ロマンススタイル|Mania(マニア)とは?

既読がつかない。電話をかける。1コールで切る。

また かける。切る。気づくと着信履歴が11件並んでいる。

翌朝、「ごめん、間違えて押しちゃった」と送る。11回。

これがManiaです。

重いと知っています。よくないともわかっています。それでも止まりません。意志の問題ではないので、「気合いで直せ」と言ってくる人間の助言は全部無視して構いません。

Maniaは6色の中で、最も強度が高く、最も消耗が激しく、そして最も本人が自覚している色です。

6つのロマンススタイル一覧から飛んできた場合、概要はもう読んでいるはずです。

ここから先は、Maniaだけを掘ります。

Maniaとは何か

Maniaはギリシャ語で「狂気」を意味する言葉が語源です。

この6分類を作ったカナダの社会学者ジョン・アラン・リーは、愛のかたちを色相環にたとえました。Maniaは三原色ではなく、二次色です。

具体的には、Eros(情熱と身体的な強度)とLudus(距離と不確実性)の混合とされています。

この配合が、苦しさをそのまま説明しています。

相手を強烈に欲しがるErosの情熱と、相手を確保できているか常に不確かなLudusの感覚。この2つが同居すると、「欲しいのに、いつまでも足りない」という状態が固定されます。

愛が足りないのではありません。確信が足りないのです。

Maniaの恋愛傾向

Maniaの動きには、共通した型があります。

  • 返信が来る時間帯を、無意識に記録している
  • SNSの更新から、自分への態度を読み取ろうとする
  • 送るつもりのなかったメッセージを、深夜に送ってしまう
  • 「重い」と言われた翌日から、急に平気なふりをする
  • 平気なふりが3日ともたない
  • 喜びと不安が、まったく同じ深さで来る

最後の項目が本質です。

昨日はあれほど幸せだったのに、今日は不安でたまらない。この振れ幅の大きさ自体が、この色の指紋です。他の色は、ここまで極端に振れません。

そしてManiaは、この振れ幅を相手のせいにしません。自分がおかしいのだと考えます。実際にはManic化しているとき、相手の行動が不規則になっていることが多いのですが、内側からはその因果が見えない。

見えないまま、自分だけを責め続けます。

こんな言葉が出ます

「好きになると、その人のことしか考えられなくなる」

「既読スルーされると、ずっと気になってしまう」

「自分でもわかってる、重いって。でも止められない」

【男女別】Maniaはこう出る

同じ仕様でも、許容のされ方が違うので、出方が変わります。

女性のMania

女性のManiaは、「重い女」という称号を一身に引き受けます。

友人に相談する。3人に同じ話をする。それでも足りず、深夜に相手のSNSを4年前まで遡り、知らない女性のアカウントを特定し、そのアカウントの投稿も遡り、朝5時に自己嫌悪で泣く。

そして、これらの行動を自分でも異常だと理解しています。

理解していて、止まりません。止まらないことを恥じて、次は隠します。隠して、溜めて、爆発します。爆発したあと、謝ります。そしてまた隠します。

このサイクルで最も消耗するのは、行動そのものではありません。「またやってしまった」という採点作業のほうです。Maniaの女性が疲弊するのは恋愛ではなく、恋愛中の自分を24時間監視する業務によってです。

周囲はたいてい正しいことを言います。そんな男やめなよ。もっといい人いるよ。連絡しないほうがいいよ。全部正しい。

正しいのですが、一切効きません。Maniaが反応しているのは情報ではなく、不規則な供給だからです。正論は供給を止めてくれません。

男性のMania

男性のManiaは、表に出しにくい構造にあります。

重い男は、重い女よりも社会的に許容されません。だから隠します。ところが感情の総量は変わらないので、別の出口を探します。

最も多いのが、不安の怒りへの変換です。

連絡が来ないと不機嫌になる。理由を聞かれて「別に」と答える。本当は不安なのに不安だと言えないので、態度で圧力をかける形になる。

本人は、自分が怒っていると思っています。実際は怖がっているだけです。この誤変換に気づかないまま関係を壊す男性のManiaは、かなりの数にのぼります。

さらに、男性のManiaには相談先がありません。女性のManiaには、少なくとも同じ話を何度も聞いてくれる友人がいます。男性の場合、この手の話を持ち出せる場所自体が存在しないことが多い。

だから全部を内側で処理し、内側で腐らせます。表に出ないぶん、こちらのほうが長引きます。

Maniaが沼るとき

Maniaが沼る相手は、決まっています。

優しい相手ではありません。不規則な相手です。

心理学的な裏側をサクッと

心理学に、間欠強化と呼ばれる現象があります。

ある行動に対して報酬が毎回もらえる場合より、もらえたりもらえなかったりする場合のほうが、その行動は強く定着するという現象です。

わかりやすいのがギャンブルです。毎回当たるスロットに人は熱中しません。たまに当たるから、やめられなくなる。

連絡の返信も、まったく同じ構造をしています。

いつも即レスの相手に、Maniaは熱中しません。ところが、3日返信がなく、突然「今日会える?」と送ってくる相手には、生活のすべてを差し出します。

つまりManiaを最も深く沼らせるのは、愛情の量ではありません。愛情の不規則さです。相手が特別に魅力的である必要すらない。ただ、読めなければいい。

もうひとつ関係する現象があります。人は完了したことより、未完了のことを長く覚えているという傾向です。終わった恋よりも、終わらなかった恋のほうが頭から離れない。

Maniaの関係は、たいてい未完了のまま止まります。だから、消えません。

「不安が恋の中心になる」瞬間

健全な関係では、相手と一緒にいる時間が中心にあります。

Manicな関係では、相手を待っている時間が中心になります。

会っている時間より、返信を待っている時間のほうが長い。相手のことを考えている時間の大半が、幸福ではなく不安で占められている。ここまで来ると、恋愛は生活の一部ではなく、生活そのものになります。

そしてこの状態こそが「本気の恋」だと解釈されます。ここが最も危険なところです。

苦しさの量が、そのまま愛情の証明として使われてしまうのです。

Maniaが同じことを繰り返す理由

Maniaの恋愛歴を並べると、不規則な相手ばかりが並びます。

途中で、安定した相手と付き合っていた時期もあるはずです。ところが記憶に残っていません。

強化が起きなかったからです。毎回きちんと返信が来て、態度が一貫していて、不安になる場面がなかった相手は、記憶に強く刻まれない。刻まれないので、「あの人のことは、そこまで好きじゃなかった」と処理されます。

厄介なのは、この選択が「ときめき」として体験されることです。

不規則な相手を前にすると、心拍が上がり、緊張し、頭がその人でいっぱいになる。人はこれを恋と呼びます。安定した相手を前にすると、何も起きない。人はこれを「なんか違う」と呼びます。

判定装置そのものが、不規則さを恋の証拠として読むように設定されている。だから学習が効きません。

Maniaが自分を見失うとき

Maniaが最も危険なのは、自分の状態を相手の反応が決めるようになることです。

  • 一日の気分が、返信の有無で決まる
  • 自分の予定が、全部「連絡が来るかもしれない時間」になる
  • 相手が優しいときだけ、呼吸ができる

3つ目まで来ると、関係の内側から自力で出るのはかなり困難です。

そしてManiaは、この状態を全部自覚しています。ここが他の色と決定的に違う点です。他の色は、自分がおかしくなっていることに気づきません。Maniaは最初から最後まで気づいています。

気づいていて、止まらない。この構造が、この色を最も疲れさせます。

Maniaの終わり方

Maniaの関係には、決まった終わり方が2つあります。

燃え尽きによる終わり

供給が完全に途絶えたとき、Maniaはある日突然、何も感じなくなります。

前日まであれほど苦しかったものが、朝起きたら消えている。この落差に本人が最も驚きます。そして「あれは何だったのか」と考えて、答えが出ません。

出るはずがありません。感情が消えたのではなく、反応する体力が尽きただけだからです。

相手の逃走による終わり

もうひとつは、相手が耐えられなくなって離れる終わり方です。こちらのほうが多い。

そしてこの終わり方をした場合、Maniaの本番はそこから始まります。関係が未完了のまま切断されるので、頭の中で延々と続くのです。言えなかったこと、聞けなかったこと、確認できなかったこと。全部が在庫として残ります。

Maniaにとって恋愛が終わるのは、別れた日ではありません。何年か後の、なんでもない平日です。

Maniaと他の色の相性

すれ違いは性格の問題ではなく、愛の言語が違うことによって起きます。

相手の色起きること
Eros爆発的に燃え、短期間で焼き切れる
Ludus最悪の組み合わせ。そして最も起きやすい
Storge強度についていけない。相手が先に消耗する
Pragma断絶する。冷静な説明は、不安を鎮めない
Agape一見理想的。ただしAgapeが枯れる

Ludusとの組み合わせが最悪である理由は、構造にあります。

Ludusは追われると下がる色です。Maniaは不安になると追う色です。Maniaが不安になるほどLudusが引き、Ludusが引くほどManiaの不安が増える。アクセルとブレーキを別々の人間が踏んでいる車と同じで、止まる場所がありません。

しかもManiaは、ErosとLudusの混合として定義された色です。Ludusの成分をもともと内側に持っている。だからLudusの動きが、他の色より正確に急所へ入ります。

Agapeとの組み合わせも要注意です。Agapeは全部を与えてくれるので、一見すると理想的に見えます。ところがManiaの不安には底がないため、どれだけ与えても確信は一時的にしか成立しません。翌週にはまた不足します。Agapeは供給を増やし続け、やがて枯れます。

そして枯れたAgapeは、ある日、何も言わずに全部やめます。

Maniaの決めゼリフ

Maniaは、愛が足りないのではありません。確信が足りないのです。

だからこの色に効くのは、もっと優しい相手ではなく、もっとわかりやすい相手です。曖昧な優しさをくれる人が、Maniaを最も長く苦しめます。

ここまで読んで心当たりがあるなら、Maniaは主スタイルの候補です。ただし6色は混ざって出るので、純粋な単一スタイルの人はほとんどいません。

そして、ロマンススタイルが説明できるのは「何をするか」までです。「なぜ、止められないのか」は、また別の層の話になります。

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