ロマンススタイル|6つの型

恋愛ペルソナは、6つのロマンススタイルの組み合わせで決めるとわかりやすいです。まず以下の6つを頭に入れてください。

エロス、ルーダス、ストルゲ―、プラグマ、マニア、アガペーです。

改めてロマンススタイルとは?

ロマンススタイルは占いではありません。1973年にカナダの社会学者ジョン・アラン・リーが提唱し、1986年に心理尺度として測定可能な形に整備されて以降、50年にわたって使われ続けている枠組みです。

ロマンススタイルは、必ず誰でも複数持っています。純粋な単一スタイルの人間はほぼ存在しません。問題は配合比と順番です。

  • 1位が愛し方の基本設計
  • 2位が関係が深まったときに出るもの、
  • 3位が追い詰められたときに顔を出すもの。

だいたいそう思ってください。

では改めて、ロマンススタイルを見ていきましょう。

Eros(エロス)

身体が先に返事をしている愛

理屈が追いつく前に、もう決着がついている愛です。

「会った瞬間、何かが走った」。よく聞く話ですが、あれは魂が相手を見つけたのではありません。あなたの身体が勝手に判断を下して、事後承諾を求めてきているだけです。脳はあとから「運命だ」という説明を捏造します。人間はそういうふうにできています。

Erosの人には、たいてい明確な理想像があります。声、佇まい、話すときの間の取り方。本人は「フィーリング」と呼びますが、実際にはかなり具体的な審査基準があって、合致した瞬間に承認ランプが点く。判定は速いです。速いだけで、正確とは言っていません。

こんな言葉が出ます。

  • 「あの人の声が好き。話の内容より先に、声が好きだった」
  • 「一緒にいると、理由もなく安心する」
  • 「好きになると、体が反応する」

弱点は燃費です。火力が高い焚き火は、薪の消費も速い。あれほど好きだった相手が、ある朝突然どうでもよくなる。冷たい人間になったわけではなく、燃料が切れただけです。

Ludus(ルーダス)

主導権を渡さない愛

自分のペースを死守しながら進む愛です。

世間はこれを「遊んでいる」と呼びます。失礼な話ですね。Ludusの本質は遊びではなく、防衛です。人生の主導権を他人に握られることが、生理的に耐えられない。それだけなのです。

「私のことどう思ってるの」と聞かれた瞬間に体温が2度下がる感覚。あれがLudusです。相手を嫌いになったのではなく、質問という名の徴収に反応しているだけ。急かされると引く、束縛されると冷める、「あなたがいないと生きていけない」と言われると逃げたくなる。これはもう、そういう仕様です。

こんな言葉が出ます。

  • 「好きだけど、毎日連絡しなくてもいいと思っている」
  • 「『私のことどう思ってるの』と聞かれると、答えにくい」
  • 「恋愛は楽しいものであってほしい。重くなると疲れる」

Ludusが「冷たい」と言われるとき、それは愛情量の問題ではなく、翻訳の失敗です。距離を保つことは無関心の証明ではなく、関係を長持ちさせるための管理業務なのだと、一度も説明していないだけ。説明してあげてください。それは怠慢です。

Storge(ストルゲー)

事件が起きないまま深まる愛

時間だけが原料の愛です。

「いつ好きになったか、正直わからない」。当然です。そこには事件がなかったのですから。落雷も告白も涙の一夜もなく、ただ「一緒にいると楽」が3年ぶん積み上がって、気づいたら降りられない場所に立っていた。それがStorgeです。

Storgeの人は、燃え上がる恋を少し疑っています。「あんなに急に好きになったものが、急に消えないわけがない」と知っているからです。その勘は、だいたい当たっています。

こんな言葉が出ます。

  • 「好きになったタイミングが、正直わからない」
  • 「ビビッとくる感じより、じわじわくる感じのほうが信じられる」
  • 「友達としても好きな人と付き合いたい」

強みは耐久性です。初速は絶望的に遅く、恋愛市場ではしばしば出遅れます。しかし10年後に残っている関係の多くは、この地味な作り方をしています。派手さがないぶん、壊れる理由も少ない。

Pragma(プラグマ)

未来から逆算する愛

現実を見据えたまま育てる愛です。

「この人と生活できるか」「価値観は根本的に合っているか」。恋の真っ最中にこういう問いが浮かぶ自分を、あなたは少し冷たい人間だと思っているかもしれません。安心してください。冷たいのではなく、見えているだけです。他の人には見えていない20年後が、先に見えている。呪いですが、能力でもあります。

「条件で選んでいると思われたくない」。この一文にPragmaの全てがあります。本当に打算的な人間は、思われたくないなどと悩みません。悩んでいる時点で、あなたは真面目なのです。

こんな言葉が出ます。

  • 「好きだけど、この人と生活できるかは別の話」
  • 「条件で選びたくないけど、合わない人とは続かないのも事実」
  • 「恋愛の勢いで決めて、後悔したくない」

弱点は速度です。検討している間に、相手が別の人と付き合う。慎重さは美徳ですが、慎重さは待ってくれません。どこかで「まあ、いけるだろう」と目をつぶる工程が必要です。それが一番苦手だということも、知っています。

Mania(マニア)

自分では止められない愛

感情が、自分の許可を取らずに動き出す愛です。

既読がつかない。10分経つ。あなたの頭の中では、すでに相手が別の誰かと笑っていて、自分は捨てられていて、人生が終わっています。実際には相手は風呂に入っていただけです。毎回そうです。毎回そうなのに、次も同じことをします。

自分でもわかっている、というのがManiaの最大の苦しみでしょう。重いと知っている。よくないと知っている。それでも止まらない。意志の問題ではないからです。ここを「気合いで直せ」と言ってくる人間の助言は、全部無視して構いません。

こんな言葉が出ます。

  • 「好きになると、その人のことしか考えられなくなる」
  • 「既読スルーされると、ずっと気になってしまう」
  • 「自分でもわかってる、重いって。でも止められない」

ただし「不健全」の一語で片付けるのは雑です。Maniaは要するに没入の才能です。誰かに全力を注げる人間は、それほど多くありません。必要なのは感情を減らす訓練ではなく、その水量に耐えられる器を見分ける目です。

Agape(アガペー)

与えるほうが楽な愛

6つの中で、もっとも差し出す方向に振り切った愛です。

「この人が幸せなら、それでいい」。美しい言葉ですね。そして危険な言葉でもあります。本当に何も求めていないのなら、あなたはなぜ疲れているのでしょうか。見返りを求めていないつもりで、「わかってほしい」という請求書だけが未発行のまま溜まっている。そういうことは、よくあります。

Agapeと自己犠牲の距離は、思っているより近いです。「私さえ我慢すれば」が自然に出てきたら、それはもう献身ではなく、静かな消耗です。愛のガス欠は、切れる直前まで自覚できません。

こんな言葉が出ます。

  • 「相手が笑っていれば、それでいいと思える」
  • 「自分のことより、相手のことが先に気になる」
  • 「尽くしすぎると言われるけど、そうしたいからしているだけ」

とはいえ、これを持っている人は貴重です。世の中の関係の多くは、誰かが黙って引き受けているから成立しています。ただ、引き受けるあなた自身を誰が引き受けるのか。そこだけは考えておいてください。あなたが倒れたら、その関係もろとも終わりますので。

ロマンススタイルの研究

まず古今の小説や文献から「愛のあり方」の類型を抽出し、それをもとに面接用のカードを約1,500枚作る。そして実際に恋愛している人たちに、自分の経験に当てはまるカードを選ばせていく。

ラブ・ストーリー・カード・ソートと呼ばれる手法です。「あなたの恋愛を語ってください」と聞くと、人は建前を答えます。カードを選ばせれば、建前と実際の行動のズレが可視化される。

実際リー本人も、被験者が語る理想の愛と、報告される実際の行動が食い違うことに注目しています。この記事が身も蓋もないのは、元の研究がそもそも身も蓋もなかったからです。

そしてリーは、集まった類型を色相環になぞらえて整理しました。ここが面白いところです。

  • 三原色にあたるのが、Eros、Ludus、Storgeの3つ
  • 二次色にあたるのが、その混合であるMania(Eros + Ludus)、Pragma(Ludus + Storge)、Agape(Eros + Storge)
  • さらにその先に、9つの三次スタイルがある

つまり「複数のスタイルが混ざる」というのは、後付けの言い訳ではなく、理論の設計そのものです。純粋な単一スタイルの人がほとんどいないのは、当たり前なのです。

この分類は1977年に『Personality and Social Psychology Bulletin』誌の論文としてまとめられ、その後、心理学の側に引き継がれます。

決定的だったのが1986年、クライド・ヘンドリックとスーザン・ヘンドリックによる研究です。

彼らは6スタイルを測定する質問紙「Love Attitudes Scale(LAS)」を開発し、リーの分類を統計的に検証可能な形に変換しました。

この尺度はその後、各国語に翻訳されて数十年にわたり使われ続けており、恋愛研究における標準的な測定道具のひとつになっています。

つまりこの6分類は、50年前に作られて、その後ずっと使われ続けている、しぶとい枠組みです。星占いとは出自が違います。

ただし、正直に注意点も置いておきます。

第一に、これは性格分類ではなく「愛に対する態度」の分類です。

あなたという人間が6種類のどれかに固定されるという話ではありません。

相手が変われば出るスタイルも変わりますし、年齢とともに主スタイルが移動する人も珍しくありません。

第二に、男女差については研究によって結果が割れています。「男性はLudusが高い」といった報告もあれば、明確な差は出ないとする報告もある。

ここを断定的に語る記事は、少し盛っていると思ってください。

第三に、順位が出たからといって、それがあなたの恋愛の答えではありません。この枠組みが与えてくれるのは処方箋ではなく、名前です。名前がつくと、少なくとも「私は何かおかしいのではないか」という問いを、「私はこの型なのだ」に置き換えられる。それだけです。それだけですが、けっこう効きます。

  • John Alan Lee, Colours of Love: An Exploration of the Ways of Loving, Toronto: New Press, 1973
  • John Alan Lee, “A Typology of Styles of Loving,” Personality and Social Psychology Bulletin, 3(2), 1977, pp.173-182
  • Clyde Hendrick & Susan S. Hendrick, “A Theory and Method of Love,” Journal of Personality and Social Psychology, 50(2), 1986, pp.392-402
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無料診断乱立・SNS情報汚染に問題意識を持つ方、性格タイプを実務・判断・関係設計に使いたい方を対象としています。
木村なおき
木村 なおき
16タイプ診断士 · エニアグラム実践者 · Webデザイナー
ユング心理機能 エニアグラム判定 16タイプ連携 Web設計

性格タイプを、ただの自己理解で終わらせない。

現役Webデザイナーとして活動しながら、ユング心理機能・エニアグラム・ソシオニクスを統合した診断セッションを実施しています。

得意としているのは、診断テストの結果を読むことではなく、話の中に出てくる行動・感情・思考のパターンから、その人のタイプ構造を整理することです。

16タイプでは、認知や行動のクセを見ます。 エニアグラムでは、その奥にある怖れ・欲求・囚われ・健全度を見ます。 この2つを切り分けてから連携させることで、タイプ論を仕事・人間関係・判断・チーム設計に使える言語へ変えていきます。
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