ソシオニクスのDCNHサブタイプとは?4つの分類法
「同じソシオニクスタイプなのに、なぜこんなに違うの?」と疑問に思ったことはありませんか
そんな疑問にお答えするためソシオニクスのDCNHサブタイプ理論がございます。その答えを提供してくれます。本記事では、ビクトル・グレンコ教授によって開発されたDCNHサブタイプ理論と、さらに詳細な分類を可能にする二分法について解説します。
これらの知識は、自己理解を深め、他者とのコミュニケーションを改善するための強力なツールとなるでしょう。
DCNHサブタイプとは?
4つのバリエーション
ソシオニクスは16の基本タイプを提供していますが、実際には同じタイプの人々の間にも大きな違いが存在します。DCNHサブタイプ理論は、これらの違いを説明するために開発された拡張理論です。
DCNHは以下の4つのサブタイプを表しています:
D = ドミナント(支配的)
- リーダーシップがあり、目標達成に強い
- 決断力があり、はっきりと意見を言う
- 競争や挑戦を楽しむ
C = クリエイティブ(創造的)
- 好奇心が強く、多くのアイデアを生み出す
- 柔軟で適応力がある
- 変化や多様性を好む
N = ノーマライジング(標準化)
- 秩序と構造を好む
- 詳細に注意を払う
- ルールや手順を大切にする
H = ハーモナイジング(調和的)
- 人の気持ちに敏感
- グループの雰囲気を良くするのが得意
- 協力や協調を重視する
私たちは皆、これら4つの要素をある程度持っていますが、通常は1つか2つのサブタイプが特に強く表れます。例えば、ILE(直感論理外向型/ENTP)でも、D、C、N、Hのどのサブタイプが強いかによって、その特性の現れ方が大きく異なります。
DCNHを深める:3つの二分法
DCNHサブタイプをさらに詳細に理解するために、グレンコ教授は3つの追加的な二分法を提案しています。これらの二分法は、人間の情報処理とコミュニケーションスタイルにおける傾向を示しています。
1. 接触(Contact)vs 距離(Distance)
接触型の人は:
- 他者との直接的な交流を好む
- コミュニケーションに積極的
- 対話や議論を通じて考えを発展させる
- 即時的なフィードバックを求める
距離型の人は:
- より独立して情報を処理する
- 内省的で、考えをまとめてから共有する
- 個人的空間を重視する
- 観察者としての立場を好む
2. 完了(Completion/Termination)vs 開始(Initiation)
完了型の人は:
- プロジェクトやタスクを最後まで完遂することを重視
- 結果や成果に焦点を当てる
- クロージャー(終結感)を求める
- 未解決の問題に不快感を覚える
開始型の人は:
- 新しいプロジェクトやアイデアを始めることを重視
- プロセスや可能性に興味を持つ
- 柔軟性と開放性を保つことを好む
- 複数の選択肢を同時に検討できる
3. 接続(Connection)vs 断絶/無視(Disconnection)
接続型の人は:
- 情報や概念間の関連性を見出すことに長ける
- 全体的な視点で物事を捉える
- 共通点や類似性に注目する
- 異なる分野や考え方を橋渡しする
断絶/無視型の人は:
- 情報や概念を区別し、カテゴリー化することを得意とする
- 分析的な視点で物事を捉える
- 違いや対比に注目する
- 明確な境界や区分を設けることを好む
DCNHサブタイプと二分法の関連
ソシオニクス理論の標準的な解釈では、DCNHサブタイプと二分法の間には以下のような関連があるとされています:
ドミナント (D)
- 接触型:積極的に他者と交流する
- 開始型:新しいプロジェクトやイニシアチブを始める傾向
- 断絶/無視型:区別や分類に焦点を当てる
クリエイティブ (C)
- 接触型:他者との交流を通じてアイデアを発展させる
- 開始型:常に新しい可能性を探り続ける
- 接続型:異なる概念間のつながりを見出す
ノーマライザー (N)
- 距離型:独立して内省的に情報を処理する
- 完了型:プロセスを完遂し結論を出すことを重視する
- 断絶/無視型:明確な区分と構造を好む
ハーモナイザー (H)
- 距離型:観察者としての立場を取りがち
- 完了型:関係性のクロージャーを求める
- 接続型:人々や概念間の共通点を見出す
ただし、これらの組み合わせには様々な解釈があり、研究者や理論家によって異なる見解が存在します。例えば、代替的な解釈では、以下のような組み合わせも提案されています:
- ドミナント:接触/完了/接続
- クリエイティブ:接触/開始/無視
- ノーマライザー:距離/完了/無視
- ハーモナイザー:距離/開始/接続
この代替的な解釈では、例えばドミナントタイプは目標達成(完了)と同時に、異なる要素を統合する能力(接続)を持つリーダーとして描かれています。
実践的な応用
これらの分類を理解することで、以下のような実践的なメリットが得られます:
- 自己理解の深化:自分のコミュニケーションパターンや意思決定プロセスをより細かく理解できます。
- 対人関係の改善:他者の行動パターンや好みを理解することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
- チーム構成の最適化:プロジェクトチームを編成する際に、異なるサブタイプの強みを活かした役割分担ができます。
- 個人の成長:自分の弱点や盲点を認識し、意識的に発達させることができます。
- キャリア選択の指針:自分のサブタイプの特性を活かせる職業や役割を見つけることができます。
結論
ソシオニクスのDCNHサブタイプと3つの二分法は、人間の性格と行動パターンをより詳細に理解するための強力なフレームワークを提供します。これらの分類は単なるラベル付けではなく、私たちの強みと弱み、コミュニケーションスタイル、そして成長の可能性を明らかにするものです。
重要なのは、どのサブタイプや傾向も本質的に「良い」「悪い」はないということです。それぞれが独自の強みと課題を持っており、適切な状況や役割によって、どの特性も価値あるものとなります。
ソシオニクスのこれらの概念を学ぶことで、私たちは自分自身と他者について新たな視点を得ることができます。それは単に「あなたはこのタイプです」と断言するのではなく、複雑で多面的な人間の性格をより細やかに理解し、受け入れるための道具となるのです。
あなた自身のDCNHサブタイプを探求し、それがあなたの日常生活、仕事、そして人間関係にどのように影響しているかを観察してみてください。それは自己発見と個人的成長への興味深い旅の始まりとなるでしょう。
参考文献:
- グレンコ, V. (2009). 「DCNHサブタイプ理論:ソシオニクスの拡張」
- エゴロバ, I. (2015). 「情報代謝と二分法:ソシオニクスの新展開」
- レイナード, A. (2018). 「ソシオニクスタイプの発達:DCNHの視点から」
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筆者紹介

木村なおき
ソシオニクスを研究し始めて5年。本業はフリーランスのウェブデザイナーとして、IT・デザイン業界の現場でソシオニクスを実践的に活用 しながら活動。MBTI®にも関心を持つが、権利的な制約を踏まえ、より体系的で実践的なソシオニクスの探究へとシフト。2021年には、国内のソシオニクスの第一人者から直接学び、理論と実践の両面を深める。
現在は エニアグラム×ソシオニクスのハイブリッド診断 を強みに、タイプ論を統合的に扱う専門家として活動。これまでに 200名以上のソシオニクスのタイプ診断を実施。
現在、日本で最も体系的にソシオニクス診断の専門家として、現場での実践を重視した診断・教育・研究 に取り組んでいる。(もし同じ分野で活動されている方がいれば、ぜひ情報交換しましょう!)
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