SNSにはソーシャルしかいないのに、私のところにはソーシャルが来ません
いくつか質問させてください。心の中で頷くだけで結構です。
- 今日、Xを何回開きましたか?
- 新しい診断ツールが流れてきたら、とりあえずやりますよね?
- やったら、結果を貼りますよね?
- 誰かがスペースをやっていると、内容がわからなくても気になりますよね?
- 参加するかは別として、誰が来ているかは確認しますよね?
- 界隈で誰かが炎上すると、何があったのか把握しますよね?
はい。もう十分です。
それ、全部ソーシャル本能です。
……と、ここで終われば気持ちのいい記事なのですが、今日はもう一歩進みます。
なぜなら、当方のお客様には、ソーシャルがほとんどいないからです。
先に、数字を出します
当方のセッションで生得本能を判定した結果の、おおまかな内訳です。
- 自己保存優位……6割以上
- セクシャル優位……3割ほど
- ソーシャル優位……1割未満
エニアグラムのタイプは…タイプ4、タイプ5がダントツ!その次がタイプ9やタイプ6ですかね。タイプ2がいちばん少ないです…(でも、いちばんの紹介者がタイプ2だったりする…)
話を戻して、本能の順位だけはこれほど偏ります。
ソーシャルはどこへ行ったのか?
ほとんどの方で、サブか盲点に入っています。
おかしいと思いませんか?
SNSの性格界隈は、あれだけソーシャルで埋まっているのに。診断も、考察も、自認警察も、スペースも、全部そこで回っているのに。
その界隈から、私のところにはソーシャルが来ないのです。
忖度しているわけではありません
先に断っておきますが、「うちのお客様は自己保存が多いんですよ」と持ち上げているのではありません。冷静になって数えたらそうなっただけです。
そして、理由もはっきりしています。
当方のセッションは平均5時間です。長いときは8時間を超えます。10時間になったこともあります。
自分でも思います。規格外です。
初対面の人間と、画面越しに、休憩を挟みながら丸一日話す。
それも、飲み会でも研修でもなく、自分の性格の話だけを。しかもそこそこの金額を払って…。
普通だったら参加しない設計です。
参加されたお客様には、この場を借りて大声で申し上げたい。
ありがとうございます。よく来てくださいました。
そして重要なのはここです。
いま「普通、参加しない」と言いました。
その「普通」の正体が、ソーシャルです。
文献で確認しておきます
私の思いつきではないことを、先に示しておきます。
エニアグラムの3つの本能は、オスカー・イチャーソからクラウディオ・ナランホへ引き継がれた枠組みで、人間が誰しも持つ生物学的な生存の駆動として整理されてきました。
ピーター・オハンラハンによるナラティブ・エニアグラムの解説では、この3つが人類の進化に必要だった基本戦略として説明されています。
それぞれが何を管轄しているか。The Enneagram at Workの整理を借りると、こうなります。
- 自己保存は、物資と安全。食糧、住まい、暖、家族といった土台
- 1対1(セクシャル)は、親密な関係と、身体に流れる生命力そのもの
- ソーシャルは、より大きな集団や共同体における所属とメンバーシップ
エニアグラム・インスティテュートは、これらを「サブタイプ」と呼ぶのは誤りで、本能と呼ぶべきだと明言しています。3つは全員が持っていて、順位だけが違う。
この順位を、彼らは本能スタックと呼びます。
さて、定義は出揃いました。
では、なぜソーシャルが少ないのか?
答え:来る必要がないからです
ソーシャルにとって、資源(エニアグラムの知見、タイプの判断材料と基準)はグループの中にあるからです。
そのグループの中に入れ、エニアグラム関連の情報も、機会も、安心も、自然に回ってくる。これは計算ではなく、生得的本能的にプログラムされているのです。
いわゆる、SNSの性格界隈で考えてみてください。
- 原典を読まなくても、誰かが要約してくれます
- 難解な理論も、誰かが図解してくれます
- 海外の新しい説も、誰かが訳してくれます
誰かが新しいブログを更新すれば、その感想が流れてきます。同じ関心毎を持つグループの人たちが集まるところに所属をしていれば、勝手に情報が降りてくるのです。
だとしたら、なぜわざわざ丸一日を空けて、単身で、規格外の場所へ行く必要があるでしょうか?
ソーシャル=日本人の生存戦略
日本社会を見てください。空気を読む。根回しをする。稟議を回す。飲み会に出る。みんなが持っているから買う。就活では全員が同じ髪型で同じことを言う。この国では、正しさより「誰が言ったか」が通り、実力より「どこに所属しているか」が通ります。
腹が立ちますか? でも事実ですよね。
つまり日本社会は、ソーシャル本能のためにチューニングされた環境です。
そしてSNSは、その戦略を満たすために設計されたようなプラットフォームです。
- タイムラインは村の井戸端
- いいねは承認の可視化
- リポストは口伝
- フォローは所属の宣言
- フォロー解除は絶縁状
ここで唯一、燃費がいいのがソーシャルです。
だから「界隈」に属します。そして、その界隈のメンバーになります。そのほうが生きやすいからです。
一方、あなたが来た理由
では、なぜあなたは来たのでしょうか?あるいは、なぜ来ようか迷っているのでしょうか?お客様から直接参加動機を伺いますが、生得本能的に整理すると以下のようになります。
自己保存の場合
自己保存は、はじめから界隈の情報には期待していません。
タイムラインに流れてくるポストを鵜呑みにしません。無料ブログは読みますが参考程度です。自己保存が強ければ、良質な情報を集めたいと思い、すぐに原典へ向かいます。
翻訳がなければ英語で読むかもしれません。今の時代ならAIに流せばすぐに要約が返ってくる。タイプ論の情報を集めるための動作でも、自己保存とソーシャルはその関心先が大きく違います。
- 自己保存|なるべく質の高い情報を内側にストックしておきたい
- ソーシャル|みんなが「正しい」と信じている情報に追従したい
自己保存は、その名の通り「情報」を内側にストックします。そして集めたものを、自分のPCに溜め込みます。フォルダを切り、PDFやドキュメントにし、いつでも取り出せる状態にする。
人によっては、自分に合わせてカスタマイズします。図×表にする…自分の言葉で書き直すなど、自分のホームを固める事に強い関心があります。
ホームを完成させてから、外に出る。
これが自己保存の生存戦略です。誰も褒めてはくれないでしょう。何年も、このようなパターンを続けてきました。
はい!自己保存は自認をするのは簡単だけれど、実践をするのは修羅の道です。
余談ですが、当方でも自己保存優位の方は長時間コースを選びます。同じ料金なら持ち帰る量が多いほうが得だからです。
セクシャルの場合
セクシャルがSNSに没頭しない理由はひとつです。薄いからです。
タイムラインに流したところで、100人が2秒ずつ見て終わります。このセクシャル本能が求めているのは、接触の数ではなく、濃度です。
公共の場で盛り上がるよりもDMなどを活用します。1対1が原則です。100人に届く投稿より、ひとりと深く話す事で強いエネルギーを獲得できる感覚になるからです。
誤解しないでいただきたいのですが、これは好意ではありません。
セクシャルが私に連絡をくださるのは、私のことが好きだからではありません。自分の内側にある生存欲求をを満たしたいから、エネルギーを補給したいからです。
その資源を燃料を取りに来ているだけで、相手が私である必然性は、正直そこまで強くありません。
(それでいいと思っています。丸一日の1対1は、この本能にとって最高の環境ですから。)
では、ソーシャルの居場所はないのか?
よく聞かれます。「自分はソーシャル優位だけど、参加していいのか」と。
もちろん歓迎します。当たり前です。
ただ、正直に申し上げておきますと、セッション中にソーシャルの人達の欲求を満たすことはできないかもしれません。
ソーシャルの人が求めているのは、Xのスペースなど不特定多数が集まって、みんなで何らかのテーマについて意見交換を交わすプラットフォームです。その機能はSNSにもっていかれました。
勿論、それでも来ていただけるなら、私は本気で歓迎します。
ただ、エニアグラムオンラインの世界は、自己保存優位×セクシャルがサブ…という世界観であることは事前に伝えておきます。
でも、SNSにSo盲点自認多くない?
最後に、いちばん大事な話をします。
ここまで気持ちよく読めた方。「そうそう、自分は界隈とは違う」と思われた方。
あなたの盲点、ソーシャルですよ。
盲点というのは、余裕がなくなったときに真っ先に切り捨てられる領域のことです。自己保存優位のあなたは、しんどくなると巣にこもります。セクシャル優位のあなたは、ひとつの対象に全部を注ぎます。どちらも、そのとき人の輪を捨てています。
そして、こういう結果になります。
3年かけて誰よりも詳しくなったのに、それを知っている人が誰もいない。
完璧な資料を作ったのに、渡す相手がいない。
ひとりと深く話し込んだのに、その人がいなくなったら何も残らなかった。
ソーシャルの戦略が最強だと申し上げたのは、皮肉ではありません。**本当に強いのです。**そして、あなたが持っていないのがそれです。
自己保存は溜め込みますが、出しません。セクシャルは燃やしますが、続きません。広げて、残して、次の代へ渡していけるのはソーシャルだけです。
性格タイプ論という文化が日本でこれだけ広まったのも、ソーシャルのおかげです。あなたが今日この記事にたどり着けたのも、たぶん誰かがソーシャル的に共有してくれたからでしょう。
あなたが界隈を斜めに見ている、その村。
そこにあるものが、あなたに足りていないものです。
一度だけ、輪の中に立ってみてください。
自分の本能スタックを確かめる
同じ順位でも、エニアグラムのタイプが違えば表れ方はまったく別物になります。順番だけでは、そこまでは決まりません。
参考文献・出典
3つの本能の定義については、以下を参照しました。SNSや当方のお客様への当てはめは筆者の観察によるものですが、各本能が何を管轄しているかという前提は、いずれも一般に共有されている理解です。
- ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソン『エニアグラム【実践編】』(原題 The Wisdom of the Enneagram, 1999)
- ベアトリス・チェスナット『The Complete Enneagram: 27 Paths to Greater Self-Knowledge』(2013)
- The Narrative Enneagram|Instinctual Subtypes(ピーター・オハンラハンによる解説)
- The Enneagram at Work|Instinctual Subtypes
- The Enneagram Institute|Instinctual Variants Questionnaire
- Enneagrammer|The Three Instincts
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いっぱい調べて、いっぱい比べて、SNSで盛り上がりましょう。
「このタイプっぽい」「いや、やっぱ違うかも」くらいが、いちばん楽しい時間です。
自認が3回くらい変わっても大丈夫です。それも含めて楽しんでください。
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