【特別編】本当にINFP?ペルソナとシャドウから読み解くINFP|ユング心理学

私は本当にINFPなの?
と思ったら読んでください。
私は本当にINFPなの?
16PersonalitiesでINFPと出た。説明を読むと、かなり当たっている。
人混みで疲れます。自分の世界があります。理想を大切にします。雑な言葉を投げられると、帰宅後の入浴中にもう一度傷つきます。
なるほど。どうやら私はINFPらしい。
しかし、三日後にINFJの記事を読むと、こちらも当たっています。ENFPにも心当たりがあります。
ISFPに至っては、趣味や服装まで似ています。
こうして「私は本当にINFPなのだろうか?」という、頼んでもいない第二次タイプ診断が始まります。
INFPは、世界的には希少なタイプだと言われる一方、日本では最も多いタイプとも言われています。希少なのに、そこら中にいる。限定商品なのに全員が持っているような、少し不思議な状態です。
もちろん、INFPと診断されたこと自体が間違いとは限りません。ただし、診断結果に納得したことと、本当にINFPであることは同じではありません。
人は「自分の本質」だけで回答するとは限らないからです。
職場で求められている自分。家族の前で演じてきた自分。傷つかないために身につけた自分。「本当はこうありたい」と願っている理想の自分。
診断画面の前には、これらが全員集合します。そして代表者のような顔をして回答ボタンを押します。本人の許可は、だいたい取っていません。
そこで本記事では、通常のINFP解説とは少し違う角度から、あなたのINFP自認を見ていきます。
使うのは、ユング心理学における「ペルソナ」と「シャドウ」という考え方です。
ペルソナとは、周囲に適応するために身につけた表向きの顔です。会社では物分かりのよい人、友人の前では聞き役、SNSでは静かに世界を憂う人。どれも嘘ではありませんが、どれもあなたの全部ではありません。
シャドウとは、自分では認めたくないため、無意識の奥に押し込めてきたもう一人の自分です。
「私は怒っていません」と言いながら、相手の返信時間を正確に記憶している。
「自由にしていいよ」と言いながら、選んでほしくない選択肢だけは明確にある。
表では穏やかでも、地下では別の会議が開かれているのです。
普段の振る舞いがINFPらしくても、それが本来のタイプとは限りません。反対に、ときどき計算高くなったり、人を仕切ったりするからといって、INFPではないとも言い切れません。
大切なのは、INFPという名前を守ることではなく、「なぜ自分はINFPという結果に安心したのか」を確かめることです。
なお、「私は絶対にINFPです。異論は認めません」という方には、本記事をおすすめしません。
この先では、あなたが大切にしているINFP像を、ユング心理学の棒で何度かつつきます。少々ムナクソ系です。
それでも、自分のタイプではなく自分自身を知りたい方は、このままお進みください。仮面を外したあとに残るものは、案外、いまより自由なあなたなのです。
INFPのペルソナ
あなたは本当にINFPか?

自己認識ではなく「過去の行動」から、
本当にINFPの傾向が強いか診断します。
(全4問 / 所要時間10秒)
あなたが「自分はINFPだ」と感じている、その感覚。
もちろん、本当にINFPだからそう感じている可能性はあります。
しかし、もう少し身も蓋もない可能性もあります。
「INFPのように振る舞えば、いまの自分を守れるから」です。
行動できない。人間関係がうまくいかない。せっかく思いついたことも形にならない。
こうした現実に直面したとき、「能力が足りないのかもしれない」と考えるのは苦しいものです。
そこでINFPという説明が登場します。
「私は繊細だから動けない」
「深く考えるタイプだから時間が必要」
「現実よりも心の世界を大切にしている」
どれも完全な嘘ではありません。
完全な嘘ではないからこそ、便利なのです。
INFPという名前が、自己理解ではなく心の免罪符になっている可能性があります。
では、なぜ本来は別のタイプである人が、わざわざINFPの仮面を被るのでしょうか。
【ISFP→INFPペルソナ】|動けないので、ひとまず想像力の住人になります
何もできない自分が不甲斐ないコンプレックス
ISFPがINFPを自認するケースです。
ISFPは本来、「今、この瞬間」に手を伸ばせる人です。
素敵な服を見つけたら試着する。面白そうな店があれば入る。作品を作りたいと思ったら、とりあえず材料に触れてみる。頭の中で企画会議を三週間続けるより、補助機能Seを使って、手足から現実に入っていきます。
ところがSeが十分に発達していないと、様子が変わります。
やりたいことはあります。欲しい未来もあります。必要な道具も、参考動画も、作業用BGMも揃えました。
しかし、始まりません。
机の上には新品の道具が並び、スマートフォンには「いつか作りたいもの」の画像が三百枚保存されています。本人は何もしていませんが、資料だけは一流です。
目の前にチャンスがあっても手をつけられない。始めようとすると急に不安になり、気づけばSNSで同じ悩みを持つ人を探しています。
そこで、ひとつの美しい解釈が生まれます。
「私は行動型ではなく、想像力を大切にするINFPなのでは?」
これなら、動けない自分を責めなくて済みます。作品を完成させていなくても、「頭の中には世界観がある」と言えます。現実で勝負して傷つくより、理想の住人でいたほうが安全なのです。
しかし、本来のISFPに必要なのは、さらに深く考えることではありません。
下手でも作る。似合うかわからなくても着る。準備不足でも現場へ行く。Seは、行動したあとで答えを教えてくれる機能だからです。
このように、近い性質を持つINFPの仮面を被り、本来向き合うべきSeの課題を避ける状態を、本記事では『同属ペルソナ』と呼びます。
◆恋の生々しさ
恋愛でも、ISFPのINFPペルソナはよく働きます。
気になる相手がいる。会えば楽しい。相手からも脈のありそうな連絡が来る。しかし、自分から次の約束は取りつけません。
「この気持ちを大切にしたい」
「まだ自分の中で整理できていない」
そう言いながら、相手のSNSは毎日確認します。考えを整理しているのではありません。断られる現実を見たくないのです。
本来のISFPは、言葉よりも一緒に過ごした時間や、その場の温度から関係を育てられます。完璧な確信がなくても、「また会いたい」と伝えればよいのです。
恋は、心の中で完成させる作品ではありません。少し不格好でも、相手のいる現実へ持っていって初めて始まります。
【ENFP→INFPペルソナ】|誰もついてこないので、内向型だったことにします
アイディアを誰にも受け入れてもらえないコンプレックス
次に多いのが、本来ENFPである人がINFPを名乗るケースです。
ENFPは本来、外の世界へ可能性を投げかける人です。
面白い企画を思いつけば誰かに話す。人と人をつなぎ、「みんなでやったら絶対に面白い」と周囲を巻き込む。まだ会場も予算も決まっていない段階で、打ち上げの話まで始めます。
少々早いのですが、本人の中ではすでに成功しているのです。
ところが、提案を否定されたり、誰も動いてくれなかったりすると、ENFPは内側でかなり傷つきます。
グループチャットに企画を投稿した。既読は七人。返事はスタンプがひとつ。しかも「了解」ではなく、何を意味しているのかわからない動物のスタンプです。
ここでENFPは考えます。
「私は人と関わることが好きなのではなく、本当は静かに一人でいたい人なのかもしれない」
こうして外向性を封印し、「実は内向型でした」という物語を始めます。
もちろん、一人になりたい気持ちは本物です。ただし、それは内向型だからではなく、人に期待して傷ついた直後だからかもしれません。
本来なら、伝え方を工夫する。相手が参加しやすい形にする。自分の熱量だけで人が動くと思わない。ENFPには、コミュニケーション能力と人を動員する力を磨く課題があります。
しかし、INFPを自認すれば、その訓練をしなくて済みます。
「理解されないのが私らしさ」
「一人で理想を守るほうが向いている」
そう言って引きこもれば、もう一度拒絶される危険はありません。その代わり、本来のポテンシャルも一緒に封印されます。
このように、自分とよく似たINFP像へ退避し、本来の外向性から目をそらす状態を『鏡明ペルソナ』と呼びます。
◆恋の生々しさ
恋愛では、ENFPの外向性はかなりわかりやすく出ます。
好きになれば話しかける。相手の好きなものを調べる。偶然を装った接点も増やす。
二人の未来について、交際前からかなり具体的に想像します。
しかし、相手の反応が薄いと、急に「私は一人が好きだから」と引き下がります。
返信を待ちながら何度もスマートフォンを確認しているのに、「束縛されたくないし、恋愛に依存するタイプでもない」と言います。
かなり相手を気にしていますが、本人の公式発表では内向的な自由人です。
本当に必要なのは、外向性を捨てることではありません。
相手にも相手の速度があると知り、自分の熱量を少しだけ調整することです。
巻き込む力は、押しつけなければ大きな魅力になります。
誰にも受け入れられなかった経験があっても、あなたのアイディアや愛情まで間違いになるわけではありません。ただ、相手の返事が届く前に、物語を最終回まで進めないほうがよいでしょう。
SNSでは、しばしば「INFPだから生きづらい」という言葉が語られます。
しかし、ユング心理学の観点から見れば、順番が逆である可能性もあります。
INFPだから生きづらいのではなく、生きづらさを抱えた人がINFPの仮面を被り、自分を守っている。内向感覚や外向思考をはじめ、本来向き合うべき機能の課題を「INFPの悩み」へすり替えている場合があるのです。
INFPは、生きづらさの診断名ではありません。
そして、あなたが別のタイプだったとしても、これまで感じてきた苦しさが偽物になるわけでもありません。
仮面を責める必要はありません。それは、傷ついた自分を守るために必要だったのでしょう。
ただし、もう安全になったのなら、そろそろ仮面の奥にある力を使ってもよいのです。
INFP→ENFJシャドウ
コンプレックスを無視した先にあるシャドウの声


劣等機能(コンプレックス)を無視した結果、INFPのシャドウであるENFJの影に侵食されることになります。
第5~8機能の影響をもろうけて、自分を見失っていきます。
- 主機能Fi←対立者Fe「自分の気持ちよりも、もっと周りの事を考えなよ」
- 補助機能Ne←毒親Ni「どうせ、何をしても無駄だから。先がわかるの」
- 第三機能Si←欺瞞Se「目の前の事?何それ。私の感じ方が正義なの」
- 劣等機能Te←悪魔Ti「感情なんていらない…そんな世界は恐怖でしかない」
さて、ここまでは、あなたがINFPと仮定して記事を書いてきました。
あなたが他のタイプでINFPのペルソナ「仮面」を被っていると仮定して、記事を書いていきます。
INFPがENFJシャドウに侵食されるとき
コンプレックスを無視した先で聞こえる、シャドウの声
INFPは、自分の気持ちや価値観を大切にするタイプです。
しかし、現実と向き合う劣等機能Teを避け続けると、「考えているだけで何も形にできない」というコンプレックスが大きくなっていきます。
やがて意識の表側だけでは自分を支えられなくなり、無意識に抑えていた第5~第8機能が動き始めます。
ここから現れるのが、INFPの裏側に潜む「ENFJシャドウ」です。
ただし、健全なENFJになるわけではありません。
Fe・Ni・Se・Tiが歪んだ形で噴き出し、優しさは同調圧力へ、直感は悲観的な決めつけへと変わります。
第5機能:対立者Fe
「自分の気持ちより、もっと周りのことを考えなよ」
本来のINFPは、Fiを通して自分の本音を確かめます。
しかし、他人に合わせ続けて疲弊すると、抑圧されていたFeが「対立者」として現れます。
すると、自分の気持ちを無視するだけではなく、周囲にも同じ配慮を要求するようになります。
「普通はそうするでしょう」
「どうして空気を読めないの?」
「私だけが我慢している」
人を思いやっていたはずのINFPが、いつの間にか「正しい優しさ」を周囲に押しつけ始めます。
第6機能:毒親Ni
「どうせ何をしても無駄。私には先がわかるの」
補助機能Neが健全に働いているとき、INFPは未来にさまざまな可能性を見つけられます。
ところが、挑戦せずに可能性を閉じ続けると、Niが厳しい毒親のように語りかけてきます。
「きっと失敗する」
「あの人とはうまくいかない」
「結末はもう見えている」
まだ何も起きていないのに、ひとつの悲観的な未来を真実だと思い込みます。
可能性を探していた人が、未来を決めつける人へ変わっていくのです。
第7機能:欺瞞Se
「目の前の事実より、私がどう感じたかのほうが大切」
第三機能Siは、自分の経験や記憶を丁寧に振り返る働きです。
しかし、過去の傷に閉じこもり続けると、Seが「欺瞞」として現れます。
実際に何が起きたのかを確かめず、その瞬間に受けた印象だけで相手を判断するようになります。
「私は傷ついた。だから、あなたが悪い」
「そう感じたのだから、間違いない」
目の前の現実を見る力が、感情を正当化するために使われます。
第8機能:悪魔Ti
「感情なんていらない。すべて切り捨てればいい」
最後に現れるのが、悪魔としてのTiです。
傷つくことに疲れたINFPは、自分が大切にしてきた感情そのものを否定し始めます。
人の言葉を細かく分析し、矛盾を見つけ、冷たい論理で相手を切り捨てます。
「その話は論理的におかしい」
「感情で話しても意味がない」
「人を信じるから傷つくんだ」
しかし、感情を捨てた世界は、INFPが本当に望んでいた世界ではありません。
誰よりも心を大切にしていた人が、心の存在しない世界を作ろうとする。これが、INFPの闇落ちです。
優しい人が、正しさで人を支配し始める
ENFJシャドウに侵食されたINFPは、露骨な悪人になるわけではありません。
むしろ、「みんなのため」「あなたのため」という言葉を使いながら、人を動かそうとします。
- Feで周囲に配慮を要求する
- Niで相手の未来を決めつける
- Seで目の前の反応を支配する
- Tiで反論できない理屈を作る
本人は人を助けているつもりです。
しかし実際には、自分の傷やコンプレックスから目をそらすために、他人を変えようとしているのです。
シャドウから抜け出すために必要なのは、さらに優しい人になることではありません。
避けてきたTeと向き合い、自分の気持ちを現実の行動や結果につなげることです。
INFPが自由になるために
ペルソナ/シャドウ/コンプレックスの言語化
- ペルソナ…なぜ特定のタイプの影響を受けるのかを理解する
- シャドウ…内側に存在するもうひとりの自分と仲良くする
- コンプレックス…劣等機能の課題を言語化×克服する
もしあなたが、ペルソナではなく「本物のINFP」のように生きたいなら、あるいは本来の自分としての力を取り戻したいなら、やるべきことは一つです。
「理想」や「夢」を語るだけの日々から卒業をして、「今」に集中して、何でもいいから小さく動きだす。
INFPの強みは、魅力は自分の価値観に忠実である事です。また、本来であれば、自分の気持ちのみならず他者の気持ちの機微なところにも気づき、人を救ってあげることができます。ですが、自分の殻に閉じこもっているだけの状態は、本来の可能性を封印しているに過ぎません。
まずは不完全でもいいから、ESTJのように何かを成し遂げてみる、ISTJのように目の前の事に集中するなどが、INFPの成長ルートです。何かを成し遂げたときに、はじめて自分の「本当の気持ち」や「これからの可能性」に気づくはずです。この積み重ねが、INFPの人生を豊かなものにします。



















