EARTSタイプ完全ガイド|ビッグファイブ×16性格診断で読み解く「現実的なサポーター」の全体像
EARTSタイプを一言で表すなら、「感情豊かに他者を支え、慣れた方法でマイペースに行動する存在」です。職場では、厳格なスケジュールや細かいルールに縛られることを好まず、自分のペースで柔軟に動きます。新しい手法や実験的なアプローチよりも、「これまでうまくいった方法」や「慣れ親しんだやり方」を好みます。計画を立てても、途中で状況が変われば柔軟に対応し、「その時になったら考えよう」という楽観的なアプローチを取ります。協調性が高いため、同僚が困っていれば放っておけず、「何か手伝えることある?」と声をかけ、実際に行動に移します。
日常のシーンで言えば、EARTSタイプは職場で同僚が悩んでいるとき、「大丈夫? 私も最初は同じだったよ。一緒にやってみようか」と温かく声をかけ、具体的な手順を丁寧に教えます。感受性が高く、相手の表情の変化や声のトーンから、感情を敏感に読み取ります。たとえば、新しいツールの導入について議論しているとき、「今のやり方で十分じゃない? 新しいことを覚えるのは大変だし」と慣れた方法を擁護しつつも、「でも〇〇さんが困ってるなら、試してみてもいいかも」と柔軟に対応します。
周囲からは、「優しい」「温かい」「情熱的」「話しやすい」と評されることが多いでしょう。ただし、感情の起伏もあり、ストレスが溜まると不安を感じたり、「これでいいのかな」と心配になったりすることもあります。また、計画性が低いため、「もう少し計画的にやってほしい」「締め切りを守って」と言われることもあります。変化や不確実性に対してはストレスを感じやすく、慣れた環境や方法に安心感を覚えます。この感受性と現実主義は、他者への深い理解と実践的なサポートの源である一方、変化への適応やストレス管理には課題が生じることもあります。
5因子で見るEARTSの構造
EARTSタイプの行動や思考のパターンを理解するには、5つの因子がどのように連動し、時に葛藤するかを見ることが重要です。
外向性(E):人との交流を楽しむ
EARTSタイプは社交的で、人と関わることを楽しみます。会議やイベントでは積極的に参加し、チームメンバーとの会話を大切にします。一人の時間も必要ですが、基本的には「人と一緒に働く」ことに喜びを感じます。ただし、深い議論や激しいディベートよりも、温かい雰囲気での交流を好みます。
協調性(A):深い思いやりと調和を重視
高い協調性は、EARTSタイプの「サポーター」としての資質を支えています。他者の意見を尊重し、対立を避けようと努力します。感情的な共感力が高く、相手が言葉にしていない感情まで察知します。「みんなが気持ちよく働ける環境を作りたい」という思いが強く、時には自分のことを後回しにしても、他者を優先することがあります。
誠実性(R:低い=柔軟・即興的):マイペースで柔軟
EARTSタイプの特徴的な要素が、この「誠実性の低さ」です。厳格な計画や長期的なスケジュール管理は苦手で、その場の状況に応じて柔軟に対応することを好みます。締め切りや細かいルールに縛られることを嫌い、「まあ、その時になったら考えよう」という楽観的なアプローチを取ります。この柔軟性は、ストレスを軽減し、変化にも対応しやすくします。
神経症傾向(T):感受性と情熱の源
EARTSタイプの特徴的な要素が、この高い神経症傾向です。感情豊かで、喜びも悲しみも深く感じます。ストレスや不安を感じやすく、「うまくいかなかったらどうしよう」と心配になることもあります。ただし、この感受性は「弱さ」ではなく、他者の痛みに共感する能力や、問題を早期に察知する力の源です。また、仕事や人間関係に対して情熱的に取り組むエネルギーも、この神経症傾向から来ています。
開放性(S:低い=保守的・現実的):慣れたものを好む
EARTSタイプの特徴的な要素が、この「開放性の低さ」です。抽象的な理論や斬新なアイデアよりも、具体的な事実や実績のある方法を好みます。「これまでうまくいった方法」を大切にし、急激な変化よりも安定した環境を選びます。新しいことに挑戦するよりも、慣れ親しんだルーティンの中で働くことを好みます。この現実主義が、確実で実践的なサポートを可能にします。
意思決定の重心:共感と安定
EARTSタイプの意思決定は、「相手の気持ちに配慮できるか」「安定しているか」を軸に進みます。実績のある方法を選び(S)、柔軟に対応し(R)、人の感情に配慮しながら(A)、情熱を持って行動します(E・T)。ただし、計画性の低さ(R)、感情の起伏(T)、変化への抵抗(S)により、長期的な目標達成や、新しい環境への適応には課題が生じることもあります。このバランスを取ることが、EARTSタイプの成長の鍵となります。
同じ16性格診断タイプでも異なる”個性差”
ここで重要なのは、16性格診断とビッグファイブ診断は、性格を異なる角度から捉えているという点です。
16性格診断は、思考の「方向性」や「優先事項」を大まかに分類します。たとえば、外向的で感覚的、感情型で柔軟なタイプ、といった枠組みです。一方、ビッグファイブ診断(5因子モデル)は、その枠組みの中での「強度の違い」を測定します。同じ16性格診断の大枠に属していても、各因子の高低によって、実際の行動パターンは大きく変わります。
たとえば、同じような外向的で協調的なタイプでも、誠実性・神経症傾向・開放性の組み合わせで大きく異なります。
- EACTSタイプ(誠実性が高く、神経症傾向が高く、開放性が低い):計画的で情熱的、実績のある方法を確実に実行する「献身的な実務家」
- EARTSタイプ(誠実性が低く、神経症傾向が高く、開放性が低い):柔軟で情熱的、慣れた方法でマイペースに進める「現実的なサポーター」
- EACNSタイプ(誠実性が高く、神経症傾向が低く、開放性が低い):計画的で冷静、実績のある方法を確実に実行する「堅実な実務家」
- EARNSタイプ(誠実性が低く、神経症傾向が低く、開放性が低い):柔軟で穏やか、慣れた方法でマイペースに進める「安定志向の調和者」
EARTSタイプは、「柔軟」という点でEARNSタイプと共通していますが、「感情の深さ」という点で大きく異なります。EARNSタイプが「穏やかにマイペースに」進めるのに対し、EARTSタイプは「情熱的に、時に不安を感じながらも」進めるスタイルです。
また、「情熱的」という点でEACTSタイプと共通していますが、「計画性」という点で異なります。EACTSタイプが「計画的に責任を果たす」のに対し、EARTSタイプは「柔軟にマイペースで進める」スタイルです。
さらに、「保守的」という点でEARNSタイプと共通していますが、「感情の表現」という点で異なります。開放性が低い(S)ため、新しいアイデアよりも実績のある方法を好む点は共通していますが、神経症傾向が高い(T)ため、感情豊かで情熱的な一面があります。
このように、ビッグファイブ診断は16性格診断の「補助線」として機能します。性格タイプ分析を深めることで、「なぜ同じタイプなのに行動が違うのか」という疑問が解消され、自己理解テストとしての精度が大幅に向上します。
EARTSが特性を活かすには?
EARTSタイプの強みを最大限に発揮するには、慣れた環境での柔軟な働き方と感情との付き合い方が鍵となります。コーチング心理学の視点から、具体的な行動設計を考えてみましょう。
強みを活かす環境設定
- 慣れた環境を選ぶ
EARTSタイプは、頻繁に変化する環境よりも、ある程度の予測可能性がある環境で力を発揮します。業務内容が安定し、慣れた手順がある職場が理想的です。突発的な対応が多い環境は、ストレスの原因となります。 - 感情的なサポートがあるチーム
神経症傾向が高いため、ストレスや不安を感じやすい面があります。心理的安全性が高く、困ったときに相談できる人がいる環境が重要です。上司や同僚に、感情を受け止めてもらえる関係性があると、安心して力を発揮できます。 - 自分のペースを守る
誠実性が低いため、過度に厳格なスケジュール管理はストレスになります。「この業務はこのペースで進める」と自分で決め、無理のない範囲で働くことが、持続可能なパフォーマンスにつながります。
弱点の理解と使い分け
EARTSタイプの「弱点」は、実は強みの裏返しです。計画性の低さは、「柔軟性の高さ」や「ストレス耐性」から来ています。変化への抵抗は、「安定性の重視」や「リスク回避」の表れです。感情の起伏は、「深い共感力」や「情熱」の源です。
これらは「改善すべき欠点」ではなく、「理解し、状況に応じて使い分けるべき特性」です。たとえば、「この仕事は締め切りが絶対」と認識したときは、カレンダーにリマインダーを設定し、早めに着手することを意識します。また、不安を感じたときは、「この不安は何を教えてくれているのか」と問いかけることで、見落としていたリスクに気づけます。
一方で、「慣れた環境で働きたい」「感情豊かに人と関わりたい」という欲求は、無理に変える必要はありません。自分に合った環境を選ぶことが、長期的な幸福感とパフォーマンスにつながります。
ルーティンとリフレクション
EARTSタイプには、以下のようなルーティンがおすすめです。
- 朝のマインドフルネス:5分間の瞑想や深呼吸で、感情を落ち着ける
- タスク確認:その日の大まかな予定を確認し、優先順位を決める(詳細な計画は不要)
- 夕方の感情チェック:今日感じた不安やストレスを3分間書き出し、整理する
- 週末のセルフケア:リラックスできる活動(散歩、趣味、友人との会話など)で心身をリセット
- 月次の振り返り:今月うまくいったことを3つ書き出し、自分を認める
これらの習慣により、柔軟性と感情のバランスが保たれ、無理なく成果を出せます。
人間関係・チーム内での立ち回り方
EARTSタイプは、チーム内で「献身的なサポーター」として機能しますが、関係性の質を高めるためには、いくつかのポイントを意識する必要があります。
得意なコミュニケーション
- 深い共感と気遣い:相手の感情を敏感に察知し、困っている人に自然と声をかけられます。この能力により、メンバーは「気にかけてもらえている」と感じます。
- 実践的なサポート:抽象的な理論ではなく、「こうすればうまくいく」という具体的な方法を提示できます。経験に基づいたアドバイスは、説得力があります。
- 柔軟な対応:予定外の変更にも柔軟に対応できるため、変化の多い状況で重宝されます。
苦手なコミュニケーションと対処法
一方で、以下のような場面では注意が必要です。
- 感情的な反応:ストレスが高まると、不安や心配が表に出やすくなります。重要な決定をする前には、一度冷静になる時間を取ることが有効です。
- 新しい提案への対応:開放性が低いため、新しいアイデアには慎重な態度を取ります。「まず小規模に試してみて、うまくいったら広げる」という段階的なアプローチを提案することで、抵抗感を軽減できます。
衝突パターンと回避策
EARTSタイプが衝突しやすいのは、以下のようなタイプです。
- 誠実性が高く、厳格なタイプ:相手が「計画を守れ」「もっと真面目にやれ」と求めると、ストレスを感じます。この場合、「重要な締め切りは守るが、プロセスは柔軟にやらせてほしい」と交渉することで、双方が納得できます。
- 開放性が高く、革新的なタイプ:相手が「新しいことを試そう」と頻繁に提案すると、不安を感じます。「今のやり方がうまくいっているなら、まずそれを続けたい」と伝え、変化は段階的に取り入れることを提案します。
相手側の理解ポイント
EARTSタイプと働く人は、以下を理解しておくと関係が円滑になります。
- EARTSタイプは、計画性が低く、変化を好まないが、それは「安定性を重視する」価値観の表れである。
- 感情豊かで情熱的だが、それは「仕事への真剣さ」の表れである。感情的なサポートを提供することで、さらに力を発揮できる。
- 不安を感じやすいが、それは「リスクを事前に察知する能力」の表れである。その洞察を活かす。
EARTSの適職×働き方
EARTSタイプが力を発揮できる環境と働き方について、具体的に見ていきましょう。
向きやすい環境
- 安定した組織
頻繁に変化する環境よりも、安定した組織文化を好みます。業務内容が予測可能で、ルーティンがある程度確立されている職場が理想的です。 - 協力的で温かいチーム
協調性が高いため、協力的で温かい雰囲気のチームで働くことで、最も力を発揮します。対立や競争が激しい環境は、ストレスの原因となります。 - 適度な自由度
誠実性が低いため、厳格すぎる管理はストレスになります。ある程度の裁量があり、自分のペースで働ける環境が適しています。 - 人との交流がある職場
外向性が高いため、人との交流がある仕事を好みます。ただし、激しいディベートや対立よりも、温かい交流が理想的です。
適した職種
- 介護職・看護助手:他者の痛みに共感し、実践的なケアを提供
- 保育士・幼稚園教諭:子どもに寄り添い、慣れた環境で献身的にサポート
- カスタマーサポート:顧客の困りごとに共感し、慣れた方法で解決
- 販売職(既存顧客):長期的な関係を築き、慣れた商品を柔軟に提案
- 事務職・受付:人との穏やかな交流がある安定した業務
- コミュニティスタッフ:慣れた環境で人々をサポート
現代の働き方との相性
リモートワーク:EARTSタイプは、人との交流を好むため、完全リモートよりもハイブリッド型が適しています。また、神経症傾向が高いため、孤独になりすぎるとストレスを感じやすいです。定期的なオンラインミーティングや、週に数回のオフィス出勤があると、安心して働けます。
個業(フリーランス):誠実性が低く、開放性も低いため、自己管理や新規開拓が多いフリーランスよりも、組織内での安定した雇用が適しています。ただし、既存クライアントとの長期的な関係を築くスタイルであれば、フリーランスも可能です。
組織内:EARTSタイプは、組織内での安定したポジションで最も力を発揮します。長期的なキャリアパスが明確で、温かい人間関係がある職場が理想的です。
燃え尽き注意点
EARTSタイプの燃え尽きリスクは、「過度な共感」と「感情的な疲労」、「変化への対応疲れ」から生じます。以下の点に注意しましょう。
- 境界線の設定:他者の問題と自分の問題を分け、「サポートはするが、すべてを背負う必要はない」と認識する
- 感情のケア:定期的にストレスを発散し、信頼できる人に話を聞いてもらう。カウンセリングも有効
- 変化への段階的な対応:急激な変化を避け、新しいことは小さなステップで取り入れる
- セルフコンパッション:完璧を求めすぎず、「今日できることをやった」と自分を認める
- 安定した環境の維持:自分に合った環境を見つけたら、その環境を大切にする
まとめ:EARTSタイプを地図として活用しよう
EARTSタイプは、外向的で協調性が高く、柔軟で情熱的、保守的という、慣れた環境で献身的に人を支える力を持つ特性を兼ね備えています。ビッグファイブ診断と16性格診断を組み合わせることで、あなたの性格の「濃淡」が明確になり、自己理解が深まります。
性格タイプは、あなたを「枠」にはめるものではなく、現在地を示す「地図」です。OCEAN理論(5因子モデル)を活用し、自分の強みを活かす環境を選び、弱点を理解しながら使い分けることで、より充実したキャリアと人間関係を築くことができます。
【CTA】あなたの性格タイプを詳しく知ろう
自分のビッグファイブプロフィールをまだ確認していない方は、ぜひ本診断を受けてみてください。5因子の「濃淡」を知ることで、自己理解テストとしての精度が格段に上がります。
また、EARTSタイプに近い特性を持つタイプについても、ぜひ読んでみてください。
関連記事:
- EACTS:EARTSと似ていますが、誠実性が高い(計画的で責任感がある)タイプ。献身的な実務家です。
- EARNS:EARTSと似ていますが、神経症傾向が低い(情緒が安定している)タイプ。安定志向の調和者です。
- EARTO:EARTSと似ていますが、開放性が高い(創造的で新しいアイデアを好む)タイプ。効率重視のクリエイターです。
締めの一言:
性格タイプは「枠」ではなく「地図」です。EARTSという現在地を楽しみながら、あなたの共感力と現実主義で周囲を支えていきましょう。あなたの強みは、すでにあなたの中にあります。

