16性格タイプで自認が変わる理由は?

「診断結果が毎回違う」「昨日はENFPだったけど、今日はINTJっぽい気がする」

──16性格診断やエニアグラムを繰り返す中で、自認タイプが頻繁に変わる方はいらっしゃいませんか?

筆者は過去に、エニアグラムや16性格のタイプセッションを実施してきた経験がありますが、100人いれば、2人ぐらいは「自認が変わりました!」と事後報告をする人がいます。

セッションのたびに自分のタイプが変わったと主張する」方々の存在でした。

特に、“いろいろな人に相談した結果、まったく違うタイプを次々と受け入れてしまう”というケースは少なくありません。

このような「タイプ迷子現象」は、単なる迷いや優柔不断ではなく、深層心理にある心理機能の揺れ動きによって説明することができます。

4つのグループから検証

本記事では、ジョン・ビービーやDarioNardiの著書で解説されている8つの心理機能に基づき、16性格タイプの4つのグループ(xSxJ/xSxP/xNxJ/xNxP)ごとに、「なぜ自認がブレるのか?」「そのとき、心の中で何が起きているのか?」を掘り下げていきます。

xSxJ:安定志向ゆえのNe暴走

xSxJタイプ(ISTJ/ISFJ/ESTJ/ESFJ)は、主にSi(内向感覚)やTe/Fe(外向的な思考・感情)を使い、過去の経験や既知の枠組みに安心を見出す傾向があります。

しかし第3機能であるNe(外向直観)は、普段は遊び心や新規アイデアとして穏やかに機能しますが、ストレス下では「妄想的未来像」を暴走させやすくなります。突然「P型の自分もあり得るのでは?」と極端なイメージを投影し、「直観型なのかもしれない」という錯覚を引き起こします。

  • ESTJ:「最近、感情の揺れに振り回されてばかりで、私って本当はFタイプだったのかもしれません」
  • ISTJ:「仕事では計画通りに動けたのに、プライベートでは、直観的!……N型じゃないでしょうか」
  • ESFJ:「周囲の期待に応えすぎるけれど、本当に自分は、そんな人ではない。T型なんだ!」
  • ISFJ:「人間関係に疲れてきて……もっと論理的に割り切れたら楽かも。もしかして私はT型?」

xSxP:自由人に潜む「正しさ」の呪縛

xSxPタイプ(ISTP/ISFP/ESTP/ESFP)は、主にSe(外向感覚)を用いて「今ここ」に集中し、流動的な環境で柔軟に反応することが得意です。

ところが、第6機能のFe/Te(毒親)は、「人の目を気にしろ」「論理的に説明しろ」という無意識の圧力となって表れます。さらに、遊び心である第3機能のNi(内向直観)が不安的な未来の意味づけを始めると、根拠なき確信や突飛な自己像に引っ張られることがあります。

その結果、日によって「ENFJ的な理想主義者」や「INTJ的な戦略家」など、まったく異なるタイプ像にアイデンティティを委ねてしまうことがあります。

  • ESTP:「理屈っぽく考える自分がいる。最近、もっと戦略的に動けているし、TJっぽさを感じています」
  • ISTP:「感情をうまく表現できていないし、周囲から誤解されてばかり。もっとF型でいたほうがいいのかな」
  • ESFP:「他人の目が気になって仕方がない。こんなに周囲を意識するなんて……ENFJ的な自分に気づきました」
  • ISFP:「やりたいことが分からなくなったとき、“戦略的に動く私”に安心を覚えました。TJ型の可能性もあるかもしれません」

xNxJ:Niの妄想過剰とSiの影響

xNxJタイプ(INFJ/INTJ/ENFJ/ENTJ)は、Ni(内向直観)を主機能とし、未来を構造化し、内的ビジョンに従って行動する傾向があります。

しかし、Niは「予感の確信性」が強いため、一度ズレた未来像を信じてしまうと自我全体が誤認に巻き込まれやすくなります。また、第4機能(アニマ)であるSe(外向感覚)を軽視・拒絶すると、現実とのギャップが肥大化し、「自分は想像で生きているだけなのでは」という不安に陥ります。

そのギャップを埋めようとして、第7機能Si(欺瞞者)を通して「過去の成功パターン」を模倣しようとしますが、これは無意識のうちに他タイプ的行動を模倣してしまうリスクを伴います。

  • ENTJ:「感情の波にのまれる自分に驚きました。意外とF型の面が強いのかもしれません」
  • INTJ:「最近、人の反応を気にしすぎている気がして。Feっぽくなっている自分に違和感があります」
  • ENFJ:「直感ではなく感覚に頼ることが増えたように思います。S型も視野に入れてみたいです」
  • INFJ:「内省が行き過ぎて現実逃避している気がします。もっとS型的なリアルさが必要かもしれません」

xNxP:Neの拡散とSiの反乱

xNxPタイプ(INFP/INTP/ENFP/ENTP)は、Ne(外向直観)を通じて無限の可能性を探索し、意味世界に生きるタイプです。

しかし第4機能Si(アニマ)は、具体的経験やルーティンを通じた安心を求めます。このSiが脅かされると、突如として「過去の自分」への回帰や、「安定したタイプ像」への逃避が始まります。

さらに、Fe/Te(第7機能:欺瞞者)が「こうあるべき自分」像を他者の期待から受け取ると、自分らしさがぼやけてしまいます。その結果、一見「EJ型」的な行動や発言をしながら、内面では強い違和感を抱えたまま迷走することになります。

  • ENTP:「最近、過去のルーティンばかり気にしてしまいます。こんなにSiを気にするなんてJ型っぽいかも」
  • INTP:「細かいことばかり考えて、行動力がなくなってきました。J型のような安定感が必要だと感じます」
  • ENFP:「結果を出すために他人の期待通りに動いてしまう。もしかして私はEJ型でいたほうが向いている?」
  • INFP:「意味を追うより、手順やルールを守ることに安心している。もしかするとJ的な自分が合っているのかも」

タイプを安定させるための対処法

1.心理機能から理解する

日常でよく使っている心理機能を観察する

「私は○○型です」と決めつける前に、「自分はどんなとき、どのような認知スタイルをよく使っているか?」を振り返ってみましょう。得意な機能と、無意識に憧れている機能(=第3機能や第4機能)を混同しているケースも多く見られます。

8つの心理機能の“役割”を理解する

主機能は「人生の羅針盤」、第2機能は「補助とバランス」、第3機能は「遊び心と依存」、第4機能は「劣等感と憧れの源」です。この“役割”を理解せず、単に「どれが当てはまるか?」だけで選んでしまうと、誤認しやすくなります。

裏の心理機能の動きを観察する

「自分が分からない」「前はしっくりきていたのに、今は違う」と感じるときこそ、欺瞞者(第7機能)やトリックスター(第6・第7機能の連携)が心の深層で作用している可能性があります。その変化を記録し、繰り返されるパターンを見つけましょう。

心理機能の役割については以下の記事を見てください。

2.脱上書き保存!名前を付けて保存を推奨

「ENFJっぽいと言われたから」「計画的な気分だったからJ型だと思った」──こうした理由には、しばしば外的期待や一時的な状態が反映されています。必ず「その判断の根拠となった体験や傾向は何か?」を問い直してみてください。

他者の見解を聞くたびに、自分の理解を上書きしてしまう
というパターンはないでしょうか?

本来であれば、異なる視点や解釈を受け取ったときには、それぞれを「名前を付けて保存」しておく必要があります。

たとえば、5人に、ご自身のタイプについて相談したのであれば以下のように情報を管理しておく必要があります。

  • Aさんの見解
     →「あなたはENFPっぽい。理由は、話すたびにアイデアが飛び出して止まらないから」
     →(根拠:Ne優勢に見える言語的流動性)
  • Bさんの見解
     →「私はあなたをISFJだと思う。いつも周囲の感情に気を配って行動している印象がある」
     →(根拠:FeとSiの保守的かつ他者志向な傾向)
  • Cさんの見解
     →「INTPじゃないかな?分析や細かい概念の違いに強く反応するところがあるから」
     →(根拠:Ti中心の思考スタイル)
  • Dさんの見解
     →「ENFJに近いと感じる。リーダーシップがあって、場をまとめようとする意志が強い」
     →(根拠:Fe主導+Niによるビジョン志向)
  • Eさんの見解
     →「あなたの話を聞いていると、INFPな気がする。内面の価値観をすごく大事にしているから」
     →(根拠:Fiの価値観中心型+Neによる内的探索)

この「名前を付けて保存」ができれば、異なる人の意見(=情報)を個別に管理して、自分なりに何が正しいか、何が間違いかで精査することができます。逆に「名前を付けて保存」ができなければ「上書き保存」をしてしまいます。要は、新しい情報を仕入れれば、過去に学んだことはすべて忘れている

…言い換えるなら、何も学んでないと一緒です。

3.言語力と読解力を鍛える

性格診断は、その性質上、たくさんの情報を一気に扱います。タイプに関係なく、複数の情報を同時並行で知覚×判断していく思考力が求められます。

大切なのは、他者の意見を取り入れながらも、それを「情報」として独立して保持し、自分の内的検証プロセスを経て再評価することです。それによってはじめて、理解の積み重ねが生まれ、軸が定まっていくのです。

エニアグラムや16タイプの理論(特に8つの心理機能モデル)は、非常に高度で抽象的な内容を含みます。 単なる性格の分類ではなく、「意識と無意識の相互作用」や「認知の構造的役割」といった深い心理学的理解が必要となるため、中途半端な理解では誤解や誤用が起こりやすくなります。

実際、SNS上では「自分はこのタイプかも」と仮定を繰り返しながら、何年も“性格難民”のようにさまよっている方も少なくありません。これは、理論の断片だけをかじり、文脈を読み解く力が追いついていない状態とも言えるでしょう。

大切なのは…

  • 本文に書かれていることキチンと読んだか?
  • 自分はこの概念をどれだけ正確に理解できているか?
  • 言葉の意味を深く読み取れているか?

冷静にチェックすることです。

タイプ理解の根底には、抽象的な概念を正確に捉える力が必要です。

説明文を正しく読み取れない場合や、ニュアンスの違いを掴めない場合、どうしても誤認や混乱が起きやすくなります。自分の中の言葉と意味の関係を丁寧に再構築していくことが、真の理解に繋がります。

性格診断の守備範囲と正しい使い方

最後に重要なこととして、16性格診断が「何を測るものであり、何を測れないのか?」という“守備範囲”の理解が欠かせません。

16性格診断は、あくまで「認知のパターン(心理機能)」と「8つの心理機能の組み合わせ」を明らかにするモデルです。つまり、「どう考えるか」「どのように判断するか」といった、知覚と意思決定のプロセスに焦点を当てたツールなのです。

したがって、たとえば「自己肯定感が低い」「職場で浮いている」「性格が暗い」といった性格の良し悪し・自尊心・社会適応度などは、16性格診断の対象外です。

この“守備範囲”を逸脱してしまうと、「私は内向型だからうまく話せないんだ」「N型だから現実が苦手」などと、自らに制限をかける誤解が生じてしまいます。これこそが、タイプ誤認と混乱の最大要因です。

タイプ診断は、個性を“規定”するものではなく、認知のクセを“理解”するためのものです。自分の行動傾向を言い訳やレッテルではなく、成長のヒントとして活用していく姿勢が何よりも大切です。

そのためにも、16タイプの本質を「8つの心理機能の構造によるダイナミクス」として捉え直し、「そのとき、どの機能が活性化しているか?」という柔軟な観察視点を持つことが、タイプ迷子から抜け出す鍵となるでしょう。

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