ヴィクティム|ソシオニクスのロマンススタイル(Ni)
ソシオニクスのロマンススタイルのうち、自我ブロックにNiを持つ4タイプが「ヴィクティム」に分類されます。提唱者はヴィクトル・グレンコ。日本語では犠牲役と訳されますが、可哀想な人という意味ではありません。恋愛において、待つ側に回る人たちのことです。
該当した人へ。あなたは今、この記事を読みながら「でも自分は違うかもしれない」と考えていますね。それが、この型の第一の特徴です。
該当する4タイプ
ベータクアドラから2つ、ガンマクアドラから2つ。仕事の進め方はまるで違うのに、恋愛では同じところで固まります。
動く前に、三回負けている
ヴィクティムの正体は、自我ブロックに置かれたNiです。
Niは動的で、非合理で、内向的な要素です。目の前の現実ではなく、内側に流れる時間と展開を見ています。今どうなっているかより、この先どうなるかが常に前景にある。
だから、恋愛でこうなります。
まず、自分の気持ちが本物かを疑います。次に、相手が返してくれるかを疑います。最後に、その気持ちがいつまで持つのかを疑います。
告白する前に三回敗北している計算です。忙しい人たちです。
そして厄介なことに、この三段構えの疑いは、当たることがあります。実際に相手の熱は冷めるし、実際に関係は変わる。だから「やっぱり自分の読みは正しかった」という確認だけが積み上がって、動かなかったことへの反省は一度も発生しません。
(そうやって見送った人の顔を、今あなたは思い出しましたね。)
恋愛での振る舞い
好むのは、力や存在感で少し圧倒してくる相手です。押しの強さそのものが、この型にとっては安心材料になります。相手が動いてくれれば、自分は疑わなくて済むからです。
そして、その相手にときどき冷たくされることも、実は織り込み済みです。多少きつく当たられるくらいのほうが、関係が生きている実感が持てる。
ただし、主導権を明け渡しているように見えて、実は一度も渡していません。押されている状態を、味わっているだけです。ここを取り違えると、相手は「言うことを聞く人だと思ったら全然違った」と面食らいます。
グレンコは、ヴィクティムの男性が女性に対して「姫に仕える騎士」のような立ち位置を取ると書いています。忠誠を誓っているようでいて、その関係の演出権は自分が握っている。あの構図です。
関係が終わったとき「相手から振られた」と素直に言えるのも、この型の特徴とされています。
言えてしまうのが、この型の業です。被害者の席に座るのは、実のところ、いちばん傷つかない席だからです。
他の3スタイルが、こう見えている
- アグレッサー:安心します。好意も意図も遠回しにせず出してくるので、疑う工程を丸ごと省略できる。自分の欲望をはっきり自覚している姿が、頼もしく見えます。
- ヴィクティム同士:地獄です。互いに待ち、互いに探り合い、押し引きだけで季節が変わります。どちらかがアグレッサー役を演じ始めるか、根負けするまで関係が進みません。ただし、その段階を越えたときは強烈に燃えます。
- ケアリング:最初は救われます。安定していて、支えてくれて、揺れがない。そのうち退屈になります。細やかな気遣いが、途中から監視に見えてきます。
- チャイルドライク:知的で面白い。ただし話が広がるばかりで具体的な行動が出てこない。しかも世話を焼けと言ってくる。ヴィクティムには、その体力がありません。
男女で現れ方が変わる
グレンコは著書『Life Scenarios』で、この型も男女に分けて記述しました。
男性側は、統率力のある女性を理想化し、指示や小言を無意識に待っている姿として書かれています。それが来ないと、来るように仕向けてしまう、とまで書かれています。
女性側は、強い相手の力を自分の身に受けたい、その圧に抵抗することで関係の熱を保ちたい、という書かれ方です。原典では、この傾向をかなり踏み込んだ言葉で表現しています。
ここは距離を取って読んでください。ソ連崩壊前後のロシアで書かれた記述であり、当時の性別観がそのまま入っています。現代の日本語に置き換えると、そのままでは通らない箇所があります。
そして念のため。押されるのが心地よいことと、意思を無視されることは、まったく別の話です。前者は好みですが、後者は被害です。型は、その線引きを曖昧にする理由にはなりません。
双対はアグレッサー
ヴィクティム(Ni)の双対ペアは、アグレッサー(Se)です。
EIEとLSI。IEIとSLE。LIEとESI。ILIとSEE。4組そろいます。
あなたに欠けているのはSe、つまり今この瞬間に手を出す力です。半年後の展開は読めるのに、今日の一歩が出ない。アグレッサーは逆で、今日は動かせるのに、半年後には興味がありません。
だから、相手があなたを現在に引きずり出してくれるとき、この型はいちばん楽になります。考えなくていい時間が、初めて手に入るからです。
まとめ
ヴィクティムは、待つ型です。待つことは戦略ですが、待ち続けることは、あなたの唯一のやり方でもあります。
あなたは動かなかったことを後悔しません。読みが当たっていたと解釈できてしまうからです。この機能が、あなたを毎回同じ場所に連れ戻します。
変われとは言いません。ただ、あなたの読みが当たったのではなく、あなたが動かなかったから、そうなっただけの回が何回かあったはずです。
それを一回でも数えられたら、この記事の役目は終わりです。
ここまでお付き合いいただき、
本当にありがとうございます。



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