ソシオニクスの男女別

ソシオニクスのロマンススタイルには、男女別の記述が存在します。

出典はヴィクトル・グレンコの『Life Scenarios』。4つの型それぞれについて、男性版と女性版が分けて書かれています。

本記事では、その内容と、現代の日本語で読むうえで必要な距離の取り方を扱います。

先に言っておきます。

この記事は、これまでの4本より不愉快です。

書いた人間が悪いのではありません。書かれた時代が古いのです。

ただし、古いのに刺さる部分が残っているから、私はこれを紹介しています。

前提3つ|お叱りを受ける前に

  1. これはソ連崩壊前後のロシアで書かれた記述です。当時の性別観がそのまま漬け込まれています。「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という前提が、行間どころか本文に堂々と出てきます。
  2. これは傾向の記述であって、処方箋ではありません。ここに書いてあるとおりに振る舞えば恋愛がうまくいく、という話ではまったくありません。
  3. そして、いちばん重要な前提です。これは「男はこう、女はこう」という話ではありません。同じ型が、社会から割り当てられた役割の側を通って外に出ると、違う形に見える、という話です。

型は同じです。通り道が違うだけです。

なぜソシオニクスは、男女差を書いたのか?

エニアグラムやMBTIでは、男女差をほとんど扱いません。理由は明白です…そもそも性差が出る部分を見ていないし、この問題はデリケートすぎて扱わないほうが安全だからです。

炎上しない。誰も怒らせない。

ソシオニクスも、そのスタンスを取っていました。

でも、グレンコは踏み込んだ

一周回って凄いですね。

私は、この記事を見て、彼を「グレンゴクさん」と心の中で呼ぶことにしました。

そんなグレンコクさんの理屈はこうです。

同じSeを自我に持っていても、社会が男性に許す表現と、女性に許す表現は違う。だから外に出た形が変わるじゃね?と現実に起きる摩擦の記録を記録して、某列車に乗り去っていきました。そしてこの摩擦は「炎(ほむら)」となり、ソシオニクス界隈に大きな爪跡を残しました。

令和の日本でもまだ消えていません。

だから読む価値があります。不愉快ですが、価値はあります。

アグレッサー(Se)の男女

該当タイプはSLE(ESTp)LSI(ISTj)SEE(ESFp)ESI(ISFj)です。

男性版。 原典の書き方は、はっきり言って現代では通りません。力による所有を当然視し、恋の駆け引きを闘いとして描き、相手が力に譲ることを期待する。粗暴さすら許容範囲として書かれています。

これは紹介にとどめます。推奨ではありません。90年代のロシアで書かれた記述が、そのまま現代の規範として通用するはずがない、というだけの話です。

女性版。 こちらは、今読んでも生々しい。

あらゆる場面で相手より有能でいたがる。恋愛においてすら競おうとする。皮肉と軽口で相手をつつく。そして、自分に対して丁寧に接し、多少の弱さを見せてくれる相手を求める。

彼女が求めているのは、従順でありながら、時々こちらを苛立たせてくる相手です。従順なだけでは物足りない。攻撃する口実が要るからです。

(この構図に心当たりのある方は、静かに読み進めてください。)

原典によれば、彼女にとってケアリングの男性は最悪です。子ども扱いされているように感じ、それを屈辱として受け取ります。良かれと思った気遣いが、全部逆に届く。

ヴィクティム(Ni)の男女

該当タイプはEIE(ENFj)IEI(INFp)LIE(ENTj)ILI(INTp)です。

男性版。 統率力のある女性を理想化します。相手の好みに合わせ、その意志の強さを尊敬する。振る舞いは、従順に見える時期と、突然手に負えなくなる時期を行き来します。

そして、ここが原典のいちばん鋭い一行です。

彼は無意識に、命令や小言を待っている。それが来ないと、来るように仕向けてしまう。

自分から関係を壊しにかかっているように見えて、本人は叱られるのを待っているだけ、という構図です。相手からすればたまったものではありません。

女性版。 理想は、映画の主役のような、物理的に強い男性。その力を自分の身に受け、押されて、抵抗して、その緊張のなかで関係の熱を確かめようとします。

原典には、この型の女性に被虐的な傾向が見られることがあり、本人が自覚しているとは限らない、という記述まであります。

紹介はここまでにします。この記述の扱いについては、記事の後半でもう一度触れます。

なお、彼女にとってケアリングの男性は快適だが退屈、チャイルドライクの男性は頼りない、と書かれています。同じヴィクティム同士では、どちらがより多く犠牲を払ったかを競い合い、双方が消耗する、とも。

グレンコは補足として、ヴィクティムには悲劇型(IEI・EIE)と喜劇型(ILI・LIE)があるとも書いています。悲壮に演じるか、笑い話にするか。動かない点は同じです。

ケアリング(Si)の男女

該当タイプはESE(ESFj)SEI(ISFp)LSE(ESTj)SLI(ISTp)です。

男性版。 経験豊富で、相手の内面によく気がつき、守るような口説き方をする。ここまでは理想的な紳士に見えます。

続きがあります。彼は、自分の人生経験と技能を称賛されるのを待っている。

守っているのは事実です。同時に、守らせてもらった見返りとして、尊敬を請求しています。無償ではありません。

女性版。 相手の面倒を見たがります。そして、惹かれる相手の条件が明確です。

弱いが、知性のある男性。日常の主導権を自分に預けてくれる相手。支え、守り、励ますことに喜びを感じます。

ここが痛烈なところです。世間が男性に対して求めがちな「頼りがい」の欠如を、彼女は問題視しません。むしろ許します。世の中が減点する部分を、彼女だけが加点する。

一方で、力任せの接し方には強く拒否反応が出ます。段取りを飛ばされること自体が苦痛だからです。原典によれば、彼女に合うのは、子どものように控えめで、待ちながら誘うような振る舞いをする相手です。

そして最後に、身も蓋もない一行があります。同じケアリング同士だと、いずれ物足りなくなる。快適なのに、心の結びつきが足りないと感じ始める、と。

快適さだけでは足りないのです。誰かに必要とされていないと、この型は満たされません。

チャイルドライク(Ne)の男女

該当タイプはILE(ENTp)LII(INTj)EII(INFj)IEE(ENFp)です。

男性版。 原典の記述は、この型に対していちばん手厳しい。

世渡りが下手で、相手の実際的な支えを待っている。そして無意識のうちに、自分が正当に評価されてこなかったこと、活かされなかった才能、生活の苦手さを相手に訴えてしまう。

要するに、不遇をアピールして世話を引き出す構図です。本人にその自覚はありません。ただ本当のことを話しているだけのつもりです。

女性版。 理想は、経験があって面倒見のいい年上の相手。その前では自然と甘える側に回ります。

そして、力任せの接し方よりも、会話や雰囲気といった心理的なやりとりを重んじます。押されるより、面白がらせてほしい。

原典は、この型の女性がケアリングの男性の誘いには素直に乗る一方で、アグレッサーには惹かれながらも本能的な怖さで踏み込めない、とまで書いています。

「年上の頼れる男性」という理想像は、当時の社会状況の産物でもあります。そこは割り引いてください。使えるのは、支えられる側に回りやすいという構造だけです。

いちばん危ない読み方

ここまで読んで、「自分はヴィクティムだから、支配されるのが自然なのだ」と思っている人もいるでしょう。

はい!ストップ!

原典に書かれているのは、押されることを心地よく感じる傾向がある、という記述です。それは好みの話です。

意思を無視されることは好みでもビクティムでもありません!

ガッデムです

この2つは、外から見ると似た形になることがあります。だからこそ、当事者の側で区別しておく必要があります。押されるのが好きな人は、いつでも「やめて」と言える状態を前提にしています。言えない状態は、もう別のものです。

同じことを、押す側にも言っておきます。

「自分はアグレッサーだから」は、「お前もONIになれ!」と口説き文句としても言い訳にすらなりません。

型は、あなたが相手の意思を無視していい根拠を、一行も提供していません。

ソシオニクスは居場所と適材適所を見つけるための理論です。

自分の思想を他人を押し切る道具ではありません。

まとめ

グレンコの男女別記述は、古いかもしれません。原文を読むと、差別的に読める箇所もある。

そこは事実です。

あえて、本記事で、ソシオニクスの男女差を紹介したのは、グレンゴクさんの「男女は違うから儚い!理論で説明できないから美しい」的な発言に妙に共感したからです。

摩擦は、まだ残っていますが、彼なら「俺は俺の責務を果たす!」と言ってくれるでしょうね。

因みに、30年前の記述です。「これは今の自分の話だ」と怒らないでください。朝ドラの昭和的価値観を見せられて多るようなものです。

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本記事における男女別の記述は、上記論考でグレンコ本人が述べている内容にもとづきます。
日本語訳と要約は当サイトによるものです。

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木村なおき
木村 なおき
ソシオニクス診断専門家 / ENTp(ILE)デザイナー
ソシオニクス エニアグラム統合診断 生成AI制作支援 クリエイター支援
2021年よりエニアグラム×ソシオニクスの統合診断を開始し、 300名超のタイプ判定・個人セッションを実施。 強みと弱みを体系化・言語化し、キャリア・起業・対人関係の現場で 使える指針を届けることを信念としている。
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誰よりも実践を意識し、理論の美しさを崩さずに教える。 2025年からはソシオニクス単体でのセミナーと個人コンサルを本格始動し、 その普及に取り組んでいます。
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ENTp(ILE)デザイナーとしてのフリーランス経験を土台に、 現在は生成AIを活用した事業設計・制作支援の専門家として クリエイターや起業家の事業づくりをサポートしています。

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