が4に下がると、タイプ8は脅威を感じる相手や状況に対して、力で押し切ろうとします。対立を恐れず、むしろ対決を求めるようになり、「やられる前にやる」という姿勢が強まります。

怒りが増え、些細なことでも「戦い」になってしまっていたら、それが境界線です。

タイプ9(平和を好む人)

対立や変化を避けすぎたとき

タイプ9は、調和と平穏を何より大切にしています。健全な状態では、周囲を和ませ、異なる意見を統合する力を発揮しています。

しかし、対立や変化を避けることが習慣になりすぎると、心が麻痺し始めます。

「どうでもいいか」
「別に…」
「面倒だから、このままでいい」

「どうでもいい」と感じ、現実への関心を失い、受け身になりやすくなります。健全度が4に下がると、タイプ9は自分の意見や感情を押し殺し、他人に合わせることで表面的な平和を保とうとします。しかし、それは本当の平和ではなく、「何も感じない」ことで痛みを避けているだけです。

決断を先延ばしにし、「まあいいか」が口癖になり、自分の人生なのに傍観者のようになっていたら、それが健全度4のサインです。

健全度は上げる方法?

エニアグラムを学ぶ人の多くが、「どうすれば健全度を上げられますか?」と尋ねます。
けれど、ここに落とし穴があります。

健全度というのは、“意識的に上げる”ものではありません。

「上げよう」とする努力そのものが、すでに”理想的でありたい”という性格の欲求から来ているからです。

本当に大切なのは、「いま自分がどんな状態にあるか」をやさしく観察し、焦らず、否定せずに受け止めること。

自分を責めずに、”下げない”ことに集中していれば、健全度は自然に戻り、やがて静かに上がっていきます。

まとめ:今の自分を丁寧に扱うことが、いちばん健全

エニアグラムの目的は「良いタイプ」になることではなく、自分の中の恐れやパターンを理解して、やさしく扱うこと。

「健全度を上げよう」と焦るほど、心は緊張します。
でも、「今のままでも大丈夫」と自分を受け入れた瞬間、健全度は”結果として上がる”のです。

⚠️ 最後に少しだけ。
「健全度を上げます!」「高め方を教えます!」と断言するエニアグラム講師がいたら、少し距離を取ってください。
健全度はテクニックではなく、”気づきの深さ”でしか変わりません。
それは、他人に与えられるものではなく、あなた自身が感じ取るものです。


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木村真基

Kimura Naoki

ウェブデザイナー/エニアグラム講師

プロフィール

「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。本業はホームページ制作。ホームページの効果を実証するために、ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム講座を開始。気づけば、エニアグラム、16性格診断、ソシオニクスのタイプ判定を生業にしている。

・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(ENTp)(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我

などの性格類型を活用して、自分らしく生きる方法を提唱中。

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