ソシオ界隈に潜むるろ剣の雷十太
性格診断の世界、特にMBTIやソシオニクスの分野で活動していると、ある特徴的なタイプの人物に遭遇することがあります。
いわゆるデータ論者ですね。
- 「統計に基づかない議論なんて意味がない!」
- 「個人の経験談は単なる主観でレベルが低い!」
と声高に主張している人たちです。
あなたの周りにもそういう人はいませんか?
もしくは、あなたがそういう存在になっていませんか?
1.データ論者の盲点
確かに、性格類型に統計データがあるとよいですね。個人の感覚や思い込みだけで判断することの危うさも理解できます。
しかし、真の問題はそこではないのです。
驚くべきことに、こうした主張をする人々の多くは、実際には自分で統計を取ったことも、本気で数字と向き合ったこともないのです。
だから、軽々しく言えるのです。
データに基づく分析!をという旗を振り回しながら、地道な実践には一切足を踏み入れない。そんな姿を見るたび、ある漫画のキャラクターが思い浮かびます。
2. るろうに剣心の雷十太
漫画『るろうに剣心』に登場する石動雷十太(いするぎ らいじゅうた)というキャラクターをご存知でしょうか?
雷十太とは?
彼は「剣術とは相手を斬り殺すためにあるべきだ!」「安全を重視する現代剣道は本物の剣ではない!」と信念を持ち、周囲の剣道家たちを見下していました。
彼は自らの「殺人剣」こそが本物の剣術だと確信し、教え子たちにも「甘い心を捨てろ」と日々叱責していました。彼の理論は筋が通っているように見えました。
そして、殺人剣の担い手を醸し出すような強キャラ感もありました。
しかし、物語の中で彼は本物の人斬り・緋村剣心と対面することで、その化けの皮が剝がれていくのです。
経験人数ゼロ
後半になって驚き!あれほど殺人剣を豪語した雷十太は、人を殺めた経験がありませんでした。
そして、本物語の主人公・緋村剣心から「お前、人を斬ったことがないだろ。だから、かすり傷を負わせただけで、そんなにテンションが上がっているんだろ?」的なことを言われ、雷十太は愕然とします。
そう、彼は「殺人剣を極めた」と豪語しながら、一度も実際に人を斬ったことがなかったのです。
剣心との戦いでは必殺剣である飛飯綱を披露するも躱されてしまうが、右手首を掠って小さな切り傷を付けたことで得意気になる。この態度から剣心には人を斬ったことがないことを見破られてしまった(相手を殺せなかったのだから殺人剣の使い手なら悔しがるべき場面だったため)。
(中略)
敗北後も往生際の悪いことに弥彦を人質にとるが、弥彦の気迫にビビってしまったところへ剣心に「奪った命の重みで己が奈落へ落ちるのが殺人剣。それが分からぬお前は、剣客としては弥彦にも及ばない」と指摘され、プライドを粉々に打ち砕かれ、剣客として再起不能となった。結局のところ、彼は自分の思想に酔っているだけの小物に過ぎなかった。
理想だけを肥大させ、自己酔狂しながら、現実を知らないまま、口先だけで自分を本物だと錯覚していたました。
偽物の殺人剣論者の自信は、完全に打ち砕かれたのです…本物の人斬りによって…
3. 性格界隈の雷十太たち
現代の性格診断界隈に目を向けると、雷十太のような存在が散見されます。
「データがすべてだ!」「経験談など無意味だ!」と主張する人々の中には、実は数字と対峙したことどころか、一度もExcelを開いたことすらない、データ分析の実践経験がまったくない人がいるのです。
本物のデータすら見たことがない
自分でデータを収集する必要まではないかもしれませんが、既存の研究データを活用して数字に基づいた分析すらしたことがない人が堂々と統計の重要性を説いているのです。彼らの本質は、数字を盾に人を煽りたいだけにすぎません。
自分でできないことを人に要求し、できないことを批評している小物なのです。何も生み出せないから、人を攻撃するだけでしか自分を満たすことができないのでしょう。
- アンケートを設計したことがない
- データ収集の泥臭さを知らない
- サンプルサイズの問題に悩んだことがない
- 仮説が外れたときの絶望感を味わったことがない
- 標準偏差や有意差の計算に苦しんだことがない
- そもそもデータを片手にプレゼンしたことすらない…
だららこそ、大声で「くだらない」「レベルが低い」と上から目線で批判できるのです。まさに現代を生きる雷十太です。
泥臭さから逃げる…それは恐怖
己の正しさだけは一丁前に語るが、現実の泥臭さには全く触れようとしない…のはなぜか?
本人も薄々気づているのです。自分の理想に対峙する恐怖を!
だから、小さなコミュニティの中で自説を振りまいて、自己満足に浸ることしかできないのでしょう。その人が、小ばかにしている人は、日々の生活の中で、数字と向き合い、頭に汗をかき、いつももがいています。
仕事終わりにソシオニクスぐらい自分の感覚で好きに話したっていいじゃないですか?と思うのは私だけでしょうか?
4. 統計との向き合い方
では、本当に統計と向き合うとはどういうことでしょうか?
それは、小さな数字と地道に格闘する過程にあります。
データ入力のコピペミス一つに神経をすり減らし、サンプルの偏りに頭を抱え、検定に失敗して何度も再設計し、それでも静かにExcelや統計ソフトと向き合い続ける。それでも完璧な見解にたどり着かず絶望を繰り返す。
これこそが「統計と向き合う」ということなのです。
誰かが作ったウェブサイトやPDFのURLを張り付けてドヤる事ではありません。
尋常じゃないほどの覚悟と忍耐が必要です。
本当に数字を扱う人たちはその困難さを知っているからこそ、軽々しく数字がすべてだ!とは言いませんし、実際に数字に対峙しているからこそ、数字の限界を理解しています。
- 完璧な正規分布など現実には稀であること
- 質問の仕方一つでデータが大きく歪むこと
- サンプル数の確保が常に課題となること
- 交絡因子の制御がいかに難しいか
こうした現実に向き合いながら、それでも最善を尽くす。
それが統計を扱う者の誠実さなのです。
5. ソシオニクス研究に統計は必要か?
結論になりますが、統計やデータはあったほうが良いと思います。
この記事を書きながら、私自身、ソシオ学者のタラノフのソシオニクスの研究データを独りで翻訳しています。
本当に骨が折れますね(汗)
今だから、チャットGPTさんのおかげで、作業は簡単になりましたが、それでもひとつひとつを精査して、表を整える…さらにデータに即して自分の考えを述べるまで思考をブラシュアップする…。
自分でも何が楽しいのかわかりません。
6. まとめ──雷十太にならないために
理想を持つことは素晴らしいことです。しかし、現実を知らぬまま理想だけを振り回すのは、雷十太のように哀れで滑稽な存在になってしまいます。
本当にデータを基にした分析を行いたければ、独りでやればいいし、独りでできなければ、同じ考えを持つ人同士で集まって勝手にやればいいんです。
・・・口では言うものの、やりきる自信がない!・・・
というコンプレックスが本人の中にある以上、自分のコンプレックスを解消する手段が他人を批評することになっている…この考えはソシオニクスのクアドラコンプレックスにあったので、まぁ、その方の謎のパフォーマンスが、ソシオニクスの有用性を示してくれますね。
これを読んでいるあなたも、もし「こうあるべきだ!」と強く感じる場面があったら、まずは自分の手で小さな一歩を踏み出してみてください。
自分は自分の信じたソシオニクスをカタチにするだけです。残念なソシオ界隈民にならないので、皆様引き続き応援ください。
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2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。
筆者紹介

木村なおき
ソシオニクスを研究し始めて5年。本業はフリーランスのウェブデザイナーとして、IT・デザイン業界の現場でソシオニクスを実践的に活用 しながら活動。MBTI®にも関心を持つが、権利的な制約を踏まえ、より体系的で実践的なソシオニクスの探究へとシフト。2021年には、国内のソシオニクスの第一人者から直接学び、理論と実践の両面を深める。
現在は エニアグラム×ソシオニクスのハイブリッド診断 を強みに、タイプ論を統合的に扱う専門家として活動。これまでに 200名以上のソシオニクスのタイプ診断を実施。
現在、日本で最も体系的にソシオニクス診断の専門家として、現場での実践を重視した診断・教育・研究 に取り組んでいる。(もし同じ分野で活動されている方がいれば、ぜひ情報交換しましょう!)
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