マスクとは?ソシオニクスのタイプ誤判定の原因

ソシオニクスのマスク
マスクをかぶった状態でソシオ診断していない?
日常生活の中で、私たちは無意識のうちに「マスク」を被り、他者に望ましい自分を演じることがあります。これはソシオニクスのタイプ判定にも大きく影響を与え、時には正確な診断を妨げることも。
では、私たちが使う「マスク」はどんな場面で不便を引き起こし、逆にどのように役立つのでしょうか?
本当の自分を知るためには、この「マスク」の存在をしっかり理解することが重要です。
この記事で、その秘密に迫ります。是非とも、ソシオニクスで他者のタイプを判定する際に活用してみてください。(お客様/ソシオニクスを生業にしている方向けの記事です)
キーワード:ソシオニクス、TIM、「マスク」、タイプ間の関係、人生の課題、モデルA
ソシオニクスのマスクとは?
実際に「マスク」の存在についての仮説は、昔から多くの人々によって提唱され、ソシオニクスの研究者たちによって確認されてきました。
様々な研究者の著作では、「マスク」は異なる名称や定義で取り上げられています。
- ウラジミール・イェルマク:「コミュニケーション・モデル」
- セミョーン・チュルモフ:社会的アクセント
- ヴァレンティーナ・メジドとアナトーリー・オフチャロフ:タイプのアクセント
などが「マスク」の概念を扱っています。
Our society is set up so that, in certain situations in life, people put on a “mask” with the not always conscious goal of presenting themselves to others in a more favorable light. In this article we talk about what a “mask” is. In what situations do they hinder people, causing inconvenience and discomfort, and in which situations do they help people to interact with the environment and achieve their goals?
Keywords: Socionics, TIM, “mask”, intertype relationships, life challenges and problems, functions in the cells of Model A.
出展:https://www.the16types.info/vbulletin/content.php/13-Soconic-mask-how-it-helps-and-troubles-us
カールユングの視点
この「マスク」の存在に関する最初の言及は、カール・ユングの「タイプ論」に見られます。
ユングは「異常な外的要因、例えば母親からの強い影響がある場合、その影響により子供の本来の特性が損なわれることがある」と指摘しており、これが「マスク」の根本的な考え方につながります。(タイプ論より)
ソシオニクスの文脈において、ユングの見解は非常に重要な意味を持ちます。
ユングは、外的な影響、特に幼少期の環境や親からの影響が、子供の本来の性格タイプに影響を与える可能性があると指摘しています。つまり、子供は本来の素質を隠して、特定の外的要因によって人格がゆがめられ、違う性格タイプとして振る舞うことがあるということです。
この仮説はソシオニクスにおける「マスク」の存在に通じます。
筆者の視点
筆者が「マスク」の概念を考えるときは、SNSやLINEの非公式コミュニティで、人々が知らず知らずのうちに「マスク」をかぶっているという点です。
これらの特徴を持つ人々は、「マスク」を被っているケースが非常に多いことが指摘されます。
- Twitterのアイコンが芸能人や作品のキャラである場合、アイコンを通じて自分の理想像や好ましいイメージを他者に示しているため、自己表現が他者の視点に依存しています。
- プロフィールにエニアグラム・MBTI・ソシオニクスのタイプを掲載している人は、自分を特定のタイプとして認識させたい意図が強く、自らのタイプに基づく「マスク」を被りがちです。
- 特定のタイプに対してこだわり投稿が多い場合、自身のアイデンティティをそのタイプに固執しており、本来の自己とは違う姿を演じている可能性があります。
- 発信内容に一貫性がありパターン化できる場合、それは意図的に作り出されたキャラクターを維持しようとしていることを示し、その背後に「マスク」が存在します。
- 日常生活の投稿があまりない人は、オンライン上での人格と現実での自分との間にギャップがあることが多く、ソーシャルメディアで「マスク」を使用している可能性が高いです。
例えば、「ちいかわ」のアイコンをプロフィールに掲載している人は、そのアイコンを通して「可愛い、柔らかい、無害」というイメージを演出し、他者との摩擦を避けながら、コミュニティ内での安心感や一体感を得ようとします。
こうした「マスク」をつける動機は、エニアグラムの視点から説明するほうがわかりやすいかもしれません。エニアグラムでは、人々がそれぞれ内面の恐怖や欲求に基づいて特定のペルソナ(仮面)を使い分けるケースがあります。
ソシオニクスの位置づけ
ソシオニクスでは、各個人は生まれつきの情報代謝モデル(TIM、Type of Information Metabolism)を持っており、これは基本的な性格タイプを決定します。
しかし、社会的なプレッシャーや周囲からの期待によって、人は本来のタイプに反する行動や振る舞いをすることがあります。この際に使われるのが、ソシオニクスでいう「マスク」です。
たとえば、ある人が親や教師から「しっかり者であるべき」という期待を受け続けると、その人が本来の性格タイプに合わない役割を演じ、偽りの自分として振る舞うことになります。これは短期的には周囲との調和を保つことに役立つかもしれませんが、長期的にはその人の内面にストレスを与え、本来のタイプとの不一致が引き起こされます。
一方、ソシオニクスにおける「マスク」は、適応力を持つツールとして働くこともあります。
特定の環境や状況に応じて、自分の本来のタイプを隠すことで、対人関係をスムーズに進めたり、状況に応じた柔軟にキャラ作りをする叡智を与えてくれます。しかし、これが過度に使われると、本来の情報代謝モデル(TIM)に基づく自然な行動が抑制され、コミュニケーションの障害となり、自分らしさを見失う結果になることもあります。
マスクの負の影響
「マスク」を長時間無意識に被り続けることは、私たちにとって大きな障害となることがあります。
マスクを使い続けることで、特定の状況下で別のタイプとして行動し、それが本当の自分の性格だと誤認してしまうことがあるのです。これが長く続くと、マスクがあまりにも自然に感じられ、自分自身も他者もその「演じているタイプ」を本来のタイプだと錯覚するようになります。
この現象にはいくつかの影響があります。
偽りの自分を演じる
1. 新しい職場でのケース
Dさんは、新しい職場で周囲との調和を重視し、あまり自己主張しない内向的な人物として振る舞おうと決意します。彼は、騒がしい雰囲気や注目を集めることに不安を感じるふりをして、できるだけ控えめに行動します。
Dさんは、本来外向的で社交的ですが、過去に「外向的な性格が職場で誤解され、浮いてしまった経験」があり、それを隠すために内向的な性格を演じることに決めました。彼は、周囲に適応するために、自己主張を抑えて「おとなしい」印象を与えようとします。
時間が経つにつれて、Dさんの本来の活発さが抑えきれず、突然同僚との雑談で話題の中心になったり、飲み会ではしゃいでしまうことがあります。このギャップにより、同僚は「初めは控えめな人だと思っていたのに」と驚き、Dさんのキャラクターに戸惑いを感じるかもしれません。
周囲に溶け込むために被っていたマスクが、Dさんにストレスを与え続け、仕事にも悪影響が出ることがあります。
2. 初デートでのケース
Eさんは、初デートで自分を「知的で思慮深い内向的なタイプ」として見せようとします。普段は外向的で賑やかなことが好きですが、相手が内向的なタイプだと知り、相手に合わせて本を読む話題や静かなカフェでの過ごし方を強調して話します。
Eさんは、本来の外向的な性格を隠し、「相手に合わせることができる繊細で内向的な自分」を見せたいという願望からマスクを被ります。外向的な自分が相手に受け入れられないという恐れも抱えています。
デートが進むにつれて、Eさんは静かな会話に飽き始め、次第に冗談を言ったり、相手を盛り上げようとする本来の性格が顔を出します。
相手が驚き、最初に見せた穏やかな人物像とのギャップに違和感を覚えることで、デートが思ったように進展しない可能性があります。
3. オフ会でのケース
Fさんは、オンラインの内向的なコミュニティに長く参加していて、初めてのオフ会でもそのメンバーに「内向的な仲間」として認識されることを目的にして振る舞います。
心の底では、自分主導で他者と関わりたいFさんですが、この場では話すのを控え、聞き役に徹しようとします。
Fさんは、オンラインで得た内向的なメンバーとのつながりを大切にしたく、「自分も内向的だ」というアイデンティティを守りたいという気持ちがあります。また、外向的だと自認したら、その資質足りていないと指摘される不安も抱えています。
オフ会が進むにつれて、Fさんは他のメンバーが会話に消極的であることに焦りを感じ、つい積極的に話題を提供し、周りを盛り上げてしまいます。
この外向的な振る舞いが表に出てしまった結果、他のメンバーは「Fさんは実は外向的な人だったのか」と驚き、Fさん自身もそのギャップに対する不安感が増すことがあります。結果として、仲間とのフィット感に悩むことになる可能性が高いです。
ソシオニクスのタイプ判定がやりづらい
次に、ソシオニクスのタイプ判定において、マスクは判断を非常に難しくします。長期間マスクを被り続けることで、自分の本来のタイプが曖昧になり、誤った自己認識を持ってしまうからです。
SLEがILIのマスクをかぶるケース
SLE(指揮官)がILI(批評家)のマスクをかぶるケースは、「自分を知的で深く分析的な人物」として見せたいという欲求が強く現れます。SLEは、ILIの鋭い洞察力や批評主義を理想化し、周囲からもそのように見られたいと願います。本人は、ILIの冷静で論理的な視点を信じ込み、「自分もそのように振る舞いたい」と思います。実際、そのSLEは自分の隠れた才能や分析的な側面を強く信じ、「クリティカルな自分はカッコいい」という歪んだ自己愛がマスクを被る動機になります。結果として、本人は、知的で内向的な人物として周囲に認識されたいと感じ、ILIの役割を果たそうとします。しかし、SLEの根本的なエネルギーや指導力は抑えきれず、時折そのギャップが表面化することがあります。
EIEがEIIのマスクをかぶるケース
EIE(俳優)がEII(仲介者)のマスクをかぶるケースでは、INFPのような繊細で優しい人物として見られたいという願望が強く影響しています。EIEは、EIIの持つ内向的で思慮深い、共感力の強い人物像を理想化し、自分自身もそのように認識したいと思うのです。EIEは本来、感情を表に出し、周囲を感情的に引っ張る力がありますが、その反面、内向的で穏やかに人をサポートするEIIの姿に憧れ、自分がそのように見えることを望みます。このマスクを被ることで、彼は他者から「感情を表に出さない、穏やかな存在」として評価されたいと考えますが、時折、自分の持つ情熱やカリスマ性が表に出てしまい、内面との矛盾に悩むことがあるかもしれません。
このように「マスク」を被った人は、ソシオニクスのタイプ判定を難しくなります。
人は、自分が望む人物像や状況に応じた「マスク」を無意識にかぶり、それが自己認識にも影響を与えることがあります。その結果、本人は自分が「こうありたい」と思うタイプを言葉で表現するものの、それが本来の性格や情報代謝のプロセスを正確に反映していないケースがほとんどです。
一方で、相手の話し方や態度、さらには反応の仕方に注目することで、その人の真のタイプが見えてくることがあります。ソシオニクスのタイプは、単なる自己認識だけではなく、無意識の行動や他者とのやり取りの中に表れることが多いからです。
アイデンティティ崩壊
また、「マスク」は個人的な問題とも密接に関連しています。
タチアナ・プロコフィエヴァとエレーナ・ウダロワは、カウンセリングを通じて、マスクを被っている場合、1人の人物に2つのタイプが共存するように見えることがあり、これがタイプ間の関係に影響を与えることを確認しました。
このような状態は、個人的な未解決の問題を反映している可能性が高く、自己理解をさらに複雑にします。結果として、「マスク」を長期間使い続けることで、自分自身と他者の両方に混乱をもたらすことになります。
一方で、実際にお客様のソシオタイピングに臨む時は、お客様の表情や身振り、反応のスピードなどを観察しています。
例えば、LSI(論理内向感覚型)を自認している人でも、タイピングやグループトーク中に、会話をリードし、他者の発言に対して積極的かつ過剰に反応する場合、それはSLE(論理外向感覚型)である可能性が高いです。
SLEは外向感覚を先導に使い、外部の情報に対して非常に敏感で、即座に反応する特徴があります。SLEはその場の流れを支配し、自分の意見や立場を積極的に押し出す傾向が強いため、グループトークの中では、自然と対話の主導権を取りに行こうとします。
対照的に、LSIは基本的に自分の内的な論理に基づいて判断を下し、外部からの刺激に対しても冷静に対応する傾向があります。そのため、LSIが他者との対話で頻繁にリードを取ったり、外からの情報に対して過剰に反応することは少ないのです。
もし、会話の主導権を握りたがり、相手の発言に素早く強い反応を見せる場合、その人はSLEとしての特性が強く現れていると言えるでしょう。
そのため、タイプ判定を行う際には、本人の証言と実際の行動や態度をバランスよく見極めることが重要です。マスクがどれだけしっかりとかぶられていても、その背後にある本来の性格は、ふとした態度や言葉の使い方に表れてくるものです。
マスクとソシオニクスの関係における目的論
アドラー心理学の目的論に基づくと、人々は特定の目的に基づいて行動すると考えられています。これは、ソシオニクスでも、各自が特定の状況に対応することを目的として、特定のタイプのマスクをかぶります。
1. 同一(マスクなし)
同一の状態は、他者との信頼関係を築き、自分自身を正直に表現することが目的です。ここでは、マスクをかぶらず、自分の得意な機能を最大限に活かし、他者に貢献しながら社会との調和を図ることが理想的な状態です。
以下に、各ソシオニクスのタイプがこの「マスクなし」の状態で理想的に機能している姿を示します。
- ILE:外向直観(Ne)を活かして、新しいアイデアや発想を生み出し、周囲に刺激を与えます。革新的な解決策で他者に貢献し、未来志向の視点を提供します。
- SEI:内向感覚(Si)を活かし、他者が安心して過ごせる環境を提供します。快適さと調和を重視し、穏やかな関係を築くことが得意です。
- ESE:外向倫理(Fe)を使って、周囲の感情を調整し、みんなが居心地の良い雰囲気を作ります。コミュニティを支え、調和を促進します。
- LII:内向論理(Ti)を活かして、問題を分析し、深い洞察を提供します。論理的な解決策を通じて、知識を共有し他者をサポートします。
- SLE:外向感覚(Se)を使って、現実的な行動力で周囲をリードします。即座の決断力で、状況を前進させ、効率的に物事を進めます。
- IEI:内向直観(Ni)を活かして、未来への洞察を示し、他者に方向性を与えます。精神的な調和を追求し、深い洞察で周囲を導きます。
- EIE:感情(Fe)を活かして、他者の感情に敏感に対応し、集団の一体感を作ります。リーダーシップを発揮し、みんなを引っ張ります。
- LSI:内向論理(Ti)を使って、秩序と規律を守り、効率的に物事を管理します。組織の安定性を保つ役割を果たします。
- SEE:外向感覚(Se)を使い、柔軟に状況に対応し、他者との交渉を進めます。人間関係を活用して、周囲に調和をもたらします。
- ILI:内向直観(Ni)を使って、未来の計画を立て、戦略的に物事を進めます。深い洞察でプロジェクトを成功に導きます。
- ESI:内向感情(Fi)を使い、他者の感情を深く理解し、倫理的なサポートを提供します。信頼関係を築き、調和を守ります。
- LIE:外向論理(Te)を使って、目標達成のために効率的に行動します。リーダーシップを発揮して、周囲を引っ張り、目標に向けて組織を動かします。
- SLI:内向感覚(Si)を使い、細部にこだわり、効率的な物事の進め方を提供します。実務的な解決策を提示し、現実的な貢献をします。
- LSE:外向論理(Te)を活かして、効率的に組織を管理し、現実的な目標を達成します。秩序を保ち、調和のある環境を作ります。
- IEE:外向直観(Ne)を活かし、他者をインスパイアし、新しい可能性を探求します。周囲に刺激を与え、創造的な環境を作ります。
- EII:内向感情(Fi)を活かして、他者の感情に共感でき、人々を支えています。ひとりひとりと深い人間関係を築き、調和を促進します。
2. 双対
この関係では、マスクは休息やリラクゼーションを求める目的に関連します。快適さを維持し、互いの支援を求めることが中心となります。
これが、SNSなどの性格界隈で内向を自認する人が増える理由です。
外向的な人々は、日常生活や仕事で他者との交流に多くのエネルギーを使うため、プライベートやオンラインの空間では逆に内向的な側面を強調することで、バランスを取ろうとします。
SNSや匿名のコミュニティでは、そのプレッシャーから解放され、内向的で静かな自分を見つめる機会が増えるため、内向的な一面を強く感じやすくなるのです。
3. 活性化
問題を解決しないために、問題から逃れることが目的です。活性化関係では、課題に向き合うことを避けるために、活性化のマスクをかぶることがあります。
この場合、自己保全や現実逃避が行動の根本的な動機となります。
SLIとEIIのケースで考察
ソシオニクスにおいて「活性化関係」に位置します。この関係では、二者が互いに相手を刺激し合うものの、深く協力するよりも、それぞれが自己の役割に戻りがちで、課題に真正面から向き合うことを避けることがよくあります。
活性化関係におけるマスクの役割
この関係では、問題を解決しないために「マスク」をかぶることがよく見られます。課題に向き合うことから逃れるために、互いに問題を避け、行動の根本的な動機が自己保全や現実逃避にあるのが特徴です。特に、SLIは感覚的に快適で実務的な解決を好み、EIEは感情的なつながりと社会的影響を重要視するため、この違いが問題の回避につながるのです。
SLIのケース
SLIは、現実的で目の前の問題に取り組む能力に優れていますが、感情的な対立や複雑な感情的問題を避ける傾向があります。EIEが感情的に問題を議論しようとすると、SLIは感情をあまり表に出さないため、問題に正面から向き合わず、逆に快適さを追求して自己保全の「マスク」をかぶります。たとえば、EIEが感情的な対話を求める場合、SLIはその会話から距離を置き、無関心を装うことがあります。これにより、問題を直接解決するよりも、逃避を優先する行動が取られることがあります。
EIEのケース
一方、EIEは問題解決の際に感情的な共感や強いリーダーシップを発揮しがちです。しかし、SLIとの関係において、EIEは感情的な問題が解決されないと感じると、社会的な成功や他者の評価に逃避する傾向があります。つまり、EIEは自己の社会的役割を強調する「活性化のマスク」をかぶり、感情的な問題から距離を置こうとします。これにより、実際の課題解決よりも、自己の感情的な役割に回避的な行動を取ることがあります。
結論
SLIとEIEの活性化関係では、互いに問題解決に向き合うことを避けるために、それぞれがマスクをかぶり、現実逃避や自己保全を優先する行動が現れます。SLIは感情的な問題から距離を置き、EIEは感情的な満足感や他者の評価に逃避するため、結果として課題の解決が進まず、問題が放置されがちです。
4. 鏡像
自己実現や創造的な表現が目的です。鏡像関係では、創造性や結果を積極的に出すことを求められ、マスクは自己表現を補うために使われます。
SEEとESIのケースで見てみましょう。行動がよく見られます。
SEEのケース
SEEは、外向的な感覚を活かして行動力と大胆な創造性を持っています。
SEEは常に自分を現実の中で表現し、積極的に周囲と関わりながら成果を生み出すことが得意です。しかし、鏡像関係にあるESIに対しては、倫理的な内向性を補おうとするため、感情や内面的な価値観を反映した行動を取ることが求められます。
SEEは、相手のESIが持つ強い道徳観に触発されることで、自分の創造性に倫理的な要素を加える必要性を感じ、場合によっては「マスク」を被って、自分の行動に内面的な意義を強調します。
例えば、SEEがプロジェクトを進める際に、ESIの倫理的な視点を取り入れ、より意味深い形で成果を表現しようとします。これにより、SEEは単なる行動力に加えて、社会的な価値や人間関係を考慮した創造的な表現を行うようになります。
ESIのケース
一方、ESIは、内向的な倫理を持ち、個人の道徳的価値観を基盤にして他者との関係を深めることを得意とします。しかし、SEEとの鏡像関係では、ESIが自身の内面にこもりすぎないように積極的な自己表現を求められる場面が増えます。
ESIは、自分の感情や倫理的な信念をもっと外に表現し、結果を形にすることが期待されます。
この場合、ESIは「外向的な行動力のマスク」を被って、自己の倫理的視点を表現することが必要になります。普段は控えめな態度を取るESIでも、鏡像関係の中では、SEEのエネルギーに触発されて、より外向的で積極的な表現を求められるのです。
鏡像関係におけるマスクの役割
SEEとESIの鏡像関係では、双方が相手の得意分野を取り入れながら、自分の弱点を補おうとするため、マスクを使って自己表現を強化する傾向があります。SEEは倫理的な視点を取り入れ、行動に深みを持たせようとし、ESIは自己の倫理的価値観を外向的に表現するための行動力を補います。
このようにして、鏡像関係は互いに創造性を刺激し合い、結果を生み出すための自己実現の場として機能します。
SEEとESIの鏡像関係では、創造性と自己表現を積極的に出すことが求められます。互いに補い合うために、相手の視点を取り入れることが重要であり、マスクを使ってその役割を果たすことが多いです。この関係では、自己の成長と他者との協調を通じて、深い創造的な成果が期待できます。
5. 協力
目的: 仕事の整理や優先順位の確立が目的です。協力関係においては、仕事の問題に対処するためのマスクをかぶり、効率的にタスクを処理することが求められます。
6. 幻想
目的: 内面的自由や現実逃避が目的です。幻想関係では、現実の重圧から逃れ、自由を追求するためにマスクをかぶります。これはストレスを回避し、自分の内部に向かう行動が目的化しています。
7. 超自我
目的: 生存のための必要最低限の行動が目的です。この関係では、自分の自由や能力を制限し、ただ生き延びるために行動することがマスクの主な目的となります。
8. 消火
目的: 日常の問題解決が目的です。消火関係では、生活の混乱や心身の回復を求めるためにマスクが使われ、適切に生活を組織化することが目指されます。
9. 準同一
目的: 闘争の場面に集中することが目的です。闘争や対立がこの関係の中心にあり、マスクはその闘争のために力を注ぐ目的で使われます。
10. 衝突
目的: 選択や意思決定の回避が目的です。選択を避けることで、マスクは内面の葛藤や決断の重圧から逃れるために使われます。
11. 共鳴
目的: 自己主張を補強することが目的です。共鳴関係では、自己主張が不十分であると感じ、マスクをかぶることで他者との対話において自己を強調します。
12. 準双対
目的: 学習や成長を促進することが目的です。準双対関係においては、マスクを通じて新しい知識を得ることが目的となります。
13. 監督
目的: 義務感を他者に投影することが目的です。監督関係では、自分が他者より優れていると感じ、マスクをかぶることで他者に対して厳格な要求をします。
14. 選手
目的: すべての責任を自分で負うことが目的です。マスクを使って、他者に頼らず自分で義務を果たすことが目標になります。
15. 先生
目的: 意思決定の責任を回避することが目的です。先生関係では、自分で決断を行う一方で、その実行責任を他者に押し付けるためにマスクをかぶります。
16. 生徒
目的: 実行責任を回避し、従順に従うことが目的です。生徒関係では、マスクをかぶることで自分が決断を避け、他者に責任を委ねる傾向があります。
アドラーの目的論によれば、すべての行動は何らかの目的に基づいています。同様に、ソシオニクスのタイプ関係においても、マスクをかぶる行動は特定の目的を達成するために行われており、それぞれの関係に応じて異なる目標が設定されているのです。
観察と実践
観察と実践を通じて、問題や課題への態度が、タイプ間の関係に対する態度と深く結びついていることがわかります。
例えば、双対関係は休息の問題と関連しています。多くの人はリラックスすることを好み、双対のパートナーに対して親切であることが一般的です。しかし、もし双対に対して恐れを感じていたらどうでしょうか?ソシオニクスではあまり一般的ではないものの、時折見られる現象です。
具体例として、ILIの女性を挙げます。彼女の双対であるSEEが非常にアグレッシブで要求が厳しいため、彼女は恐怖を感じていると言います。SEEについて話す際、彼女は手を振り、「違う!そうじゃないの!」と強く否定します。彼女はまた、「仕事中毒」であり、いつでも仕事を頭から追い出すことができず、長期休暇後には芸術活動から「9時から5時まで」の仕事に転職したと言います。「この問題について考えたくないから」と彼女は言いました。しかし、これで本当に助けになるのでしょうか?
このようなケースでは、定期的にリラックスする習慣を身につけることが大いに役立ちます。休暇中だけでなく、日常的に1〜2時間のリラックス時間を取り、週末には完全に休息することが必要です。実際、このように双対関係を調整することができたケースもあります。
つまり、問題への態度=タイプ間の関係に対する態度となります。この公式は、快適な関係にも、緊張した関係にも当てはまります。
例えば、衝突関係は家族関係に適しているのでしょうか?多くの人はそのような結婚を避けたいと考えるでしょう。しかし、50年以上も衝突関係にある結婚を続け、他の道を望まない男性もいます。衝突関係は「選択」に関する問題を解決するための関係であり、彼は選択を好む人物です。彼の職業選択も、確率論と統計学の分野であり、趣味さえも定期的に選択を伴うものです。
この公式は、タイプ間の関係だけでなく、個人の**TIM(タイプ情報代謝)と「マスク」**との関係にも適用されます。
「マスク」が障害となる場合もあります。例えば、選手タイプの「マスク」は義務に関連し、当事者を柔軟で脆弱な状態にします。このような人々は、自分の利益をあまり考えず、社会の期待に応えようと自己犠牲的になることがあります。
最後に、IEEの「マスク」をかぶったLIIの人物の発言を紹介します。「みんなが望んでいるのは、私が彼らを喜ばせ、何よりも立派であることです。職場では、理想的な関係を維持することが必要だと感じていますが、人々が共感してくれないと、それはとても難しいです。」
モデルA機能の「マスク」の影響
「マスク」を被ることによって、ソシオニクスのモデルAにおける機能の配置や運用が歪むことがあります。
役割機能のマスク
例えば、感情(Fe)に関連するタイプにおいては、感情を表現したり、周囲の感情をコントロールする能力が歪むことが多いです。
Feユーザーが「選手」のマスクを被ると、その人は、社会的に「すべきこと」にこだわり、役割機能として弱い感情(Te)を無理に使用しようとすることがあります。
結果として、社会的に適合しようとするあまり、本来の創造機能(強い機能)が抑え込まれるかのうせいがあります。
選手のマスクによって、実証機能(Fe)と「マスク」の無視機能の間に混乱が生じることがあり、これは個人の感情表現や他者との共感を妨げる原因となります。
これにより、対人関係の中で感情のやり取りが不自然になり、誤解や摩擦が生じることがあります。
消化関係のマスク
例えば、EIE(感情外向直感型)がEII(倫理内向直感型)のマスクを被った場合、本来の強力なFe機能が抑制され、感情を積極的に表現することが難しくなります。
EIEは通常、場の感情をリードし、人々を感情的に引きつける役割を果たしますが、EIIのマスクを被ることで、他者の感情を受け入れる側に回ろうとするあまり、積極的な感情表現が控えられてしまいます。
結果、EIEは自分自身を本来の感情的リーダーとして発揮できず、周囲との関係が不自然になります。
マスクがFe機能に及ぼす影響
さらに、EIEの脆弱機能(Si:内向感覚)は、マスクによって影響を受け、リラックスや自己ケアが疎かになります。
EIIのマスクでは、他者のニーズや倫理的な義務感にとらわれて、自分の感覚的な快適さを後回しにする傾向が強まります。Siが無視されることで、EIEは自分の身体的なニーズに無頓着になり、過度に他者の感情や倫理に集中しすぎてしまいます。
最後に:マスクを制する者がソシオを制する
ソシオニクスの「マスク」の効果を理解し、上手に使うことができれば、ソシオニクスは強力な社会的武器になります。
特定の場面で、自分が別のタイプのように振る舞うことで、短時間で他者との関係を効果的に操作し、状況に応じた最適なコミュニケーションを取ることが可能です。
実際に、ビジネスの場面で上司や部下とのやり取り、交渉、外交、さらには日常の人間関係においても、相手に合った「マスク」を被ることで、緊張を和らげたり、関係を良好に保つことができます。
このように、ソシオニクスの「マスク」を使いこなすことで、あらゆる状況で柔軟に対応し、望ましい社会的関係を築くことができ、個人的な成長や人間関係の質を向上させるための強力な武器となります。
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2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。
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筆者紹介

木村なおき
ソシオニクス歴4年。本業エニアグラムでMBTI®に興味を持つが、権利的な事情で断念。2020年にソシオニクスに出会い独学で勉強。2021年にソシオニクス専門のブロガーさんからソシオニクスの理論を教わり、その後すぐにエニアグラム×ソシオニクスの二刀流でタイプ診断に臨む。
診断実績は200を超える(エニアグラムとセット)
2024年4月に16タイプ相性論の講座を開講したときに、「これ…ソシオニクスでやったほうがよくね!」と気づき、本格的にソシオニクスを取り入れる。
クアドラ診断、タイプ診断、タイプ関係論をセットにすると、日本でいちばんソシオニクスを診断をしてきたい人(他に誰かいたら教えてください)