ロマンススタイル|Ludus(ルーダス)とは?

好きな相手から「そろそろちゃんとしたい」と言われた翌週、なぜか転職サイトを開いている。
これがLudusです。
Ludusは関係を固定されそうになると、人生のほうを動かして回避しようとします。
本人は逃げているつもりがありません。
ただ、急に他の可能性が気になっただけです。
Ludusは6色の中で、最も誤解され、最も冷たいと言われ、そして最後まで何も説明しない色です。
6つのロマンススタイル一覧から飛んできた場合、概要はもう読んでいるはずです。
ここから先は、Ludusだけを掘ります。
Ludusとは何か?
Ludusはラテン語で「遊び」「競技」を意味する言葉です。
この6分類を作ったカナダの社会学者ジョン・アラン・リーは、愛のかたちを色相環にたとえました。
Ludusはその三原色のひとつ。他の何かの混合ではない、独立した一色です。
リーの記述では、Ludusは愛を勝負や駆け引きとして扱う型とされています。
ただし現代の日本語に訳すなら、「軽薄な遊び人」より「自律性を最優先する人」のほうが正確でしょう。
Ludusが守っているのは、相手からの自由ではありません。自分の人生のハンドルです。
Ludusの恋愛傾向
Ludusの動きには、共通した型があります。
- 好きな相手にほど、返信の間隔が読めなくなる
- 予定を先まで埋められると、理由もなく息苦しくなる
- 「重い」と言われた経験が、複数回ある
- 相手の生活に組み込まれ始めた瞬間、一歩下がる
- 追われると冷め、引かれると急に気になる
- 別れたあと、思っていたよりずっと引きずる
最後の項目が、この色の最大の秘密です。
平気そうに見えるだけで、実際にはかなり長く残ります。ただし、そのことを誰かに言うことはありません。言った時点で主導権を明け渡すことになるからです。
特徴的なのは、束縛と好意の関係が反転している点です。多くの色にとって束縛は愛情の重さの証明ですが、Ludusにとっては可動域への侵入です。愛情の量とは無関係に、ただ苦しい。
だから「毎日連絡してほしい」と言われると、Ludusは好意ではなく作業指示を受け取ります。
「私のことどう思ってるの」と聞かれた瞬間に体温が2度下がる感覚。
あれです。相手が嫌になったのではなく、質問という名の徴収に反応しているだけです。
こんな言葉が出ます
「好きだけど、毎日連絡しなくてもいいと思っている」
「『私のことどう思ってるの』と聞かれると、答えにくい」
「恋愛は楽しいものであってほしい。重くなると疲れる」
【男女別】Ludusはこう出る
同じ仕様でも、社会からの扱いが違うので、事故の起き方が変わります。
女性のLudus
女性のLudusは、まず「思わせぶり」に分類されます。
好意はある。ただ、確定させたくない。だから返事が曖昧になり、距離が一定に保たれる。相手からすると、脈があるのかないのか永遠に判定できない状態が続きます。
そして厄介なのが、断ったときの罪悪感です。
好意を向けてくれた相手に距離を取ると、周囲は「もったいない」と言い、内側では「せっかく好きになってくれたのに」という声が鳴ります。恋愛で受け取る側に置かれやすいぶん、断るという行為に説明責任が発生してしまう。
Ludusにとって、その説明責任がいちばん重い。だから曖昧なまま放置し、結果的にいちばん残酷なことをします。
そのたびに女性のLudusは、自分の愛情が足りないのではないかと疑います。
足りないのではありません。渡す気がないだけです。
男性のLudus
男性のLudusは、問答無用で「遊び人」に分類されます。
実際には、相手が何人いるかは本質ではありません。本質は、関係が固定された瞬間に息苦しくなる、というただ一点です。相手が一人でも、Ludusは同じように下がります。
そして責任を求められた瞬間、消えます。誠実さがないのではなく、契約という形式そのものに強い抵抗があるからです。
さらに、男性のLudusは戻ってきます。
距離が回復すると、好意も回復するからです。相手からすれば都合が良すぎる話ですが、本人の中では一貫しています。近づきすぎたから下がった、下がったから戻れるようになった。それだけの動作です。
この往復が何度も続くと、相手は疲弊します。Ludusは疲弊しません。距離が一定に保たれているかぎり、この関係はLudusにとって極めて快適だからです。
Ludusが沼るとき
Ludusは沼らないと思われがちです。沼ります。しかも、かなり無様に。
沼る相手が決まっているだけです。
心理学的な裏側をサクッと
心理学には、人が親密な関係でどう振る舞うかを分類した「愛着スタイル」という考え方があります。その中に、回避型と呼ばれるパターンがあります。
回避型の特徴は単純です。距離を詰められると引く。ところが、相手が引くと今度は気になる。
Ludusの動きは、これとよく似ています。
つまりLudusにとって関係とは、常に一定の距離を維持する作業です。近すぎても遠すぎても落ち着かない。そして相手が詰めてくるかぎり、Ludusは下がり続けます。
問題は、下がらない相手が現れたときです。
Ludusが人生で一度だけ取り乱す場面
Ludusが本気になるのは、優しい相手でも尽くしてくれる相手でもありません。
自分より確保しづらい相手です。
連絡が読めない。何を考えているかわからない。追っても手応えがない。この状況に置かれたとき、Ludusは生まれて初めて、主導権を持っていない側の景色を見ます。
そして、耐えられません。
普段あれほど余裕のある人物が、既読のつかない画面を10分おきに開きます。友人には何も言いません。言えるわけがない。日頃「重い人は無理」と公言してきた本人が、いま人生で最も重い挙動をしているからです。
この時期のLudusは、自分でも自分を軽蔑しています。軽蔑しながら、また画面を開きます。
Ludusが同じことを繰り返す理由
Ludusの恋愛歴を並べると、確保できた相手は全員途中で興味を失われ、確保できなかった相手だけが記憶に残っています。
手に入った瞬間に、価値の計算が変わるからです。
追っている間、相手は「まだ確定していない可能性」です。関係が成立すると、可能性は現実に変わります。そしてLudusにとって、現実の株価は可能性より常に安い。
この計算は意識的に行われていません。気づいたら熱が下がっている、という形で結果だけが表示されます。
Ludusが自分を見失うとき
Ludusが最も壊れるのは、主導権を失ったと感じた瞬間です。
そのとき起きるのは、関係の修復ではなく、自尊心の防衛です。
- 好きなのに、こちらから連絡を絶つ
- 相手が離れそうな気配を察知した瞬間、先に切る
- 傷ついていることを、絶対に相手に見せない
3つ目が決定的です。Ludusは、傷を見せることを敗北と解釈します。だから何も言わずに関係を終わらせ、相手からは「最後まで何も感じていなかった人」として記憶されます。
そして数か月後、一人で引きずります。友人に相談しない。SNSにも書かない。次の相手ともすぐ会う。外から見ると完全に立ち直っているので、誰も心配しません。心配されないので、処理する場所もありません。
Ludusの傷は治りません。ただ古くなるだけです。
本当は好きだったと気づくのは、たいてい全部終わったあとです。
Ludusの終わり方
Ludusの関係には、決まった終わり方が2つあります。
逃走による終わり
相手が重くなった瞬間、説明せずに離れます。
会う頻度が減り、返信が遅くなり、いつのまにか連絡が途絶える。相手には何が起きたのかわかりません。Ludusが何も言わないからです。
言わない理由は、言えば議論になり、議論になれば主導権の話になるからです。逃げるほうが安い。そう見積もっています。
副作用として、相手にはたいてい「最低な人」として記憶されます。Ludus本人もそれを知っています。知っていて、それでも説明しません。説明する労力より、悪者になるほうが安いからです。
確保されたことによる終わり
もうひとつは、手に入った瞬間に熱が消える終わり方です。
相手が全面的に心を開き、全部を差し出してくれた。普通ならそこが関係の完成ですが、Ludusにとってはそこが終点になります。
この終わり方をしたLudusは、後になって後悔します。あれほど良い相手はいなかった、と。ただし気づいたところで判定は戻りません。一度現実になったものは、二度と可能性には戻らないからです。
Ludusと他の色の相性
すれ違いは性格の問題ではなく、愛の言語が違うことによって起きます。
| 相手の色 | 起きること |
|---|---|
| Eros | 燃やされる。ただし確保させないので、相手が消耗する |
| Storge | 距離感は合う。ただし時間の積み上げに耐えられない |
| Pragma | 条件の話をされると逃げる。ただし長期的には最も安定しうる |
| Mania | 最悪の組み合わせ。そして最も起きやすい |
| Agape | 与えられすぎて、逃げる |
危険なのがManiaとの組み合わせです。
Ludusの沈黙は、Maniaにとって最高級の燃料です。返信が読めない、態度がわからない、確信が持てない。Maniaはこの状態で最も強く燃えるので、離れられなくなります。
そしてLudusは追われるほど下がる仕様です。片方が加速し、片方が減速し続ける。ブレーキとアクセルを別々の人間が踏んでいる車と同じで、止まる場所がありません。
ちなみに、ErosとLudusが混ざるとManiaになり、LudusとStorgeが混ざるとPragmaになります。Ludusは二次色を2つも生んでいる色です。距離を取るという性質は、何と結びつくかで、まったく違う顔になるということです。
Ludusの決めゼリフ
Ludusは冷たいのではありません。ハンドルを渡す気がないだけです。
そして渡さないまま、たいていの関係は終わります。相手には愛情がなかったと記憶され、本人だけが長く覚えている。誰にも言わないので、その事実は誰にも知られません。
ここまで読んで心当たりがあるなら、Ludusは主スタイルの候補です。ただし6色は混ざって出るので、純粋な単一スタイルの人はほとんどいません。
そして、ロマンススタイルが説明できるのは「何をするか」までです。「なぜ、渡せないのか」は、また別の層の話になります。
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