16タイプとMBTI®の違い
2021年10月からひよこ君とフクロウ君のエニアグラム講座でも、16タイプを扱うようになりました。
また2021年の12月ごろからエニアグラムと併用して16タイプについての質問や相談にも答えるようになりました。MBTIの教科書を片手に、エニアグラムセッションのお客様のMBTIに関するQ&Aについてもお答えしています。
但し、事前に「私が教えているのはMBTI®ではない!」とはっきりとお伝えしたうえで16タイプを取り扱うように心がけています。
MBTI協会を敵に回したくはないし、MBTIは大好きだし、MBTIの認定講師にはもっと頑張ってほしいので、いい感じで対抗馬になってもらえると幸いです。
MBTIとは何か?
MBTIとはユングのタイプ論をもとにした、性格検査です。
MBTIの権利は一般社団法人日本MBTI協会が管理しており、日本MBTI協会ではMBTIを以下のように定義しています。
MBTIは、一人ひとりの性格を心の機能と態度の側面からみたものです。それらは、「ものの見方(感覚・直観)」と「判断のしかた(思考・感情)」及び「興味関心の方向(外向・内向)」と「外界への接し方(判断的態度・知覚的態度)」の4 指標であらわされ、16 タイプに分類してとらえようとします。MBTI は、16タイプそれぞれの強み、特徴、そしてその人の今後の課題を整理し、個人の成長や人と人との違いを理解し、周囲の人との人間関係作りにも役立てることができます。
この説明を聞く限りは、16タイプ論と同じようにも思えます。公式MBTIのテキストを見る限り、その記述は16タイプ論そのものです。しかし、MBTI協会からすると、16タイプ論の考えは、似て非となるものなのです。
タイプ論ではない!タイプ「指標」
英語に詳しい方はピンとくるかもしれませんが、MBTIは、【Myers-Briggs Type Indicator】です。日本語にすると、「マイヤーズとブリックスのタイプ指標」になります。
そう…タイプ指標なのです。
私自身、MBTIの意味がタイプ指標だと気づいてから、安易にMBTIという言葉を使わないように気を付けています。なぜなら「英語の意味が分かっていないやつ」と思われたくないからです。何気にこれがいちばんの理由です。
よって、マイヤーズとブリックスさんのタイプの指標を用いてお話をしない限り、MBTIの定義は破綻しています。
完全にオリジナルの性格タイプ指標
MBTIは他の心理学や心理タイプとは全く異なった独自のタイプ論です。MBTI協会が発行している独自のアンケートを用いて、その回答を「検査」して、二律背反をもとにタイプごとの偏りを導き出していきます。しかし、その指標はあくまで結果にすぎません。
MBTIが、他の心理検査と大きく違うところは、検査結果はあくまでもきっかけに用い、一定の訓練を 受けたMBTIの専門家といわれる人たち(MBTI認定ユーザー)の支援を受けながら、MBTIに回答した本人が、 自分についての洞察を深め、自分のベストフィットタイプ(もっともしっくりくるタイプ)を見つけ出す 過程(プロセス)そのものを重視しているところです。要するに、結果だけでなくそれをきっかけに自分の 理解を深めていくプロセスがあってはじめて有益になる検査ですから、検査というより、メソッドという ほうが近いといえます。
心理テストだけだと人の性格なんてわからないよね!だから、MBTI協会が提供する独自のプログラムで訓練を受けた認定ユーザーがフィードバックをするシステムになっています。そして、MBTIの認定ユーザーと一緒に最もしっくりとくるタイプを導き出す流れになっています。MBTI認定ユーザーは、寄り添ってくれこそしますが、答えは教えてくれません。
2021年1月にMBTI認定ユーザーのセッションを受けましたが、やっぱり答えは教えてくれませんでした。(もちろん、わかっていましたけれど)
MBTIのセッションの感想については別の機会でお話をしますね。
- 独自の心理検査がある。ただし、それはきっかけに過ぎない。(信じ込むな!って意味)
- MBTI協会の訓練を受けたMBTIの専門家がいて、その人たちしかMBTIを教えることはできない
- 本人が自ら、検査をもとに洞察を深めて最もしくっりくるタイプを導き出すところに意味がある
- MBTIの専門家は、あえてタイプを判定せずに、受講者のタイプ判定に寄り添いフィードバックを行う
MBTIの専門家が、MBTIの理論に基づいてあなたのタイプを言い当てるのではなく、MBTI協会が発行する心理テストを受けて、その結果をMBTIの専門家に見てもらってフィードバックを受けるだけです。MBTIの専門家は、タイプ判定にコミットしてくれるのではなく搬送型のアプローチを行ってくれます。
16タイプの位置づけ?
本サイトで扱っている「決め付けの刃」は16タイプです。MBTI協会が批判している「MBTIもどき」であり、「似て非となるもの」です。この点に関しては受け入れているし、むしろ「決め付けの刃」を「MBTI®」と混同されるととイラっとするぐらいです(笑)。
その理由についてお話をしますね。
16タイプ論はMBTI®ではない理由
現在、エニアグラムの個人セッションで16タイプ論を取り扱っていますが、以下の4つを徹底しています。
- MBTIの指標を使っていない
- 性格タイプを判定している
- 他の16タイプ論の知見を援用している
- エニアグラムとセットで伝えている
①MBTI®の指標を使っていない
はい、私はMBTIの認定ユーザーではないので、MBTIの指標を使っていません。
この時点で、MBTIではないのです。
②-1:性格タイプを判定している
MBTIでは認定ユーザーはクライアントに対して性格タイプを判定してはいけないルールになっています。クライアント自身が、自分の性格タイプを判定できるように横で寄り添い、サポートするスタイルです。
対して、私はサポートではなく、性格タイプ判定コミットしています。
お客様の性格タイプ判定にコミットしたいと思って、エニアグラムに加えて16タイプを取り入れたぐらいです。
②-2:タイプ判定にコミットする理由
- 性格タイプ判定ができるから
- お客様が満足度が高いから
- そもそもお客様の依頼が判定
2022年になって多いのが、MBTIの公式セッションに参加をしたお客様です。MBTI®のベーシックやアドバンスを受けても自分のベストフィットタイプを導き出せずに悶々としている方がチラホラいます。先ほどお伝えしたように、MBTI協会のルール上、講師と認定ユーザーはタイプ判定はできないルールです。
だからこそ、性格タイプ判定ができる人は必要とされるのでしょう。
②-3:MBTIセッション=コーチング
MBTIセッションのモデルは、いわゆる「コーチング」です。コーチングは、コンサルティングやティーチングのようにあえて答えを言わずに、質問を通じてクライアントが内側から答えを導き出すところに狙いがあります。
MBTI認定ユーザーは、講師やコンサルタントではなくコーチなのです。だからこそ「答えはあなたの中にある」と最後まで信じて、質問を通じてクライアントが自ら自己理解ができるようにサポートしてくれます。
よい悪いの問題ではありません。私は、この「MBTIのコーチング」のスタイルは好きです。逆に、MBTI認定ユーザーから性格タイプを判定されても、「なんでそう思った、どうして、理由を説明して」と質問攻めにすると思います。
一方で、自分のタイプを決めたいクライアントにとって、このコーチングはホーチング(放置プレイ)になるようです。
はい、どんどん行きます!
③他の16タイプも使っている
お客様の16タイプ判定をするときは、MBTIのテキストはもちろんですが、MBTI以外のテキストも使っています。
参考にしているWebテキスト・サイト
- MBTIタイプ入門(シリーズすべて)
- カーシー博士の人間×人間(にんげんかんけい) セルフヘルプ術
- 16Personalities
- いざよいブログ
- Psychological Types: Why Are People So Different?: 64 Portraits in Socionics
MBTIのテキストだけだと内容が薄く、説明が抽象的になりがちです。
他の16タイプ論の記述や考えに基づいてお客様の性格タイプ判定に臨んでいます。この時点で、もはや完全にMBTIではなくなっていますね。
個人的にお勧めなのが、ロシア版の16タイプであるソシオニクスです。
ソシオニクスは、いざよいブログのmemaiさんから直接指導を受けて、Model Aと関係論なら使いこなせるようになりました。加えて、カーシー先生のセルフヘルプ術の気質論に則り、お客様の気質や考えを伺い、タイプ判定に挑んでいます。
「そんなんで大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、大事なのはMBTIや16タイプ論がどのように成り立っているかではなく、目の前のお客様にどのように貢献ができるか、です。それは誰よりもできている自負はありますし、公式MBTI®を希望している方はそもそもお申し込みしません。
というより、16タイプ単体のサービスは現時点ではご用意しておりません。
④エニアグラムとセットで伝えている
16タイプは、エニアグラムの補助機能として採用しております。
エニアグラムのセッションを通して、お客様の考えや動機、価値観を詳しく知り、そのうえで16タイプの判定を行っています。
エニアグラムのタイプ(サブタイプ・トライタイプ)を知ったうえで、お客様の16タイプ判定に臨んだほうがはるかに高い精度で判定できることがわかりました。
その時は、このデータを見ながらいくつか候補を絞っています。
勿論、必ずしもこのデーター通りにはいかないのですが、事前にエニアグラムの性格タイプがわかっている状態で16タイプ判定を行うと、タイプダイナミックスやモデルAが、どのようにお客様の中で動いているのかがわかります。
あとがき
色々と長くなりました。
また、どさくさに紛れて自分のサービスの紹介になってしまいましたね。
16タイプに関しては、エニアグラムと併用して毎日の生活に役立てています。エニアグラムだけではどうしても説明できない部分もあります。逆に、16タイプやMBTI®では、根源的な価値観や動機についてはわかりません。
性格心理学やタイプ論を扱う以上、そのサービスの違いや特徴も抑えて使いこなせるようになりたいですね。