ソシオニクスのベータクアドラとは?

みなさんは、チーム一丸となって勝利をつかみ取る瞬間が好きですか?
例えば、営業部が一致団結して目標を達成するために朝礼で気合を入れたり、体育会の仲間と共に汗を流して大会優勝を目指したりする時の高揚感は格別ですよね。そんな「全員野球」の精神と団結力を何よりも大切にする集団が、ベータクアドラなんです。
ベータクアドラとは?
ベータクアドラは、Se(外向的感覚)、Ti(内向的論理)、Fe(外向的感情)、Ni(内向的直観)を優先価値とするタイプで構成されています。
ベータクアドラでは、互いに厳しくぶつかり合い、時には叱咤激励しながら、全員が同じゴールに向かって進んでいきます。個人の都合よりグループの価値観が優先され、誰もが110%の力を出し切れる環境であることが望ましいと考えられています。チームの一体感こそが最大の武器であり、「やればできる!」という前向きな姿勢を全員が共有しています。
先輩は厳しくも愛情を持って後輩を指導し、チームに貢献できない仲間がいれば全力でバックアップします。練習は厳しく、でも目標達成の喜びは全員で分かち合う—そんな「ONE TEAM」の文化がここにはあります。
全員で勝利をつかみ取りたい!同じユニフォームを着て同じ夢を見たい!限界を超えて成長したい!そんな熱い魂を持ったグループ、それがベータクアドラです!
共通の価値観
Profile5
挑戦者

SLEは、行動力と指導力に優れ、目標達成に向けてチームを引っ張ります。みんなが躊躇する課題でも、真っ先に手をあげて果敢に立ち向かいます。その行動力は、着実に成果を上げることで、みんなのお手本となります。
ベータクアドラの切込み隊長です。
Profile06
預言者

IEIは、人々の感情の機微を読み取り、裏でベータクアドラを活性化させる役割を担います。対立の危険性、双方の立場と妥協点、最適な距離感など内側の洞察を繰り返し、直観(第六感)をばっちりと活かしています。
ベータクアドラの占い師的存在です。
Profile07
リーダー

EIEは、言葉と表現、身振り手振りで人々の心を動かし、みんなが目標に向けて行動をするように鼓舞します。みんなの前に立ち、「Yes We Can!」と叫んで、チームの指揮をを高め、一丸となって進む組織を作ります。
ベータクアドラのパブリックスピーカー担当です。
Profile08
監査役

LSIは、現場での判断力と実行力を兼ね備え、地味ながらも着実に目標を達成する推進者です。計画を綿密に立て、リスクを分析しながら、プロジェクトを停滞を防ぎながら前に進めていきます。進捗を管理し、問題点を洗い出して、適切な対策を講じます。
ベータクアドラのリスク管理担当です。
ベータクアドラの属性
貴族主義
ベータクアドラの貴族主義的特質は、日本の伝統的な企業文化に深く根付いています。
SLEは、この貴族主義の世界で最も直接的に利益を得る傾向があります。SLEの強い意志と行動力は、階層構造の中で上昇するのに適しています。
ベータクアドラでSLEは…
- 階層を作り、下の者を従属させることに長けており
- システム内の支配的な地位を獲得するための闘争を好む
SLEは「権力者」としての地位を確立し、その立場から他者と交流することを自然に行います。
一方で、IEIは、この系統の中で独特の利益を得ます。彼らの長期的視野と洞察力は、2)階層内で確立された伝統や儀式の意味を理解し、それらを支持する上で重要です。IEIは、直接的な権力闘争よりも、影響力のある助言者や戦略家としての役割を通じて、4)権利の蓄積における地位の優位性を確保します。
EIEは、この貴族主義的システムの社会的側面から最も利益を得ます。彼らの優れたコミュニケーション能力と感情的知性は、2)伝統や儀式の遵守を促進し、監視する上で効果的です。EIEは、3)システム内の支配的地位を、カリスマ性と人々を動かす力によって獲得し、「権力者」としての立場から他者との交流を楽しみます。
LSIは、このシステムの構造と秩序から利益を得ます。
彼らは1)従属関係を確立された世界であh、規則や手順の策定を通じて自分のポジションを取っていきます。
LSIは、2)確立された伝統や儀式の遵守を監視する役割に適しており、4)権利の蓄積における地位の優位性を、システムの深い理解と運用能力によって獲得します。
これらのタイプは、それぞれの強みを活かしてベータクアドラの貴族主義的特質から利益を得ますが、同時にシステム全体の維持と強化にも貢献しています。SLEが強力なリーダーシップを提供し、IEIが長期的なビジョンを示し、EIEが組織の結束を促進し、LSIがシステムの安定性を確保するという相互補完的な関係が、この貴族主義的構造を支えているのです。
日本の企業文化において、この構造は長年にわたり組織の安定性と効率性を提供してきました。しかし、グローバル化や技術革新による変化の中で、このシステムの柔軟性と適応性が試されています。ベータクアドラのタイプがこの変化にどのように対応し、従来の利益を維持しつつ新たな形の「貴族主義」を形成していくのか、今後の展開が注目されます。
決断型
ベータクアドラは、スピーディーな意思決定を好みます。
情報を素早く整理し、果断に行動に移すことで、難局を打開しようとするのです。
例えば、緊急の問題が発生した際、躊躇なく方針を決め、速やかに実行に移すような場面で、その決断型の特徴が発揮されるでしょう。
ポイント: スピーディーな意思決定と行動力を発揮する
主観主義
ベータクアドラは、客観的な事実を重視します。
主観的な印象よりも、データや実績に基づいて物事を判断することを大切にするのです。
例えば、プロジェクトの評価において、数値化された結果を重視し、冷静に分析するような姿勢に、その客観主義の性質が表れています。
ポイント: 客観的な事実とデータを重視する
従属コンプレックス

ベータ・クアドラの人々が共通して持つ不安や恐怖のことで、「従属的な立場に置かれること」への強い恐れです。ベータクアドラにとって、権力や影響力を与えられず、社会の底辺で一生を過ごすことは最大の恐怖だと考えられています。
なぜベータ・クアドラは「従属状態」を恐れるのか?
ベータ・クアドラには3つの特徴があります:
- 貴族主義(ST,NF):社会的階層を重視し、上昇志向が強い
- 決断型(Se-NI):先の展開を予測して、行動と意志を大切にする
- 主観主義(Fe-Ti):グループでの自分の地位や影響力を重視する
これらの特性から、ベータ・クアドラの人々は「社会的地位」「権力」「影響力」をとても大切にします。だから、社会の底辺に甘んじることは、永遠の弱者として自分を認める事なのです。
各タイプとコンプレックスの関係
SLE(ESTp)の恐れ
SLE(ESTp)は行動力があり、周囲を率いることに生きがいを感じます。この瞬間の主導権を手に入れるために、強い意識で困難にぶつかっていく戦士です。
恐れること:
- 一生、従う側、命令される側に甘んじる事
- 自分の意志で行動できない状況に置かれること
- 社会的影響力を失い、無力になること
具体例: 会社で降格や左遷を経験すると、SLE(ESTp)は強い焦りと屈辱を感じます。特に「平社員に戻された元管理職」という立場は、SLE(ESTp)にとっては、人生そのものを奪われた!と感じて、耐え難い精神的苦痛を伴うでしょう。自分の立場が脅かされたと感じたとき、「引きづり降ろされる前に引きづり下ろす!」といった暴挙に出るかもしれません。
IEI(INFp)の恐れ
IEI(INFp)は直観的な予見力を武器に、グループの未来像や可能性を感じ取り、人々を未来に導く人たちです。(ソシオニクスの場合、通常のINFPと異なり理想の世界の体現…という隠れた欲求があります)
恐れること:
- 空気のような存在。みんなに何の影響を与えられない
- 自分の世界観が無視される立場に置かれる、モブキャラ扱いされる
- 物質的困窮によって夢を追求や優雅な生活ができなくなること
具体例: IEI(INFp)の多くは、創造性を発揮し、夢を叶えて、華やかな生活を送りたいと願っています。経済的理由で、芸術活動や社会活動…他、夢を追うことを諦めざるを得なくなると、IEI(INFp)は深い挫折感を味わいます。日本では、「フリーター」や「非正規雇用」は不安定な立場に置かれていますが、IEI(INFp)ほど芸術や文学などの分野に進まず堅実な仕事を選ぶのは、このベータクアドラの価値観かも知れません。
EIE(ENFj)の恐れ
EIEは情熱的で、人々に影響を与えて、喜びと感動に満ちた世界観を提供する事に喜びです。自分が矢面に立ち、聴衆を鼓舞して、皆を率いたいのです。人々から注目を浴びるポジションこそEIE(ENFj)が最もイキイキする瞬間です。
恐れること:
- 周囲からの注目や人気、関心を失い、転落する
- 自分のメッセージが無視される環境に置かれること
- 代り映えのもなく、単純作業を淡々と繰り返す日々
具体例: 例えば、SNSのフォロワーが急減したり、コミュニティでの発言力を失うのは、EIE(ENFj)にとっては存在意義の危機に等しいです。自分の上位互換のライバルが現れて、ユーザー(視聴者)をごっそり奪われる…など自分の影響力を誇示できない状況は、社会的抹殺に等しい恐怖です。この恐怖に取りつかれたとき、EIE(ENFj)は炎上商法や誹謗中傷を仕掛けるかもしれません。
LSI(ISTj)の恐れ
LSI(ISTj)は秩序を重んじ、社会システムの中で重要な役割を果たしたいです。たとえ縁の下の力持ちでも、自分が陰で多くの人々に何らかの影響を与えている…感じられるのは、LSI(ISTj)にとって大きな喜びでしょう。
恐れること:
- 自分の能力/パフォーマンスを発揮する場を奪われる
- 一生「控え(補欠)」という無力な立場に置かれる
- 自分より下の立場から尊敬の言葉を頂けない事(生意気な後輩)
実生活の例: 組織再編で自分の専門部署が解体されたり、長年築いた経験が不要とされたりすると、LSI(ISTj)は強い喪失感を感じます。数年前に、日本の「終身雇用崩壊」がありましたが、LSI(ISTj)にとって社会的アイデンティティの喪失を感じたでしょう。これまでコツコツと積み上げてきた土壌がガラガラと崩れるようなものです。
日本社会とベータ・クアドラのコンプレックス
日本社会には「出世競争」「学歴社会」「格差社会」という現実があります。これはベータ・クアドラの「従属コンプレックス」を刺激する環境と言えるでしょう。
例えば:
- 「勝ち組・負け組」という二極化した社会認識
- 非正規雇用の増加による将来不安
- 「名の通った大学」や「一流企業」への執着
これらは全て、ベータ・クアドラの「従属コンプレックス」を強く刺激します。
底辺での人生の恐怖
ベータ・クアドラにとって、社会の底辺で生きることの恐怖は極めて鮮明です:
- 無力感:社会を変える力を持てず、ただ流されるだけの人生
- 屈辱:かつての同級生や同僚が出世する中、取り残される恥辱
- 孤立:社会的地位を失うことで人脈も失い、誰からも顧みられなくなる
- 自己否定:「自分には価値がない」という喪失感に苛まれる日々
- 希望喪失:上昇の可能性が閉ざされた暗いトンネルのような将来展望
コンプレックスへの対処法
ベータ・クアドラの人々は「従属状態」への対策として、以下のような方法を発展させました:
- 徹底的な自己研鑽と能力開発による地位確保
- 強い忠誠心で上司や組織の信頼を獲得する
- カリスマ性や情熱で周囲を引きつけ、社会的影響力を確保する
- 社会秩序や階層構造の維持・強化に努める
ベータクアドラのまとめ
ベータ・クアドラにとって、「社会の底辺に甘んじること」は単なる不便や困難ではなく、人生の根本的な失敗を意味します。彼らは「社会的地位」「影響力」「権力」を非常に重視し、それが奪われることに強い不安と恐怖を感じます。
日本社会でも、「出世競争」「階層上昇」への執着が依然として強く残っていますが、これはベータ・クアドラの価値観が社会に深く浸透している証と言えるでしょう。しかし同時に、この「従属コンプレックス」は多くの人々に過剰なストレスや不安をもたらし、「勝ち組・負け組」の二元論を強化している側面もあります。
ベータクアドラは、現実的な行動力と論理的な判断力、感情の力と将来を見通す直観を備えた集団です。
高い理想を掲げ、客観的な事実を重視しながら、スピーディーに意思決定を下し、目標達成に向けて邁進します。
一方で、他者からの支配や強制を強く嫌い、自分の意志を曲げてまで従うことを良しとしないのです。
ベータクアドラの特徴を理解することは、力強いリーダーシップを発揮し、困難に立ち向かう彼らとの協働に役立つはずです。
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2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。
筆者紹介

木村なおき
ソシオニクスを研究し始めて5年。本業はフリーランスのウェブデザイナーとして、IT・デザイン業界の現場でソシオニクスを実践的に活用 しながら活動。MBTI®にも関心を持つが、権利的な制約を踏まえ、より体系的で実践的なソシオニクスの探究へとシフト。2021年には、国内のソシオニクスの第一人者から直接学び、理論と実践の両面を深める。
現在は エニアグラム×ソシオニクスのハイブリッド診断 を強みに、タイプ論を統合的に扱う専門家として活動。これまでに 200名以上のソシオニクスのタイプ診断を実施。
現在、日本で最も体系的にソシオニクス診断の専門家として、現場での実践を重視した診断・教育・研究 に取り組んでいる。(もし同じ分野で活動されている方がいれば、ぜひ情報交換しましょう!)