エニアグラムの科学的検証について2点反論したり(笑)

mohamed_hassan / Pixabay
「エニアグラムは科学的に研究されているの?」とよく質問されます。実は、1993年ぐらいにエニアグラム研究者たちが集まって科学的な検証を行っていたという調査結果もあります。
そんなわけで、この記事ではエニアグラムの科学的な研究の紹介と果たしてそれがどの程度説得力があるのかについてみていきましょう。
1.エニアグラムの科学的研究
1-1 脳内伝達物質から検証
対象となった脳内物質は、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの排出量です。まずは、この3つの脳内物質から説明。
- セロトニン-精神の安定に関わる脳内物質。安定や落ち着き、不安を抑制する機能がある
- ノルアドレナリン-集中力や意欲に関わる脳内物質。不安や恐怖を感じやすくなる
- ドーパミン-行動や動機付けに関わる報酬型の脳内伝達物質。
この脳内物質の関係性とエニアグラムの性格タイプに相関があるのではないか?という仮説を立てて、エニアグラム研究者は各タイプの研究を行いました。
1-2 研究結果
すると、以下の研究結果が出ました。
海外のエニアグラムサイトTHE ENNEAGRAM BLOGSPOTさんの記事を引用させて頂きます。
各タイプのセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの量です。
TYPE Serotonin
(Mood)Norepinephrin
(Stress)Dopamine
(Drive)Eight Low
ReactiveLow
Gut TriadHigh
AssertiveNine High
Positive OutlookLow
Gut TriadLow
WithdrawnOne Neutral
CompetencyLow
Gut TriadNeutral
CompliantTwo High
Positive OutlookNeutral
Heart TriadNeutral
CompliantThree Neutral
CompetencyNeutral
Heart TriadHigh
AssertiveFour Low
ReactiveNeutral
Heart TriadLow
WithdrawnFive Neutral
CompetencyHigh
Head TriadLow
WithdrawnSix Low
ReactiveHigh
Head TriadNeutral
CompliantSeven High
Positive OutlookHigh
Head TriadHigh
Assertive
このような研究結果から、エニアグラムは科学的な裏付けがあるんだよ、と紹介している講師は多いかと思います。科学的な裏付けがある!と立証されれば、それだけ人々から注目を浴びますからね。
ですが、この実験は、いくつか不備と問題点が指摘されて、脚光を浴びることはありませんでした。
この実験が行われたのは1993年。それ以降、研究者たちが集まって科学的な研究は行われなるくなりました。
2.この実験の不備と問題点とは?
「不備」「問題」と裏付ける根拠は、EnneagramInstitute.comのページに、過去に実験を行った実績が掲載されていないことです。また、過去に掲載されいたことは、先ほどのTHE ENNEAGRAM BLOGSPOTのページからも伺えました。
このことから、脳内物質とエニアグラムの相関性は科学的なデータとして公開できるものはないと判断したことが伺えます。
では、なぜスタンフォード大学まで巻き込んで公開できなかったのか?について一緒に考えていきましょう。なお、ここからは推察と想像になります。
2-1 理由1 数値化されていない
先ほどの、3つの脳内物質の検証結果は、数値化されていませんでした。それどころか、High Neutral Lowの3項目にざっくりと分けられていただけです。サーモグラフィとかを使えば数値化はできます。
- タイプ6:セロトニンが低い-Neutralに近いLowかもしれない
- タイプ7:ドーパミンが高い-Neutralに近いHighかもしれない
と、細かく見れるとデータとしては説得力が弱くなることを懸念したのかもしれません。
このように、ざっくりとみれば筋は通っているのですが、細かく見れば突っ込みどころが満載だから、公開していないのかもしれません。
2-2 理由2 エニアグラムのロジックが崩壊する
2018年の2月に行った東京エニアグラムワークショップで参加者様から頂いたスルドイ質問だったので、そのまま引用します。
<参加者様の質問>
ところで、エニアグラムの性格タイプが、脳内物質によって決まるんなら、逆に薬や食生活で脳内物質を変えれば、性格タイプも変わるってことですか?<私の答え>
はい、そうです。2月25日の東京エニアグラムワークショップより
これは、論理のルール上、認めざるを得ませんね。
- <大前提>
エニアグラムの性格タイプ=セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの量によって決まる - <小前提>
食習慣や薬物によって、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンを変えることができる - <結論>
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの量が変われば、性格タイプは変わる
結果、生後から幼少期の間に性格が決まり、その性格タイプを変えることはできないという従来のエニアグラムの考えと矛盾してしまうわけです。
その証拠に、ドン・リチャード・リソのUnderstanding the Enneagramでも、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの説明は一切されておりません。それどころか、科学を超越したもの論じて、科学的な検証を否定しております。
[本文]The Enneagram is both exciting and somewhat overwhelming: it takes us beyond psychology into so many other areas of human endeavor.
[訳]エニアグラムは、心理学のを超えた幾多の人間学の領域にまで踏み込み、刺激とある種の卓越性の両方があります。Understanding of Enneagram
リソが訴えたいことはシンプルです。
エニアグラムは、心理学の法則なんかで対処できるレベルじゃないんだよ!です。
3.まとめ
こんなマニアックな記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
なんでエニアグラム講師なのにエニアグラムを否定するようなことを論じるんですか?
と疑問に思う方も多いかもしれませんが、それは私がエニアグラム講師だからです。
間違ったエニアグラムの情報をあなたに共有してほしくない、からです。
エニアグラム講師の中には、このデータを提示して、「エニアグラムは科学的に検証されているんですよ!」と叫んでいる人もいますが、知らないでそれを行っているならアホだし、知っていてやっているなら詐欺です。
以前にどっかの大学が歪曲&改ざんしたデータを提示して、世間から批判されていましたが、正直、そのレベルです。
むしろ、この記事を読んでいる方には、そういった不適切なデータに振り回されてほしくない。そもそも、表面的な情報だけで物事を判断してほしくないと思っております。
エニアグラムを学ぶ本質は、ほかの人が見えていない部分を、いかに見ていくかです。それは、私たちの日常にたくさんあります。それこそ、目の前の人もそうです。
人間の性格なんて不確かで、科学的に立証することなんてAIでも難しいでしょう。ですが、それすらも理解していこう!という態度がエニアグラマーには求められると思います。
それを伝えたくてこの記事を書きました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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木村真基
Kimura Naoki
ウェブデザイナー/エニアグラム講師
プロフィール
「ひよこ君とフクロウ君のエニアグラム( 9つの性格 )講座」の運営者。性格タイプ判定専門のエニアグラム×16タイプ講師。自身も講師として働きながら、お客様のセミナー集客特化型のホームページを作ることが得意。
本業:ウェブデザイナー(フリーランス)/副業:性格タイプ講師×デザイン講師
エニアグラム/16タイプ/ストレングスファインダーを武器に自分のタイプで生きている人。
・エニアグラム:3w4sp-sx-so&Tritype386
・16の性格:ENTP(討論者)&ILE(発明家)
・ストレングスファインダー:着想、戦略性、学習欲、達成欲、自我
ウェブデザインだけではなく性格もデザインします♪
