ロマンススタイル|Pragma(プラグマ)とは?

スマホのメモアプリに、相手の年収と実家までの距離と親の年齢が箇条書きで残っている。それを、本人に見られる。

これがPragmaです。

弁解のしようがありません。実際に書いていたのだから。ただ、あのメモは打算ではなく、真剣に検討していた証拠でした。そう説明しても、たぶん一生わかってもらえません。

Pragmaは6色の中で、最も誤解され、最も真剣で、最も出遅れる色です。

6つのロマンススタイル一覧から飛んできた場合、概要はもう読んでいるはずです。ここから先は、Pragmaだけを掘ります。

Pragmaとは何か

Pragmaはギリシャ語で「実際的なもの」を意味する言葉が語源です。プラグマティック、実用主義と同じ根を持ちます。

この6分類を作ったカナダの社会学者ジョン・アラン・リーは、愛のかたちを色相環にたとえました。Pragmaは三原色ではなく、二次色です。

具体的には、Ludus(距離と冷静さ)とStorge(時間と安定)の混合とされています。

この配合を見ると、性質がよくわかります。感情に飲まれない冷静さと、長く続く関係への志向。この2つが合わさると、「条件で選び、時間で育てる」という愛のかたちになります。

リー自身は、Pragmaを「買い物リストを持った愛」と表現しています。身も蓋もない言い方ですが、正確でもあります。ただしそのリストは、損得だけで書かれてはいません。長く続けるための条件が並んでいるだけです。まあ、外から見れば同じですけどね。

Pragmaの恋愛傾向

Pragmaの動きには、共通した型があります。

  • 好きになった相手の生活習慣を、無意識に採点している
  • 交際前の段階で、破局したときの面倒さまで想定が済んでいる
  • 「この人といたら人生設計が崩れる」と判断したら、感情があっても撤退できる
  • 友人の恋愛相談で、いちばん現実的なことを言って場を凍らせる
  • 検討している間に、相手が他の人と付き合っている
  • 条件で選んでいると思われることを、極端に嫌う

最後の項目が重要です。

本当に打算的な人間は、打算的だと思われることを一切気にしません。気にしている時点で、Pragmaはかなり生真面目な色です。

Pragmaが見ているのは目先の条件ではなく、5年後10年後にその関係がどう変形しているかです。感情の強さは変化するものだと知っているので、変化しても残るものを先に確認しにいく。

冷静に見えて、実際は最も慎重に恋愛を扱っている色です。慎重すぎて、たいてい間に合いません。

こんな言葉が出ます

「好きだけど、この人と生活できるかは別の話」

「条件で選びたくないけど、合わない人とは続かないのも事実」

「恋愛の勢いで決めて、後悔したくない」

【男女別】Pragmaはこう出る

同じ仕様でも、社会からの評価が違うので、詰まり方が変わります。

女性のPragma

女性のPragmaは、まず「計算高い」に分類されます。

条件を確認しただけで愛がないと言われ、将来の話をしただけで重いと言われる。相手の収入や生活習慣を気にすると、露骨に嫌な顔をされる。

そのたびに、女性のPragmaは自分の基準を隠すようになります。

隠した結果どうなるかというと、判断が遅れます。確認したかったことを確認しないまま関係が進み、後から取り返しのつかない部分が見つかる。最初に聞けば5分で済んだ話です。

さらに、この型には特有の板挟みがあります。現実的であることを求められ、同時に現実的すぎることを責められる。将来を考えないと「何も考えていない」と言われ、考えると「夢がない」と言われる。どちらに転んでも減点される盤面で、判断だけは自分でしなければならない。

Pragmaが黙るようになるのは、たいていこの構造に何度か殴られたあとです。

そして、感情がないわけでもありません。むしろ好きになった相手ほど慎重に見ます。慎重に見るので、態度が冷たくなる。真剣さと温度が反比例するのが、この色の悲劇です。

男性のPragma

男性のPragmaは、「冷たい」と「誠実」の間で毎回誤解されます。

将来設計を語れば重いと言われ、語らなければ不誠実だと言われる。本人にとってはどちらも同じ真剣さの表明なのですが、伝わり方は正反対になります。

そして男性のPragmaには、独特の沈黙があります。

結論が出るまで何も言わない、という沈黙です。相手を真剣に検討している最中なので、本人としては最も誠実に向き合っている時間です。ところが外からは、乗り気ではないようにしか見えません。

検討が終わって「付き合おう」と言う頃には、相手はすでに冷めています。

この失敗を、男性のPragmaは律儀に分析します。分析して、次はもっと早く結論を出そうと決める。決めるのですが、次も同じ速度になります。検討の速度は意思では変えられないからです。

変えられるのは、検討中であることを相手に伝えるかどうかだけなのですが、そこには一切手をつけません。

Pragmaが沼るとき

Pragmaは沼らない色に見えます。沼ります。沼り方が違うだけです。

感情では沼りません。投資で沼ります。

心理学的な裏側をサクッと

心理学には、人が関係を続けるかどうかを説明する考え方があります。

その中で有名なのが、コミットメントは満足度だけでは決まらない、という指摘です。関係を続けるかどうかは、満足度に加えて、他に選択肢があるか、そしてこれまでどれだけ注ぎ込んだかで決まります。

つまり、満足していなくても、他に選択肢がなく、これまでの投資が大きければ、人はその関係を続けます。

Pragmaは、この計算を常時実行している色です。

そして計算しているからこそ、この罠にはまります。感情ではなく数字で判断する分、「ここまで注ぎ込んだのだから続けるほうが合理的だ」という結論が、驚くほど簡単に出てしまう。

計算が得意な人間ほど、計算で自分を騙せます。

「これでいいはずなのに」が出るとき

Pragmaが沼っているときの症状は、はっきりしています。

条件で選んだ。手続きも順調だった。周囲の評価も悪くない。それなのに、満たされていない。

そして口から出るのが、この一文です。

「これでいいはずなのに」

この状態から抜けるのが、Pragmaは非常に苦手です。抜ける理由を数字で説明できないからです。相手に問題があるわけでもなく、条件も悪くなく、何ひとつ壊れていない。撤退を正当化するデータが、どこにもない。

だから続けます。データが出るまで、ずっと。

周囲は「幸せそうでいいね」と言います。悪気はありません。外形的な指標は全部そろっているからです。そろっているのに満たされないという状態を説明する言葉を、Pragmaは持っていない。だから何も言いません。何も言わないので、誰も気づきません。

Pragmaが同じことを繰り返す理由

Pragmaの恋愛歴を並べると、「悪くない関係」が延々と並びます。

情熱的な失敗も、破滅的な恋も、あまり出てきません。そのかわり、決定的に良かった記憶も出てきません。

大きく外さない選択を積み重ねているので、大きく外れないかわりに、大きく当たることもない。生存戦略としては極めて優秀です。

ただし、生存と満足は別の変数です。そしてPragmaは、満足のほうを測る道具を持っていません。持っていないので、測っていないことにも気づきません。

30代、40代になってから「自分は何がしたかったのか」という問いが突然立ち上がるのは、この色ではよくある話です。一度も表示されなかった数値が、いきなり画面に出てくるからです。

Pragmaが自分を見失うとき

Pragmaが最も危険なのは、自分が何を望んでいるのかがわからなくなることです。

検討を続けているうちに、検討の目的が消えます。

  • 何を得たくてこの関係を選んだのか、思い出せない
  • 相手を好きなのか、条件が良いから続けているのか、区別がつかない
  • 幸せかどうかを、周囲の評価で判断するようになる

3つ目が厄介です。Pragmaは客観的な基準で判断する色なので、自分の感情という主観的なデータを扱う訓練が不足しています。

だから「幸せかどうか」という問いにも、外部データを探しにいく。周囲から見て良い関係か。世間的に問題のない相手か。この基準で採点すると、たいてい合格点が出ます。

合格点が出るので、やめられません。

Pragmaの終わり方

Pragmaの関係には、決まった終わり方が2つあります。

条件の変化による終わり

相手の状況が変わった瞬間、計算が変わります。

転職、転居、収入の変化、家族の事情。Pragmaはこれらを冷徹に再計算し、結論が変われば関係を見直します。

外から見ると薄情に映ります。実際は違って、最初から条件つきで成立していた関係の、条件が外れただけです。ただしその条件を相手に一度も開示していなかった、という一点だけが致命的です。

検討切れによる終わり

もうひとつは、検討している間に相手が消える終わり方です。こちらのほうが圧倒的に多い。

慎重に見極めている3か月の間に、相手は「脈がない」と判断して別の人と関係を作ります。そしてPragmaは、検討結果を提出する相手を失います。

この終わり方をしたPragmaは、たいてい納得しません。あれだけ真剣に考えていたのに、と思う。ただし、真剣に考えていたことは一度も相手に伝わっていません。

そして次の相手にも、同じ沈黙を繰り返します。伝えれば済む話だと頭では理解していて、それでも結論の出ていないものを口に出せない。中途半端な状態を他人に見せることが、Pragmaにとっては最も不誠実な行為だからです。

誠実であろうとした結果、不誠実だと思われる。この色は、そういう損の仕方をします。

Pragmaと他の色の相性

すれ違いは性格の問題ではなく、愛の言語が違うことによって起きます。

相手の色起きること
Eros感情と現実の押し付け合いになる
Ludus条件の話をすると逃げられる。ただし距離感は合う
Storge最も噛み合う。時間の使い方が同じ
Mania断絶する。冷静さが相手の不安を増幅させる
Agape与えられるほど、計算が狂って落ち着かない

Storgeとの相性が良いのには、構造的な理由があります。

PragmaはLudusとStorgeの混合として定義された色です。Pragmaの中には、Storgeと同じ成分が最初から入っている。時間をかけて関係を育てるという発想を共有しているので、速度が合うわけです。

逆にManiaとの組み合わせは、ほぼ機能しません。Maniaが求めているのは確信であり、Pragmaが提供できるのは根拠だからです。「大丈夫だと思う理由を3点説明する」という行為は、Maniaの不安をまったく鎮めません。むしろ、感情で応えてくれない相手として記録されます。

Pragmaの決めゼリフ

Pragmaは打算ではありません。20年後が先に見えているだけです。

そして見えているぶん、動くのが遅れます。慎重さは、待ってくれる相手にしか通用しない。その現実だけが、毎回きれいに残ります。

ここまで読んで心当たりがあるなら、Pragmaは主スタイルの候補です。ただし6色は混ざって出るので、純粋な単一スタイルの人はほとんどいません。

そして、ロマンススタイルが説明できるのは「何をするか」までです。「なぜ、検討が終わらないのか」は、また別の層の話になります。

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