MBTI®の残り4つ心理機能/影(シャドウ)機能とは?
-16タイプ愛好家の皆様へ-
ご存じですか?
私たちは、8つの心理機能を使っています。
この記事では、シャドウファンクションに焦点を当てて、私たちが8つの心理機能をどのような役割で使っているのかを解説していきます。
海外のMBTI®プラクショナーのSusan Storm氏が運営している以下のサイトで紹介されていました。
エニアグラム×MBTI®の本格メディアで解説されていました。
Susan Storm氏はMBTI®の認定資格者です。
- 海外のMBTI®有識者のサイトを参照している
- 日本MBTI®協会の公式とは全く関係がない内容
- サイコロジカルジャンキーの記事を意訳・編集している
よって、もしもあなたがMBTI®のワークショップに参加をしたときに、この記事を元に講師の方に質問をしないでください。
基礎編:心理機能とは?
心理機能とは、MBTI®で教わるタイプダイナミックスのモデルです。
私たちは、8つの心理機能のうち、4つを好んで使っているという考え方です。
例えば、私はENTPなので、以下の順番で心理機能を使っています。
- Ne:外向直感
- Ti:内向思考
- F:外向/内向感情
- Si:内向感覚
…一般的に16タイプやMBTI®では、上位の4つの「個人が好んで使う心理機能」として教えてくれます。
(MBTI®️のアドバンスに参加したときは、主機能と劣等機能を重点的に教わりました)
「では、下位5~8の心理機能の説明はどうなるの?」と思いますよね?
- Ni:内向直感
- Te:外向思考
- Fi:内向感情
- Se:外向感覚
この質問に応えてくれるのが、ジョンビービーのシャドウ・ファクションの概念です。
シャドウは、「影の心理機能」と考えられています。
私たちは、好んで使っているわけではなく、無意識の中にあり、本人すら認識できない領域です。
基本タイプ | シャドウ | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|
ENFJ | INFP | Fi | Ne | Si | Te |
ENFP | INFJ | Ni | Fe | Ti | Se |
ENTJ | INTP | Ti | Ne | Si | Fe |
ENTP | INTJ | Ni | Te | Fi | Se |
ESFJ | ISFP | Fi | Se | Ni | Te |
ESFP | ISFJ | Si | Fe | Ti | Ne |
ESTJ | ISTP | Ti | Se | Ni | Fe |
ESTP | ISTJ | Si | Te | Fi | Ne |
INFP | ENFJ | Fe | Ni | Se | Ti |
INFJ | ENFP | Ne | Fi | Te | Si |
INTP | ENTJ | Te | Ni | Se | Fi |
INTJ | ENTP | Ne | Ti | Fe | Si |
ISFP | ESFJ | Fe | Si | Ne | Ti |
ISFJ | ESFP | Se | Fi | Te | Ni |
ISTP | ESTJ | Te | Si | Ne | Fi |
ISTJ | ESTP | Se | Ti | Fe | Ni |
シャドウでは、E-IとJ-Pが入れ替わります。
基本機能
MBTI®のタイプダイナミックスでは、主要な4つの機能のみを教えてくれます。
この4つの主要な機能にアーキタイプの文脈をつけてお伝えします。
機能1:ヒーローファンクション/主機能
いわゆる「主機能」ですね。
ジョン・ビービーのアーキタイプ理論では、ヒーローファンクションについて次のように説明しています。
- 主導的な役割: ヒーローファンクションは、その人の自己認識や行動の中心にあり、世界をどのように認識し、関わるかに大きな影響を与えます。
- 自然な傾向: この機能はその人が最も自然に使いこなし、快適に感じる心理的な強みです。日常生活の中で無意識に使われ、個人の強力な武器となります。
- 発達: 幼少期から発達が始まり、若年期にはすでに成熟していることが多いです。これにより、その人がどのように世界と関わり、自己のアイデンティティを形成するかが決まります。
- 対外的な表現: ヒーローファンクションは、他者との交流や外部の活動でも顕著に現れます。人はこの機能を活用して、問題解決、目標達成、そしてコミュニケーションを行います。
各タイプにはそれぞれ特定のヒーローファンクションがあり、それがその人の行動や思考に強く影響します。
例えば:
- ENTP: 外向直感 (Ne) – 新しい可能性を探求し、アイデアをつなぎ合わせることに長けています。
- ISTJ: 内向感覚 (Si) – 過去の経験やデータに基づいて、安定性と実用性を重視します。
- ENFJ: 外向感情 (Fe) – 他人の感情やニーズに敏感で、調和と協力を重視します。
- INTP: 内向思考 (Ti) – 論理的分析と内省を通じて、情報を深く掘り下げます。
ヒーローファンクションは非常に強力ですが、この機能だけに頼りすぎると、他の大切な心理機能の発達が遅れてしまうことがあります。
同じINTPでも、内向思考に全振りしているタイプと、他の機能をバランスよく使えるタイプが存在します。
たとえば、内向思考に頼りきっているINTPは、
- 論理的な結論を導き出すことに集中するあまり、
- 理論体系の構築や情報収集や分析の世界にだけ没頭しがちで
- 周囲とのコミュニケーションを軽視することで
現実的な問題に対処するを避ける場合があります。まさにX:Twitterなどの「ステレオタイプなINTP」として描かれがちな姿ではないでしょうか?
一方で、バランスよく他の機能も発達させたINTPはまったく違う印象を与えます。
このタイプのINTPは、内向思考を軸にしながらも、外向直観(Ne)を活用して他者の視点を柔軟に取り入れたり、外向感情(Fe)を使ってコミュニケーションにおいて他者との調和を保つことができます。単にアイデアを練るだけでなく、それを他者と共有し、実生活での問題解決にも応用することで、新たな視点を得ることができます。
この記事を読んでいるあなたが、もし「自分はINTPだけれど、他の機能も使いこなせているな」と感じるのであれば、それはバランスの取れた発達をしている証拠です。理論や内向思考だけでなく、外向直観や感情面、感覚にも意識を向けているからこそ、より自由に主機能である内向思考が使えるというのが、16性格診断の主流な考えです。
このように、ジョン・ビービーは、ヒーローファンクションに過度に依存せず、他の機能の発達にも意識を向けることが重要だと指摘しています。特に、ヒーローファンクションだけでなく、補助機能や劣等機能だけに注目するのではなく、残りの4つの心理機能にも目を向ける必要があるのです。
ビービーの理論では、私たちには4つの主要な機能(主機能、補助機能、第三機能、劣等機能)に加えて、影の心理機能として、残り4つの影の心理機能が存在している指摘しました。
この記事を通してお伝えしたいのは、心理機能は8つあるということです。
日常生活で自分の強みとなる機能だけでなく、無意識の中で作用する機能を理解することで、よりバランスの取れた自己成長が可能となります。ビービーの理論を踏まえると、全ての心理機能を理解し、発達させることが、自己の健全な成長には欠かせないのです。
機能2:良き親/補助機能
- サポート的な存在: この機能は、個人の主導機能(ヒーローファンクション)を補完し、バランスを取る役割を果たします。特に、ストレスや挑戦に直面した時に、主機能(ヒーローファンクション)をサポートする役割を担ってくれます。
- 内外向のバランス: 主導機能が外向的であれば、補助機能は内向的になり、その逆も同様です。これにより、内外の世界のバランスが取れ、より全体的な視点が持てるようになり、安定感が増します。
- 成熟と発展: この機能は、成人期により発達していきます。人生における決断や行動に大きく影響を与えてくれます。この機能を使えるようになることで、ひとつ成長したような手応えを得ることができるでしょう。
- 他者への影響: 「良き親」という名称は、この機能が他者に対してサポートできる特性を有しています。時に、他者の成長を促したり、困っている人を助けたりすることができます。
この補助機能が「良き親」として動くときは、あなたは自身の成長のみならず、他者に対して何らかのカタチで貢献できている時です。
- ENTP: 内向思考 (Ti) – 論理的分析と情報の整理を通じて、アイデアを体型立てる
- ISTJ: 外向思考 (Te) – 個人の記憶や体験を重視しながら、素早く動け、効率よく物事を仕上げる
- ENFJ: 内向直感 (Ni) – 深い洞察を持ち、相手の隠れた気持ちを察知することができる
- INTP: 外向直感 (Ne) – 理論や分析をしながらも、様々な提案や発案ができるようになる
この機能は、主導機能の可能性を最大限に引き出してくれる役割を担うだけではなく、他者との関係を深め、協調性と貢献心を持って行動するときに成長してくれます。
この機能が発動したときに、もしかしたらあなたは自分のタイプが外向なのか?内向なのか?わからなくなるかも知れません。
しかし、そこで悩む必要はありません。ひとつ成長したと思えば良いのです。
機能3:永遠の子供(第三機能)の役割
“エターナルチャイルド “は、躁状態のサイクルで現れる傾向があります。ある時は “世界の王”、次の時は引っ込み思案で臆病な “傷ついた子供”。チャイルドを自我にうまく統合することは、適切かつ健康的であれば、遊び心、愚かさ、無責任さ、傷つきやすさを許容することを意味します”
– マーク・ハンツィカー『深層心理のタイポロジー
機能4:アニマ/アニムス(劣等機能)
MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)における心理機能に関して、「アニマ/アニムス」という用語は使っていません。
元々は、カール・ユングの分析心理学から来ている言葉です。
- カール・ユングの理論: ユングは、アニマ(女性の心理における男性性)とアニムス(男性の心理における女性性)を、個人の無意識の中に存在する、対立する性別の象徴として定義しました。これらは個人の無意識の深層に潜在し、異性との関係や自己認識に深く影響を与えます。
- MBTIにおける適用: MBTIでは、アニマ/アニムスは直接的には使用されませんが、ユングの心理機能の理論を基にしています。ここでは、第四の機能(劣位機能)が、人格のより深い、しばしば意識されにくい側面を表します。この機能は、通常は意識的な自己像とは異なる側面を示し、ストレス下や未熟な状態では、不均衡または不適切な形で現れることがあります。
第四の機能(アニマ/アニムス)の役割は…
- 自己認識: 第四の機能は、自己のより深い側面に気づき、成長する機会を提供する
- この機能に意識を向けることで、人は自己の多面性を理解し、主機能とのバランスが取れた人格を目指すことができる
- 発達: 人生の初期段階では通常、この機能は未発達であり、無意識のままです。
- 影の面: ストレスや圧力がかかると、第四の機能はしばしば否定的または非生産的な方法で現れます。
しかし、年齢とともに、私たちは、この機能をより意識的に統合していきます。自分のもうひとつの面に向き合えるようになります。
最後の「影の面」がキーワードです。この最後の機能を意識することができなければ、この後にお伝えするシャドウファンクションの影響を受けることになります。
ジョン・ビービーの心理機能の理論では、アニマとアニムスの概念は、個人の主機能(またはヒーローファンクション)と対偶する関係にあるとされています。
- 相補的な存在: ジョン・ビービーの理論では、これらは個人の主機能とは対照的な特性を持つとされています。つまり、もし主機能が外向的ならば、アニマ/アニムスは内向的な性質を持ち、その逆もまた然りです。
- バランスの必要性: アニマ/アニムスは、主機能の偏りを補い、より安定感のある人格の発達を促します。この相互作用は、自己認識と個人成長において非常に重要な役割を担います。
また、この機能に十分な注意を払わない場合、主機能や補助機能の特性すら活かせないかも知れません。この後に続く、シャドウ(無意識の側面)に引き込まれるリスクがあるとされます。
- 無意識の影響: アニマ/アニムスに十分な注意を払わない場合、その無視された側面はシャドウ、つまり個人の無意識の領域に押しやられます。これにより、意識的な自己とは異なる、しばしば理解しがたい影の部分の影響が強くなります。
- 内面の葛藤: シャドウに追いやられたアニマ/アニムスは、予期せぬ方法で表現されることがあります。これは、内面的な葛藤や否定的な感情に囚われ、自分を見失うかも知れません。行動の矛盾から心理的な不調和・葛藤をを生じさせるきっかけにもなるのです。
- 自己受容の重要性: 逆に、アニマ/アニムスへの意識的な需要と取り組みは、内側のシャドウの影響を認識させる機会を提供してくれます。これまでに自分が抑圧してきた部分を受け入れることで、より内外の世界とのより調和の取れた自己を築くことができます。
ビービーの理論において、アニマ/アニムスは個人の主機能との対偶関係にあるため、この機能への注意は、心理的なバランスと成長に不可欠です。これを無視すると、シャドウの影響が強まり、自己の深い理解や均衡を妨げる可能性があります。
MBTIにおけるアニマ/アニムスの概念は、ユングの元の理論とは異なる解釈を提供していますが、人格の深層的な側面を理解する上で重要な役割を果たします。
機能5:敵対者
この機能に脅かされたとき、私は本来持っているはずの「自由」を失った感覚に悩まされるでしょう。皮肉にも、その自由を脅かしているのは、自分自身であり、影の人格なのです。
以下、敵対者の影響を3点で説明します。
- 主機能へのブレーキ: 敵対者は、個人の主機能に対してブレーキをかける役割を持ちます。これは、個人が持つ自然な能力や傾向を抑圧することになります。例えば、本来ならば創造的かつ自由に表現できるはずの能力が、敵対者の影響で制限される可能性があります。
- 行動の抑制: 敵対者の影響は、個人の行動を制約し、心の底から真にやりたいことを実現することを妨げるメンタルブロックとなり得ます。これは、自己表現や目標達成の面での自由度を低下させ、不満や挫折感を生む原因になります。
- 自由感の欠如: 敵対者の影響を受けると、人は自由に生きているという感覚を得るのが難しくなります。日常生活において、自分の本当の欲求や興味を追求することができず、内面的な制約を感じることになります。
日本人が感じやすい敵対者の存在
日本文化においては、社会的な調和や集団の一体感を重んじる傾向があります。この文化的背景は、個人の主機能の表現を制限し、敵対者の役割を強化することがあります。日本人はしばしば、集団の規範や期待に合わせて行動することが求められ、その結果、自己の本来の性質や欲求が抑圧されがちです。
敵対者の影響は、個人が自分自身の真の可能性を完全に発揮することを妨げる要因となり得ます。この機能に意識的に取り組むことで、個人は自己抑制のパターンを乗り越え、より自由で満足のいく生き方を見つけることができるでしょう。このプロセスは、日本の社会においても特に重要な意味を持ち、個人の自己実現と社会的調和の間でバランスを取るための鍵となります。
ENFJの内向感情が脅かされると…
ENFJが敵対者の存在に脅かされると、相手の気持ちよりも自分の感情を優先させます。
- 建前:相手の立場になって物事を考えるべきです!
- 本音:私の気持ちを第一に考えてもらえない?
本来志向する外向感情:Feが活かせないストレスが、内向感情:Fiの影響に向かいます。その結果、独りよがりな発言を繰り返してしまい感情的で冷淡なリーダーになります。
外向と内向が入れ替わる
第五機能「敵対者」の影響を受けているときに、私たちは外向ー内向が入れ替わったかのような感覚に陥るでしょう。また、そのときはどこかで不快なのです。
主機能 | 対立者 | 傾向 |
Te:ESTJ/ENTJ | Ti:内向思考 | 自分の決断に対して自分で反論する。何かと動きが遅くなる |
Fe:ESFJ/ENFJ | Fi:内向感情 | 本来のギバーの資質を破壊して、独りよがりのテイカーになる |
Se:ESTP/ESFP | Si:内向感覚 | 行動力を著しく削ぐ、生きる喜びを奪う。守りに入る |
Ne:ENTP/ENFP | Ni:内向直感 | 悪い未来や絶望をフラッシュバックさせて、アイディアを潰す |
Ti:ISTP/INTP | Te:外向思考 | 決断に急かされ、じっくりと考える時間を奪う。頭が働かない |
Fe:ISFP/INFP | Fe:外向感情 | 周りに合わせることを強要され、自分の信条に反する |
Si:ISTJ/ISFJ | Se:外向感覚 | 自分のペースや過去の経験に自信が持てず、行き当たりばったりになる |
Ne:INTJ/INFJ | Ne:外向直感 | 内側の洞察やビジョン、世界観に対して、邪念が脳裏をよぎる |
この状態は、ストレスを感じている時に強く出ます。
例えば、本来ENFJの人が、自身をINFPと自認するとき、悪い形でINFPの影響を受けているのかも知れません。
よりシャドウ的な表現をするなら、あなたの中にいるシャドウとしてのINFPが、あなたを攻撃しているのかも知れません。しかし、これもあなたの影の一部なのです。
いずれにせよ、第5機能に支配された状態は、とにかく心地が悪く、不快感と不安を感じて、生きづらさを感じます。
機能6:批判的な親/魔女/セネックス
もしも、補助機能がよき親なら、この機能は悪い親…批判的な親として補助機能に真っ向から対立します。
はい!毒親です。
私たちが普段意識せずに抑え込んでいる不満や怒りを他者に投影し、無意識に他者を抑え込もうとする力となります。
毒親/老害:偏った正義の押しつけ
- 毒親:ダメ出し大好き!あなたの資質や成長に制限をかける
- 老害:自分の価値観を押し付ける/無駄にマウントを取る
この機能が暴走すると、自分の価値観や考えを相手に押し付けます。
心理学者:エリックバーンのI am OK! You are not OK!の状態になります。
批判的な親機能は、補助的な母親/父親機能を影で支えている。育て、保護する「親」的な第二の機能とは対照的に、批判的な親は軽蔑し、不活性化し、屈辱を与える。私たちの欠点や失敗を指摘し、私たちの考えを否定するのです。この機能は、自我の内側に向けられることもあれば、他者に向けられたり投影されたりすることもある。
自己や他者を軽蔑し、不活性化させる。その批判はしばしば辛辣で、屈辱や嘲笑を伴い、人格の幸福に無関心で、不自由なものである)。
同サイト
この機能は長い間、心の中で抑えられながらも非常に強力です。抑圧された不満が蓄積されることで、他者に対して批判として投影される結果になります。
この機能が暴走することで、無意識に他者の自由や可能性を抑えつけ、最終的には自分の補助機能(よき親)の資質すら封印する結果になります。
各心理機能の毒親の表れ方
- Ne(ENTJ/ENFJ)
本当は無限の可能性を追求したかったけれど、自分の生き方を崩したくないから、リスクの高い挑戦を避けてきた。その反動で、他者に対して無理に挑戦を強いる。 - Ni(INTP/INFP)
何が真実か、正しいかを知っているが、自由な思考や感情を続けていたいから、真実は見ないようにした。その反動で、他者の自由な意見や価値観を内心で批判する。 - Se(ESTJ/ESFJ)
本当は自由に動きたいが、規範意識に従って行動を抑制。その結果、他者に行動を強要する。 - Si(ISTP/ISFP)
自分のペースで自由に過ごしたいが、刹那的な感情に揺さぶられる。他者には冷静さや落ち着きを強いるする - Te(ENTP/ENFP)
最後までやり遂げたいが、衝動で物事を乱すことが多い。反動で、他者には計画通り進めることを強要する - Ti(ISTJ/INTJ)
じっくり考えたいが、批判される恐怖により自分の思考を抑えがち。その反動で、他者の浅い思考を批判する - Fe(ESFP/ENFP)
皆と仲良くしたいが、瞬間的な感情に左右される。気分屋な人を見るとイライラし、批判的になる - Fi(ISFJ/INFJ)
自分の価値観に従いたいが、周囲に流され抑圧される。その結果、自分の感情を表現する人を批判する
もう少し細かく見ていきましょう。
ISFPがSeが毒親化すると
ISFPの補助機能は、外向感覚:Seです。
内側の価値観や信条があり、補助機能:Seを活用することで具体的な行動や活動を生み出します。
対して、内向感覚:Siが悪く働いたときは、活動エネルギーが著しく低下します。
- 自分の世界に閉じこもる。人生無理ゲーと悟り、虚無主義的になる
- 活動している時間よりも休んでいる時間のほうが圧倒的に長い
など、自身が本当に活かすべく外向感覚:Siに抑圧して、その価値観を人にも押し付けます。
INTJ/ISTJのTiが毒親化すると…
INTJやISTJが「批判的な親」機能に囚われると、内向思考(Ti)が暴走し、周囲に対して強い批判的な態度を取るようになります。何かと他人のアイディアや考えを否定しがちになり、その否定が鋭く、重箱の隅を突くような細かい批判へと発展します。
しかし、その批判に対して自分で代替案を示すことができず、ただ否定するだけに終わることが多いのです。本人の中では「建設的な議論」なのかもしれませんが、実際には何も建設できていません。第三者から見ると、重箱の隅を突いて、ただ他人の意見を抑え込もうとしているように映るのです。
誰かが「子供っぽい」と感じるとき、私たちはこの重要な役割を引き受けることがあります。誰かが私たちの「トリックスター」機能(スタックの7番目の機能)を発動させているとき、私たちは「批判的な親/魔女」の役割を担って、相手をコントロールしようと反応するかもしれません。
健全なINTJやISTJは、他者のアイディアに対して適切にフィードバックを与え、さらに自分の代替案を提案することで、論理的な思考と建設的な行動を示すことができます。しかし、毒親機能が暴走している場合には、批判的な姿勢ばかりが目立ち、他者を抑え込もうとするだけで終わってしまいます。
この批判的な態度は、実は自分の内面にあるコンプレックスを外部に投影している結果です。彼らは自分の未達成の期待やネガティブな人生観を外界に押し付け、内向思考(Ti)を使って他者を批判します。これは、「自分が成功しない限り、他者も成功しない」という内向直感が認識をして、外向思考で判断を下した結果にすぎません。
このように、内向思考(Ti)の毒親的な影響が働くとき、本来の思考の資質を活かせずに、自分のネガティブな感情や思い込みから論理を構築してしまうため、Teの良い親としての役割を果たせなくなります。
それが、他者を抑圧し、自分を閉じ込めるという悪循環を生み出してしまうのです。
ENTP/ESTPのTeが毒親化すると…
ENTPやESTPの補助機能は内向思考(Ti)です。
直観や感覚を内側で論理的に整理し、そこから導き出した考えを外に表現するタイプです。しかし、内向思考が未発達な状態で、外からの論理的な圧力(外向思考:Te)にさらされると、問題が生じます。
この場合、他者の行動を制限し、強制的に自分の考えに従わせようとすることがよく見られます。自分の論理や思考がうまく機能しないとき、彼らは内面的な不安を感じ、その結果、他者に対して「こうするべきだ」「私のやり方に従え」と強要することが増えます。
本人は、自分の考えに自信が持てず、無意識に他者を抑え込もうとしてしまうのです。
健全なESTPやENTPは、他者の意見に耳を傾けながらも、自分の考えをきちんと表明することができます。
しかし、思考機能を十分に活かせないと、無力感や混乱を感じ、外向思考:Teを使って他者をコントロールし、自分の論理に従わせようとするという形でそれを補おうとします。
この状態では、自分の不安や抑圧を他者に投影し、関係性を歪めることが多くなります。
機能7:トリックスター
トリックスターは、「欺き」「欺瞞」「欺き」「コンプレックス」に大きく関わります。
第三の「永遠の子供」と比べるとわかりやすいでしょう。
- 永遠の子供:無邪気で、傷つきやすく、遊び好き
- トリックスター:ずる賢く、悪意があり、形を変え、人を欺く
近藤真彦さんの「天使のような悪魔の笑顔」という曲がありましたが、まさにトリックスターを表す言葉でしょう。
自分の中の「第三機能:永遠の子供」を守ろうとして、人を欺き、利用します。結果として、他人おろか自分すら欺こうとします。
大抵、トリックスターが暴走したときは、既に何らかのトラブルを起こしています。
ENTP/ESTPのトリックスター:Fi
ENTP/ESTPのトリックスターは内向感情:Fiです。
自分の気持ちや価値観に向き合わず、人の内向感情:Fiを満たそうとします。
トリックスターの時代
私、木村なおきは、2017年にコーチ/コンサルを志望していました。当時は、お客様の成長や成功を応援できる仕事をしたいと考えていました。
しかし、この事業が軌道にのることはありませんでした。
なぜなら、自分自身が成長や成功をしていないし、それ自体がコンプレックスでした。
自分のコンプレックスを克服できない人間が人の支援なんてできるはずがない!と気づきました。
自分が向き合いたくない側面に向き合うことになります。
INFPは内向感覚:Seが課題
知人のINFPは、チームがイキイキと行動できるように支援したいと考えていました。
しかし、自分自身が外向感覚:Seの課題に直面していました。
その時に「私は必死に努力をしている!」と訴えていたようなのですが、誰からも信じてもらえませんでした。
INFPやINTPは、トリックスターの外向感覚:Seに向き合う必要があります。
主機能を使ているときは、自分らさしさ感じられますが、トリックスターに侵食されると、主機能や補助機能の恩恵を授かる機会を失います。
結果として、ウソにウソを重ねて、人格が分裂する結果になるかもしれません。
トリックスターはとてもネガティブに聞こえますが、実は成長と個性のための重要な触媒なのです。
「トリックスターは、何よりも個性化のための触媒なのです。トリックスターは、破壊者であると同時に創造者でもあるのです。新しい秩序につながる新しい選択肢を開くために、自己制限的な構造を壊し、無秩序を作り出します。”
– マーク・ハンジカー『深層タイポロジー
機能8:悪魔/デーモン
悪魔/デーモンは、最も最下層にある心理機能だと言えます。この機能での失敗が最も私たちの自信を崩壊させます。
逆に、この機能を優位に使用している人々と関係を築くのに苦労することがあります。
なぜなら、この機能を使わざるを得ないようなシーンでは、否定的な経験しかなかったからです。逆に考えるなら、物凄く人生観に影響を及ぼしている機能になるかもしれません。
この機能に動かされているとき、他の人々がこの機能を正常・健康的な方法で使用していることを誤解したり、悪魔のように見なさないために重要です。
この心理機能は、自我から最もかけ離れた位置にいるため劣等機能の中の劣等機能になります。
この心理機能を味方につけることで最強の守護神を得ることもできます。
16タイプの枠組みでデーモン(悪魔)を意識することで、以下のような効果が期待できます:
- 自己理解の深化: デーモン機能は通常、私たちが最も扱いにくいと感じる部分です。これを認識することで、自分の弱点や挑戦についての洞察を深めることができます。
- 他者との関係改善: デーモン機能を持つ他の人を誤解することが多いため、この機能を意識することで、他者とのコミュニケーションや理解が向上する可能性があります。
- 投影の認識: デーモン機能を他人に投影する傾向があります。これを意識することで、不要な対立や誤解を避けることができます。
- 成長と発展: デーモン機能を意識的に向き合うことで、自己成長やパーソナルデベロップメントの機会として活用できます。
- ストレスやコンフリクトの軽減: デーモン機能との関わり方を学ぶことで、ストレスや対人関係のコンフリクトを軽減する助けとなることがあります。
デーモン機能を意識することは、自分自身や他者との関係において有益な洞察をもたらす可能性があります。この理解を深めることで、より健全な自己認識と人間関係の構築が期待できます。
ひとことでいうなら「ラスボス」「諸刃の剣」です。
ENTPやENFPの第8機能:外向感覚:Se
本来、ENTPやENFPは革新的なアイディアを出して、人生の可能性に挑むことを生き様としています。
しかし、第8機能の影響を受けると、アイディアを実現する義務を負うことになります。言葉に表せないストレスを感じます。ENTPやENFPが、外向感覚:Seを使うことを強いられると、途端に今までのエネルギーが消えうせて、まるで何かに呪われたような感覚に陥ります。
逆に、ESTPやESFPは、その瞬間に身体を動かして感覚機能を活かしたいと考えますが、数分先の展開を意識しないと、ただの衝動的行動で終わります。たくさん走り回っているのに、同じところをグルグルと回っているだけの状態になります。
同時に、この機能を上手に使えている人に対して、極度な恐れ、妬み/コンプレックス、怒りなどに囚われを誘発させます。内側に隠れた恐怖を拭い去るために、どんな手を使っても払いのけるかもしれません。
まるで自分を侵略する悪魔を振り払うために…。
あなたがEXFJで、Tiが劣位にある場合、Teはあなたの機能スタックで「悪魔」の役割を果たすことになります。その結果、あなたは最初、Teの振舞に嫌悪感を抱くかもしれません。Teの動機を誤解し、自分の常識で「悪」または「残酷」と見てしまうかもしれません。あるいは、Teを使わなければならないときに、自分の感覚と結びつかず、完全に孤立しているように感じるかもしれません。深刻なストレスや自我の崩壊の際に、自分自身に対してTeを使用することもあるでしょう。客観的な論理を稚拙で不明瞭な形で用いて、自分自身や自分の目標や価値を貶めるかもしれません。このようなことを考慮しても、Teはあなたにとって良いものである可能性があります。それが何であるかを知り、自分の人生の一部として受け入れ始めれば、個人的に成長し、そのネガティブな影響を回避することができるのです。あなたは、Teの強い使い方をする人を尊敬し、大いに賞賛することを学ぶかもしれません。
ESFJやENFJにとって、ESTJやENTJは、感情よりも論理を優先してくるために、驚異の対象となるでしょう。その逆もしかりです。
この機能を克服しない限り、見えない悪魔と戦い続ける人生になるかもしれません。
シャドウの補足
シャドウ(影)の概念は、カール・ユングのアーキタイプ(原型)を元に作られています。
アーキタイプ/原型とは?
アーキタイプとは、原型のことです。
文学や芸術、神話の世界で繰り返し登場するシンボルやモチーフを指しています。
ユングは、集合的無意識の中で、私たち人間は、文化や国、時代に関係なく、共通する基本的なパターンが存在すると考えました。
ギリシャ神話から鬼滅の刃など世界で指示される物語の中には、必ず共通したパターンが存在します。この共通のパターンに登場するシンボルやモチーフを、ユングはアーキタイプと呼びました。そのアーキタイプの中に潜むのが「シャドウ」の概念です。
シャドウとは何か?
タイプダイナミックスで説明されていない私たちのダークサイドにフォーカスしたものです。
- 自己のダークな部分
- 生きていない部分
- 心理的に抑圧された面
シャドウ(影)はタイプダイナミックスでは解説されていません。なぜなら、タイプダイナミックスの目的は、主機能と補助機能を知り、個人が成長するために必要な劣等機能を克服するのが目的です。必要絶対条件ではないのです。
MBTI®はポジティブなタイプ論であるべきです。対して、シャドウはめちゃくちゃネガティブです。
そこには、抑圧された記憶、原始的、否定的、あるいは社会的に軽んじられた人間の感情や衝動が含まれています。通常、私たちが無縁だと判断したもの、「野暮」だと判断したものは、シャドウの一部となります。シャドウは、私たちのエゴと対立しています。エゴとは、私たちが自分自身を想像しているものであり、私たちの「アイデンティティ」なのです。タイポロジストによると、私たちの支配的な機能と補助的な機能は自我の中核にあり、次第に三次的な機能や劣等的な機能が発達すると、それらも自我の一部となる。主機能に属さない機能は「影」の中に置かれ、自我が十分な働きをしないときに自我を守るために意識に出たり入ったりするのです。
例えば、ENTPは外向直感:Neを指向していますが、内向直感Ni:の影響を対立しながらも受けています。
この部分をシャドウと呼んでいます。
シャドー機能は善か悪か?
スーザンは「両方です!」とはっきり答えました。
シャドー機能は、非常に破壊的である反面、私たちの成長と自己実現を手助けする役割も担います。
8機能性格モデルを考え出した類型学者ジョン・ビーブは、影の機能は “人格を守るために汚い戦いをする “と述べています。
“シャドーとは、他人には見えているが、自分には見えていない部分である”
– ジョン・ビービー
よって、内側の弱さやコンプレックスなど目を背けたい部分に向き合う必要があります。
また、シャドウ機能が理解できても、自分で意識的にコントロールするのは難しいとスーザンさんは自身のページで述べています。
少なくとも、シャドー機能は、意識的にコントロールすることができないため、ネガティブになりやすく、その影響を受けると、非合理的、不合理、または道徳的にあいまいな行動をとる傾向があります。また、そのマイナス面を他人に投影してしまうこともあります。
あとがき
最後まで読んでくださりありがとうございました。
最後まで書いてみた結果ですが、個人的には納得できる内容だと思えました。
また、2022年に日本MBTI®公式に参加をしたときに、本当に知りたかった見解に辿り着きました。
ユングの8機能の解説を試みるために、ソシオニクスにも手を出しましたが、サイコロジカルジャンキーさんの理論で説明しても面白いですね。
サイコロジカルジャンキーのスーザンさんには感謝しかないです。