ソシオニクスのモデルAとは?

私たちの性格は、社会や他者との関わり方をどのように形作っているのか?
ソシオニクスの「モデルA」は、この問いに答えるための強力なツールです。このモデルは、リトアニアの心理学者アウシュラ・アウグスティナヴィチューテが、カール・ユングの心理機能理論とアントニ・ケピンスキーの情報代謝理論を融合させて生み出したもので、個人の性格タイプと他者や社会との関係を詳細に描き出します。

モデルAは、8つの情報機能と情報側面の組み合わせにより、16種類の性格タイプ(TIM:Type of Information Metabolism)を定義します。

ソシオニクスのユニークな点は…

性格の「診断」よりも、各タイプ「検証」に重点を置いていることです。タイプを単にラベル付けするのではなく、そのタイプが実際の対人関係やコミュニケーションスタイルにどう影響を与えるかを探ることに主眼を置いています。

この点で、同じユング心理学を基にするMBTIとは全く異なるアプローチを採用しています。

今回のモデルAを理解することで、あなた自身のコミュニケーションスタイルや、他者との関わり方の特徴をより深く知ることができます。

本記事を通じて、ソシオニクスが提供する新たな視点に触れ、日常の人間関係をより良くするヒントを見つけてみませんか?

モデルA開発の背景と目的

モデルAの基盤となったのは、カール・ユングが提唱した「心理機能」です。

ユングの理論では、人間の心の動きを…「感覚(S)」「直観(N)」「思考(T)」「感情(F)」の4つの心理機能に分類しました。また、それらが「外向(E)」と「内向(I)」のどちらの方向に働くかによって性格が形成されるとしました。

ユングの時代にはまだ情報処理や対人関係の複雑性を詳細に説明するには限界がありました

そのため、より精密で実用的なモデルの必要性がありました。

1. 情報代謝理論を採用

アウシュラ・アウグスティナヴィチューテは、ユングの心理機能理論をもとに、「情報代謝(Information Metabolism)」の概念を導入しました。

これは、人間がどのように情報を受け取り、処理し、外部に影響を与えるかを分析する枠組みです。

彼女は、特に以下のような課題を解決するためにモデルAを開発しました

  • 性格タイプ間の相性を明確に分析したいというニーズ
  • 個人の性格を、情報処理のパターンとしてモデル化することで、より具体的な洞察を提供
  • 単なる性格ではなく、社会や組織における役割理解に役立つツールとして構築

2. MBTIとの差別化を目指して

もしMBTIが「自分自身を理解し、自分と調和するためのツール」だとしたら、ソシオニクスは「他者との関係を深め、より良いコミュニケーションを築くためのツール」と言えるでしょう。

ソシオニクスは、意識と無意識強みと弱み重視と軽視といった多角的な枠組みで心理機能を総合的に分析し、個々の性格が人間関係や社会的なやり取りにどのように影響を与えるかを解き明かします。

特に、他者とのコミュニケーションを大切に考える人や、人間関係をより良くしたいと願う人にとって、ソシオニクスは有用なツールです。職場や家族、友人との関係を深めたい方や、他者の個性を尊重しながら適切に対応したいと考える方にこそ、この学びは新たな視点を提供します。

自分の役割や他者との関わり方を理解し、相互理解を深めるための第一歩を踏み出してみませんか?

モデルAの型

不活性活性属性ブロックリング
1. 先導機能
4次元
2.創造機能。
3次元
強い
意識
重視
自我
性格の強みを象徴する部分
「任せて」
「こうしよう」
メンタル
4.脆弱機能
1次元
3.役割機能
2次元
弱い
意識
軽視
超自我
社会的な役割や期待に応じる部分
「~しなければ…」
メンタル
6.動員機能
2次元
5.暗示機能
1次元
弱い
無意識
重視
超イド
他者や周囲に期待する部分
「~をしてほしい」
バイタル
7.無視機能
3次元
8.証明機能
4次元
強い
無意識
軽視
イド
裏方であなたを支えてくれる部分
「できる…けど」
バイタル

メンタルリング(意識)

意識的に使用される4つの機能であり、日常的に強く影響を与える部分です。これらの機能は、本人が得意とする分野や社会的役割を担う要素を形成します。

自我ブロック

強い、意識、重視

エゴブロックは、ソシオニクスにおける性格タイプの核となる部分であり、個人の強みを最もよく表す領域です。このブロックには、主導機能(Leading Function)と創造機能(Creative Function)の2つが含まれ、個人が最も意識的に使い、エネルギッシュに活動できる部分を指します。

  • 最も自信を持って活動できる。得意分野や積極性を司る
  • 迷いや不安がほとんどなく、堂々とこのブロックは使える
  • 他者や周囲に対して自分の経験を共有することで貢献ができる
  • 職業や主要な活動分野の選択にも影響を与える。
1. 先導機能(Leading Function)

先導機能は、その人の性格や行動を方向づける中心的な要素です。以下の3つの視点で簡単に説明します。

  • 意識:最も自覚的に使える機能で、「自分らしさ」を強く感じる
  • 強み:自然に得意な分野を表し、無理なく発揮して、他者を手助けできる
  • 重視:その人が「重要」と感じる価値観を決定する基準となる

先導機能を理解することで、自分の強みを活かしながら、他者との関係を深める助けになります。

  • 外向感覚(Se): 現実の力関係や即時行動への敏感さ
  • 内向感覚(Si): 快適さや体験の質、環境調整への感受性
  • 外向直観(Ne): 可能性やアイデアの発見、広がりへの敏感さ
  • 内向直観(Ni): 時間の流れや未来のビジョンの洞察力
  • 外向論理(Te): 効率性や事実に基づく実践的な判断力
  • 内向論理(Ti): 構造や理論の整合性、ルールの分析力
  • 外向倫理(Fe): 他者の感情や雰囲気の調整、場の盛り上げ
  • 内向倫理(Fi): 個人の価値観や深い人間関係への感受性

先導機能は、意識的に使える最も強力な機能であり、個人の強みと重視する価値観を形作ります。この機能を理解することで、自分の得意分野を活かしながら、他者と調和の取れた関係を築くヒントを得ることができます。ただし、先導機能の資質を最大限に開花させるためには、あなたの資質を伸ばすための創造機能の助けが欠かせません。

2. 創造機能(Creative Function)

創造機能は、先導機能を支えつつ柔軟性をもたらし、さまざまな状況で新しいアプローチやアイデアを生み出す役割を担います。ソシオニクスを学ぶ中で、先導機能と創造機能を連携を理解することが、さらなる成長と円滑な人間関係への鍵となるでしょう。

  • 意識:状況に応じて意識的に使える創造的な機能(補助をするわけではない)
  • 強み:新しい視点を加え、柔軟に適応する力(武器や手段としての性質をもつ)
  • 重視:先導機能を活かすために創造機能を使う(積極的に使いたいわけではない)

創造機能は、先導機能を活かすための柔軟な手段であり、その力を引き立てる武器です。この機能を理解し活用することで、環境や他者に適応しながら、自分の能力をさらに広げることができます。

3. 役割機能(Role Function)

役割機能は、社会的な期待や必要性に応じて使用されますが、自然ではなく、多少ぎこちない感覚が伴います。たとえば、「論理的な判断」がこの位置にある場合、論理的に見せる努力をする一方で、長時間使用するのは疲れやすい傾向があります。

4. 脆弱機能(Vulnerable Function)

脆弱機能は、その人が最も苦手とする部分であり、意識的に使うのが難しい機能です。これに頼られるとストレスを感じやすく、本人が自覚して改善することも難しい領域です。たとえば、細かいデータ処理を苦手とする人にとって、これが脆弱機能に当てはまることが多いです。

バイタルリング(無意識)

無意識的に使用される4つの機能であり、本人が直接コントロールすることは難しいが、重要な場面で力を発揮します。

5. 示唆機能(Suggestive Function)

示唆機能は、外部からの助言や影響を受けることで活性化します。この機能は、本人が無意識的に求めているものに近いため、外部からサポートを受けることで非常に心地よさを感じます。たとえば、「共感力」をこの位置に持つ人は、他者からの感情的な支援を喜びます。

6. 活性化機能(Activating Function)

活性化機能は、その人を動機付けたり、新しい行動を促す力を持ちます。この機能は無意識的に作用し、他者からの刺激によりエネルギーを得ることができます。たとえば、「未来の可能性を予測する力」が活性化機能にある場合、革新的なアイデアが浮かびやすくなります。

7. 無視機能(Ignoring Function)

無視機能は、あまり重視されない部分であり、必要に応じて使われるものの、通常は抑制されています。たとえば、「詳細な事実分析」を無視機能に持つ人は、必要最低限の場面で使うにとどまり、通常は他の方法を優先します。

8. 背景機能(Background Function)

背景機能は、日常生活の「裏方」として安定的に働きます。この機能は本人にとって自然で負担が少なく、無意識的に発揮されます。たとえば、「規則を守る力」が背景機能にある人は、その性質を常に持っていますが、それを特に意識することはありません。

16personalities/MBTIから
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木村なおき

2024年5月から、主催者:ヤマセミさんのソシオニクススクールでソシオニクスを学ばせてもらっています。また、個人でソシオニクスのテキストを作っています。無料で配布しているので、是非ともLINEオープンチャットにお越しください。

ソシオニクス記事一覧

ソシオタイプ
ILE(≒ENTP)SEI(≒ISFJ)
ESE(≒ESFJ)LII(≒INTP)
SLE(≒ESTP)IEI(≒INFJ)
EIE(≒ESFJ)LSI(≒INTP)
SEE(≒ESFP)ILI(≒INTJ)
LIE(≒ENTJ)ESI(≒ISFP)
IEE(≒ENFP)SLI(≒ISTJ)
LSE(≒ESTJ)EII(≒INFP)
モデルA/心理機能

メンタルブロック

1.先導機能2.創造機能
4.脆弱機能3.役割機能

バイタルブロック

6.動員機能5.暗示機能
7.無視機能8.実証機能
情報要素

合理機能

外向論理(Te)外向倫理(Fe)
内向論理(Ti)内向倫理(Fi)

非合理機能

外向直観(Ne)内向直観(Ni)
外向感覚(Se)内向感覚(Si)

筆者紹介

木村なおき

ソシオニクス歴4年。本業エニアグラムでMBTI®に興味を持つが、権利的な事情で断念。2020年にソシオニクスに出会い独学で勉強。2021年にソシオニクス専門のブロガーさんからソシオニクスの理論を教わり、その後すぐにエニアグラム×ソシオニクスの二刀流でタイプ診断に臨む。

診断実績は200を超える(エニアグラムとセット)

2024年4月に16タイプ相性論の講座を開講したときに、「これ…ソシオニクスでやったほうがよくね!」と気づき、本格的にソシオニクスを取り入れる。

クアドラ診断、タイプ診断、タイプ関係論をセットにすると、日本でいちばんソシオニクスを診断をしてきたい人(他に誰かいたら教えてください)

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